22. 連邦中央星間連合軍事アカデミー 2
この物語はフィクションです。実在の人物・団体・事件・名称等は一切関係ありません。
下院女子第三棟は、校門で見たどの建物よりも、「文明社会が『集団飼育』という言葉に与えられる最高級のラッピング」そのものだった。
灰色。
やっぱり灰色。
壁も灰色、床も灰色、天井も灰色。照明すら、「希望を邪魔しない範囲ギリギリの色温度」に努力している。廊下はやたら長く、ひたすら人の忍耐を試すためだけに設計された搬送管みたいだ。十メートルおきに発光パネルがあり、「静粛・整頓・時間厳守・服従・夜間外出禁止・通行制限」などの文字が並んでいる。「こういうことをしたら、こういうふうに片付けます」と、あらかじめ印刷して配ってくれている親切さ。
スーツケースを引きながら四階へ。手首の識別リングが、ハンドルに当たるたびに小さな金属音を立てる。
うるさい。
「お前はもう、番号のついた持ち物だ」と学院に言われている気がする。
四階十六号室は、廊下の一番奥、細長い観景窓のそばだ。窓の外には下院訓練場の一角が見える。いくつかの障害物架が、削ぎ落とされた骨みたいに、一列に夜の中に突き立っていた。もっと遠くには、上院区の高い塔が見える。白く、よく光り、自分で血を洗う必要など一度もなかった歯の群れみたいに。
ドアをリングで開けると、中は想像よりずっときれいだった。
心地よい、とは別種のきれいさだ。規格と殺菌で磨き上げたきれいさ。ベッドが四つ、金属ロッカーが四つ、机が四つ、壁のランプが四つ。布団の角は、誰かが定規を当てて折ったみたいに揃っている。すでに二つのベッドには荷物が置かれていて、三つ目のロッカーの扉が半開きになっていた。中には、どこからか調達してきたらしいスナックが数袋、医療パッチ、タオル、サイズの違う靴下が二足、それから灰色の紙箱に入った砂糖菓子。
ロッカーを眺めて、真っ先に浮かんだのは「誰かもう住んでる」ではない。
「こいつ、盗みがうまいな」のほうだ。
「十六番の新入りって、あんた?」
頭の上から、声が落ちてきた。
顔を上げると、ドア側の上段ベッドの柵に、女の子が腹ばいになっていた。柔らかい茶色の髪が無造作に伸び、目の動きが速い。顔には細かいそばかす。全体として、「情報を売りながら、ついでにポケットの中身も抜いていき、最後には笑顔で『またよろしくね』と言って帰っていく」タイプに見える。
どこから調達してきたのか分からないスティック菓子をかじりながら、私を「開封したばかりの危険物」として観察している。
「特編転入生、星野霜」
そう言うと、彼女はベッドの柵からくるりと身を翻した。床に降りたとき、ほとんど音がしない。たぶん「本来、人がいてはいけない場所」を歩き慣れている。
「ジェス・マッカロウ。ジェスでいいわ。あるいは『宿舎区民間サービスセンター』って呼んでもいいけど、後者はたいてい有料」
彼女を見つめる。
「いつも新しいルームメイトにこうやって挨拶するの?」
「人による」
彼女はスティック菓子を噛み切り、私のスーツケースに顎をしゃくる。
「普通の新入りには、まず名前を聞く。あんたみたいなのには、先に『爆発しないかどうか』を確認する」
「で、結論は?」
彼女の目が、ほんの少し楽しげに細くなる。罠を踏んだ狐みたいに。
「今のところ、するわね」
うなずく。
「見る目あるじゃない」
彼女は笑った。
愛想のいい笑いじゃない。「ああ、この子も口に棘があるタイプね。なら、退屈はしなさそう」という種類の笑いだ。
ごく自然に歩み寄ってきて、私のスーツケースを奥へ引き込む。動きが板についていて、この場所の住人というより、縄張りの主みたいだった。
「十六番はそっち、下段よ。窓際のは触らないで。あそこで寝てるやつ、夜中の歯ぎしりが仇の骨でも噛み砕いてるみたい。ドア側はまだ空いてるけど、明日には誰か入ると思う。給湯は時間制限あり。二二〇〇過ぎたら、シャワーの代わりに校則でも浴びるしかない。ロッカーは左が引っかかりやすい。右の引き出しは最後まで引っ張らないで、落ちるから。あと、四階突き当たりの補給機、たまにポイント飲み込むけど、左下を二回蹴れば大体返ってくる」
二秒、黙る。
「本当に民間サービスセンターみたい」
「褒め言葉として受け取っとく」
彼女はベッドの番号札を直し、声を落として付け足した。
「ついでに忠告。風紀は二一四〇に先回り、二二〇〇ちょうどが本検査。十文字の死神面が今日の担当フロアだから、日に当てたくないものがあるなら今のうちに処理して」
横目で見る。
「今日、もう一個没収されたばかり」
「知ってる」
彼女はまばたき一つ。
「あんたが下で金属片引っかかった話、あんた本人より早くここまで回ってきてる」
ベッドカードを机に置く。
「この学院の情報流通効率、ようやく感心できる部分を見つけた」
「感動しないで」
ジェスが言う。
「ここの噂は、医療班より足が速い」
その言い方は軽かったが、冗談のトーンではなかった。
上着を脱いでベッドの端に掛ける。肩の力がほんの少し抜けたところで、廊下の突き当たりからスピーカーが鳴った。
「全新入生に告ぐ。十分後、下院新生基礎適応訓練説明を第三訓練場にて実施。訓練服着用、識別リング携帯、遅刻不可。繰り返す——十分後、下院新生基礎適応訓練説明を第三訓練場にて実施」
ジェスを見る。
彼女は残りのスティック菓子を口に押し込み、肩をすくめた。
「文明社会へようこそ。あんたは今日はベッドメイクで終わりと思ってたかもしれないけど、向こうは門をくぐった瞬間からもう暇すぎると思ってる」
「適応訓練の『説明』で、訓練服?」
「そう」
自分のロッカーを開け、爆弾処理みたいな手早さで動く。
「ここで言う『説明』って、教官が『明朝〇五〇〇に文句を言っても無駄な理由』を説明しながら、ついでに軽く数周走らせて体を温める儀式だから」
「親切ね」
「ええ」
灰色の訓練服を一着、投げてよこす。
「連邦は、人に『理解させながら苦しませる』のが大好物」
服を受け取り、二秒ほど彼女を見る。
「なんで助けてくれるの」
袖口をまくっていたジェスが、首を傾げた。
「一つ、あんた今日来たばかりで、集合前に死なれると部屋の後始末が面倒。二つ、特編生ってことは、表に出せない話を大量に抱えてる可能性が高い。そういう人間と同室にいると、たいてい退屈しない。三つ」
一拍置いて、口の端が曲がる。
「さっき下で言った『私が噛みついたら見栄えが悪い』、あれ、好き」
……まあ。
俗っぽくて正直な理由だ。むしろ、上等な建前より信用できる。
十分後、ジェスと一緒に第三訓練場へ向かう。
下院の新入生たちが各フロアから流れ出してくる。灰色の人の群れが長い廊下を進む様は、重力に逆らえない煙みたいだった。全員が静かなのは、規律があるからじゃない。初日で、この場所がどの角度から噛んでくるか、まだ誰も分かっていないからだ。
第三訓練場は想像より広かった。床は黒灰色の衝撃吸収材、周囲にはセンサー柱が並び、奥の壁には明日の訓練スケジュールが投影されている。
〇五〇〇 朝の整列
〇五二〇 体力測定
〇六一〇 負荷適応
〇七〇〇 朝礼・整備
〇七四〇 朝食
その文字列を見上げる。
「この朝食、食事というより報酬に見える」
「期待しないで」
ジェスが横で言う。
「走るのが遅かったら、プロテインペーストが冷めた状態で待ってる」
前方のステージに教官が上がり、死体に手順を説明するような声で新入生規範を読み上げ始めた。内容は校門でのものとほぼ同じだが、より細かく、より非情だ。遅刻の算定、落伍の算定、装備不備の算定、夜禁違反の算定、無届け宿舎離脱の算定。
半分ほど聞いたところで、分かった。
この場所は、本当に規律を守らせたいわけじゃない。
この場所が教えたいのは——
お前を「不合格」と判定する方法なら、いくらでもある、ということだ。
説明が終わっても、教官は解散させない。
「明朝〇五〇〇からの訓練に先立ち、今夜は基礎適性確認を行う。全員、場内八周。基準未達者は追加」
場内に沈黙が落ちた。
上等な種類の沈黙だ。全員が心の中で罵倒しているが、初日に声に出すほど愚かな者はいない。
ジェスが耳元で小声で言った。
「ほらね。説明だけで終わるわけないって言ったでしょ」
「次からは『八周だけ』って先に教えて。心の準備ができるから」
「ここの人間性を過大評価しすぎ」
笛が鳴った。
全員が動き出す。
第三訓練場の床は見た目より硬い。一周目で足の裏が理解する——学院は素材選定において「優しさ」を完全に排除している。一周目はまだ隊列の体裁を保っていたが、二周目から脱落者が出始め、三周目には呼吸が重くなり、四周目以降は、グラウンド全体が「後悔を集団で学習する養殖場」になった。
ジェスは隣を走っている。速くはないが、安定している。
最初から体力上位を狙うタイプじゃないが、歩幅に無駄がない。どこにどれだけ力を使えばいいか、とっくに身体に叩き込んである走り方だ。走りながら、まだ喋る余裕がある。
「左前のやつ、明日吐く。右のやつ、靴が上院の展示棚から盗んできたみたいに新品。前列三番目は辺境徴集組、呼吸のリズムがいい。あんたの前の——」
「走りながら人口調査できるの?」
「生存習慣」
彼女は言う。
「人が死にかけてるとき、どんな顔になるか覚えといたほうがいい」
なるほど。
最初にまともに話した相手が、ランニングしながら同級生の訃報下書きを作るタイプだった。
六周目に入ったとき、場の端に黒いアームバンドが増えた。
風紀だ。
十文字はデータパッドを手に立ち、「誰の足が最初に校則への信仰を失うか」を観察しに来たらしい。二階堂はその後ろで、両手を背に組んで立っている。動かなくても人を窒息させられる一本の線みたいに。
夜風が冷たいのか、彼女がまた現れたのが不運なのか、判断がつかない。
七周目で、コーナーの新入生が足をもつれさせ、横に傾いてジェスにぶつかりそうになった。私は反射的に手を出して押し戻し、自分の歩幅が乱れた。ジェスが素早く私をつかんで、地面との親睦を回避させてくれた。
「ありがと」
「別に」
彼女は息を一つ吐く。
「今転ばれたら、室友を医務室まで引きずる羽目になる。割に合わない」
八周目が終わり、全員がまだ「生き延びた」と実感する前に、場外から声が来た。
「十六番」
足を止めて振り返る。
十文字が私を見ていた。完全に業務の顔だ。
「出列」
……また私か。
歩いていくと、ジェスが「この学院があんたを初夜から無事通過させるわけない」という目で見送った。
十文字の前に立つ。
「何?」
彼はデータパッドを一行下にスクロールした。
「走行中に編列位置を離脱し、隣接学員と接触。隊形維持違反」
「転びそうだったから、押し戻した」
「見ていた」
「じゃあなんで聞く」
「聞いていない。告知している」
十文字は顔を上げた。
「新入生訓練中、非指示的な位置変更もすべて記録対象だ」
この発言に笑いそうになる。
「じゃあ正しい対応は、転ばせておくこと?」
「正しい対応は、隊形を保ち、場外の医療班と教官の介入を待つことだ」
振り返って、さっき転びかけた学員を確認する。顔が白くなっていて、自分に内臓が残っているかどうか確かめる余裕もなさそうだ。場外の介入を待つなんて、もっと無理だっただろう。
十文字を見直す。
「風紀って、人が倒れかけても、倒れ方が手順通りかどうか先に確認するの?」
十文字の表情は一ミリも動かない。
「星野霜。入校初日のお前には、ここで一番余っているのが『善意の暴走が生む面倒』だということが、まだ分かっていない」
言い返そうとしたところで、後ろから声が来た。
「彼女は助けたんです。問題を起こしたわけじゃない」
振り向く。
ジェスが、自分から列を外れて出てきていた。
呼吸はまだ整っていない。髪の毛先が汗で濡れている。それでも顔には、「面倒を起こしそうだが、簡単には掴まえられない」という表情が戻っていた。
十文字が彼女に目をやる。眉が動く。
「列に戻れ」
「戻れます」
ジェスは言う。
「でも、彼女があそこで押し戻さなかったら、私は今頃地面にいたか、誰かの足を踏んで一緒に転んでました。規則で言えば、これは『より大きな隊列事故を防いだ』と判断できるはずです」
ほう。
規則を使って規則を返してきた。
こういう人間が、ロッカーに「出所不明だが機能は確実」なものをあれだけ揃えられる理由が、少し分かった。
十文字が二秒ほど彼女を見る。自分のよく知っている武器を逆向きに使われて、気分がよくない顔をしている。
そこで二階堂が近づいてきた。
ブーツの音は大きくないが、正確だ。一歩ごとが、人の神経の一番細いところを選んで踏んでくる。
私たちの前に立ち、まず私を見て、それからジェスを見た。
「初日から、自分に考えがあることを証明したいの?」
ジェスが口を閉じる。
私もすぐには答えなかった。
この質問に早く答えるのは、自分の余命を大切にしていない証明になる。
二階堂の視線がジェスに止まる。
「ジェス・マッカロウ。無断離列」
そして私に移る。
「星野霜。走行中の無指示変位。告知後も継続的に反論」
一拍置く。
「結構」
「結構」と来たら、たいていろくなことにならない。
案の定、次の言葉はこうだった。
「二人とも、負荷折返し十セット追加。今すぐ」
ジェスが、ごく小さく息を吸った。
私の中は、妙に静かだった。
なんというか。連邦に「追加」されることは、「今日は風が吹く」という天気予報と同じだ。新鮮とは言えないが、時間通りではある。
十文字が訓練ベストを二着投げてきた。負荷バンドつき。
受け取る。重さは本物だ。
「初日から一緒に残業」
ジェスが声を落として言った。
「ルームメイトの絆、育つのが早い」
ベストを頭からかぶりながら答える。
「普通は名前を交換するところから始めるのに、私たちは罰則を交換してる」
彼女が笑った。
短かったが、本物だった。
十セットの折返しが終わったとき、肺の中に鉄くずを一バケツ流し込まれたみたいだった。脚はもはや自分のものじゃない。学院から一時貸与された廃材パイプ二本という感覚だ。第三訓練場の照明が床に落ちて、冷たく白い。まだ解散していない新入生たちが脇で見ている。全員の目が言っていた。
——あれが、初日から口を利いた場合の末路だ。
ジェスは七セット目から顔色が悪くなっていたが、速度はほとんど落とさなかった。最終セットが終わると、膝に手をついて息をつき、横目で私を見た。
「あんた……初日で風紀の常連客になれるって、将来有望すぎる」
肋骨の横に手を当て、ゆっくり呼吸を整える。
「お互い様でしょ。列を外れたら一緒に罰則だって分かってて、出てきた」
彼女は顎の汗を拭い、顔を上げた。目の動きはまだ速いが、さっきより落ち着いている。
「正義の味方のつもりじゃない」
と言う。
「ただ、手続きを万能接着剤みたいに使って、全部を同じ形に固めようとするやつが嫌いなだけ」
見つめる。
夜風が訓練場を吹き抜け、彼女の暖かい茶色の髪をさらに乱した。灰色の制服の群れの中に立つ彼女は、端が折れ曲がって、でも正式な書類よりずっと使い物になる地下の地図みたいだった。
この人、悪くないかもしれない。
「友達として」という意味じゃない。
「人を均一に削っていく場所に入ったとき、どこにまだ隙間が残っているかを知っている人間が近くにいる」という意味での、悪くない。
二階堂が遠くからちらりとこちらを見て、何も言わず、十文字に小さくうなずいた。意味は明確だ。記録完了、解放。
風紀が引いた。
新入生も散っていった。
第三訓練場は、一群れを飲み込んで、しばらく機嫌がよさそうだった。
ジェスと一緒に宿舎へ向かう。二人とも汗と金属床の反射光をまとって、みっともなさの程度がほぼ均等だった。
第三棟の入口まで来たとき、ジェスがポケットから灰色の紙に包まれた飴を取り出した。
「塩飴」
と言って、差し出す。
「明日の〇五〇〇集合前に食べて。じゃないと、あんたの『気合だけで生きていける』みたいな顔、三周目で先祖に会いに行くことになる」
飴を見て、すぐには受け取らない。
彼女が眉を上げる。
「何、毒でも入ってると思ってる?」
「違う」
受け取って、ポケットに入れる。
「誰かから『戦略物資』をもらうのが初めてで、慣れてないだけ」
彼女が一声、笑った。
「嘘つけ。見るからに、子どもの頃から人のものを奪ってきたタイプじゃない」
「それは違う」
と言う。
「奪ったのは戦利品。誰かが渡してくるのは、人情の借りだ」
ジェスの足が一瞬止まった。横目で見てくる。
「あんた、喋り方が本当に嫌味」
「ありがとう」
「褒めてない」
「分かってる」
一緒に階段を上る。金属の段が足の下で空洞な音を立てる。一段ごとに、明朝〇五〇〇へのカウントダウンを誰かが刻んでいるみたいだった。
部屋に戻って、塩飴を机の上に置いた。二秒ほど眺めてから、ロッカーを整理し始める。
今夜の成果は以下のとおり。
一、正式に入居完了。
二、ジェス・マッカロウという名の宿舎の縄張り主と正式に知り合った。
三、入学初日に、風紀との正面衝突を早くも二回達成した。
四、負荷折返し十セット追加。学院は私の体力向上に、高い関心を示している。
五、この場所にはルールのほかに、もう一つ実用的なものがあると確認した——どこにルールの縫い目があるかを知っている人間。
識別リングを外して、またはめる。それを二回繰り返して、金属の輪が手首に噛む感触を確かめる。
やっぱり、うるさい。
でもなぜか、机の上の灰色の飴一つで、この部屋が「在庫棚」に見えなくなった気がした。
ベッドに横になって、上段の板を見上げる。
消灯前の最後の一分間、スピーカーが律儀に告げる。明朝〇五〇〇集合、遅刻不可、欠席不可、理由をつけた遅延不可、訓練の予定に異議を唱えることも不可。
実に結構。
眠りにつく前から、反抗心だけは先に削除されている。
目を閉じて、明日のことを考える。訓練場のこと、風紀のこと、あの委員長の健康的とは言えないほど穏やかな顔のこと。それから、ジェスが列を外れて言った一言のこと。
「彼女は助けたんです。問題を起こしたわけじゃない」
この学校は広い。
規則は多い。
壁は硬い。
でも初日の夜、私は少なくとも「どこに縫い目があるかを知っている人間」を一人、拾った。
連邦基準で言えば、上々の出だしだ。
ときに、友達が先に必要なわけじゃない。
制度に削られる前に、塩飴を一つ手渡してくれる人間が先に必要なことがある。
そういう人間は、たいてい校訓よりずっと頼りになる。
「とても面白い」★四つか五つを押してね!
「普通かなぁ?」★三つを押してね!
「あまりかな?」★一つか二つを押してね!




