230.秘密協議 1
この物語はフィクションです。実在の人物・団体・事件・名称等は一切関係ありません。
本来は一泊二日の予定だった修学旅行が、無理やり一ヶ月近くにまで引き延ばされた。
私は笑えない。
比喩ではない。
本当に笑えないのだ。
テロ攻撃、月面からの脱出、アスガルドの奪取、エウロパ、海賊団、そして要塞、連邦官僚のパフォーマンスショー、さらに普通の学生なら白髪が早生えするほどの事故のフルコースから這い戻ってきた後に、見慣れた校舎、見慣れた行政棟、そして蹴り飛ばしたくなるほど見慣れた生徒会のドアプレートを見ても、「ああ、やっと日常に戻った」という感動など湧いてこない。
ただ一言、聞きたくなるだけだ。
――日常を発明したのは誰だ、訴えてやる。
真紀は前を歩き、生徒会長専用のIDカードでゲートを開けた。
電子錠が乾いた解錠音を立てる。
ドアが開いた瞬間、私は即座に理解した。場所によっては、戦場よりも武士道精神に欠けるところがあるのだと。
「……これ、殺人じゃないの?」
私はドア口に立ち、山のように積まれた公文書を見て、非常に心のこもった悲鳴を上げた。
机の上にある。
ソファの上にある。
サイドキャビネットの上にある。
窓際の、お互いの尊厳だけで倒れずにいるように見える二つの山も、やはり公文書だ。
私はふと思った。月面都市のあの避難には、少なくとも一つの利点があった――
砲火は、受領のサインを要求してこない。
真紀は一瞥しただけだった。
誇張ではない。
本当に一瞥だけだ。
彼女は上着を椅子の背に掛け、そのまま中に入り、机の一番上にある「見ただけで十七回の説明会を開きたくなる」ような資料の山に手を伸ばし、二つに分けた。
「重要じゃないものは後回し」
彼女は言った。
「重要なものから処理する」
「詳しく聞かせて」
私は答えながら、床に積まれたサークル予算の追加申請書の山を慎重に跨いだ。つま先があと二センチずれれば、生徒会室版の雪崩を引き起こし、明日の学内掲示板にこう貼り出されるのではないかと疑いながら。
副会長・星野シモ、文書作業にて殉職。
真紀は私を無視した。
彼女は赤いインデックスが挟まれた資料を数部抜き出した。指の関節の動きは鮮やかで、学内の行政文書ではなく、最前線の報告を処理しているかのようなスピードだった。
「これらを先に見て」
彼女はそのうちの一冊を私の前に投げた。
私は手を伸ばして受け取り、見下ろした。表紙には、胃が痛くなるほど見慣れた文字が印刷されていた。
首都圏代表チーム選抜 結果集計
私は呆気にとられた。
「これ、もう終わったんじゃなかったの?」
「ええ」
真紀は座り、顔も上げなかった。
「だから、今こそ見るべきなのよ」
私は眉をひそめた。
この言葉は、いかにも九島真紀らしい。
答えのように聞こえるが、実は全く答えになっておらず、次の問題をあなたの手に押し戻して、自分で解けと言っているだけだ。
私は資料を開いた。
中身は募集要項でも、参加申し込みでも、宣伝コピーでもない。下級生が読めば、代表チームへの参加が青春の栄光だと勘違いしそうな、熱血に満ちたくだらない文章でもない。
名簿だ。
成績。
適性評価。
ブロック別の備考。
そして、別に挟み込まれていた付録。
首都圏合同代表チーム チーム戦術編成草案
その数行の文字を見つめていると、突然、ひどく嫌な予感がした。
「……ちょっと待って」
私は顔を上げた。
「つまり、今の焦点は選抜じゃないってこと?」
「やっと目が覚めたわね」
真紀の語気は平穏で、ついでに別の資料を私の方へ押しやってきた。
「個人選抜はとっくに終わってる。成績はただの参考よ。本当に厄介なのは、その後ろ」
私は彼女を見た。
「チーム戦?」
「そう」
彼女はようやく目を上げ、視線を淡々と私の顔に落とした。
「個人戦はせいぜい人を拾い上げるだけ。チーム戦こそが、その選ばれた人間たちを本当に事故が起きる構造の中に放り込み、誰が他人を生きて連れ帰れるかを見る場なのよ」
私は二秒沈黙した。
「その言い方、学内コンペティションには聞こえないんだけど」
「元から違うわ」
彼女は椅子の背にもたれ、両手の指を組み合わせた。
「少なくとも、今年はね」
生徒会室が、一瞬とても静かになった。
外のキャンパスはいつも通りだ。
どこのサークルか知らないが、中庭でまた宣伝音楽をテスト再生していて、壁越しにぼんやりとしたビートが伝わってくる。廊下を歩く学生の足音も、遠くから、重くなく聞こえ、世界全体がまだかろうじて「ここは学校だ」という体面を保っているかのようだ。
だが私の手にある資料は、明らかにその体面をゆっくりと引き裂こうとしていた。
「まず、一番基本的なところから話すわ」
真紀が言った。
彼女の語気が解説モードに入った。
危険だ。
非常に危険だ。
九島真紀が根気よく物事を解説してくれる時、それは通常、知らん顔で誤魔化せるような小さなトラブルではない。すでに足の甲に落ちてきている巨石であり、今すぐはっきりと見極めなければ、後で膝まで一緒に砕け散るぞ、という意味だ。
「銀河連邦がなぜ連邦と呼ばれているか、知ってるわよね?」
「それくらい知ってるわよ」
私は資料のページをめくりながら、不機嫌に返した。
「連邦が支配している星系が全部で九つだからでしょ」
「その通り」
彼女は頷いた。
「おおぐま座、アンドロメダ座、オリオン座、ぎょしゃ座、はくちょう座、わし座、うしかい座、ケンタウルス座、かじき座」
彼女は一息に読み上げた。間を置くこともなく、自分の朝食のメニューでも読み上げるように。
「言い換えれば、連邦には九つの星区があり、九つの防衛区があり、互いに協力し、互いに競争し、互いをひどく目障りに思っているが、本当に顔を破ることはできない九つの士官学校システムがあるということよ」
ページをめくる私の手が止まった。
「その解説バージョン、ずいぶん正直ね」
「試験に出るわけじゃないもの」
彼女は当然のように言った。
「あなたが今知るべきなのは、いわゆる首都圏代表チームというものが、成績が良くて、飛ぶのが速くて、射撃が正確な学生を集めて記念写真を撮り、『連邦万歳』と叫ばせるだけの単純なものでは決してないということよ」
「残念ね。そういう幼稚な台本を少し期待してたのに」
「なら文芸部に行けばいいわ」
「遠慮するわ。あそこにも公文書がありそうだから」
真紀はこの言葉を拾うのを面倒がり、直接資料を後半にめくり、私に指し示した。
「毎回選抜で本当に価値があるのは、順位そのものじゃなくて、その後の編成権よ」
私は紙面を見た。
そこには、各校の進出者の専門、協同評価、適任ポジション、臨時編成の方向性がびっしりと並んでいた。単に強い者が選ばれるのではなく、誰と組ませるのが適しているか、誰をどこに置けば場を制圧できるか、誰を間違った位置に置けばチーム全体を死に至らしめる可能性があるか、といったことだ。
これはもう、学校が募集ポスターに使いたがるような内容ではない。
私の喉が動いた。
「つまり……選抜はただのふるい落とし」
「ええ」
「本当の問題は、ふるい落とされた人間を一つのチームに押し込むこと」
「それも正解」
真紀は私を見て、その表情はとても平穏だった。
腹立たしいほど平穏だ。
なぜなら彼女が平穏であればあるほど、通常は彼女がこの事態をずっと早くから見抜いていたことを意味するからだ。
私はうつむいてさらに数ページめくり、そして別の見出しを見た。
チーム演習項目の調整に関する説明
私の心の中の嫌な予感が、即座に半分ほど跳ね上がった。
「……言わないでよね、この代物にはチーム編成よりもさらに胸糞悪い部分があるなんて」
真紀は何も言わず、ただ人差し指でその中の一行をトントンと叩いた。
私はそれに従って視線を下ろした。
そして、危うく声を上げて罵るところだった。
「『既存のシミュレーション交戦メカニズムを廃止し、国境環境での実地評価に改める』ってどういうこと?」
「字面通りの意味よ」
彼女の答えはとても軽かった。
軽すぎる。
こういう時の軽さは慰めではない、宣告だ。
私は顔を上げた。
「人間の言葉で言って」
「人間の言葉で言うと、今年のチーム戦はシミュレーションのお遊びじゃないってこと」
彼女は私を見た。
「本気でやるのよ」
私の頭の中が、一秒間静止した。
それから、ゆっくりとその言葉を飲み込んだ。
「……本気って、どの種の本気?」
「帝国側の人間が現れるタイプの本気よ」
生徒会室の中が、一時空調の音しか聞こえないほど静まり返った。
私は彼女を見つめ、突然手を伸ばして彼女の額に触れ、この一ヶ月まともに寝ていないせいで、士官学校のコンペティションと国境での交戦という、全く同じ表に並べるべきではない二つのことを混同しているのではないかと確かめたくなった。
残念ながら、私は彼女をよく知りすぎている。
九島真紀はこういうことで冗談は言わない。
もし彼女がこういうことで冗談を言うような人間なら、連邦はとっくに終わっている。
「ちょっと待って」
私は資料を机に叩きつけた。
「つまり、個人戦で人を選んだ後、チーム戦ではその学生の集団を帝国とぶつけるために放り込むってこと?」
「名目上は当然、そんな乱暴な書き方はしないわ」
彼女は手を伸ばし、私が叩きつけてシワになりかけた資料を再び平らに伸ばした。指先の動きは想像していたより軽かった。
「実質的には、ほぼそういう意味よ」
「FUCK」
私はとても誠実だった。
「こんなこと、一体誰が考え出したの? 単位と生存率を紐付けるなんて、青少年の再生可能性を少し過大評価しすぎじゃない?」
真紀は意外にも微かに笑った。
「今のそのセリフ、わりと普通の人間みたいだったわよ」
「ありがとう。私、普段も普通よ」
「そのセリフは普通じゃないわね」
私は彼女を睨んだ。
彼女は気にせず、話を続けた。
「帝国側にもおそらく対応するメカニズムがあるはずよ。名前は違い、パッケージングも違うだろうけど、本質は大きく変わらない。連邦の各星区は自分たちが差し出すのが見掛け倒しではないと証明したいし、帝国側も国境の舞台を私たちにただで譲る気はないわ」
私は背中を椅子の背に預け、天井を見上げた。
この光景は実はひどくシュールだ。
私たちは、本当に人が死ぬ場所から逃げ帰ってきたばかりだ。
それなのに、キャンパスに戻り、生徒会室に座り、公文書を開いて最初に目にしたのは、制度が私たちに別の、より体裁の良い死に方をとても親切に手配してくれていたという事実なのだ。
文明って偉大だ。
少なくとも今回は、事前にお知らせが来る。
「これだけじゃないんでしょ」
私は再び頭を下げ、真紀を見た。
彼女はすぐには答えなかった。
この沈黙が一番厄介だ。
なぜならそれは通常、私がもっと後で触れるべきだった何かの境界にすでに触れてしまったことを意味するからだ。
「その表情、すごく不愉快なんだけど」
私は言った。
「あなたが当たりをつけ始めたからよ」
彼女は言った。
机の上の資料を見て、彼女を見て、そして生徒会を生き埋めにしそうなほど積み上げられた部屋中の公文書を見て、ふと、非常に不吉な連想が頭の中で繋がり始めた。
首都圏代表チームの選抜終了。
個人戦の成績はただの参考。
本当に命取りなのはチーム戦。
今年のチーム戦はシミュレーションではなく、実戦環境。
九島家がこの期間にアスガルドを引き継いだ。
そして真紀は今、今日この事を知ったばかりの人間には全く見えない。
私は目を細めた。
「……ねえ、ちょっと待って」
真紀は動かなかった。
それがさらに悪い。
もし彼女が即座に反論すれば、私は自分の妄想が過ぎたと思えただろう。彼女が動かないということは、私の直感が十中八九正しい方向へ向かっているということだ。
「あんたの家がアスガルドを買収したのって――」
私はゆっくりと口を開いた。
「もしかして最初から、ただ隠すためだけじゃなかったの?」
生徒会室が突然静まり返った。
窓の外のぼんやりとしたサークルの放送音すら、一層遠のいたかのように静かだった。
真紀は私を見つめた。
そして、彼女は笑った。
ジェファーソン・スターリングのような、選挙ポスターに三万枚印刷できるような完璧な政治家の笑顔ではない。
普段、対外的な場で距離を置くために使う儀礼的な微笑みでもない。
その笑みは穏やかだった。
柔らかさに近いほど。
まるで、私がようやく一歩追いついてきたことを本当に喜んでいるかのように。
だが私の背筋は一寸ずつ冷えていった。
なぜなら私は彼女をよく知りすぎているからだ。
九島真紀という人間が、このように人を安心させるような表情であなたを見つめる時、それは彼女の心の中の盤面が今日打ち始められたものではなく、あなたがまだ最初の一手をどうするか考えている間に、彼女がすでに中盤まで並べ終えていることを意味する。
私は息を飲んだ。
「今から『何も聞いてない』って言い直しても、まだ間に合う?」
「手遅れよ」
彼女は極めて平静に答えた。
「それに、あなたは半分知って黙っていられるような人間じゃないし」
「その評価、すごく傷つくわ」
「正確だからよ」
「……オーマイガー」
私はうつむいてチーム編成の資料を見つめ、紙面の文字が急に少し眩しく感じられた。
なるほど。
選抜ではない。
順位ではない。
首都圏代表チームというだけでもない。
本当の問題は――
この後、ふるい落とされて選ばれた人間たちが、実戦環境で彼らを支えきれる何かを必要とすることを、誰かがずっと前から想定していたということだ。
そしてその「何か」は今、公開できず、承認できず、部外者に存在を知られてはならない場所に横たわっている。
私はゆっくりと書類の端に手を置いた。
「……なんだか少し吐き気がしてきた」
「あそこにゴミ箱があるわ」
「精神的な話よ」
「それなら私には手助けできないわね」
真紀はそう言いながらも、手を伸ばして私が先ほどめくって乱した資料を再びきれいに重ね直した。指先が私の手の甲をかすめ、ごくごく短く止まった。
不注意のように軽く。
そして、私にしか分からないある種の合図のように。
――今はまだ慌てないで。
――どうせもう手遅れなんだから。
私は目を閉じた。
そう。
手遅れだからこそ、さらに腹が立つ。
「で、今は?」
私は訊いた。
「今からあんたが私に白状し始めるの?それとも私が直接、この部屋にある『重要じゃない公文書』に火を放って、連邦の教育制度に対する最後の抗議とするべき?」
「とりあえず放火はやめて」
彼女の語気は、ごく普通の行政リスクを処理しているかのように平穏だった。
「まずはチーム戦の要求事項を最後まで読んで」
「それから?」
「それから、なぜ私が本当に重要なのは選抜結果ではないと言ったのかが分かるわ」
彼女は一拍置いてから、後半の言葉をゆっくりと補足した。
「この選ばれた人間たちが、次に何をさせられるために送り込まれるのか、ということがね」
私は黙った。
なぜなら、彼女が正しいと分かっていたからだ。
私の向かいに座る九島真紀は、明らかにずっと前からこの点を見抜いており、私よりもずっと早くから計算を始めていたのだ。あの人を飲み込むことが運命づけられているチーム戦を、自分たち側が少なくとも先には死なない局面にどう変えるかを。
私は彼女を見つめ、心の底から寒気を感じた。
彼女はおそらく、アスガルドをただ救い出した残骸としてだけ扱ったことなど一度もなかったのだろう。
まだ正式にテーブルの上にめくられていない、一枚のカードとして。
「とても面白い」★四つか五つを押してね!
「普通かなぁ?」★三つを押してね!
「あまりかな?」★一つか二つを押してね!




