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臨界の星穹  作者: Mr.佐藤焫焵
士官学校編
62/69

15. プロトタイプ  5

この物語はフィクションです。実在の人物・団体・事件・名称等は一切関係ありません。

「星野」


俺はシミュレーションの艦橋図を見つめた。


「左側が主要破口じゃない。本当に問題が起きるのはこの補給路の角だ」


「理由は」


「艦橋が重要だと全員が思っているから、本当に生き延びたい人間は補給ルートから撤退しようとする」


「お前が指揮官なら」


「補給ルートを先に爆破する」


「自軍の補給ルートを?」


「パニックを後方に持ち込まれるよりましだ」


教室が墓地みたいに静まり返った。


……分かってる。この答えは、あまり健全には聞こえない。でも戦場は、人格の健全さを保つための場所じゃない。


最後のケースが終わると、教官は投影を落とし、室内の照明がゆっくり元の明るさに戻っていった。


彼は投影スクリーンの前に立って、クラス全体を一度見渡した。


「大半の人間は地図を見るとき、『どこで撃てるか』を探している」彼は言う。「少数の人間は、『どこに行ってはいけないか』を探している」


その視線が、俺の上で止まった。


「さらに少数の人間は、最初に見るのが『どこで人間が人間でなくなり始めるか』だ」


俺は席に座ったまま、何も言わなかった。


なぜかその一言で、背筋が少し冷えた。彼が俺のことを言っているのが分かった。そして、当たっていた。


教官は手の端末を一瞥し、口調を元の平板に戻した。


「星野一等兵、課後に残れ」


……来た。聯邦が「潜在力がある」と言うときの言い方は、いつも裁判所の呼出状みたいだ。


クラスが散ると、俺は席に残って、最後の一人が出ていくのを見送った。空になった教室は急に広くなり、投影スクリーンが落ちた後の反射光がはっきり見えるほど静かだった。


教官が俺の机まで来て、端末を閉じた。


「戦術判読の訓練を受けたことがあるか」


「ない」


「では、どうやって見えた?」


口を開きかけて、最初に浮かんだ答えが、そのまま本音だった。


「分からない」俺は言う。


教官は俺を見た。俺は目を伏せて、机の上の自分の指を見つめた。


「ただ……どこで乱れるか、見えるんです」少し間を置く。「あと、人が死ぬ直前に、ルートがどう歪むか」


空気が数秒、静まり返った。教官はそれ以上は追わず、ただごく淡く一度頷いた。


「普通の訓練生が持つ視点ではない」


俺は口元を引き上げた。


「ありがとうございます。聯邦に褒められるのは今日二回目ですが、毎回、立件されてるみたいな言い方ですね」


彼は訂正しなかった。


「その能力は取っておけ」彼は言う。「他の授業で無駄遣いするな」


それだけ言って、端末を脇に挟み、そのまま出ていった。


俺は空になった戦術教室に一人残り、暗くなった投影スクリーンをしばらく見つめていた。笑いたくなった。


今朝は薬害事故のサンプルで、午後には戦場読解能力が異常な標本になっている。聯邦というのは本当に不思議な場所だ。傷が治ったかどうかは聞かない。壊れた部分が、別の用途に使えるかどうかを先に聞く。


そして一番まずいのは——今日の午後、俺は本当に「答えが出すぎた」。自分でも居心地が悪くなるくらい、出た。


---


戦術判読の授業が終わって二十分も経たないうちに、報告がレオの机に届いた。


正式な書面ではない。内部の優先フラグが立てられた授業記録の抜粋で、担当教官の短い、しかし軽くはない注釈が添えられていた。


訓練兵員:星野霜 初回戦術判読課目接触 特徴:非典型的な理論的アプローチ。隊形崩壊点、撤退ルートの歪み、パニック伝播経路を優先的に捕捉する 備考:判読方式は教範に近くない。実戦的外傷サバイバーの逆読みに近い。単純な近接/射撃路線ではなく、指揮適性の観察対象として登録を推奨する


レオは端末の前に立ち、授業の録像を最初から最後まで無言で見た。


投影の中で、銀髪の少女が二列目の右寄りの席に座っている。顔色にはまだ薬後反応の白さが残り、後頭部には抑制パッチが貼られていて、全体として「今朝かろうじて可動状態に修復されたばかりの精密欠陥品」に見える。


でも、地図を見る目は澄んでいた。無邪気さではない。集中でもない。澄んでいる。刃が余分な装飾を全部削ぎ落とした後に残る、あの種類の冷たさだ。


彼女は教範が示す「正解の位置」を探さなかった。火力が最も集中する区画を先に探しもしなかった。彼女が最初に見たのは、隊形のどこで詰まるか、どこで乱れるか、どこでパニックに陥った誰かが間違った方向に補位して他の人間を道連れにするか——そして他の全員がまだ「敵がどう攻めるか」を分析している間に、彼女はすでに「味方がどう死ぬか」を先に見ていた。


普通の新兵が持つ読み方ではない。授業で教えられるものでもない。


レオは録像を、彼女が中央交差点を指差したコマで止めた。少女の指は細く、動作に迷いがない。猜測しているのではなく、すでに踏んだことがある場所、すでに血を流した地を指し示しているような動きだ。


観測室の自動ドアが開き、シュタイナー博士が入ってきた。白衣は相変わらず一分の乱れもなく、銀の鎖がベストの前で揺れている。今朝の事故など起きていなかったかのように、穏やかな顔をしている。あるいは本当に、そうなのかもしれない。彼にとって、あれは工程上の一つの偏差に過ぎないのだから。


「見ましたか」博士が問う。


レオは振り返らない。「見た」


博士が隣に立ち、視線が投影の中で背筋を伸ばして座る少女に落ちる。


「面白いでしょう」


「面白くはない」レオは静かに言う。「厄介だ」


博士が眼鏡を押し上げる。「我々が当初想定していた素材ではなかったから?」


「近接か射撃型だけなら、話は単純だった」


レオは手を上げ、いくつかの映像を並べて再生した。


午前のカールの授業で、彼女が肩のラインと重心の変化を読んで一撃を「交換」した場面。午後のミラの授業で、時速百八十キロの破片嵐の中で即応リズムを掴んだ場面。そして今日、初めて受けた戦術授業で、大半の訓練生が通過する理論的なルートをすっ飛ばして、群衆崩壊の流れを直接見た場面。


カールは、ただ殴られるだけの状態から脱する方法を叩き込んだ。ミラは、乱流の中で引き金を引けるようになるまで追い詰めた。そして戦術授業は、さらに厄介なことを証明した——


彼女は体だけで生き延びるのではない。頭を使う。しかも、きれいで、整然として、教範に書き込めるような頭の使い方ではない。もっと質の悪い種類だ。


まず生存を考える。次に代償を考える。最後に、正しいかどうかを考える。


博士はしばらく見てから、低く言った。「以前の経歴の中に、長期間にわたってリソース不足、秩序崩壊、指揮系統に頼れない環境に置かれた時期があるはずです。そういう環境は、脳に非常に特殊な優先順位を構築させる。彼女は戦場を判読しているのではなく、失制御状態を判読している」


「分かっている」レオは言う。


「なら喜ぶべきでしょう」博士は言う。「この種の視点は稀少だ」


レオがようやく顔を向けて、博士を一瞥した。「稀少と安定は別物だ」


「安定は訓練できる」


「崩壊したときも、相当見事なことになる」


博士は二秒黙り、口元にごく薄い弧を浮かべた。「あなたは彼女を気にかけ始めている」


「気にしているのは、投資対効果だ」


「その台詞で他人を騙せるかもしれませんが、大佐」


レオは相手にせず、録像を閉じた。画面が冷たい白に戻る。


「カールとミラは当初、彼女を高強度訓練に耐えられるかどうかのテストサンプルとして見ていた」彼は言う。「だが、今は違う」


博士が問う。「どちらに回す?」


レオは少し間を置いてから、口を開いた。「単一兵種の路線には置けない。近接、即応射撃、基礎戦術、圧力下での状況読み——全部に反応がある」


「次のステップは、見知らぬ環境でもこの判読を維持できるかどうかだ」


博士はすぐに続きを引き取った。「極端な閉鎖的ストレスと、高速三次元平衡喪失」


「そうだ」


その二つの言葉は、ランダムに選ばれたのではない。二つの言葉が指し示すのは、二人の人間だ。


一人は深圧と暗闇の中で訓練を行い、光も空気も失われた環境で誰が先に形を失うかを専門に見る人間。もう一人は遠心力、反転、高周波の機動の中に人を放り込み、限界速度で神経が砕けないことを学ばせる人間。


博士は目を伏せ、頭の中でカリキュラムを組み直しているように見えた。


「レナードとJ.J.ですか?」


「ああ」


博士が眼鏡を直す。「少し早すぎませんか。彼女は今朝、薬物の配合ミスで危うく——」


「だから今日ではない」レオは言う。「一晩、自分で消化させる」


「消化しすぎたら?」


レオは暗くなったスクリーンを見つめ、感情のない声で言った。「それなら、本当に向いているということだ」


博士は何も言わなかった。この言葉が評価のように聞こえて、実際には判決に近いことを、彼は分かっていたから。

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「普通かなぁ?」★三つを押してね!


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