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臨界の星穹  作者: Mr.佐藤焫焵
士官学校編
72/110

19.格闘艇訓練 4

この物語はフィクションです。実在の人物・団体・事件・名称等は一切関係ありません。

第二問が飛んできた。


「敵機一機、君より速く、君より高く、火力も上だ。」J.J.は言った。「正規の戦い方では、もう半分負けている。さあ、体裁の悪い勝ち方を教えてくれ。」


前方の映像が切り替わった。


残骸帯が、艦の残骸が散乱して漂う一帯に変わり、右上には補給艦の軌道がゆっくりと展開されていた。


遠心艙は回り続ける。


手のひらに汗が滲んできた。


肩と首と内耳が、見苦しい家族会議を開いていて、誰も譲らない。


私は画面を睨み、息をついた。


「まず、あいつに勝ちかけていると思わせる。」


「当たり前だ、あいつの方が強いんだから。」


「ならもっと確信させる。」私は補給艦の航路を見つめた。「残骸帯へ向けて圧力をかけ、角度も取らず、振り返りもせず、本当に尾を振り切って逃げるだけだと思わせる。」


J.J.が通信の向こうで「ふむ」と言った。


頭の中の図がどんどん鮮明になってくる。


「あいつが強引に押し込むタイプなら、必ず残骸帯に追ってくる。私が追い詰められて狭い道しかないと思っているから。」


「その中であいつとは戦わない。」


「残骸で半秒だけロックを遮って、補給艦の下方噴流シャドウに切り込んで、そこから——」


私はかなり不格好な折り返しを描いた。


「——あいつを補給艦の自動回避修正区域に引き込む。」


J.J.が笑った。


「ほう?」


「大型艦が自動衝突回避を行うとき、局所的な推進噴流が乱れて、短時間センサーフィードバックにもノイズが入る。あいつが追い込みに集中しすぎていたら、姿勢修正が半拍遅れる。」


私は一度息をついて、もう一刀入れた。


「その半拍で、私があいつを仕留めるには足りないかもしれない。でも、あいつが自分で残骸に突っ込むか、補給艦の防衛火網に脅威判定されて掃射されるには足りる。」


今度はJ.J.がすぐに返さなかった。


二秒の沈黙があってから、ゆっくり言った。


「星野。」


「何ですか。」


「君のその答え方、本当に可愛げがない。」


「ありがとうございます。敵に可愛げを見せるつもりはないので。」


通信の向こうが完全に笑い崩れた。


そして彼が笑っているのと同時に、遠心艙がまた速くなった。


今度は本当に魂が出かけそうになった。


誇張ではない。


あの一瞬、私は非常に明確に感じた——肉体はまだ椅子に縫い留められているのに、精神がもう荷物をまとめ始めて、後頭部から礼儀正しく退去しようとしていた。


6.2。


胸に戦艦の装甲板を一枚乗せられたようだった。


指先が痺れ始めた。


視野の端がうっすらと灰色になってきた。


一番腹が立つのは、内耳がまったく成熟した器官として振る舞う気がないことで、「世界が今ひっくり返っている」という事実を、最大限に暴力的な方法で全神経に書き込み続けていた。


歯を食いしばる。喉の奥に苦い塊が上がってきた。


駄目だ。


ここで吐くわけにはいかない。


少なくとも初回は。


……まあ、もし本当に吐くとしても、尊厳のない吐き方だけはしたくない。


J.J.の声が突然近くなった。明らかに通信のゲインを上げた。


「呼吸して、星野。G値と力比べをしても勝てない。短く吸って、長く吐いて。こっそり盗むみたいに換気するんです。」


「呼吸を……泥棒の技術みたいに言うんですね……」


「本質的には似たようなものが多いから。」彼は言った。「大事なのはきれいにやることじゃない、捕まらないことだ。」


笑いたかった。でも今笑ったら自殺行為だ。


私は彼の言う通りに呼吸を刻んだ。


短く吸う。


長めに吐く。


胸腔全体で踏ん張らない、後ろへ押し込んでくる力と正面から当たらない。


少し効いた。


ほんの少しだけ。


でもこういうときの「ほんの少し」は、奇跡と大差ない。


J.J.は明らかに私のリズムが安定してきたのを聞き取ったのだろう、声から冗談の色が引いて、代わりに私がそれまであまり意識していなかった何かが滲んできた。


温かさではない。


集中だ。


「よし、第三問。」彼は言った。「これが最後だ。正面に敵機一機、右後方に一機、燃料が足りない、主武装が過熱、左側は今まさに発砲している味方艦砲だ。」


画面が最悪の局面に切り替わった。


正面からの圧迫。


後方からの追撃。


側部砲射界の拡大。


そして、本当の逃げ道とは言えない逃げ道が一本。


「死なないための選択肢は一つだけだ。」J.J.は言った。「言ってみろ。」


今回は即答しなかった。


思いつかないのではない。


脳と身体が言い争っているのだ。


G値はまだかかっている。


胃の中の何かがどんどん不穏になっている。


視野の中で敵機の識別枠が網膜に釘で打ち付けられたように輝いていて、それが腹立たしかった。


私は射界を睨みながら、ふと、最低で、汚くて、でも有効な答えが自分の中から浮かび上がってくるのを感じた。


「……前の一機は、避けません。」


J.J.の声が静かになった。


「続けて。」


私はしゃがれた声で言った。


「あいつに向かって突っ込む。当てるためじゃない、あいつに早めに修正させるためだ。」


「前の一機が修正したら、後ろの一機は本能的に追い足しをかける。」


「そこで——」


私はほとんど指先で画面を突き刺すようにして、その線を側部砲射界の縁ぎりぎりに叩き込んだ。


「——主砲の火線をかすめて抜ける。」


「早すぎたら、私が先に死ぬ。」


「遅すぎたら、後ろの一機が外れる。」


「だから、あいつが『あと一息で咬める』と思った、その瞬間に合わせる。」


通信が完全に静まり返った。


私は荒い息をついていた。額は汗だらけで、睫毛まで湿っていた。でも頭の中でその軌跡だけが、妙にくっきりと光っていた。


「勝とうとしているんじゃない。」私は低い声で言った。「後ろの一機に、諦めきれないと思わせたい。」


「諦めきれなければ、あいつは自分から半秒余計に突っ込んでくる。」


パチン。


システムの通知音が鳴った。


遠心艙が減速を始めた。


この感覚は加速よりもずっと不快だった。


加速が誰かに押し込まれる感覚なら、減速はその人間がようやく手を離したときに、内臓全部が自分にはまだ自由があったことを思い出して、一斉に成熟しきっていない位置移動をする感覚だった。


目の前が一瞬暗くなり、喉が急激に締まって、あわや朝食と尊厳を一緒に差し出しそうになった。


「袋は右手側にある。」J.J.の声に楽しそうな専門性が滲んでいた。「そんなに意地を張らなくていい。吐いたからって返品はしない。」


「私には……まだ意地が……」


「もうほぼない。」


……この野郎。


目を閉じ、込み上げてくるものを力ずくで押し戻した。


肩が震えていた。


手も震えていた。


全身が、洗濯機の一番暴力的なモードから引き上げられて、そのまま戦術テストにかけられたような状態だった。


艙門がゆっくりと開いた。


冷たい空気が流れ込んできたとき、私は初めて、空気というものが詩に書かれるに値すると思った。


J.J.は外に立ち、両手をポケットに突っ込んで、上から私を見下ろしていた。その顔は殴りたくなるが、本当に明るい笑顔だった。


「おめでとう、星野霜。」彼は言った。「魂も胃も健在だ。今日の出来は予想より良かった。」


私は椅子に背中を預けたまま、話せる状態に戻るまで二秒かかった。


「教官の……『良かった』の基準は……非常に個性的ですね……」


J.J.は笑いながら、屈んで肩帯を外してくれた。


「君の一番の問題が何かわかるか?」


私は力なく瞼を持ち上げた。


「今ですか?長いリストが作れます。」


「違う。」彼は少し近づいて、何か面白いものを見るような目で私を見た。「君は飛ぶタイプじゃない。」


私は一秒黙った。


この言葉が別の人間の口から出てきたら、否定に聞こえるだろう。


でもJ.J.の口から出てくると、なぜか前置きのように聞こえた。


案の定、次の言葉が来た。

「とても面白い」★四つか五つを押してね!


「普通かなぁ?」★三つを押してね!


「あまりかな?」★一つか二つを押してね!

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