224.深夜のアスガルド 3
この物語はフィクションです。実在の人物・団体・事件・名称等は一切関係ありません。
【視点:ロイ】
もしラウンジのあの混乱が何かを証明したとすれば、それは人類の利益に対する感知速度は、往々にして危険に対するそれよりも速いということだ。
三十分後、ロイが取り囲まれた時、彼はその事実を深く確認することになった。
場所は艦橋下層のサブ会議エリアに変わっていた。本来は折りたたみ椅子が数脚置かれているだけの、夜間当直要員が一時的に資料を整理するための小さなスペースだったが、今は二十人以上の学生に囲まれ、極めて非専門的でありながら熱気に満ちた、臨時の投資説明会の会場と化していた。
そして彼は、唯一教壇に立たされた不運な講師だった。
「先に言っておく」
ロイはホワイトボードの前に立ち、誰かに無理やり押し付けられたマーカーを手に、人生への責任追及をすでに諦めたような平坦な表情を浮かべていた。
「アスガルドは金融商品じゃない」
最前列で即座に手が挙がる。
「じゃあ、高ボラティリティの特殊資産と見なした場合は?」
ロイは相手を二秒間見つめた。
「駄目だ」
反対側からすぐに声が続く。
「でも、希少性と戦略的価値、それに将来のキャッシュフローの想像余地は備えてるだろ?」
「それも駄目だ」
後列の誰かの声はさらに興奮していた。
「イベント・ドリブン型の投資観点から見れば、俺たち今夜、実質的に底値でエントリーを完了したってことにならないか?」
ロイはマーカーを置いた。
また手に取った。
そしてまた置いた。
彼は一瞬、この宇宙から本気で立ち去りたくなった。
「お前ら、一つだけ先に確認させてくれないか?」
彼はついに口を開いた。
「今日はエントリーしたんじゃない。今日は危うく退場させられかけたんだ。しかも物理的な意味でな」
理解したように頷く者がいる。
そして次の瞬間、また質問が飛ぶ。
「じゃあ、今は災害後の再評価ってことか?」
ロイは半秒間沈黙した。
「お前ら、一体どうやって臨死体験を財務セミナーとして消化してるんだ」
最前列の女子が非常に正直に答えた。
「だって、恐怖を専門用語に変換しないと、眠れないんだもの」
その言葉があまりにも理にかなっていたため、ロイは一瞬、即座に反論することができなかった。
こうして、この馬鹿げた臨時説明会は、「講師は死にたがっており、学生は儲けたがっている」という空気の中で正式に幕を開けた。
ホワイトボードには、すぐにいくつかの大きな文字が書き殴られた。
リスク。権利。コスト。妄想。
最後の単語は、ロイが自分で付け足したものだ。
「まず」
彼は最初の単語を指差す。
「リスクは、お前らが今夜、期待収益率と交換するために持ってきたチップじゃない。お前らは自発的に投資にエントリーしたんじゃない。事件に巻き込まれたんだ。この二つは全く違う」
すぐに質問が飛ぶ。
「でも、パッシブ保有も保有のうちに入らないか?」
「入らない」
「じゃあ、将来本当に何らかの補償や取り決めがあった場合、俺たちには少なくともエクスポージャーがあるってことだろ?」
「……誰がエクスポージャーなんて言葉教えたんだ?」
「ヘートヴィヒ」
会場が一秒間静まり返った。
ロイの額がピクッと引きつる。
ひどく納得がいくと同時に、ひどく納得がいかない。
「わかった」
彼は深呼吸をし、目の前の聴衆をその場で絞め殺さない範囲に語気を保つよう自らに強いた。
「百歩譲ってエクスポージャーがあるとしても、それは政治的エクスポージャー、法的エクスポージャー、機密保持のエクスポージャーであって、お前らの頭の中にあるような、赤や緑の数字が上に跳ね上がっていくようなもんじゃない」
後列からすぐに小声の議論が聞こえてきた。
「つまり、非対称なダウンサイドリスクに属するってことか」
「でもアップサイドは青天井だぞ」
「黙れ」
ロイは振り返りもせず、ピンポイントで鎮圧した。
ホワイトボードにはすぐに二つ目の項目が追加された。
アスガルドは先物商品ではない。
「お前らの今の最大の勘違いは、この船を未上場だけどインサイダー情報のある有望銘柄か何かだと思い込んでることだ」
ロイはマーカーで文字を叩いた。
「違う。これはまず第一に船であり、第二に政治問題であり、第三になってようやく、お前らの頭の中にある収益の妄想が入り込む余地があるかどうかってレベルだ」
最前列の男子が納得いかない様子で食い下がる。
「でも、希少性は本物だろ」
「火山の噴火だって希少だが、お前は買うのか?」
「それとこれとは違う」
「何が違うんだ?」
「アスガルドは動く」
「結構だ。動く厄介事はもっと高くつくぞ」
隣でノートを取っている者がいた。
本当にノートを取っているのだ。
その光景を見て、ロイはふと理解した。一部の文明が今日まで存続できたのは、彼らが特別に高尚だったからではなく、災害の直後にいち早く会議の要点をまとめ始める人間が常に存在したからなのだと。
そして、最も荒唐無稽な質問がやってきた。
中央に座り、先ほどからずっと発言を我慢していた男子が手を挙げ、異常なまでに真剣な表情を浮かべた。
「もし」
彼は咳払いをした。
「もしもの話だが」
ロイのまぶたがピクッと動いた。
彼は通常、この手の前置きをひどく嫌う。
なぜなら、九割九分の確率で、その後に続くのはまともな文章ではないからだ。
案の定だった。
「もし俺たちがこのまま方針転換して、アスガルドを武装プラットフォームとして使い、学生による自治傭兵団を結成したとしたら、連邦がちんたら処理するのを待つより、よっぽどキャッシュフローを生み出せるんじゃないか?」
空間が丸三秒間、静まり返った。
全員がショックを受けて言葉を失ったからではない。
あまりにも多くの人間が、その瞬間に本気でその計算を始めてしまったからだ。
ロイの目が死んだ。
完全に、である。
「もう一度言ってみろ」
その男子は自分が核心を突いたと勘違いし、さらに声を弾ませた。
「つまりだな、俺たちにはすでに船があり、実戦経験があり、指揮系統の雛形があり、機密保持の共同体がある。おまけに市場には武装護衛、国境警備の請負、安全輸送のニーズが——」
「ストップ」
ロイは手を挙げた。
「黙れ」
「でも垂直統合の観点から見れば——」
「黙れと言ってるんだ」
「もしここにハイリスク・プレミアムを乗せれば——」
「いい加減に黙れ」
今度こそ、会場全体が爆笑の渦に包まれた。
押し殺した笑いではない。一晩中抑え込まれていたものが、これ以上ないほど荒唐無稽な提案によって一気に弾け飛んだ笑いだった。隣でただ話を聞きに来ていただけの者たちまでが、腹を抱えて笑っている。机を叩く者、顔を覆う者、笑いながらも「学生自治傭兵団」という六文字をこっそりノートの隅に書き込もうとする者。
その群衆を見つめながら、ロイは初めて、教育の無力感というものを理解した。
彼は深呼吸をし、ホワイトボードの一番下に、力を込めて数文字を書き殴った。
傭兵への転業禁止。
筆圧はボードを突き破りそうなほど強かった。
「これはアドバイスじゃない」
彼は振り返り、無表情で言った。
「デッドラインだ」
後列でまだ手を挙げようとする者がいる。
「じゃあ、フランチャイズ型なら——」
「次の一言を発したら、さっきの分配の専門家たちのところに送ってやる」
その者は即座に背筋を伸ばし、命を大切にすることを選んだ。
場はどうにか一時的に落ち着きを取り戻した。
ちょうどその時、真紀が入ってきた。
彼女はホワイトボードを一瞥した。
そこに書かれた数行の文字を見た時、彼女でさえ短く動きを止めた。
アスガルドは先物商品ではない。 傭兵への転業禁止。
彼女の視線はまずロイの顔に落ち、次に明らかに過度に興奮し、そして現実に打ちのめされた後の学生たちへと移った。
「せめて、株式公開するかどうかの議論を始めていなかったことだけは、喜ぶべきかしら?」
誰も笑う勇気はなかった。
だが、数人の顔には明らかにこう書かれていた。
その手があったか。
ロイは危うくホワイトボードのマーカーをへし折るところだった。
真紀はそれを察し、二の矢を放つことはしなかった。彼女はただ、極めて平坦な声で口を開いた。
「今日はここまで」
声は高くないが、きっぱりとしていた。
「機密保持契約の詳細、艦内の秩序、今後の権利と義務については、明日正式に説明する。今夜の個人的なシミュレーション、口頭での評価額の算定、収益の妄想、戦艦の転業・起業計画はすべて停止しなさい」
彼女は会場を見渡した。
「特に最後の一つはね」
先ほど傭兵団を提案した男子が、文明そのものから名指しで警告されたかのように、そっと手を膝の上に戻した。
真紀はさらに付け加えた。
「それから、もしアスガルドを投機銘柄扱いしている奴の声が私の耳に入ったら、明日から機関室の消耗品運びをやってもらうわ。固定コストとは何かを骨の髄まで学んでもらうためにね」
今度こそ、誰も軽口を叩こうとはしなかった。
収益の妄想がどれほど美しくとも、強制労働教育に放り込まれる前の自由な呼吸には敵わないと、全員がふと気づいたからだ。
続いてフレイヤが入ってきた。手にはすでに記録パッドが握られており、今夜のすべての暴走事件を、二度と繰り返したくなくなるような手順リストに組み込む準備が整っていることは明らかだった。
彼女はホワイトボードを一瞥し、半秒間立ち止まった。
「あの一文は残しておくことを推奨する」
彼女が指したのは、最後の一行だった。
傭兵への転業禁止。
ロイは彼女を睨みつけた。
「本気か?」
「ああ」
フレイヤの語気は淡々としていた。
「規範に書き込めるものは、誤解が入り込む余地を残すべきではない」
隣で誰かがまた吹き出しそうになり、必死にこらえた。
真紀は手を伸ばし、眉間を揉んだ。
その動作は短く、そして軽かった。だが、その場にいる彼女を知る者には分かった。それは、彼女が今日何度目かも分からない、船一隻分の不条理を統治可能な範囲に押し戻そうとする努力の表れだった。
「解散」
最後に彼女は言った。
「今すぐに。明日の朝まで、アスガルドを現在価値に割り引いて計算する人間を、私は一人も見たくないわ」
その言葉はあまりにも容赦なく、そして的確だった。
全員が静かに立ち上がる。
ノートをしまう者。ホワイトボードの内容をこっそり脳に焼き付ける者。ロイのそばを通り過ぎる時、大真面目にこう尋ねる者もいた。
「で、結局、イベント・ドリブン型の資産としては完全に除外ってことでいいのか?」
ロイは顔を上げ、相手を見た。
その目には怒りはなく、ただ極めて深く、乾ききった疲労だけがあった。
「お前は今夜、生きて帰って眠れる」
彼は言う。
「それが、お前の口座に確実に振り込まれる唯一の収益だ」
その学生は口を開きかけたが、最後にはその言葉がひどく理にかなっていると感じたのか、黙って頷き、背を向けて去っていった。
群衆がゆっくりと散っていく。
サブ会議エリアは再び静けさを取り戻し、ホワイトボードに残された数行の文字だけが、連邦の学生にしか書けない災害後の文明の遺跡のように残されていた。
真紀はその場に立ち尽くし、ロイを一瞥した。
「お疲れ様」
ロイはホワイトボードの縁にもたれかかり、少し虚ろな声で言った。
「本職の財務責任者がどうして短命に見えるのか、突然理解できた気がする」
フレイヤは手元の記録を進めながら、淡々と補足した。
「お前の今夜の説明には価値があった。少なくとも、未遂に終わった学生傭兵化運動を一つ阻止したのだからな」
ロイは二秒間沈黙した。
「全然慰めになってないぞ」
「慰めではないからだ」
彼女は顔を上げる。
「事実の陳述だ」
真紀はごく軽く息を吐き出した。疲労とおかしさの狭間で、まだ真っ直ぐに進める隙間をどうにか見つけ出したかのように。
明日から始まるのだ。
〇九三〇、娯楽施設の起動。 機密保持契約の事後説明。 秩序の着地。 学生たちの消化。 アスガルドの継続運用。
今夜に関しては、少なくとも一つの事実が、最も速く、最も乱暴に、そして最も誠実な方法で全艦に確認された。
この船には、多くの意見が存在してもいい。
だが、全員のケーキに一番最初に手を出そうとする者は、即座に発言権を失う。
政治学的に見れば、それはひどく低俗だ。
だが、統治効率という点から見れば、驚くほど使い勝手が良かった。
「とても面白い」★四つか五つを押してね!
「普通かなぁ?」★三つを押してね!
「あまりかな?」★一つか二つを押してね!




