225.三百兆の提案 1
この物語はフィクションです。実在の人物・団体・事件・名称等は一切関係ありません。
後になって知ったことだが、昨夜私が死んだように眠りこけた後、真紀はもう一度部屋を出ていたらしい。
ただ外の空気を吸いに行くとか、ついでに廊下に少し立つといった程度ではない。私の部屋のドアをきっちり開け直し、夜中に往復し、あまつさえ「よし、全艦が私を安眠させる気がないなら、全員道連れにしてやる」とでも言いたげなオーラまで纏って。
私は全く気づかなかった。
口にするのはひどく恥ずかしいが、仕方がない。前日に戦闘、会議、温泉、サウナ、岩盤浴を立て続けに経験し、その上生徒会長を自分の部屋に引きずり込む夜まで過ごした後で、なおも高度な警戒態勢を維持できる人間がいるとしたら、それは青春小説の住人ではなく、軍事研究部門に直接引き渡されるべき検体だ。
とにかく、その時の私はすでに死んだように眠っていた。
寝返りを打つことすら億劫なほど、尊厳を持って死んでいた。
だから彼女が戻ってきた時、すぐにはベッドに入らなかったことも知らなかった。
部屋のデスクランプがどうやって点いたのか、私は見ていない。だが半睡半醒の中で、光の記憶はあり、紙がめくれる音の記憶もあった。うるさくはない。むしろ過剰なほど静かで、ペン先が紙を擦る微かな音と、時折手が止まった時の、空気さえも意思決定を下しているかのような沈黙だけがあった。
完全に目は覚めていなかったが、彼女が私の机の前に座っていることだけはぼんやりと分かった。
あの椅子は本来私が服を適当に積み上げるために使っていて、昨夜部屋に入った時点ではまだ片付いていなかった。資料が少しでも斜めになっているだけで無意識に揃えたくなる彼女の普段の病的な性分からして、十中八九、心の中で私にダメ出しをしてから服をどかし、腰を下ろしたに違いない。
こういう細部は、本来私が知る由もないことだ。
だが、分かるのだ。
ある人間と一定のレベルまで親しくなると、眉をひそめる角度、沈黙の長さ、次のページをめくる時にどの角を先に押さえる癖があるかまで、自然と覚えてしまう。意図的ではない。体が先に学習してしまうのだ。
私は目を開けなかった。
面倒だったのもあるが、その感覚がひどく奇妙だったからでもある。部屋にはもう一人いる。普段なら一言で会議テーブルの周囲全員の背筋を伸ばさせるあの人間がそこにいるのに、空間全体はまるで、彼女と大量の数字だけが戦争をしているかのように静まり返っていた。
そして明らかに、数字側が負けつつあった。
彼女はおそらく一時間近く計算していた。
少なくとも、睡眠の表面を漂い、時折短く息継ぎのために浮上する程度の私の意識にとっては、ひどく長い時間だった。一時は、彼女はこのまま私の机の前で夜明けまで座り続け、ついでにアスガルドを区画番号からドアノブに至るまで、どこかの企業名義に併合してしまうつもりではないかとさえ思った。
やがて、デスクランプが消えた。
光が消えると、部屋は急に全体が沈み込んだようになった。
続いて、布団の横が少し軽くなる。
彼女はごく自然に潜り込んできた。
探りを入れるわけでも、恐る恐るでもなく、小説にあるような「枕に触れただけで三ページ分顔を赤らめる」ような進捗ゲージ型の接近でもない。彼女の動作は、これが今夜の元々の予定であり、ただ途中で規模の大きすぎる資本運用によって中断されただけだと言わんばかりに手慣れていた。
その体温が触れた時、私はようやく泥のような眠りから僅かな理性をすくい上げた。
「……どうしたの」
自分の声は、自分でも嫌になるほどぼやけていて、布団の中で言葉をこもらせたような響きだった。
真紀は笑わなかった。
彼女はただ手を伸ばし、私の頭を撫でた。手のひらの力加減はひどく軽く、眠くて目も開けられないくせに、意地でも周囲の安全を確認しようとする小動物をあやすようだった。
「何でもないわ」
彼女の声は低く、まだ思考状態から抜け出したばかりの鈍さを少し帯びていた。
「全部処理しておいたから」
この言葉は危険だ。
彼女がこういう言い方をする時、それは大抵本当に「何でもない」わけではなく、「問題はまだあるが、すでに一般人には一時的に理解できないレベルまで私が押し上げておいた」という意味だからだ。
だが当時の私には、そんな高度な警告サインを考察する余力など微塵も残されていなかった。
私は二、三度何かを呟き、彼女の方へ少し身を縮め、そしてまた眠りに落ちた。
ひどく不甲斐なく。
そしてひどく安らかに。
今まで。
ベッドサイドの通信機が、今日を生き延びられないのを恐れるかのように、突然甲高く鳴り響いた。
私はまずその音に刺され、これが早朝なのか、警報なのか、それとも天罰なのかを完全に理解する前に、隣の人間がすでに手を伸ばし、直接通信のボタンを押していた。
寝起きとは思えない速さだった。まるで本能のように。
『星野』
ランの声が向こうから聞こえた。背景の音が少し騒がしい。こんな時間に首を突っ込むべきではないのに、絶対に時間通りに現れる人間が少なくとも一、二人は隣に立っているような気配だ。
『九島を見なかった? 彼女の部屋に繋いでも出ないの』
私が答える間もなく、真紀は私の枕元に寄りかかり、睡眠から引き上げられたばかりの顔のまま、この事態に驚くべき要素など何一つないというほど平坦な口調で言った。
「いるわよ」
通信の向こうが半秒間、静まり返った。
ただの半秒ではない。
脳が一度真っ白になり、その後、自分がたった今何を質問したのかを猛烈に悟った人間の半秒だ。
続いて、ランの声が明らかに詰まった。
『え? あ、そう。それは本当に悪かったわね——』
彼女が言いかけた途端、背景から短く、しかし非常に識別しやすい息を呑む音が聞こえた。
十中八九、ジェスが隣にいる。
しかも今の彼女の顔は、見なくても想像がつく。「こうなることは前から知ってたけど、実際に聞くとやっぱりデータ的価値が高いわね」という類の興奮が、間違いなく眉毛から耳の裏まで光り輝いているはずだ。
私は顔を枕にうずめ、人類文明最大の過ちの一つは即時通信を発明したことだと心底思った。
だが真紀は眉一つ動かさない。
「昨夜は副艦長と打ち合わせをしていてね」
彼女の語気は気だるげで、天気予報でも読み上げているかのようだった。
「ついでにここに泊まっていったの。何か問題でも?」
大嘘だ。
しかも、堂々と、句読点の隙間でさえ後ろめたさを挟む気がないタイプの大嘘だ。
私は自分の呼吸でむせそうになり、彼女を振り向いた。しかし彼女は寝起きの平然とした顔のままで、むしろ「これ事実でしょ?」とでも言いたげな自然な態度すら漂わせていた。ある角度から見れば、完全にでたらめというわけでもない。昨夜彼女は確かに私の部屋で打ち合わせ(のようなこと)をしていた。その対象が私だったのか、あの船だったのかは、言語芸術の範疇に属する問題だが。
ランは向こうで少し沈黙した。明らかに、ジェスを振り返って絞め殺したい衝動を、これまでの人生で培った教養のすべてを動員して押さえ込んでいる最中らしかった。
それから彼女は、どうにか語気を仕事モードに引き戻した。
『今日、人工ビーチがオープンするわ。もし何か発表することがあるなら——』
「ないわ」
真紀の返答は早かった。
昨夜の時点でこの電話が来ることを予測し、断り文句まで用意していたかのような早さだった。
「副艦長に代行させる」
彼女は少し間を置き、今がまだ早朝であることをようやく思い出したかのように、それでも顔色一つ変えずに最後の一言を付け加えた。
「おやすみなさい」
次の瞬間。
プツッ。
通信は彼女によって直接切断された。
部屋は再び静寂を取り戻し、ベッドの上に座ったままの私だけが残された。脳の処理が現実から丸半周遅れており、極めて短く、極めて荒唐無稽で、しかし異常なほど高効率な権力乱用のデモンストレーションをたった今見せられた気分だった。
私は彼女を見つめた。
彼女は私を見向きもしなかった。
すでに再び布団の中に縮こまり、極めて当然の戦略的二度寝ユニットとして自分を埋没させている。見えているのは顔の半分と、寝癖のせいで特別理不尽な跳ね方をしている毛先だけだ。
「シモ」
彼女は目を閉じたまま私を呼んだ。日向ぼっこをしている猫のように気だるい声だ。
「机の上のあの紙、取って。もし後で必要になったら、そのまま読んで」
私はその言葉を消化するのに二秒かかった。
さらに二秒かけて理解した。ここでの「必要になったら」というのは、単なる簡単な開会の挨拶などではなく、午前中全体を直接新たな会議へと爆破しかねない代物のことだろうと。
私は布団をめくり、ベッドを降りた。
足がカーペットに触れた時はまだ少し力が入らず、魂は目覚めているが、肉体はあと三十分の睡眠を主張しているという中途半端な状態だった。机の前に歩み寄り、昨夜彼女が折りたたんでクリアファイルの上に置いていった紙を手に取る。
紙の一番上にある文字は、とてもクリーンだった。
誰かのクリーンな人生を終わらせる直前の告知のように。
私はそれを開いた。
そして一目見て、そこに書かれたタイトルに殴られた。
『新版アスガルド買収スキーム』
私の呼吸がまず一拍止まった。
さらに下を見る。
予算:三百兆。
私はその場に硬直した。自分がまだ寝ぼけているのか、それとも昨夜のサウナでの蒸気による暴行がすでに私の脳神経に不可逆的なダメージを与え、アラビア数字の幻覚まで見せ始めているのかを疑った。
「三百兆?」
私の声は直接裏返り、語尾は副会長としての尊厳すら失いかけていた。
「本気なの?」
ベッドの上の人間が、ようやく薄く片目を開けた。
彼女はまだひどく眠そうで、次の瞬間にはまた眠りに落ちそうに見えた。よりにもよってそんな状態のまま、彼女は極めて当然の口調で、一般家庭の三十代前の先祖までが家系図から一斉に起き上がりそうな数字を、朝食に卵をもう一個追加するかどうかくらいのテンションで口にした。
「当たり前でしょ」
彼女は、反応の鈍い鳥を追い払うかのように手まで振った。
「私は九島征玄の孫であり、九島重工の次期当主よ。こんなことで冗談を言うと思う?」
彼女は顔を再び枕に少しうずめた。声はくぐもっていたが、それでも人の脳天に資本による砲撃を正確に撃ち込むだけの精度を保っていた。
「この程度の金、グループの純利益の百分の一にも満たないわ」
私は沈黙した。
説服されたからではない。
人間の脳は、常識を逸脱しすぎた情報に直面すると、まず非常に文明的な空白状態に入るからだ。簡単に言えば、脳が一旦礼儀としてフリーズし、その後で再起動するかどうかを決めるのだ。
私はうつむき、もう一度その紙を見た。
数字だけではない。
項目、注釈、クロスリファレンスの矢印、パラグラフごとの説明。さらには、異なるスキーム下での法的リスク、維持コスト、連邦の監査機関に対する口実、学生側が要求してくるであろう権利の慰撫、機密保持契約の今後の移行ストラクチャーまで、すべてが彼女によって一夜のうちに解体され、分類され、再構築されていた。
これは金持ちのお嬢様が寝る前に適当に書いた寝言などではない。
これは本当に人を殴り倒せる、しかも十中八九致命傷を与えられる本物のスキームだ。
視線を下へ滑らせていき、ある項目を見た時、私は危うく再び窒息しそうになった。
学生集団リスク補償引当金。
その後ろには、会計学とホラー小説が交配して生まれたような数字の羅列が続いていた。
昨夜、全艦の連中がアスガルドを先物商品扱いして騒いでいるのを見ていたというのに、真紀は今朝、直接私に総勘定元帳を見せつけてこう言っているのだ。
騒ぐ必要はない。
胴元本人は昨夜、あなたの隣で寝ていたわよ、と。
この感覚はひどく形容しがたい。
深夜まで誰かを抱きしめて寝ていたのに、早朝に目を覚ますと、その人間が戦艦一隻を家族の資産配置の予備欄に書き込んでいたのを発見したようなものだ。親密さと資本額が同時に顔面に押し寄せてきた時、人間は本能的に天に問いたくなる。自分が付き合っているのは生徒会長なのか、財閥の跡取りなのか、それともパジャマ姿のまま企業買収を完了させる超自然現象なのかと。
「昨夜部屋を出たのって、これのため?」
私はその紙を持ったまま振り返り、彼女を見た。
真紀はすでに目を閉じており、先ほどよりもさらに休眠期に深く入り込んでいるように見えた。それでも彼女は応えた。
「ええ」
「一晩でこれを計算しきったの?」
「全部じゃないわ」
彼女の声は眠気を帯びていたが、それでもあの忌々しいほどの正確さを保っていた。
「先に決められるフレームワークを固めただけ。本当に推進するなら、ロイたちを呼んで……」
彼女は言葉を止め、眉をひそめた。眠気と論理に同時に引っ張られたかのように、少し間を置いてから修正する。
「ロイにキャッシュフロー、減価償却費、保有コストを再計算させなきゃならない。これはただの初稿よ」
ただの初稿。
私は手元の代物を見下ろし、ふとこの四文字を書き写し、額縁に入れ、来月のお小遣いのやりくりに頭を悩ませているすべての一般学生の頭上に掲げてやりたい衝動に駆られた。階級格差が具体的に紙として出力される瞬間とは何かを、全員に理解してもらうために。
「三百兆の初稿ね」
私は呟くように繰り返した。
「この言葉を外に出したら、その場で気絶する人間が出るわよ」
「なら、気絶しやすい人間には先に見せないことね」
彼女の返答は淡々としていた。
私は彼女を見つめ、ついにたまらず吹き出した。
この女は時々、本当に度を越している。
嫌味なほどの度を越し方ではない。彼女が今、気だるげに私の布団に縮こまっている姿が可愛いことも、昨夜の疲労を考えればこれ以上起きて公務を処理するべきではないことも分かっているのに、いざ彼女が口を開けば、世界全体がただ彼女の進捗に追いついていないだけのように語ってしまう。そういう度を越し方だ。
私はそのスキームを持ち、ベッドのそばに戻った。
「それで、生徒会長閣下」
私はわざと、朝のブリーフィングをするような声を出した。
「あなたは今、私にこの寝癖のついた頭で、三百兆の戦艦買収スキームを手に、あなたの代わりに人工ビーチのオープニングを仕切れとおっしゃるわけ?」
彼女はついに目を開け、私を見た。
その目にはまだ散りきっていない疲労があったが、微かに、しかしはっきりとした笑みも浮かんでいた。
「先に髪を直せばいいわ」
彼女は言う。
「他の部分は、そのまま読めばいい」
「あなたの『他の部分』の定義はずいぶん広いのね」
「あなたを信頼しているからよ」
このセリフは本当に彼女の十八番だ。
前半は責任転嫁のように聞こえる。
後半は報酬のように聞こえる。
この二つが混ざり合うと、自分が最前線に立たされていると分かっていても、その場で拒否するのがひどく難しくなる。
彼女を見つめながら、私はふと、彼女には敵わないなと思った。
昨日は会議で三百人の機密保持契約を秩序として押さえ込み、夜には抜け出して戦艦の買収案を書き上げ、早朝には私を人工ビーチの代理人に仕立て上げ、そして今は私のベッドに潜り込み、「うん、大体の手配は済んだわ。世界はとりあえず私を起こさないで」という顔をしている。
こういう人間が小説に書かれないとしたら、現実の無駄遣いもいいところだ。
問題は、彼女が今私の部屋にいて、私のベッドで、私の布団を被り、私の枕を使っているということだ。
そして私は手に三百兆を持っている。
そう考えると、昨夜アスガルドを先物商品扱いして騒いでいた連中の方が、実はまだ保守的だったのだとふと思った。
彼らはせいぜい、この船にどれくらいの価値があるのかを想像していただけだ。
真紀は直接、この代物を自分の今後の人生設計に組み込むことを決定したのだ。
私は紙を折りたたみ、深く息を吐き出した。
「分かった」
私は言った。
「この船が今日、どうやって人を驚かせるつもりなのか見てくるわ」
「ご苦労様、副艦長」
彼女は不明瞭にそう返し、語尾は甘えるように気だるげだった。
私が言い返す間もなく、彼女は再び布団の中に縮こまり、呼吸が平坦になった。残りの睡眠を何らかの合法的な手当として、本日の帳簿に直接計上するつもりのようだ。
私はベッドの傍らに数秒立ち尽くし、最後には彼女のために布団の端を掛け直してやった。
仕方がない。
ついさっき三百兆を「おはよう」の代わりにした人間が、今眠っている姿は、よりにもよって何もしていないかのように静かなのだから。
ドアに向かって振り返りざま、私はもう一度その紙を見た。
タイトルの下にある数字の羅列が、早朝には全くそぐわない隕石のように静かに横たわっている。
そしてドアの外では、人工ビーチがおそらく間もなくオープンする。
私はふと見てみたくなった。後でランが、ジェスが、ロイが、そしてアスガルドに乗っている、昨夜自分の取り分を計算するのに忙しかった連中が、「新版買収スキーム、予算三百兆」と聞いた時、一体どんな顔をするのか。
そう考えると、私の眠気はついに完全に吹き飛んだ。
目覚まし時計に起こされない朝もある。
資本額に殴り起こされる朝もあるのだ。
「とても面白い」★四つか五つを押してね!
「普通かなぁ?」★三つを押してね!
「あまりかな?」★一つか二つを押してね!




