227.バーの秘密会議 2
この物語はフィクションです。実在の人物・団体・事件・名称等は一切関係ありません。
宇宙に昼夜の別はない。だから日夜交替の鐘が鳴ってから初めて、アスガルドは夜の生活を持つ船らしくなり始める。
昼間の人工ビーチは全学年を、昨日まで宇宙で死にかけていたことを一時忘れた観光客に変えた。夜になり、照明が落ち、通路が暗くなると、艦全体はまた、金属と規律と静音システムと秘密会議が育ちやすいあの雰囲気に戻っていく。
真紀は「ついでに」、核心幹部の小会議を上級士官クラブの個室に入れた。
私はこの「ついでに」という言葉には、常々思うところがある。
普通の人間にとって「ついでに」とは、ついでに水を取るとか、ついでにドアを閉めるとか、ついでにレポートを出すよう念を押すとか、その程度のことだ。彼女の場合、「ついでに」は通常、ビーチの分流、艦橋当直の規則修正、意見箱の分類、共同保有制度の整理、住居の調整を一日かけてやり終えた後で、さらに夜間の核心会議を一つ開くことを意味する。まるで食後にデザートを追加注文するように。
出席者は少なかった。
真紀、私、ロイとラン、アカリ、ジェス、そしてヘートヴィヒ。
ハーヴィーとDはどちらも当直で、持ち場を離れられない。それは当然だ。修学旅行のようにどれだけ見えても、機関室と防御指揮を「感情が落ち着いたら自動で動く背景」扱いにはできない。後続の記録と命令は、誰かが後で伝えることになる。
個室は、私が想像していた以上に、ある種の節度を失った権力装置のような空間だった。
濃い木目のテーブル、厚いカーペット、低く垂れた照明カバー、酒棚、本革のソファ、壁には名画の複製か本物か私には判断のつかない絵が何枚か掛かっている。全体の雰囲気は、士官学校生たちが「一人ひとりの大口小遣いをどう処理するか」という、まともな文明では本来発生しない議題を話し合うのに非常に適していた。
腰を下ろした時、頭の中にあったのはただ一つの感想だ。
アスガルドは、本当に人を教育するのが上手い。
大人に育てるのではなく。
大人の問題の中に直接放り込んで、自分で大人の骨格を生やすかどうかを見ている。
個室のドアが閉まると、真紀は時間を無駄にしなかった。挨拶すら省いて端末をテーブルの中央に置き、画面が光ると、今日まだ動き続けている厄介事が、行儀よく並んだ学生のように一つずつ彼女の前に立った。
「まず、昼間の処理結果を確認する」
彼女は言った。
声は高くない。しかしこの閉じた空間では、食堂でテーブルの上に立って話す時よりも、かえって命令らしく聞こえた。
「ビーチの分流は掲示済み。意見箱の第一陣の質問は回収した。艦橋当直の補足規則は今から発効。上級士官クラブとレクリエーションルームの人流管理は、今夜から試行する」
ジェスがすぐに手を挙げた。
会議の礼儀としての挙手ではなく、明らかに「私は言うつもりだから」という種類の挙手だ。
真紀は彼女を見た。
「どうぞ」
「最初に言っておくけど、反対じゃない」
ジェスは椅子の背にもたれ、いつの間に手に入れたのか分からない透明な液体の入ったグラスを揺らしている。生徒会よりは格式が高く、生徒会よりは危険度が低いシンポジウムに参加しているようだった。
「ただ、今日本当に三百人をクラスごとにビーチに誘導できたっていう、その事実自体がもう信じられないんだけど」
ランが隣から続けた。
「あんたの方が信じられない。今朝の第一陣で、日よけの場所の取り方を皆に教えてたじゃない」
「あれはリスクのデモンストレーション」
「あれはリスクの製造」
「でも結果は良かったじゃない」
ジェスはごく自然に肩をすくめた。
「少なくとも風紀委員は、誰を先に見張るべきか分かったはずだし」
フレイヤは不在だったが、もし彼女がこれを聞いたら、即座に「高リスク示範行為」を補足規則に追加するだろうと、私にははっきり想像できた。
真紀は明らかにどんどん脱線していく話題には乗らず、直接次の項目に進めた。
「意見箱の真面目な比率は、予想より高かった」
指を一滑りさせると、分類済みのラベルがいくつか浮かび上がる。
「医療、監督、退学後の権益、家庭の緊急支出、これらは優先して回答する」
ヘートヴィヒは斜め向かいに座り、両手を重ね、姿勢はいつも通りソファでさえ彼女を皺にする気にならないほど端正だった。それらのタイトルを一瞥し、彼女特有の、聞こえが良くて実際は刺さる平静さで言う。
「つまり、連邦の学生たちは天文学的な数字を手にする前に、まず制度を尋ねることは覚えている、ということね」
「一部だけね」
アカリは奥の席に座り、目の前のグラスはほとんど手をつけていない。彼女の死んだ魚の目は、暖色の照明の下でもこの世界についてとっくに結論を出しているように見えた。棒読みでも、そこには珍しい種類の哀れみが滲んでいた。
「残りの一部は、記念債券を聞いてる」
個室が一秒静まり返った。
それからジェスが先に吹き出した。
「そうそう、あれ見た時、共同保有会社を作るんじゃなくて、直接上場するのかと思った」
ロイは額を押さえた。
「金融商品に関係する単語を聞くたびに、胃が痛くなる」
「慣れなさい」
私は言った。
「この船はたぶん、これからもあなたを痛め続ける」
彼は私を見た。その目には「なんでそれをこんなに運命として受け入れた顔で言えるんだ」という疲労が満ちていた。
「修学旅行の途中で全学年の資産設計をする、という科目を履修したことがないんだけど」
「今、補講を受けているところよ」
ランが隣でにこにこしながら続けた。その語気は、新しい同居生活に期待満々で、彼氏の精神状態は選択的に無視しているタイプの人間のものだった。
ロイが明らかに何か言いたそうにしていたが、真紀が先に本題に切り込んだ。
「じゃあ直接計算する」
彼女はロイを見た。
「最も保守的なバージョンで、一度で全部話して」
ロイは半秒黙った。その表情に、私がもう見慣れた何かが浮かんでいる。名前をつけるとすれば「この金融災害の精算を結局私が担うことになったなら、せめてこの場にいる全員に、どれだけ非常識な話なのかを直視させてやる」というものだ。
端末をテーブルの中央に引き寄せ、数列が一行ずつ展開される。
「前提から話す」
彼は言った。
「これは最も楽観的なバージョンではない。高リターン配置でも、アグレッシブ投資でも、頭に水が入った後に出てくる高速増殖の幻想でもない。ただ最も保守的な方法で、切り出せる部分を最も低い配当率の保守型債券とファンドに入れ、維持コスト、保有コスト、リスク準備金、必要な流動性を差し引いた後で、さらに下へ計算したものだ」
一拍置く。
私は非常に嫌な予感がした。
数字が悪いからではない。
ロイがこういう口調で前置きをする時、後に続くのは悪い知らせではなく、人間の常識の脚を直接へし折るような知らせだからだ。
案の定だった。
「学生一人、一か月、最低の小遣い」
彼は計算欄を一瞥した。
「少なくとも三十三億」
個室が、瞬時に静まり返った。
静かになったのではない。
フリーズしたのだ。
空気まで一瞬止まったような気がした。
私はジェスを振り向いた。比喩的な意味でのフリーズではなく、本当に誰かに数学の教科書で後頭部を殴られたような状態で、その場に固まっていた。口が微かに開き、目が空白で、「聞き間違えたのか」と「もしこれが本当なら、これから自分はどうやって生きていけばいいのか」の間の表情をしていた。
私自身も大差はなかった。
ただ、私の方が衝撃を人間らしく見える反応に包む技術が少しだけ上なだけだ。
「……FUCK」
私はうつむき、テーブルの端末を見て、それから自分の手を見た。
「まさか一生で、お金が余って使いきれないことを心配する日が来るとは思わなかった」
そう言ってから、テーブルの上のグラスを手に取り、一口飲んだ。
次の瞬間。
辛い刺激が焼けた小刀のように、喉を一直線に焼いていった。液体を吹き出しそうになったが、士官学校生としての最後の尊厳でどうにか飲み込み、結果として目が熱くなるほどむせた。
「FUCK、これ何?」
ジェスがようやくフリーズ状態から復帰した。しかし第一声は私への心配ではなく、田舎者が骨董品をテーブルの脚に使っているのを見た時の、あの痛ましい表情だった。
「もったいない」
と彼女は言う。
「それ、イヴァンデン第22-B星産のウィスキーよ。分かってない人ね」
「ウィスキーを水のグラスに入れてたら、誰が分かるっていうの」
「これは警戒を解かせる作戦」
「これは待ち伏せ暗殺よ」
ランが顔を伏せてくすくす笑い、アカリは万年変わらない棒読みで静かに刺した。
「結果を見れば、大成功」
私はグラスを戻し、自分の喉が今しがた恒星の表面を短期体験したことを実感した。
だがロイはもう私たちのアルコール事故を気にしていなかった。端末を見つめ、また何列かをスクロールさせ、文明の副作用を処理している哀れな人間の顔になっていく。
「だから言ったんだ、これはもう『一人ひとりにいくら渡すか』の問題じゃない」
彼は真紀を見た。
「この規模では、単純な保有と分配は無駄が多すぎる。どうせ資金が十分にあるなら、いっそ自分たちで銀行を作った方が合理的じゃないか?」
この一言が出た瞬間、私のまだ修復中の喉が再び危機を迎えた。
しかし最も恐ろしいのは、個室の中で誰一人として、この言葉を最初から純粋な冗談として扱わなかったことだ。
今日この席にいる人間は、あまりにも多くの荒唐無稽によって訓練済みだったからだ。
月三十三億の小遣いが現実になるなら。
「いっそ自分たちで銀行を作ろう」が、危険なほど合理的に聞こえ始める。
ジェスが最初に立ち直った。
「ちょっと待って、これ本気の提案?」
「今日あんたが水着を着て共同保有制度の説明をしたより本気だ」
ロイは言った。
「単純に資金を置く場所が必要で、内部清算をして、信託の配当を管理して、公共基金の支出を処理して、緊急支出を扱うだけなら、対外営業型の大きな銀行は必要ない。対外開放せず、核心的なアーキテクチャにだけサービスするプライベートバンクの仕組みで十分だ」
ヘートヴィヒは指先でグラスの縁を軽く叩き、目には、連邦の学生たちがついに「お金の使い方」から「自前の金融器官の作り方」に進化したことを鑑賞するような光があった。
「帝国の貴族の家系は、この規模になると、確かに他人の金庫に金を預けるだけにはしない」
彼女は言った。
「資産よりも、本当に価値があるのは決済権と、誰が資産を動かせるかを決める権力よ」
私はこれを聞いて、昼間の意見箱で監督、急難、退学後の権益を尋ねていた人たちのことを思い出し、心の中のまだ学生らしかった部分が、現実によって静かに押された感覚があった。
そうだ。
この規模になると、お金そのものが一番重いわけじゃない。
重いのは、誰が管理して、誰が決めて、誰が署名して、誰が夜中に眠れなくなるか、だ。
真紀はグラスをテーブルに置いた。ごく軽い音がした。
全員が自然に静かになった。
「いいわ」
彼女は言った。
夜遅く氷を追加するかどうかを答えるような、自然な口調で。
「銀行の件は、家に頼む」
ジェスは目を見開いた。
「その言い方、本当に腹立つ」
「分かってる」
真紀は一切の罪悪感なしに言った。
「対外営業なしのVIPプライベートバンクを目標にする。用途限定:共同保有アーキテクチャの資金停泊、信託決済、公共基金の支出、内部受益権の管理」
ロイが頷く速度は、感動に近いほど早かった。
楽になったからではない。
この金融災害の一部を、本当にこの規模を理解している人間にアウトソースできると分かったからだ。
私は椅子の背にもたれ、テーブルの上に並んだグラスを眺め、ふと笑いたくなった。
今朝、食堂で全学年に「渡さないんじゃない、お金に先に解体されないためだ」と説明していたのに。
夜には、核心幹部の小会議が上級士官クラブの個室でプライベートバンクの設立方法を真剣に議論している。
この船の時間の流れは、やはり普通のキャンパスと同じ宇宙にはない。
ここまで来れば、会議は本来なら収束するはずだった。
理論上は。
しかし理論というものは、上級士官クラブとウィスキーと月三十三億の小遣いと一日分の過労の後では、それほど強い拘束力を持たないらしかった。
場が本格的に脱線し始めたのは、ジェスのせいだ。
彼女は突然立ち上がり、グラスを持ち、世界革命の幕を開けるような勢いで宣言した。
「提案がある!」
この出だしを聞いた瞬間から、私の頭は痛くなった。
「何を提案するの?」
ランが気だるそうに訊いた。アルコールと上機嫌で、顔がすでに少し赤い。
「今日、私たちは共同保有制度、ビーチの分流、艦橋当直の新規則を確立し、ついでに未来のプライベートバンクまで手に入れた」
ジェスはグラスを高く掲げた。
「だからこの一杯は、二年生全員に、この法外に値の張る船に、月三十三億に、そして今のところまだ自分たちに驚き死にしていない私たちに!」
この祝酒の言葉は俗っぽくて、しかし生命力に満ちていた。
しかも、なぜか全員が乗った。
私でさえグラスを持ち上げずにはいられなかった。
「今日初めてまともなことを言ったことに乾杯」
私は言った。
「それ、褒めてる?」
「かろうじてね」
グラスが軽く触れ合い、細かく澄んだ音がした。
それから場は本当に、酒の席らしい方向へ滑り始めた。
ランはジェスに一周飲まされ、笑いで全身が緩み、それでもロイを引っ張って一緒に付き合わせることを忘れなかった。ロイは最初、「俺は財務担当だから判断力を保たなければ」という最後の体面を保とうとしたが、ランの「どうせもう私たちのために銀行を設計し始めてるんだから、少し飲んだって倒産はしない」という一言で完全に封じられ、観念して付き合うしかなかった。
アカリは最初から最後まで表情の変化が最も少なかったが、飲み方がかえって一番恐ろしかった。
他の人間は一杯ずつ賑やかに飲む。
彼女は死んだ魚の目でグラスの中の液体を見つめ、致死性の試薬を検査しているかのように、それから非常に静かに飲み干し、また非常に静かに評した。
「このグラス、木の味がする」
「それは樽の香りよ」
「樽は飲むものじゃない」
そしてまた一口飲んだ。
ヘートヴィヒは最初、帝国皇女レベルの節制と優雅さを保っていた。グラスを持つ姿勢まで礼儀作法の教材に使えそうで、私たちを嘲る時でさえ文明社会的な品があった。しかし連邦の学生たちの酒席の狂い方は本当に伝染性が高いらしく、後になってジェスとランに共同で引っ張られ、何度か一緒に乾杯させられた。
彼女は乱れなかった。
それが一番悔しかった。
ただ、目がほんの少し明るくなり、話すテンポが半拍遅くなり、もともと深く隠されていた口元の笑みが少しだけ多くなった。彼女を覆っていた氷の層が、アルコールによって細い亀裂を一本開かれ、内側にいる、より危険で、より野次馬精神旺盛な人間が少しだけ息をついたようだった。
真紀については——
彼女が飲んだ量は、最も多いというわけではなかった。
少なくとも最初は。
問題は、この個室の中に、生徒会長を簡単に見逃してくれる人間が一人もいなかったことだ。
ランは制度を確立した功績に乾杯すると言い、ロイは自分の財務的な理性を救ってくれたことに乾杯すると言い、ジェスは「全員を一人一兆の集団自爆の瀬戸際から引き戻した」ことに乾杯すると言い、ヘートヴィヒまである時点でグラスを上げ、冊封の詔を読み上げるかのような優雅な口調で言った。
「今夜のこの、極めて連邦的で、しかし極めて効率的な合意に」
真紀は彼女を一瞥し、それでもグラスを持ち上げた。
私は隣に座り、彼女が一杯ずつ受けていくのを見ながら、徐々に形になっていく嫌な予感を感じていた。
酒量の問題ではない。
今日、彼女は本当に疲れ切っていた。
人間は疲れると、アルコールが政治より効率的に作用する。
個室の時間感覚が、ゆっくりと壊れ始めた。
ビーチのクラス別スケジュール表について話し、銀行のアーキテクチャについて話し、意見箱の「株主は最前列のデッキチェアを優先予約できるか」という紙切れに回答すべきかどうかについて話した。Dとハーヴィーにどうやってあとで会議の記録を伝えるかについて話し、また誰かが傭兵団の話を持ち出したら機関室に送り込んで消耗品を運ばせて人間を学ばせることができるかについて話した。
後になると、「このグラスを飲み終えたら明日の朝一番に誰が素面でいられるか」まで議題になった。
誰も答えを出せなかった。
全員が自分自身を保証できる状態に見えなかったからだ。
最終的に夜中まで騒いで、上級士官クラブ自体にも「この施設がどれだけ格式高くとも、未来の株主たちにこんな使われ方をされては」という疲労感が漂い始めた。
散会の時、全員が昼間の自分とは少し違う姿になっていた。
ジェスは自分の言葉で笑いすぎてほとんど立てなくなっていたが、それでも「もう一段の祝酒の言葉が言える」と言い張っていた。ランは人生の大きな勝利を前払いで受け取ったかのように上機嫌で、帰り際にロイを半ば引っ張るようにして連れ出し、笑いながら何か言っていたが、私は細かく聞くのが面倒で聞かなかった。どうせ彼が今後さらに自分を埋めたくなるようなことを言っているのだろう。
ロイの表情は完全に「明日、生きていることを後悔するかもしれない」の領域に入っていたが、それでも本能的に財務端末を胸に抱えていた。自分が単なる酔っ払いではないことを証明できる最後の職業的尊厳を守るように。
アカリは今夜最も不思議なタイプだった。彼女も飲んでいたのに、足取りはまだ真っ直ぐだった。帰り際に私たちを見て、平坦な口調で一言だけ残した。
「明日もまた会議があるなら、正午より早くしない方がいい」
それだけ言って、去っていった。
私は彼女が今夜最も素面だったのではないかと本気で疑っている。
ヘートヴィヒが最後に立ち上がった時、真紀に向かって軽く頭を下げた。
その動作は礼儀のようでもあり、探りのようでもあり、あるいはその二つが最初から分かれていなかったのかもしれない。個室を出る前、彼女の視線がごく短い間、私の方をかすめた。何か言いたそうでもあり、ただ自分の中ですでに答えの出ている何かを確認しているだけのようでもあった。
その一瞬はひどく淡かった。
アルコールによる錯覚ではないかと疑うほどに。
一人ずつ散っていった後、個室はようやく静かになった。
立ち上がった時、世界が一度揺れた。
天地がひっくり返るほどではないが、十分だった。あと二杯飲んでいたら、この個室で生徒会副会長の標本になっていただろうと思う程度には。
その時、真紀は私の隣にいなかった。
途中で上級士官クラブのサービスシステムに呼ばれたのか、それとも自分から何かを処理しに出ていったのか、記憶が曖昧だ。その時の私の頭はウィスキーにすっかり漬かっていて、高精度の追跡には向いていなかった。ただ、ぼんやりした印象だけが残っている。彼女が出ていく時の足取りはまだしっかりしていて、背中もいつもの、他人の前では揺れを見せない真っ直ぐさを保っていた。
私は一人で部屋まで揺れながら歩いた。
廊下が長かった。
本当に長かった。
アスガルドが私たちの飲んでいる間に、こっそり船体を二節ほど伸ばしたのではないかと疑うほどに。
ようやくドアを開け、後ろ手に閉めた時には、もう先にベッドに倒れ込んでから考えようという状態だった。頭が重く、耳が熱く、胃にはあの過剰に高級なウィスキーの辛さがまだ残っていた。今日一日の艦全体の荒唐無稽が蒸留されて、最後に私の血液に詰め込まれたようだった。
机の角を支えにしながら、どうにか上着を脱いだ。
横になろうとしたところで、ドアがまた開いた。
振り返る。
ドア口に立っている人物の足取りは少し揺れていて、影も廊下の光に引っ張られて安定していない。アルコールが入ってからも方向感覚だけは保っているような様子が、頭の中にある見慣れた人影とちょうど重なった。
「……あんたも今頃戻ってきたの?」
自分の声がぼやけているのが分かった。
その人は答えず、ドアを閉め、ゆっくりと入ってきた。彼女からも酒の香りがしたが、私がさっき飲んだあのグラスほど強くはなく、むしろ柔らかく、淡く、夜の奥深くに隠れていたような香りだった。
もう余計なことを考える力はなかった。
今日は朝から晩まで、ビーチ、制度、艦橋、個室、銀行、三十三億、意見箱、当直規則、全部頭の中を一周した。こんな時に、私の部屋に入ってきて、本能的に警戒を解かせるリズムで近づいてくる人間を、私の脳はもう一つの方法でしか判断できない。
——まあいい、彼女だ。
彼女がベッドのそばまで来た時、私はすでに半分座り半分倒れかかっていた。
その人は私を一瞥し、何か言いかけたが、最後には手を伸ばし、ごく軽く私の前髪に触れた。その動作はゆっくりで、安定していて、個室でのグラスの音や笑い声や祝酒の言葉とは全く違い、この一夜がここでようやく幕を引く気になったかのような静けさだった。
「……戻ってきたならよかった」
たぶん、そう言ったと思う。
言わなかったかもしれない。
次の瞬間には、アルコールと疲労が一緒に私を柔らかい深みへと引きずり込んでいたからだ。視界には照明、ベッドの縁、近づいてくる影、そして布団が沈む時のあの馴染みのある、安心させる重みだけが残った。
私たちはそのまま倒れ込んだ。
劇的な会話もなく、昼間の理性や秩序を保つ力が誰にも残っていなかった。ただ同じくらい酔った二人が、前後にベッドへ沈んでいく。この船にようやく運転停止を許可された、二つの故障した部品のように。
眠りに落ちる直前、本能的に少し横に寄ったのを覚えている。
その人も避けなかった。
ただ、暗がりの中でごく静かに、その動作を受け止めた。
それから、私は沈んでいった。
完全に、深く、眠りに落ちた。
……
眠気が本当に閉じてくる前に、ごく軽い何かが当たる音が聞こえた気がした。
グラスでも、ドアでもない。
何か小さな金属の物が、誰かに何気なくベッドサイドの棚に置かれたような音だ。
細く。
短く。
しかしなぜか、その音が、酔いの一番深いところで、私の眉を本能的に少しひそめさせた。
真紀は普段、こういう音を立てるものを持ち歩かない。
目を開けようとした。
ほとんど。
しかし最後まで、何も見えなかった。
ただ暗闇に沈んでいく最後の一瞬、月の光がベッドの横に落ち、細い銀色の反射を照らし出しているのがぼんやりと見えた。
耳飾りには見えない。
ヘアピンにも見えない。
むしろ、普段の彼女には似合わない、精巧すぎて、冷たすぎる何かの装飾のように見えた。
そして、全てが途切れた。
「とても面白い」★四つか五つを押してね!
「普通かなぁ?」★三つを押してね!
「あまりかな?」★一つか二つを押してね!




