217.黒猫盗賊団 1
この物語はフィクションです。実在の人物・団体・事件・名称等は一切関係ありません。
エグソンIIがあの豪華帆船から離れる時、わたしは後部艙の固定架の傍に立ち、観測窓越しに、毛を一房刈り取られたばかりのあの肥えた羊が航路の上に一艘で漂っているのを見ていた。夜会で誰かに公衆の面前でかつらを剥がされたのに、まだ体裁を保とうとしている伯爵のようだった。
結構。
次に通報する時も、その体裁を一緒に申告してほしいものだ。
ジェスは向かいに座り、仮面を半分外したまま、まだ笑っていた。
普通の笑いではなかった。「黒猫盗賊団」という名前と、自分があの後に放った一言を思い出すたびに、もう一周笑い出してしまう種類の笑いだった。肩が一度一度揺れ、口元はどれだけ押さえても収まらない。その様子を見ていると、医療室に送り返して観察事項を追記したくなった。「患者の身体状態は安定しているが、人格面は依然として高度に危険」と。
「もう一度笑ったら」わたしは仮面を隣の座席に投げた。「次は団名を叫ぶ役はお前に任せる」
「いいわよ」ジェスは即座に答えた。「副団長に向いてると思う」
「誰が昇進を許可した」
「じゃあ団長でも」
「海賊組織でも内部推薦で上がろうとするつもり?」
ジェスはさらに笑みを広げた。その、腹立たしいほど元気な顔を見ていると、胸の奥にまだ残っていた重さが、妙にまた少し緩んだ。本当に厄介だ。こいつが口を動かせる力があるうちは、たぶん本当にまだ長生きする。
Dは隣に座り、三つ穴の目出し帽をすでに外して、さっきの人型破城機とは思えない落ち着いた姿勢で装備を確認していた。顔を上げてわたしをひと目見て、一言だけ言った。
「初回、悪くなかった」
わたしは頷いた。
Dの言う「悪くなかった」は、雰囲気への賛辞でも創意への賛辞でもない。今回は誰も失敗せず、誰も腕を一本失わず、誰も事態を取り返しのつかない方向へ転がさなかった、という純粋な評価だ。彼の口からこの二文字が出るだけで、十分だった。
アスガルドに戻った時、艦内は大げさな出迎えをしなかった。
それでいい。
本当に有効な悪事の最も魅力的なところは、終わった後も艦全体がまるで何もなかったかのように艙門を閉め直し、岩石帯の影に静かに戻れることだ。さっき目出し帽を被って怪盗の衣装を着て伯爵を恐喝しに行った連中と、この静かに浮かぶ皇族旗艦とは、何の関係もないかのように。
艦橋に入った瞬間、よく知っている空気を感じた。
火薬の匂いでも、コーヒーの匂いでもない。
賢い人間が結果を待っている時の匂いだ。
メインスクリーンはすでにAU-1206周辺の通信傍受ネットワークに切り替わっていた。蘭は通信コンソールの前に立ち、イヤホンをきちんと着け、指先がいくつかの解読ウィンドウの間を素早く動いている。
ロイは航法席に座り、航路流量図全体を睨んでいた。さっきより宇宙の交通局に代わりに出勤させられている可哀想な人間のような顔になっていた。アカリはレーダー席の前に座り、表情に変化はないが、どの巡回艇の機首が半度でも違う方向に向いても見逃さないだろうと確信させる目をしていた。
真紀は艦長席に座っていた。
振り返らず、ただ淡々と訊いた。
「戻ったわね」
「戻りました」わたしは自分の位置に歩み寄って座り、名誉を傷つけるあのマントを脇に放った。「しかも成功。今ようやく、帝国の貴族がいつもあんなに強奪されそうな顔をしている理由が分かった気がします」
真紀の口角が、ごくわずかに動いたような気がした。
「座って」彼女は言った。「通報がすぐ来る」
わたしはベルトを締め、メインスクリーンに目を向けた。
正直、その感覚は奇妙だった。
普通、一戦終えて待つのは戦損報告、補給、追手、あるいは次の命令だ。今回は違う。今回わたしたちが待っているのは、被害者本人が自分の恥辱をどう包み直して正式な通報に仕上げるか、だ。
それだけで、この件全体に、異常に下品で、異常に上品な楽しさが加わった。
間もなく、蘭が手を上げた。
「捕捉しました」
メインスクリーンの右側に即座に新しい音声ウィンドウが展開し、かなりのノイズが混じっていた。画面にはAU-1206巡回当直台の通信記録が表示されている。エウロパ側の中継基地をわたしたちが破壊したせいで、今この一帯の信号は全体的に酔ったような状態で、断続的に途切れながらも、かえって妙な味わいを添えていた。
最初に響いたのは、怒りと動揺が混じりながら、それでも貴族のアクセントを保とうとしている女の声だった。
「……繰り返します、至急巡回艇の派遣を要請します。わたしの船が襲撃を受け、護衛が制圧され、財物が略奪され、相手は……相手は身元の声明を残していきました」
艦橋が、示し合わせたように静かになった。
誰も口を開かなかった。
全員が、最も重要なあの一言を待っていたからだ。
当直台の士官は明らかに「これは悪戯ではないか」という疑念をまだ捨てていない口調だった。
「相手の身元を確認してください」
あの気の毒な伯爵は二秒間、黙った。
その二秒間、わたしには彼女が操艦室の中に立ちながら、人生で初めてある問いと向き合っているのが想像できた。あの名前をそのまま読み上げることが、帝国の威信に対する二次的な侮辱になるかどうか、という問いだ。
最後に、彼女は読んだ。
「……黒猫盗賊団」
艦橋全体が一拍、静まり返った。
次の瞬間、ジェスが頭を下げ、肩が震え始めた。
わたしはジェスを思い切り睨んだ。
ジェスは即座に口を押さえたが、目の中の笑い狂いそうな光は全く収まらなかった。今の彼女は、猫用爪研ぎを軍事会議の会場に引きずり込んだばかりで、しかもそれをひどく誇りに思っている厄介な生き物のようだった。
通信の向こうで、当直士官も明らかにその五文字に詰まっていた。
「……もう一度繰り返してください」
伯爵の声には、もう怒りが滲み始めていた。
結構。金を奪われた後は、人は言語の正確性に対して非常に敏感になるものだ。
「黒猫盗賊団」
今度は蘭が堪えきれず、顔を横に向けて唇を噛んだ。
ロイは額に手を当てたが、耳が明らかに少し赤くなっていた。ヘートヴィヒは主座に座り、表情は意外なほど穏やかで、むしろある種の微妙な満足感すら漂わせていた。荒唐無稽な内容の報告書を学生に提出させたところ、結果が意外と有効だったと気づいた危険な教師のような顔だった。
通信の中で、当直士官はまだ最後の抵抗を試みていた。
「襲撃者の特徴を描写してください」
今回、伯爵の間はさらに長かった。
わたしは彼女に同情した。
なぜなら、これから何を描写しても、自分が少しも体裁よく見えないことが分かっていたから。
果然、口を開いた時の声には、自棄になった弱さが混じっていた。
「先頭の人物は……オペラの怪盗王子のような格好をしていました。残りのメンバーは黒い三つ穴の目出し帽を着用。装備は精良で、行動は迅速。正規の軍事訓練を受けている可能性があります」
そこへ、別の下級士官の声が割り込んだ。明らかに現場記録を担当している声だった。
「長官、補足事項がもう一点あります」
「言え」
「被害者の補充によると、相手のチーム内部で……猫の鳴き声がしたと」
艦橋は今度こそ本当に崩れた。
声を出して笑い崩れたわけではなく、一列の人間が全員必死に堪えている結果として、艦全体の空気が危険な速度で震え始めた。蘭は端末を口元に持ち上げ、プロフェッショナルな動作で自分の失守寸前を隠した。ロイは頭を下げ、肩が非常に不自然に揺れた。アカリはまだ持ちこたえていたが、その目にはっきりと、普段は見られない愉悦に近い冷たい光が一瞬閃いた。
わたしの顔が一瞬で熱くなった。
本当に。
熱くなった。あの当直士官の記録帳を奪い取って削除したくなるほど熱かった。
ジェスはその場で額を制御台の縁に押し当て、悶えながら笑っていた。
「おかしい?」わたしは歯を食いしばった。
「おかしくない」彼女は震えながら言った。「感動してる。わたしたちのブランドイメージ、こんなに完成度が高いとは思わなかった」
「後でそのブランドを消滅させてやる」
真紀がついに手を上げ、肘掛けを一度軽く叩いた。
音は大きくなかった。
しかし十分だった。
ジェスは即座に笑みを半分収め、艦橋の注意力も引き戻された。
真紀が口を開いた時、口調は穏やかで、ほとんど残酷なほどだった。
「結論を」
蘭は深呼吸をして、即座に笑いを消し、通信長モードに切り替えた。
「現時点で確認できるのは、第一件目の通報がAU-1206の内部巡回システムに入ったこと。相手はまだホーエンツォレルンの常備艦隊には上報しておらず、周辺の三艘の巡回艇と隣接区の一つの即応部隊に現場確認を要請するだけに留まっています」指先を一滑りさせ、いくつかの新しい光線を星図上にマークした。「つまり、食いつきました」
ロイが頭を上げ、続けた。
「しかもかなりしっかり食いついた。この動員を見ると、AU-1206は元々狭路外縁を見張っていた巡回艇の一艘を引き抜いて、隣接する民間航路二本の警戒まで強化しています。つまり、もう注意が分散し始めている」
アカリが静かにレーダー図を重ねた。
「通信チェーンに遅延があります」彼女は言った。「伯爵の通報から巡回艇の転針まで、合計で二分四十秒かかっています。エウロパでの破壊がまだ効いている。この区域の反応は、ヘートヴィヒが当初見積もっていたより鈍い」
ヘートヴィヒが静かに口を開いた。
「貴族の通報には常に二重の圧力がかかるから」彼女は言った。「一方では処理しなければならない。しかし、処理があまり大げさになると、辺境の治安が失控していることを露呈してしまう。今彼女たちが最もやりたいのは、黒猫盗賊団を壊滅させることではなく、この恥ずかしい話を早急に圧し潰すことよ」
「残念ながら」わたしはその幾本かの偏移し始めた巡回線を見ながら、思わず笑みをこぼした。「わたしたちは彼女たちのために、この恥ずかしい話を大きくするのが非常に楽しい」
真紀はメインスクリーンを見つめ、目は鞘の中に収まった刃のように落ち着いていた。
「焦らないで」彼女は言った。「一件目が成功したからといって、リズムが合っているとは言えない。今から再調整する」
これが真紀だ。
他の人間が面白い、楽しい、もっとやりたいと考えている間に、真紀はその混乱を繰り返し可能で、予測可能で、利用可能なリズムに分解し始めている。一度の成功で浮かれる人間ではない。だからこそ、この計画全体に前へ進む価値がある。
真紀はいくつかの時間節点をマークした。
「第一、相手が通報を受けてから二分以内に巡回線が動き始めた。第二、貴族航路の警戒が上がったが、まだ要塞レベルには達していない。第三、ホーエンツォレルンは介入していない。この三点が成立している間は、わたしたちの主軸は外れていない」
蘭が続けた。
「ただ、一つ問題があります」彼女は一段の信号分流を拡大した。「第一艘目の通報内容があまりにも……鮮明だったせいで、AU-1206はすでに後続の船舶に対して、『仮面の怪盗』と『三つ穴の目出し帽を被った武装分子』に遭遇していないか確認を始めています」
ロイが苦笑した。
「つまり、初回の出撃だけで、自分たちのキャラクターデザインを公式キーワードにしてしまったということですね」
わたしは黙って、脇に放ったあの怪盗マントをひと目見た。
くそ。
ヘートヴィヒはこの部分まで計算していたのだ。特徴のない武装集団より、強烈な視覚的シンボルを持ち、固定した名前を残し、荒唐無稽な細部まで伴うグループの方が、巡回システムの中で確実に素早く広まる。彼女たちが「手口のある常習犯」だと思えば思うほど、本能的に各航路間に網を張って手当たり次第に追い始める。
「だから修正する」真紀は言った。「主軸を修正するのではなく、粒度を修正する」
わたしは真紀を見た。
真紀の指がいくつかのマークの間に止まり、口調は穏やかで、どんな興奮よりも安心させた。
「チーム名は残す。基本的な視覚的印象も残す」彼女は言った。「しかし、予測可能な細部は減らす。次回は余分な演出は不要。特に、音声的なマーキングは」
わたしはジェスの方を向いた。
ジェスは即座に両手を上げた。
「異議あり」彼女は言った。「ブランド構築の初期段階では、本来――」
「棄却」真紀は一秒も与えなかった。
艦橋の空気がまたわずかに緩んだ。
わたしはその偏移し始めた巡回光点を見つめながら、非常に明確な感覚を覚えた。
動いた。
わたしたちの船ではない。
帝国の、自分たちは安定していると思っていたあの網が、本当に最初の一引きをされた。
しかも、かなり体裁の悪い引かれ方で。
わたしは背もたれに体を預け、息を吐いた。
「つまり今、帝国の辺境巡回艦隊は、頭套を被って募金をして変な看板を立てた怪盗団を追いかけている」
「厳密には海賊」ジェスが小声で訂正した。
「厳密にはお前が黙れ」わたしは言った。
蘭は今度こそ遠慮なく笑い出した。
ロイも首を振り、口角がどうしても上がってしまった。アカリですら微かに視線を逸らした。この件全体が荒唐無稽なほど成功していると、彼女も思っているのだと分かった。
真紀は笑わなかった。
少なくとも表面上は。
しかしわたしには見えた。彼女の眉と目の間から、ごく薄い、ほとんど誰にも気づかれないような緩みが少しだけ滲み出ていた。それは成功がようやく戦術に変わった後にだけ現れる、あの微細な弛緩だった。
真紀はわたしを見て、静かに命じた。
「副艦長、記録」
「何を記録する?」わたしは訊いた。
真紀の口調は穏やかだった。
「黒猫盗賊団、第一件目の通報成立。帝国巡回艦隊の反応時間、二分四十秒。初期評価、有効」
わたしは一秒ほど真紀を見た。
それから素直にその一行を記録した。
書きながら、ふと可笑しくなった。
人間、本当に何でも起こりうる。たとえばわたし、星野シモ、連邦士官学校学生副会長、アスガルド副艦長兼戦術長、連邦の秘密計画の実験体が、今艦橋の作戦記録に、子供向け絵本の悪役のような名前の組織の初案件を真剣に登録している。
しかしさらに荒唐無稽なのは――
これが本当に効いているということだ。
記録を送信してから、わたしはメインスクリーンを見上げた。
あの数艘の巡回艇はまだ動いていた。
わたしたちは岩石帯の中に潜んだまま、最初からここを離れていないかのように静かだった。
結構。
最初の一口、咬み込んだ。
後は欲張りすぎず、馬鹿をしすぎなければ、帝国はきっと間もなく理解するだろう――厄介事というのは、それほど大きくなくても、人を一晩中眠れなくさせるのに十分だということを。
「とても面白い」★四つか五つを押してね!
「普通かなぁ?」★三つを押してね!
「あまりかな?」★一つか二つを押してね!




