229.プロパガンダ・プロトタイプ 1
この物語はフィクションです。実在の人物・団体・事件・名称等は一切関係ありません。
連絡船のハッチが開いた時、私が最初に感じたのは「やっと着いた」ではなく、「うるさい」だった。
エンジン音ではない。警報でもない。砲火でもない。
人だ。
まだ完全に散りきっていない減圧ミスト越しに見える、宇宙港第七ドッキングエリアの白い照明は、フィルターを換えたばかりの手術灯のように、過剰なほど清潔に明るかった。ここは生きた人間と死んだ人間をより分けるための専用施設なのではないかと疑いたくなるほどの白さだ。ハッチの外にはグランドスタッフ、大学関係者、港湾警備隊がずらりと並び、さらにそれらよりも目障りなもの――過剰なまでに整然とした歓迎の列が待ち構えていた。
一方、私たちの方は、集団で借金でも抱え込んだかのように静まり返っていた。
三百人の二年生。月面都市のあの最悪な災害から命からがら逃げ帰ってきた私たちに、拍手も、スローガンも、奇跡の生還を果たす青春群像劇を演じようという気力もなかった。誰もが、高温で焼かれた後で常温に放り出された部品のようだった。外見はどうにか形を保っていても、中身のどこにヒビが入っているかは、自分自身が一番よく分かっている。
真紀は先頭を歩いていた。
彼女の制服は相変わらず乱れなく、肩のラインは真っ直ぐで、足取りも安定していた。この道程での死人、爆発、連絡途絶、封鎖、越境、嘘のすべてが、今日の彼女のToDoリストの中で一番面倒な項目に過ぎなかったかのように。だが、彼女の斜め後ろを歩く私には分かっていた。それは「何事もない」のではない。こんな場所で「何事かあった」顔を晒すことを、彼女自身が許していないだけだ。
分かる。
だから私も、顔を引き締めた。
ジェスに至っては、おそらく全場で唯一、「昨日四十分しか寝てないけど、それでも私は減らず口を叩ける」と顔に書いてある人間だった。彼女は歩きながら、制服の裾を下に引っ張り、低い声でぼやいた。
「連邦宇宙港の冷房って、死体を保存するために設定されてるわけ?」
「黙りなさい」
真紀は振り返りもしなかった。
「自分がまだ生きてるか確認しただけよ、艦長」
「次の一言を口にしたら、後で誰かに確認させに行くわよ」
「……了解」
私は吹き出しそうになり、どうにか堪えた。
笑いというものは、こういう場では咳よりも危険だ。一度緩めば、全身がそのまま崩れ落ちてしまう。
連絡ブリッジの金属の踏み板を踏みしめ、視線を前に上げると、まず学長の姿が目に入った。
正直、その光景は少しシュールだった。
学長は今日少なくとも二回はアイロンをかけただろうと一目で分かる正装のガウンをまとい、最前列に立っていた。その表情は、全校を代表して慰霊碑に献花でもするかのように厳粛だった。彼の後ろには教務、訓導、学科主任といった教職員の列が続き、さらに臨時で駆り出されたのが明らかな学生代表が数名並んでいる。彼らの顔に浮かぶ感情はどれも非常に努力の跡が見え、まるで同じ表情プリンターから出力されたかのようだった。
目を赤くしている者がいる。
唇を噛み締めている者がいる。
「言いたいことはたくさんあるけど、まずはちゃんと立っていなきゃ」と鼻筋に書いている者がいる。
そして、私にもよく見覚えのある表情の者がいる――重大な式典に出席している時、頭の中が真っ白になり、ただ「斜めに立たないように」と自分に言い聞かせることしかできない人間の顔だ。
学長は私たちを見ると、明らかに胸を上下させた。
その瞬間、私は彼に少しだけ同情した。
理論上は連絡が取れず、行方不明であり、戦死の宣告を受けていてもおかしくなかった三百人の学生が、こうして整然と、それでいてどこか不揃いな足取りで連絡船から降りてきたのだ。この光景を前にすれば、誰が迎えに来たとしても、頭の中が三秒ほど真っ白になるのは無理もない。
そして彼は、両腕を広げた。
……さっきの同情は撤回する。
「よくぞ、帰ってきた!」
彼の声がドッキングエリアに響き渡ると、ここが宇宙港ではなく大学の式典会場であり、私たちが次の瞬間に校歌の二番を斉唱させられるのではないかという危険な空気が漂った。
私は心の中で白目を剥いた。
学長、勘弁して。
彼の手の後ろから「おかえりなさい!連邦の誇り!」と書かれた垂れ幕でも降りてきたら、ここは受け入れ現場ではなく、入学説明会だと疑うところだ。
とはいえ、彼もやはり学長だ。大げさなのは確かだが、少なくともその目は本当に赤かった。あの赤さは照明で作れるものではない。連日の不眠、過剰なストレス、そして失われたと思っていたものをたった今自分の目で再び見た時に、無理やり押し出されたような狼狽。
その狼狽は、どんな演説よりも人間らしかった。
彼は早足で近づいてきた。そのまま抱きしめようとしたのかもしれないが、私たちの一団の顔色を見て、その衝動をより体面を保てる距離感へと強引に抑え込み、最前列の学生数人の肩を軽く叩くだけに留めた。
「よく頑張った……本当によく頑張った……」
その場で泣き出す女子がいた。
大きな声ではない。名前を呼ばれただけで、先に涙が落ちてしまったような泣き方だ。隣の人間もすぐにつられて目を赤くし、空気の真ん中に刃物で切れ目を入れられたように、それまで張り詰めていたものが一気に少し緩んだ。
私はそこに立ち、学長が一人ひとり肩を叩き、頷き、名前を呼ぶのを見ながら、少し複雑な気分だった。
感動したかと言われれば、当然した。
ツッコミを入れたいかと言われれば、本当にツッコミを入れたい。
なぜならこの光景は、すべてがようやく「学校」の秩序に戻ったかのように見えるからだ。
だが私は知っている。事態は決してそんなに単純ではないと。
案の定、次の瞬間には、その「単純さ」は踏みにじられた。
ドッキングエリアの外周を囲んでいたセキュリティラインが開き、本当の騒音が流れ込んできた。
フラッシュ。
呼びかけの声。
ライブ配信カメラの自己陶酔。
政治家の周りにどれだけいても多すぎることはない秘書、警備、パネルを持つ人間たち。
そして、立ち姿からして「出迎えに来た」のではなく「見られに来た」のだと分かる議員たち。
その人の波を見つめながら、私は危うく、自分が連邦に帰ってきたのではなく、どこかの選挙対策本部の当選祝いの夜に迷い込んだのではないかと錯覚しそうになった。
横断幕、のぼり、スローガンボード、連邦のエンブレム。団結を謳っているようでいて、実は党派を分けるのに便利なだけの様々な色のリボン。さらにはセキュリティネットの上空を数台のメディア用ドローンが旋回し、第七ドッキングエリアを国家的な歴史的瞬間か何かのように撮影している。
この連中は本当に大したものだ。
私たちの三百人の学生が連絡船から降りて、まだ足元も定まらないうちに、現場を次期大統領の出馬宣言の会場のようにセッティングしてしまったのだから。
ジェスは私の隣で二秒ほど沈黙し、それから小声で感嘆した。
「うわあ」
「何?」
「人間、厚顔無恥も極まると、宇宙港まで選挙の集会所に改造できるんだって、今日初めて知ったわ」
私は頷いた。
その評価は極めて正確だ。
昨夜、輸送艦の食堂で私のエネルギーケーキを半分盗み食いしたことを許してやってもいいくらい正確だ。
前方の警備と大学関係者は明らかに押し留めようとしていたが、防ぎきれなかった。能力の問題ではない、階層の問題だ。議員、政務官、各委員会の代表たちは、血の匂いを嗅ぎつけた腐肉食鳥のように、外見は誰よりも清潔で、足取りは誰よりも積極的で、口には労いと気遣いを浮かべながら、その目には別の四文字が書かれていた――
政治的資産。
私たちが、それだ。
全員がそう思っているわけではないだろうが、その場にいるかなりの割合の人間が、この三百人の学生の用途をすでに心の中で切り分けているはずだ。
誰をカメラの前に立たせるのが適しているか。
誰の泣き顔が最も同情を誘うか。
誰が一番英雄らしく見えるか。
誰が連邦の教育の優秀さを証明できるか。
誰が誰の保証人になれるか。
そして、誰にできるだけ喋らせないようにすべきか。
誓って言うが、もし今誰かが名簿と肌色補正用のカラーチャートを持って近づいてきても、私はそれほど驚かないだろう。
そして、その胸糞悪さの核心本人が現れた。
銀河連邦最高評議会議長、ジェファーソン・スターリング。群衆の中央に立つ彼のスーツのラインは、憎たらしいほど完璧だった。それはただのフォーマルウェアではない。精密に計算された「信頼できる統治者の装甲」だ。肩幅、袖口、ネクタイ、カフス、胸の評議会バッジ、そのすべてが、体面が良く、落ち着いていて、非の打ち所がないと思わせる位置に正確に収まっている。
彼は微笑んでいた。
いかにも作り物めいた笑みではない。
もっとタチが悪い。
非の打ち所がないほど完璧に訓練された、政治家の微笑みだ。
柔らかく、親しみやすく、落ち着いていて、ほんの少しの疲労感を漂わせている。目の奥には絶妙な悲哀と痛惜の色さえ残し、まるでここ数ヶ月、私たちと一緒に最前線で歯を食いしばって耐え抜いてきたのは実は彼だったかのような顔をしている。
私はその場で、新しい人生の悟りを開きそうになるほど吐き気を覚えた。
もしこいつが今、背後に逆光を背負って「子供たちよ、連邦はずっと君たちの帰りを待っていた」とでも言おうものなら、私は睡眠不足のせいで高度な幻覚を見ているのではないかと本気で疑うだろう。
「諸君」
彼が口を開いた時、その声はプロによって調律されたパイプオルガンのように、低く、厚く、絶妙な感染力を帯びていた。彼を一番嫌っている人間でさえ、「こいつは生まれつきカメラの前に立つためにいる」と認めざるを得ないような声だ。
「今日、銀河連邦は単なる帰還を出迎えているのではない」
私のまぶたがピクッと動いた。
来た。
生きた人間を修辞の素材として語る、あの口調が。
「我々が迎え入れたのは、混乱と恐怖の中でも互いを信じ抜き、尊厳を守り、絶望を乗り越え、ついに故郷へと帰還した三百人の若者たちだ」
ほう。
四連コンボ。
私は心の中で冷静に彼を採点した。
互いを信じ抜く、あり。
尊厳を守る、あり。
絶望を乗り越える、あり。
故郷へ帰還、あり。
次のフレーズはたぶん、連邦の精神、若者の模範、制度の栄光の三択から二つだろう。
案の定だった。
「君たちの存在そのものが、連邦の若い世代の勇気と、危機の前には決して屈しない我々の共同体の意志を証明している」
……よし、連邦の精神、来た。
私はふと、なぜ政治のライブ配信を見ると胃が痛くなる人がいるのか理解できた。
間違っているからではない。
正しすぎるからだ。一文字一文字を切り取って額縁に入れて壁に飾れるほど正しいのに、それらが組み合わさると、美しい包装紙では隠しきれない加工品の匂いがするからだ。
真紀が立ち止まった。
彼女は私を見なかったが、彼女の全身の筋肉が極めて薄いコントロール下にあるのが分かった。緊張ではない、準備だ。誰かが刀を鞘に収めたまま、自分が撮影に協力するためにここに来たわけではないことを周囲に知らせるために、一ミリだけ刃を見せているような。
ジェファーソンは最前列から歩み寄り、これ以上ないほど親しみやすい国家の顔として、自ら学生の群れに近づいてきた。
警備がすぐに道を開ける。
カメラがすぐにズームインする。
周囲の議員や記者たちも気合いを入れ直し、今日一番金になる映像をようやく待っていたかのような表情になる。
彼のターゲットが分かった。
生徒会だ。
当然だ。
常に最もクリーンで、最も見栄えのする切り口だから。
生存者の集団は乱れすぎている。負傷者が多すぎる。泣いている者が多すぎる。真っ直ぐ立てない者も多すぎる。しかし生徒会は違う――私たちは、秩序とリーダーシップを象徴するサンプルとして使えるからだ。
彼が最初に手を差し出したのは、真紀だった。
「九島さん」
呼び方まで見事に選んでいる。
軍の階級でも、役職でもなく、「さん」。一瞬で距離を縮め、長老のように、国家のように、制度のように、最も適切な角度からあのCMに使えるほど完璧な手を差し出した。
「ご苦労だった。連邦は、君と諸君の努力を忘れない」
もし私が今彼の革靴に吐き戻したら、それは新しい政治的表現として認められるだろうか?
真紀は目を上げた。
彼女も笑った。
だがそれは、ジェファーソンのような、メディアが自動的にソフトフォーカスをかけてくれるような笑みではない。彼女の笑みは淡く、むしろ儀礼的な拒絶のパッケージに近かった。
「議長のお気遣いに感謝いたします」
彼女はすぐには手を伸ばさなかった。
半拍だけ遅れた。
その半拍が、相手のスーツの袖口に見えない切り込みを入れたように鮮やかだった。
ジェファーソンの顔の笑みは微塵も揺らがず、その老練さは腹立たしいほどだった。
「諸君の無事は、連邦にとって今日最も喜ばしい知らせだ」
「学生は現在、医療検査と安置を最優先としております」
真紀の声は平穏だった。
「今後の正式な手続きにつきましては、規定に従い対応させていただきます」
人間の言葉に翻訳するとこうだ。
触るな。
撮るな。
今はやめろ。
私は危うく拍手しそうになった。
残念ながら、ジェファーソンは明らかに一言で引き下がるような人間ではない。彼は、眉尻まで支持率でできているようなあの笑顔を保ったまま、視線を私に移した。
しまった。
私はすぐに顔の表情を「被災地から帰ってきたばかりで心身ともに疲労困憊しており、政治家との接触には適さない」方向へ調整した。だがおそらく半秒遅かった。彼の目が光ったのをはっきりと見たからだ。
彼はたぶん、私に物語性を感じたのだろう。
素晴らしい。
私も彼に殴られがいを感じている。
「こちらが星野さんだね」
彼は私に手を差し出した。
その手を見つめながら、私の頭の中に極めて短い映像がよぎった――拳が下顎から入り込み、角度はクリーンで、力は完全に伝わり、明日の連邦のすべてのメディアのトップニュースが今日より少しだけ正直になることを保証する映像。
私の指が動こうとしたその直前の瞬間、真紀の手の甲が私の腕に軽く触れた。
一度だけ。
力はとても弱い。
注意を促すように。
警告するように。
私はすぐに理解した。
それは「余計なことをするな」だけではない。
「今は自分から利用されに行く時じゃない」ということだ。
そこで私は、上げようとしていた手を強引に、袖口を直すような動作に変えた。
「申し訳ありません」
私は、この人生で最も誠意に欠ける平板な語気で言った。
「医療モニタリングから出てきたばかりで、長時間の起立や密集した接触には適さない状態ですので」
真紀は顔を向けることすらなく、そのまま話を引き取った。
「星野の状態はまだ安定していません」
「理解できる、理解できるとも」
ジェファーソンが頷く姿は、若者に対して無限の寛容と愛情を抱く国家の長老そのものだった。
吐き気がする。
私たちがはぐらかしていることなど、彼は百も承知だ。
彼が知っていることを私たちも知っている。
それでも全員が、この「私は君たちを気遣っているし、君たちも私の気遣いに協力している」という茶番を最後まで演じ切らなければならないのだ。
さらに胸糞悪いことに、メディアはまだ撮っている。
フラッシュが何度も光る。
カメラは肉の匂いを嗅ぎつけた機械虫の群れのようだ。
ジェファーソンは真紀に強硬にぶつかることはせず、かえって歯痒いほど鮮やかな角度で方向転換し、ロイとランと握手をした。ロイは明らかに硬直したが、ランは目を上げた瞬間に、あの普段対外的に使っている事務的な笑顔を完璧に貼り付けた。彼女と真紀は実はよく似ていると、私は初めて思った。ただ一人は通信を処理するために使い、もう一人は世界全体を処理するために使っているだけの違いだ。
一番悲惨だったのはジェスだ。
なぜなら彼女は、あと五秒もすれば言ってはいけないことを言い出しそうな顔をしているくせに、よりにもよってメディアが最も好む「災害後の気丈な生存者」のビジュアルを持ちすぎているからだ。
ジェファーソンが近づいた瞬間、彼女の顔全体が「今すぐ死んだふりできないかな」という葛藤のゾーンに入った。
「こちらの学生は――」
「彼女は先ほど吐きました」
真紀は顔色ひとつ変えずに言った。
全場が半秒間静まり返った。
ジェスは猛然と彼女を振り返り、その目には「艦長、そのナイフ、早すぎない?」と言わんばかりの衝撃が満ちていた。
私は危うくその場で吹き出すところだった。
ジェファーソンの笑みは、ついに極めて微細な一瞬の停止を見せた。ほんの一瞬で、記者には撮れなかったかもしれないが、私は見たし、真紀も絶対に見ている。
「……なるほど」
「現場の衛生と他の学生の状況を考慮し、距離を保つことをお勧めします」
真紀は鮮やかに補足した。
この瞬間、私は心底思った。彼女は人をブロックしているのではない。
合法的に屠殺しているのだと。
ジェスは笑いをこらえ、非常にプロフェッショナルに協力し、さらには手を上げて口元を覆った。
「わ、私、後でたぶん……」
「無理しなくていいわ」
真紀の語気は、港湾の安全放送を読み上げるように平坦だった。
私はうつむき、肩を震わせた。
泣いているのではない。声を出して笑いそうになったのだ。
ジェファーソンのあの非の打ち所のない体面という外殻が、初めて目に見えて一コマ引っかかった。だが彼はやはりジェファーソン・スターリングだ。泥の中に足を踏み入れても、靴底を国旗の後ろに隠せるような人間だ。
彼はすぐにリズムを取り戻し、半歩下がってマイクを受け取った。
「どうやら、この子供たちには十分な休息が必要なようだ。連邦は、彼らにこの苦難がもたらす後遺症を一人で背負わせたりはしない。私はここで諸君に約束する。最高評議会は学校側、軍、各部門と連携し、最も完璧な安置、医療、そして支援を提供する――」
まただ。
全員を、制度によってしっかり支えられるべき脆弱な資産として語る。
権力が介入する動作を、保護という言葉で包む。
接収を、保護と呼ぶ。
もし真紀のさっきのあの合図がなかったら、私は本当に飛び出して、連邦政治史にさらに教育的な実例を一つ追加していたかもしれない。
私はこっそり彼女の方を一瞥した。
真紀は相変わらず背筋を伸ばして立ち、その横顔は無機質に近いほど冷静だった。だが私はよく知っている。眉尻の収まり方が普段より少しだけ真っ直ぐになっているだけで、彼女が不機嫌だと分かるほどに。
彼女は私を見ず、ただ体の横で指を微かに動かした。
我慢しなさい、と言うように。
私は心の中で舌打ちをした。
分かった。
我慢する。
ジェファーソンを殴るより、今はこいつらに、知るべきでないことを一欠片でも私たちの口から掘り出させないことの方が重要だからだ。
ジェファーソンの少し後ろに立っていた蓮見圭介中将は、最初から最後まで多くを語らなかった。
その顔には、非常に標準的で、安定した、社交的な笑みが貼り付いている。鞘に収まった、磨き上げられた薄刃のナイフのようだ。彼は議員たちのように必死に前に出ようともせず、記者のようにレンズを私たちの目に押し付けようともしなかった。ただ立ち、見て、時折隣の人間とごく軽い言葉を二言三言交わすだけ。
こういう人間の方が、前のタイプより実は厄介だ。
ジェファーソンは表立って胸糞悪い。
だが蓮見のタイプは、本能的にこう感じさせる――
彼は一言も余計な質問をしていないが、今日の全員の立ち位置、語気、沈黙、そして不自然さを、すでにすべて回収しているかもしれない、と。
幸いなことに。
回収したところで、それは回収しただけだ。
彼らにできるのは、せいぜい「どこかがおかしい」と感じることだけ。
その「おかしい」が一体どれほど巨大なものなのかは、知りようがない。
そう考えると、胸の奥の火がかえって少し沈んだ。
そうだ。
知らない。
折り目の切れそうなスーツを着たお前たちが今ここでできるのは、結局のところ、三百人の生還した学生にスローガンを貼り付けることだけだ。お前たちはまだ、私たちが一体どこから帰ってきたのかも知らないし、お前たちのような人間の手に絶対に落ちてはならないものが存在することも知らない。
そう考えると、奇妙なことに少し気分が良くなった。
少なくとも私たちには、お前たちに触れられていないものがまだある。
ジェファーソンのあの演説がようやく終わった時、私は別の戦闘から生きて這い出してきたような疲労感すら覚えた。
だが、現場の空気を本当に完全に切り裂いたのは、学校側でも、軍でも、メディアの解散でもなかった。
セキュリティラインが二度目に開いた後、後方から入ってきたその一団だった。
家族だ。
横断幕はない。
スローガンもない。
マイクもない。
どう立つべきか、どう笑うべきか、写真撮影に適した位置にどう感情を置くべきか、事前に誰かに教えられた者もいない。
あるのはただ、混乱だけだ。
走るのが早すぎて、スタッフに制止される者がいる。
まだ子供がどこにいるのかはっきり見えていないのに、先に涙が落ちる者がいる。
大人なのに、あの警戒線を越える時に子供のようなパニックを見せる者がいる。
名前を叫びながら、肺全体が震えているかのように喘ぐ者がいる。
その混乱は、さっきまでの整然とした体裁のすべてよりもリアルだった。
一人の男子生徒が、最初は強がって真っ直ぐ立っていたのに、母親に抱きしめられた瞬間、膝の力が抜け、骨を抜かれたように崩れ落ちた。隣の別の女子生徒は、父親に背中を叩かれ、二回叩かれただけで立っていられないほど泣き崩れた。普段学校では絶対に弱みを見せないような連中も、この時ばかりは「帰ってきたんだな」という一言を聞いただけで、涙が制御不能になっていた。
私は人混みの中に立ち、ふと、視線をどこに置けばいいのか分からなくなった。
こういう場面は危険だ。
敵がいるからではない。
ゴールに似すぎているからだ。
だが私は知っている。ここはゴールではない。
私はすぐには見慣れた家族の姿を見つけられなかった。現場が混乱しすぎているからかもしれないし、九島家側が私たち核心メンバーに対して別の手配をしているからかもしれない。あるいは単に運命の性格が悪くて、こういう瞬間を後回しにしているだけかもしれない。
それでも、あの抱擁、泣き声、支離滅裂な問いかけを見ているだけで、胸の奥を何かで鈍く叩かれたような気がした。
隣のジェスが、意外にも静かになった。
彼女は遠くのその混乱を見つめ、珍しく減らず口を叩かず、小声で一言だけ言った。
「……これでいいのよ」
私は答えなかった。
その言葉があまりにもストレートすぎたからだ。
ナイフのように真っ直ぐで、刺さってしまえば言い訳すら無駄になる。
真紀は少し離れた前方に立ち、体を横に向けて通路を開け、さっきジェファーソンやメディアに向けていた金属のように冷たい防衛線の半分を、静かに解除していた。
彼女はまだ気を抜いてはいない。
だが、場所を譲ったのだ。
私たちの前に立つ本当の資格を持つ人たちのために。
その瞬間、私はふと彼女に触れたくなった。
別に甘えたいわけではない。
ただ確認したかったのだ。そこに立って、この場面全体を何層にもわたって支えている九島真紀が、まだ私の知っている真紀であり、連邦に一時的に貸し出された完璧なサンプルではないことを。
結局、私は手を伸ばさなかった。
ここは人が多すぎる。
カメラが多すぎる。
胸糞悪い連中もまだ完全に消えていない。
だから私はただ、彼女が振り返った時に視線を合わせただけだ。
彼女は一秒、私を見た。
その一秒は短く、誰も気に留めないほど短かった。
だが私は理解した。
まだ終わっていない。
まずは持ちこたえろ。
私は心の中でため息をついた。
分かった。
持ちこたえる。
どうせ月面都市からここまで生き延びてきて、私たちが一番不足していないのはたぶんこれだ。
宇宙港の白い光が全員の頭上に降り注ぎ、さっきまでの偽善、パフォーマンス、フラッシュ、官僚のレトリックを薄い灰のように洗い流した。灰はまだあるし、胸糞悪さもまだある。だが家族が本当に飛び込んできて、あのスーツや原稿や集会用の笑顔をすべて脇に押しやった時、私は初めてはっきりと感じた――
私たちは帰ってきたのだと。
安全に戻ったわけではない。
日常に戻ったわけでもない。
安心して眠れる世界に戻ったわけでも決してない。
ただ、カメラも、手続きも、連邦の体面も気にせず、直接駆け寄って抱きしめてくれる人がまだいる場所に帰ってきただけだ。
そして今の私たちにとって、それだけでもう十分に贅沢なことだった。
「とても面白い」★四つか五つを押してね!
「普通かなぁ?」★三つを押してね!
「あまりかな?」★一つか二つを押してね!




