229.状況の変化 2
この物語はフィクションです。実在の人物・団体・事件・名称等は一切関係ありません。
彼女は誰かとやり方を議論しているのではない。この工場、この艦、そして事故モードからまだ完全に切り替わっていない艦上の全員を、彼女が決定した秩序の中に強引に引きずり込んでいるのだ。
率直に言おう。
真紀は今、客のようではない。
もともと自分が引き継ぐべきだったチェス盤に戻ってきたかのようだ。
その時、艦橋の斜め前方の専用誘導チャンネルが点灯した。
ランが手元で権限識別を一度確認してから、音声をメイン通信レイヤーに流した。
「九島重工第一深層メンテナンスドック、誘導主任・柳生。アスガルド艦長に報告します」
映像は開かれず、音声だけだった。中年の男性。節度があり、無駄がなく、余計な感情がない。長年、高度な機密施設で働いている人間だと一聴して分かる。言葉の間の取り方すら、内部規定の承認を経ているかのようだった。
「アスガルドは受け入れエリアに進入完了」彼は言った。「すべての第一級メンテナンスラインと封鎖プロセスは待機状態です。ご指示を」
「お伺いします」ではない。
「必要ですか」でもない。
ご指示を、だ。
それでいい。
私は心の中で音もなく息を吐き出した。
真紀は前方を見据え、語気は平穏だった。
「まずは完全封鎖を維持。すべての出入権限を一時的に艦長および副艦長レベルまで凍結。九島家内部のエンジニアチームは指定区画への接触のみ許可する。接触前に人員名簿、権限範囲、操作モジュールをすべて提出しなさい」
「了解」
「学生エリアとコアエリアは厳格に分離すること。私の許可なく、艦橋のメインシステム、戦術データベース、艦載機データレイヤー、および私たちが整理していない内部ログには一切触れさせない」
「はっ」
「それと」彼女は一拍置いた。「一つ聞くわ。現在、連邦内部の情勢はどうなっているの?」
この一言が落ちると、ジェスでさえ静かになった。
誰もが分かっているからだ。これこそが、この章で本当に踏み込むべき核心だと。
これまでのメンテナンスアーム、武庫、艦載機エリア、エネルギースロット、それらはすべてただのスケールと舞台装置に過ぎない。私たちが次にどう動くかを本当に決定するのは、外の世界が、私たちが航海している間に一体どうなってしまったのかということだ。
柳生の回答は短かった。
「混乱しています」
真紀は言葉を継がなかった。
意外そうな素振りも見せず、急かすこともしない。ただ相手が話を続けるための空間を与えた。そして通信の向こうの人間も明らかに理解していた。この質問が形容詞一つで済まされるものではないことを。
「連邦士官学校の二年生全体が消失し、月面都市が同時刻に戦闘状態に陥って以来、首都圏と連邦軍部は常に高圧的なアンバランス状態にあります。士官学校、教育総局、月面自治機構、軍、そして各メディアがすべて動員を余儀なくされています。問題は――」
彼は少し間を置いた。
「誰も、先に喪を報せる勇気がないことです」
戦術コンソールの縁を握る私の手が、微かに力を込めた。
柳生は続ける。
「雪風号の前例があります。あの時、早すぎる公式見解を出し、先に死亡を報じてから生還を報じたことで、連邦全体が世論と家族の集団によって一度引き裂かれました。それ以来、軍も教育システムも、こうした大規模な学生の連絡途絶事件に対しては、確認が取れる前に最悪の結果を直接発表することを恐れているのです」
ロイが低い声で舌打ちをした。
「葬式の段取りを一度間違えて世論に足をへし折られて以来、棺桶を先に担ぎ出すことすら怖がっているってわけか。いかにも連邦らしい」
「その要約の政治的正確さには敬意を払ってちょうだい」ジェスが同じくらい低い声で返した。
私は彼らを無視した。
私の注意はすべて「二年生全体が消失」という言葉に向いていたからだ。
結局のところ、私たちこの集団はこの間ずっとアスガルドに乗っていて、やらなければならないことが多すぎたし、危機も密集しすぎていて、本来ならゆっくりと浸透してくるはずの現実感が後ろに押しやられていたのだ。だが今、他人の口を通してもう一度聞かされると、突然非常に具体的なものに変わる――
私たちは数時間連絡が取れなかったわけでも、あるクラスが短時間行方不明になったわけでもない。
私たちはまるまる一学年、三百人が、月面都市の戦闘と共に、連邦の正常な秩序から丸ごと消失したのだ。
そんな事態になれば、どんな政体であれ、表面上の冷静さの下で毎晩毎晩不眠症に陥るには十分すぎる。
「現在、外部の主流な見方はいくつかあります」柳生は言った。「メディアは大規模な誘拐と推測し、帝国の介入を疑う者もいれば、月面の戦闘と士官学校の連絡途絶は同一のテロリスト集団によるものだと断定する者もいます。軍部の対外的な発表は混乱を極め、教育システムは家族を慰撫する一方で、不正確な情報の封鎖を要求しています。首都圏で今最も不足していないのは、『ストーリーのバージョン』です」
真紀がごく軽く鼻を鳴らした。
その音は淡かったが、彼女が連邦のあの古き悪しき体質をどれほど熟知しているかが私には十分聞き取れた。
パニックになった時は、常にまず混乱する。
最後まで混乱しきった後で、砕け散った世論と行政システムの中から、どうにか体裁の整ったバージョンを一つ繋ぎ合わせ、それを秩序として外に持ち出すのだ。
「なら、彼らにバージョンを一つ与えてあげなさい」彼女は言った。
相談するような語気ではない。
探りを入れるような響きもない。
その言葉が口から出た瞬間、私は艦橋全体がそれに合わせてさらに安定したようにすら感じた。
それが彼女のやり方だからだ。
外が完全に混乱しているなら、彼女が使える答えを一つ押し込み、連邦全体にそれを貼り付けさせる。
柳生はすぐには応答せず、彼女が命令を出し終えるのを待っているようだった。
真紀は視線をメインスクリーンに移し、すでに頭の中に存在している条文を読み上げるように平坦な声を出した。
「公式見解を統一する。月面都市は正体不明のテロリストによる襲撃を受けた。連邦士官学校二年生の学生は、生徒会の指揮下で戦闘区域を離脱し、混乱の中で九島家の輸送艦に搭乗、帝国領境界の航路を通過し、連邦へ帰還した」
私はわずかに呆然とした。
簡潔で、クリーンで、恐ろしいほど穴が少ない。
アスガルドを表舞台に引きずり出すこともなく、ヘートヴィヒや帝国内部の実際の介入部分を暴露することもない。さらに重要なのは、連邦が最も好む物語の余白を十分に遺していることだ――生徒会、危機における臨機応変な対応、民間の義勇、そして無事の帰還。
これが送られれば、連邦は間違いなく飛びつく。
なぜならそれは災害報告書には見えないからだ。
どちらかというと、プロパガンダの素材に見える。
「さらに」真紀は続ける。「学生名簿、基本的な生存状況、および最低限の医療ニーズは報告して構わない。アスガルドについては言及不可。九島家の秘密メンテナンスドックについても言及不可。帝国中枢との接触も言及不可。この一線を越える内容は、すべてカットしなさい」
「了解しました」柳生が言った。
私は真紀を一瞥した。
彼女は私を見返さなかったが、私が何を考えているか分かっているかのように、直接一言付け加えた。
「葬式を祝い事として処理したがる連邦の性格よ。トップニュースに印刷できるバージョンを与えてやらないと、かえって自分たちでもっと馬鹿げた話をでっち上げるわ」
ジェスがたまらず笑い声を漏らした。
「その言葉、残酷すぎて全く反論できないわね」
「事実だからよ」ランが言った。
私も反論しなかった。
彼女の推測が十中八九正しいと分かっているからだ。
二年生全体が無事に連邦の支配地域に戻りさえすれば。三百人の学生の大部分がまだ生きていさえすれば。前線の災害が「生徒会が危機に際して部隊を率い、脱出に成功した」という話に書き換えられさえすれば。徹夜続きでパニックと責任に押し潰されそうになっている上層部は、本当に冷や汗を拭いながら、この事件を「連邦の若者が危機の中で示した強靭さと団結」という一種のテンプレートニュースにパッケージングする可能性が極めて高い。
考えるだけで胃が痛くなる。
そして、いかにも連邦らしい。
「輸送の手配は?」真紀が訊いた。
「完了しています」柳生が答えた。「学生はグループに分けて九島家の輸送艦に移乗させます。このメンテナンスドックから離陸し、内部の安全航路を通って連邦首都圏の外環に入ります。一日もかかりません」
「結構」
ただその一言だった。
ありがとう、はない。社交辞令もない。「ご苦労様」もない。
なぜならここは社交の場ではないからだ。
ここは、引き継ぎの場だ。
真紀は自分の家の工場の人間と友好的な協力関係を築きに来たのではない。局面を操作可能な状態に引き上げ、全員がどう動くかを決定しに来たのだ。
「学生の移乗は学年の編成と身体状況を優先する」彼女は言った。「医療観察対象者、軽傷者、重度の疲労者を先に行かせる。残りの者はリストに従って乗艦。アスガルドには最小限のコア封印チームを残す。名簿は後で渡すわ」
「了解」
「それと」彼女は最後に付け加えた。「私たちがここを離れる前に、連邦側が受け入れ可能なバージョンの完全なデータパッケージ、公開用名簿のテンプレート、そして首都圏着陸直後の最初の対応マニュアルを用意しなさい」
「はっ」
通信が切れた。
艦橋には一時、誰も言葉を発する者はいなかった。
外の工場の光帯はまださらに奥へと伸びており、アスガルドもまだゆっくりと指定の停泊位置に向かって滑っている。だが、進入よりもはるかに明確な何かが、たった今の数回のやり取りで決定づけられていた。
連邦側は沸騰したスープの鍋のように混乱している。
そして私たちは、その鍋に飲ませるためのレシピをすでに書き始めている。
立派とは言えない。
だが非常に効果的だ。
それに、連邦自身に想像力で勝手に料理させるよりは、この方が確実に安全だ。
真紀が立ち上がった。
「全艦、受け入れプロセスに移行。副艦長は私についてきなさい。残りの者は権限に従って進入作業を実行」
彼女が動くと、艦橋全体が同時にネジを巻き直されたようになった。
誰も余計な質問はしない。
誰もぐずぐずしない。
ロイはメインコントロールを段階的に内部誘導システムに渡しつつ、アスガルド本艦の修正権を保持した。ランは対外と対内の二つの通信優先シーケンスの整理を始めた。アカリは内部構造スキャンページを切り替え、マークされたエリアを次々とタスクレイヤーに送り込む。二階堂は振り返って歩き出した。十中八九、三百人の学生を「漂流からの生還者」状態から「乗艦の列に並びなさい」という方向へ、規律で強引に押し進めるつもりだろう。
そして私は、真紀に続く前に、最後にメインシートを振り返った。
ヘートヴィヒはすでにそこから立ち上がっていた。
彼女は冷たい白い光の中に立ち、帝国と連邦の境界にあるこの巨大なグレーゾーンに、元々自分の席があるのが当然であるかのように見えた。ミルクブロンドの長い髪が肩から背中へと滑り落ち、その表情は傍観者に近いほど穏やかだった。だが彼女が傍観者ではないことを私は知っている。彼女はただ、大半の人間よりも高い位置に立ち、局面が自分の見たい方向へ傾いていくのを眺めることに慣れているだけだ。
彼女は真紀に向かって手を差し出した。
その手には、薄い認証カードが一枚。
透明なベースに、縁には極細の銀青色の導線が埋め込まれ、ある種の権限そのものを指の間に握れる形にしたかのようだった。
「これは私の複製認証よ」彼女は言った。
真紀は足を止め、彼女を見たが、すぐには受け取らなかった。
ヘートヴィヒも急かさず、ただそのカードを二人の間に保ったままにした。
「メインシート権限のミラーカード」彼女は続ける。「私がここを離れた後も、あなたがアスガルドの封印、メンテナンス、そして基礎保護レイヤーのすべての必要なデータを引き続き呼び出せるようにするのに十分なものよ」
彼女の声は高くない。
だがその言葉の中に本当に沈んでいるものは、「認証カード」という三文字よりもはるかに重かった。
なぜならそれは単なる通行証ではないからだ。
それはどちらかというと、彼女が本来自分の手にだけ握っていた鍵の一部を複製し、真紀に渡しているようなものだった。
ヘートヴィヒは彼女を見つめ、口角をごく軽く曲げた。
「アスガルドを、よろしくお願いしますね」
その言葉が落ちた瞬間、私はひどく奇妙な感覚に襲われた。
彼女は一隻の艦を引き渡しているのではない。
彼女が一時的に私たちと歩んだ、どちらか一方の手に長く留まるべきではないあるものを、それを受け継ぐのによりふさわしい人間の手に、静かに戻しているかのように。
真紀はついに手を伸ばし、そのカードを受け取った。
彼女は礼を言わなかった。
気の利いた言葉も言わなかった。
ただヘートヴィヒを一瞥し、そして極めて平静に口を開いた。
「分かってる」
その三文字だけ。
だが私には、真紀にとって、これはおそらく最も正式な約束に等しいのだと思えた。
その後の出来事は、誰かが予定表全体を前倒しにしたかのように早かった。
アスガルドの固定が完了。封鎖線が張られ始める。学生エリアの放送が階層別通知モードに切り替わる。九島家の輸送艦がメンテナンスドックの側面から接続され、三百人の学生を連邦の版図に送り返すためだけの銀灰色の弾頭のように、移乗通路に静かに停泊した。
私たちには、その場に立ち止まって感傷に浸る時間はあまりなかった。
局面というものは、決して人にそんな待遇を与えてはくれないからだ。
私は真紀に続いて艦を降り、輸送艦に乗り込んだ時、靴底が金属甲板に触れる感触すら変わったのを感じた。アスガルドの甲板は重く、厚く、硬く、呼吸する生き物の背中を踏んでいるようだった。九島家の輸送艦は過剰なほど清潔で、通路の照明すら、本当に狼狽した人間を一度も迎えたことがないかのように明るかった。
三百人の学生がグループに分けられ、キャビンへと誘導されていく。
長時間の高圧と突発的な事件からまだ完全に立ち直れず、顔を青くしている者がいる。強がっていた最後の骨を抜かれたように、ようやく安堵している者がいる。標準化された輸送キャビンと整然とした分流の動線を見て、初めて「ああ、本当に帰るんだ」という茫然とした表情を浮かべる者もいる。
私は側面の廊下に立ち、ゆっくりと前に進む人の流れを見ていた。
しかし心は想像していたほど軽くない。
あるいは、軽くなれないと言うべきか。
何かが、まだ後ろに残っているのだ。
「副艦長」
振り返る。
九島家のデータ管理員だった。若く、清潔で、仕様書からそのまま歩き出してきたように制服が整っている。彼女は両手で一枚のデータカードを私に差し出した。その姿勢は教範に印刷できそうなほど標準的だった。
「こちらが、アスガルドの現在の封印前の基礎データコピーです。メインシステム概要、メンテナンス優先リスト、艦載機エリアの初期スキャン、武装封鎖状態、および一時的な権限マッピングが含まれています。艦長の指示により、まずは副艦長に保管していただくことになっております」
私はそのカードを受け取った。
想像していたよりも軽い。
薄い一枚だが、縁には過剰なほど冷たく硬い質感があった。通路の上から斜めに光が差し込み、カードの奥深くで極細のデータストリームの紋様が一瞬光り過ぎた。まるでアスガルド全体が見えない数字に解体され、圧縮され、封印され、最後に私の手のひらにあるこの小さな薄い破片に沈み込んだかのようだった。
データ管理員は敬礼し、退がった。
私はうつむいてそのカードを見つめ、しばらく動けなかった。
なぜだか分からないが、ふと、手を強く握りしめたくなくなった。
強く握りすぎると、アスガルドが本当に私の手の中でこれほど小さく縮んでしまい、あの日の光を見ない小惑星の腹腔の中に一時的に取り残され、メンテナンスアームと封鎖線と九島家のシステムによって厳重に保管されてしまうような気がして。
そして私たちこの集団は再梱包され、連邦首都圏へ送り返される。私たちの生還、脱出、帰還を、ニュースで報じられ、宣伝され、短いフレーズに切り取られるような何かに仕立て上げるあの場所へ。
嫌な言い方をすれば。
私たちは、一時的に一頭のドラゴンを所有することを許されたようなものだ。
今、ドラゴンは洞窟に入った。
そして私の手には、ドラゴンの鱗の分布図が書かれたカードが一枚残されただけだ。
「何を考えてるの?」
真紀の声が横から聞こえた。
顔を上げると、彼女は輸送艦の通路の反対側に立っていた。まださっき艦橋にいた時の制服を着ており、清潔で、背筋が伸び、混乱の中から強引に切り出された一本の線のようだった。
私はうつむき、手元のデータカードを見た。
「考えてたの」私はゆっくりと言った。「私たちは、あまりにも多くのものを後ろに置いてきすぎたんじゃないかって」
真紀はそのカードを一瞥した。
彼女はすぐには答えなかった。
ただ少し近づき、私のそばで立ち止まり、通路の突き当たりでまだ動いている人の流れを私と一緒に見つめた。
「後ろに置いてきたんじゃないわ」彼女は言った。「生き残れる場所に、先に置いただけよ」
私は首を傾げて彼女を見た。
語気はとても平坦で、さっき艦橋にいた時よりもさらに平坦だった。
だがだからこそ、その一言には余計な装飾を必要としない重みがあった。
生き残れる場所に、先に置いた。
とても真紀らしい。
感慨にふけるよりも、感慨のために前に進めるバージョンを見つけることの方が、彼女は得意なのだ。
私は低く息を吐き出し、そのデータカードを裏返し、制服の内ポケットにしまった。
冷たいカードの表面が布越しに胸に触れる。圧縮された未来の小さな欠片のように。
輸送艦が微かに震えた。
推進器が起動したのだ。
舷窓から外を見ると、遠くでアスガルドを飲み込んだあの小惑星が、外層の偽装を段階的に収束させているところだった。巨大な偽装パネルが再び閉じ合わさり、光帯が層ごとに消えていく。神話の生物を飲み込んだばかりの宇宙の怪物が、何事もなかったかのように再び砕石帯と暗闇の中に身を埋めていくかのようだ。
もう少しすれば、外から見れば、あそこはまたただの退屈で、沈黙した、目立たない廃棄採掘小惑星にしか見えなくなるだろう。
アスガルドがその中にいるとは、誰も知らない。
三百人の二年生が、あの艦で、現実には書かれるべきではないほどめちゃくちゃで、常軌を逸した航海を共に生き抜いたことなど、誰も知らない。
そして今、私たちは帰るのだ。
連邦へ。
首都圏へ。
災害を美談に包装し、生存者を秩序に刈り込み、混乱を再びニュースの見出しと行政プロセスに釘付けにするあの場所へ。
私は舷窓に映る自分の影を見た。
影の中の私は、まだ少し顔色が青白く、目の下には寝不足の薄い影があり、頭痛もまだ完全に抜けきっていない。どう見ても、同級生を率いて戦闘区域を抜け、帝国の境界航路を横断し、連邦に無事帰還した英雄のようには見えない。
嵐の中からすくい上げられたばかりで、自分が実は嵐が得意なのだと偽る方法をまだ学んでいない人間のようだ。
「シモ」
真紀が他人がいる場で私を直接こう呼ぶことは滅多にない。
だから私は一瞬呆気にとられ、それから振り返った。
彼女は前を向いており、私を見てはいなかった。
「帰ってからが、本当の面倒の始まりよ」
私はたまらず少し笑った。
「その言葉、慰めのつもり? それとも予告?」
「事実の陳述」彼女は言った。
それはとても合理的で。
とても腹立たしくて。
でもなぜか、それを聞いて私はかえって少し安心した。
なぜなら、彼女がまだこういう口調で話せるということは、彼女の頭の中がすでに次の一歩に進んでいるという証拠だからだ。真紀が次の一歩に進み始めた時、私がすべきことは通常一つしかない。
ついていくこと。
輸送艦が再び加速した。
首都圏の方向は、前にある。
私は制服の内ポケットを押さえ、布越しにアスガルドのデータが入ったカードにそっと触れた。そして突然、非常に明確に悟った。さっきの一瞬の躊躇は、帰りたくないからなどでは全くなかったのだと。
私は躊躇していたのだ。
私たちが本当に連邦に帰り、あのクリーンで美しいバージョンを提出した後――
アスガルドは、再び完全な形で私たちの手に戻ってくるのだろうか、と。
「とても面白い」★四つか五つを押してね!
「普通かなぁ?」★三つを押してね!
「あまりかな?」★一つか二つを押してね!




