221.特権 1
この物語はフィクションです。実在の人物・団体・事件・名称等は一切関係ありません。
私がそう言い終えたあと、会議室の中にまず、半秒間だけ真空ができた。
あれは単なる静寂ではない。
三百人分の頭脳が同時に目に見えない鉄槌で叩かれ、あらゆる神経信号が空中で迷走を始めたかのような、奇妙な機能停止状態であった。全員が意味を理解した。だが、理解してしまったからこそ、この状況を喜劇として笑い飛ばすべきか、あるいは沈黙によってやり過ごすべきか、一瞬の判断がつかなかったのだ。人間という知的生命体は、あまりに突飛な真実を突きつけられると、まず自身の聴覚を疑うようにできているらしい。
やがて、制御不能の連鎖反応が始まった。
前列に座るAクラスの女子代表は、耳の裏まで一気に赤くなった。見事なグラデーションで、まるで名もなき芸術家が夕焼けの絵の具をその顔面に叩きつけたようだった。彼女はクラス代表としての「理性的かつ沈着な優等生」という仮面を維持しようと試みたらしいが、口角が一度引きつった直後、猛烈な勢いで手元の資料をめくり始めた。まるでその書類の隙間に、社会的な死から逃れるための脱出ポッドでも隠されていると信じているかのように。
隣の男子代表にいたっては、さらに人間という生き物の滑稽さを体現していた。
彼はまず背筋を伸ばし、「私はこの程度の低俗な冗談には動じない」という大元帥のごとき不敵な表情を作ってみせた。だが次の瞬間、隣の生徒が押し殺した声で——それでも全域に響き渡る音量で——「お前、今絶対心当たりあっただろ」と囁いたせいで、彼の防衛線は一瞬にして決壊した。首筋から制服の襟元までを急速に赤く染め上げ、それでも強張った顔で隣を睨み返している。
その睨み方にも、軍校生徒らしい「中途半端な知性」が垣間見えた。二秒以上睨み続ける度胸はないのだ。それ以上視線を合わせれば、自らの有罪を法廷で証明することになると、彼の本能が告げていたのだろう。
後列はまた、別の地獄の様相を呈していた。
本艦の巡航エンジンがたった今もう一度跳躍に失敗したのかと思うほど肩を震わせ、死んでも声を漏らすまいと耐えている者がいる。拳を口元に当てて、過剰なほど真面目な顔で咳き込んでいる者もいる。その隣の人間は、彼の凄まじい生存欲求の巻き添えを食うのを恐れるかのように、そっと半歩の距離を置いた。さっきまで頭を寄せて密談を交わしていた二人に至っては、無言のまま座席半個分の空間を開け、互いに「公の場で発情するような不謹慎な連中と我々を同一視しないでいただきたい」という、あまりに潔白な表情を取り繕っている。
だが、彼らの対応はすべて遅すぎた。私のあの言葉が空間に落ちた瞬間、この場にいる全員が等しく「潜在的容疑者」という名の法廷に引きずり出されたのだ。
Cクラスの委員長は、さっき私が帝国の制服を着て写真を撮られた件について、辛辣な弾劾を行ったばかりだった。彼女はまだ前のラウンドにおける社会的敗北から這い上がれていないというのに、また新たな公衆道徳の難題を顔面にぶつけられたわけだ。彼女はまず、明らかに自制心を失って笑っている自分のクラスの数人をひどく険しい目で睨みつけた。その視線は「貴様たち、まさか本当に我がクラスの不名誉となる行為に及んだのではないでしょうね」と雄弁に語っていた。そしてふと何かを思い出したように、今度は必死に無実を装っている隣のクラスの男子代表を睨みつけ始めた。
その視線の連鎖反応を見て、私は危うく拍手を送りそうになった。
上出来だ。会議はまだ半ばだというのに、群衆はすでに自發的な相互審判、すなわち「魔女狩り」の縮小版を開始している。
ロイは口元に手を当て、表情の管理はかろうじて機能していたが、持ち主の意志を裏切って赤化していく耳根の熱までは誤魔化しきれていなかった。断言してもいい。彼は今、財務省の官僚レベルの精度で、自分がさっき声に出して笑ってしまったかどうか、そしてその笑い声が「航海長としての威厳資産」にどれほどの債務超過をもたらすかを計算しているはずだ。
ランはもっと潔かった。
彼女は直接顔を背けた。
それは逃避ではない。成熟した人間というのは、一度吹き出してしまえば、三十秒以内に総務としての端正な容姿を取り戻すのが困難だと理解しているのだ。だから彼女は、自らの最後の職業倫理を死守するため、肩だけを非常に不義理に震わせるという妥協案を選んだ。
そして、ジェスは——
彼女はまだ咳き込んでいた。厳密に言えば、「水でむせた」という肉体的アクシデントから、「私の一言によって人生観の座標軸が一時的に迷子になった」という精神的進化を遂げていた。片手で口を覆い、もう片方の手で机を支え、今にも突っ伏しそうな勢いで笑っている。目尻には生理的な涙さえ浮かんでいた。
「あんた、会議で、一体何言ってんのよ……」
彼女は歯の隙間から、どうにかその一言を絞り出した。
私は至って無実だ。
「風紀の啓発だけど」
「どこの世界にこんな風紀の啓発があるのよ!」
「先見性のあるやつ」
私が大真面目に答えると、ジェスは危うく二度目の爆発を引き起こすところだった。
そして、この混乱がさらに収拾のつかない方向へ発酵しようとしたその時、二階堂がゆっくりと手元の資料を置いた。
大きな動作ではない。だがなぜか、彼女が動いただけで、周囲の小さな円の中にいた人間たちが本能的に声を潜めた。この女は本当に「規律」という名の栄養素を摂取して生きているのだろう。ただそこに座っているだけで、「これ以上騒ぐなら全員の姓名をリストアップして管理する」という、一種の独裁者のごとき威圧感を放っている。
彼女は顔を上げ、全体を見渡した。
「副会長からその点について言及がありましたので」
その声に高低差はない。法規の条文にそのまま声帯を取り付けたような、徹底した平坦さだった。
「私の方からも、『公の場』の定義について補足しておきます」
私は心の中で「おっ」と声を上げた。
来た。本当に恐ろしいブラックジョークというのは、道化師が意図的に放つ冗談ではない。誰かが冗談を、行政の補足条項として大真面目に解釈し、法制化し始めた時だ。
案の定、全場の静まり返る速度が跳ね上がった。二階堂なら本当に「発情の境界線」を定義しかねない、と全員が悟ったからだ。
彼女は赤面すらしない。ただ、正確に切り刻むだけだ。
「公の場とは、以下を含みますが、これに限定されません」
彼女は手を伸ばし、指先で机を軽く一度叩いた。まるでこれから読み上げる災厄のリストのために拍子をとる、冷徹な指揮者のように。
「廊下、食堂、人工ビーチ、娯楽室、サウナ外部休憩エリア、サウナ出入口、高級士官クラブ共有エリア、艦内エレベーター、艦橋外待機エリア、会議室、訓練ポッド観測席、および三人以上が自由に出入り可能な空間、または透明なパーテーション、監視設備、巡回ルートが組み込まれているあらゆる空間」
会議室は死に絶えたように静まり返った。意味がわからなかったからではない。彼女の定義が完璧すぎたからだ。風紀委員特有の悲観主義を用いて、この船で問題が起きそうなすべての座標を、彼女はすでに脳内でシミュレーションし終えているのではないかと疑いたくなるほどの網羅性だった。
彼女はまだ終わらない。
「加えて」
二階堂は顔色一つ変えずにトドメを刺した。
「もし『あの時は現場に誰もいなかった』と言い逃れようとする者がいるなら、忠告しておきます。風紀委員の職責は、あなた方の運や僥倖の上に成り立っているわけではありません。艦内の監視記録、巡回サイン、ゲートのアクセスログ、および第三者の目撃証言は、すべて判定の根拠となり得ます」
後列の誰かが、ごく小さな息を呑む音を立てた。恐怖からか、それとも、誰にも知られていないと思い込んでいた過去の「青春の一頁」という名の不名誉な記録を突然思い出したからか。
二階堂は相変わらず無慈悲だった。
「さらに一点」
彼女はむしろ調子を上げているようにさえ見えた。
「『破廉恥な行為』が、騒音、群衆の密集、見物人の発生、設備の破損、医務室の残業、當直要員の注意散漫を引き起こした場合、あるいは他クラスへの模倣を誘發した場合は、厳重に処分します」
今度こそ、私は彼女に拍手を送りたくなった。
素晴らしい。彼女は本当に「發情」という極めて生物学的な概念を、風紀委員会の言語を用いて、定量化可能で、責任追及が可能で、クラス間への感染リスクを伴う「管理対象」へと翻訳してのけたのだ。
この女は学生を管理しているのではない。高ボラティリティの青春災害を抑え込む、冷徹なシステムなのだ。
ジェスはすでに両腕に顔を埋め、肩を震わせている。ランは今度こそ目を閉じ、社会の現実に対する静かな哀悼を捧げているようだった。ロイは「俺は今日、一体何の会議に出席しているんだ」という、国家予算の使途に悩む政治家のような複雑な顔をしている。帝국의要塞から生還したと思ったら、真に理解し難い文明の壁は連邦の内部にあった、とでも言いたげな表情だ。
私は首を傾け、二階堂を一瞥した。
彼女は相変わらず、校則の表紙にそのまま印刷できそうな顔をしている。
羞恥はない。気まずさもない。あるのは、物事を明確にするという職責感だけだ。
ある意味、これは本当に恐ろしい。こういう話題すら消防避難訓練の注意事項と同じトーンで語れる人間は、十中八九、常人の羞恥帯を通り越し、より高次元の「制度生命体」へと到達しているからだ。
会議室に散らばりかけていた笑いの空気は、ここに至って別の危険な物質へと変異していた。
全員が耐えている。笑いをこらえる者、羞恥をこらえる者、隣の奴を見ないように耐える者。何もしていないのに、「なぜ私はここでこのような不条理な話を聞かされているんだ」という無実の被害者の顔を作り始める者までいる。
その時、真紀が軽く二度、机を叩いた。
カツ、カツ。
音は大きくない。だが、十分だった。会議室全体を「大規模青春事故防止講習」の瀬戸際から、本来の正式な議事状態へと引き戻すには。
彼女は誰かを責めることもなく、我的さっきの啓発に感想を述べることもなく、ただ静かに全場を見渡した。その視線はいかにも彼女らしかった。今すぐ成熟しろと要求しているのではない。笑うのは勝手だが、この後にはもっと現実的な、飲み込むべき苦い丸薬が控えているぞ、と念を押すような目だ。
会議室はゆっくりと静まり返った。完全に落ち着いたわけではない。全員が、笑いと気まずさを一時的に喉の奥に押し込み、後で自室に戻ってから爆発させる術を学んだだけだ。
真紀はそこでようやく、手元の資料の次ページをめくった。
「よろしい」
彼女がそう言った。その二文字が口から出た瞬間、下にいる一列の人間が同時に背筋を伸ばしたのがわかった。
だが彼女は、皆が予想したように、これ以上の規則や制限、人生を疑いたくなるような生徒会条文を追加することはなかった。
彼女はただ、その資料を閉じた。
パタン。
音は小さかったが、そこには潔い収束感があった。裁判官の木槌のようでもあり、処刑延期の通知のようでもあった。いずれにせよ、帝国のトワイライトの射程から転がり戻り、今また「公の場での破廉恥行為」という啓発のせいで集団的な社会的死を迎えそうになっていたこの群衆にとっては、慈悲と言ってよかった。
「今日はここまでだ」
真紀が淡々と言った。
会議室が、一拍だけ静まり返った。一部の連中の目に、瞬時に光が灯るのが見えた。それは知性でも規律でもない。純粋で素朴な生存本能だ——これ以上、生徒会長に規則という名の短剣で一刺しずつされる必要はないのだという安心感。
だが真紀の次の一言が、その蠢き始めた歓喜にすぐさま首輪をかけた。
「今話した内容は、各クラス代表が戻り次第、直ちに自分のクラスへ伝達すること」
平坦な声だった。もし実行しなかった場合、どれほど酷い目に遭うかを、明日の天候のように淡々と語る声。
「守秘義務、艦內施設の利用時間、勤務と飲酒の制限、風紀に関する協力事項——一つも漏らすな」
下にいた連中の輝きかけた目は、途端に大人しくなった。
これが彼女の凄さだ。声を張り上げる必要も、机を叩く必要もない。ただ静かに事実を告げるだけで、これを馬鹿にすれば後でどれほど手続き的に抹殺されることになるか、全員が勝手に悟るのだ。
真紀の視線がゆっくりと全場を舐めた。
「それから」
来た。この言葉は通常、彼女が本当に致命的な何かを補足する合図だ。
「今夜からは、休んでもいいし、リラックスしてもいい。祝杯を挙げても構わない」
下でまた数人が、無意識に姿勢を正した。
「だが——」
案の定だ。生徒会長という生き物は決して、人をそう簡単には生かしておかない。
「明日の朝、正式な報告書に書けないような事故の束を、私の机に届けさせないことだ」
私は危うく吹き出しそうになった。この言葉の秀逸な点は、「事故」が具体的に何を指すのかを一切明言していないことだ。明言しないからこそ、全員の脳内には、明言されるよりもはるかに最悪な光景が自動的に浮かび上がる。
しかもその光景の九割九分は、私がさっき放った啓発と無関係ではないはずだ。
真紀も當然わかっている。言い終えた後、彼女の視線がごく軽く、私の方を掠めたからだ。
ほんの一瞬。何も起きていないかのような短さ。だが、そこからはっきりと馴染みのある意味を読み取れた——『副会長、あんたがさっき放り投げた火種、本当に船中を焼き盡くすような真似はさせないでよね』
……私のせいじゃないだろう。私はただ、極めて実務的に風紀災害を予防しただけだ。
「他に質問がなければ、解散」
彼女が言った。
今度こそ、会議室から本当に緊張の糸が切れる音がした。長く息を吐く者。即座に下を向いて書類をまとめる者。隣の人間と視線を交わす者。その目はもう会議のものではなく、「で、俺たちこの後、先に人工ビーチに行く? それとも娯楽室?」と問いかけている。
さっきまで必死に平静を装っていた数人は、立ち上がった今でも、顔に引ききらない赤みを残している。
上出来だ。斷言しよう。「公の場で発情するな」という言葉は、今夜足を生やして、このアスガルド中を駆け回るに違いない。
二階堂は書類をまとめ、立ち上がった時も、誰一人自分の前では犯罪を犯させないという顔を崩さなかった。だが私の気のせいでなければ、彼女は去り際にこちらを一瞥した。その目には、口に出さなかった言葉がはっきりと残っていた——
『私に、さっきの定義を本当に適用させるような事態は起こさないでください』
私は非常に空気を読み、笑いを押し殺して、最初から最後まで品行方正で、言葉を慎み、公共の秩序を愛する副会長であるかのように振る舞った。
誰かがそれを信じるかどうかは、また別の話だが。
会議室の人波が外へ散り始めた。椅子の脚が床を擦る音、紙の擦れる音、囁き声が再び湧き上がる。さっきまで真紀に完全に押さえつけられていた空気が、ようやく緩み始めた。奇妙な感覚だった。全員を丸飲みしそうになった悪夢が、最後にようやく扉を一つ残してくれて、皆が疲労と安悼と、少しばかり不健康な興奮を抱えながら、ふらふらと歩き出していくような。
再び息を吹き返した群衆を見つめながら、我的心には一つの念しか浮かばなかった。
いいだろう。会議は終わった。鬼門から引き返してきたばかりのこの学生たちは、いよいよ本格的に自分たちを娯楽に浸し、今日は何も起きなかったふりをする作業を始めるのだ。
正式に報告書に書けない「事故」の始まりへ向かって。
「とても面白い」★四つか五つを押してね!
「普通かなぁ?」★三つを押してね!
「あまりかな?」★一つか二つを押してね!




