215.宇宙海賊 2
この物語はフィクションです。実在の人物・団体・事件・名称等は一切関係ありません。
「行く」
ジェスは病床に横になったまま片手を上げ、次の瞬間には国家独立でも宣言するかのような厳かな口調で言った。
わたしはベッドの傍に立ち、下を向いてジェスを見ながら、この人間の心電図が逆向きに繋がれているんじゃないかと疑った。普通の人間なら、あの世の入り口で一度ご挨拶してきた後は、せめて二十四時間は命を大切にしようという気になる。ジェスは違う。死を無料の乗車券と捉えていて、降りたばかりなのに、もう次の便に並ぼうとしていた。
「分かってる」わたしは端末を脇に置き、できるだけ平静な声で言った。「席は取っておいてあげる」
ジェスの目が一瞬で輝いた。
普通の喜びではなかった。番犬が散歩の言葉を聞いた時、海賊が乗船の合図を聞いた時、問題児が授業中止を聞いた時にだけ現れる、あの純粋な歓喜だった。
「やったー! 大好き、シモ。チューして、ちゅー――」
わたしはジェスの顔に手を押し当て、こちらに近づいてくるその口を押し返した。
「先に言っておく。主な目的は混乱を起こすことよ」手のひらでその欠けた顔をしっかりと定位置に固定しながら言った。「略奪は結果であって、目的じゃない」
「はーい」
ジェスの返事は速かった。
不審なほど速かった。
わたしは二秒ほどジェスを見つめ、それから冷たく追い打ちをかけた。
「何が『はーい』よ。よだれが出そうになってるじゃない」
ジェスは羞恥心のかけらも見せず、わたしの手のひらの下でまだ笑おうとしていた。顔が少し変形するほど押されているのに、目だけは作戦許可を受け取ったばかりの幼稚な子供のように輝いていた。戦術のポイントなど全く聞いていなかったのだろう。「行っていい」という言葉だけを聞いていた。
ベッドの反対側では、Dが見舞いの品を持って立っていた。正直に言えば、あの陸戦隊指揮官がお見舞いの品を持っているという光景自体、かなりの圧迫感があった。他の人が見舞いに来るのは気遣いを届けるためだが、Dはまるで弾薬箱を丸ごと持ち込んで、ついでに命がもう一本必要かどうか訊いてくるようだった。あの高く黒いシルエットが病床の傍に立つと、医療室まで一回り小さくなったような気がした。
わたしはDの方を向いた。
「D、陸戦隊の訓練はどこまで進んだ?」
Dは豪快に笑った。
その笑い声は厚く、胸腔の奥から直接転がり出てくる低い雷のようだった。
「うまくいってる」Dは言った。「六クラスから百人ちょっとを先に引っ張り出した。基礎隊形、乗艦、制圧、近距離突入、全部一通りこなした。今この一陣は、いつでも出られる」
聞き終えて、わたしは頭の中で素早く計算した。
結構。
当初の想定よりさらに良かった。
こういう跳躍型の奪取作戦は、少数の人間だけで粘り続けるわけにはいかない。本当に肝心なのは、一隻やることではなく、一隻やって場所を変え、また一隻やり、しかも常にリズムを維持して巡回艦隊に誤った方向を追わせ続けることだ。即座に投入できる人手が十分いなければ、この戦法は妄想にとどまる。Dが出した数字は、少なくともそれが妄想でなくなったことを証明していた。
わたしは改めてジェスを見た。
「もし本番に出られるなら、明日の朝の作戦会議には必ず来て」
「分かった」ジェスは手を上げ、元気よくわたしに向かって振った。「待ってて」
あまりにも校外学習に参加する小学生みたいで、前日に真空の中で命を手放しかけていた人間と同一人物だとはなかなか結びつけられなかった。
わたしとDが医療室を出る時、廊下は中よりずっと静かだった。
医療区の灯りはいつも白すぎて、人の顔色を悪く見せる。足音が金属の床に落ちるたびに、一音一音がはっきり聞こえた。艦内のどの平穏も、ただ一時的に借りてきた秩序に過ぎないようだった。
外の廊下に出ると、Dがわたしの方を横目で見た。
「星野、体の具合はどうだ」
「だいぶいい」
適当に答えながら、しかしDのいつも歯切れのいい顔に、珍しく何か言いたそうな躊躇いが浮かんでいるのに気づいた。
これは珍しい。
Dは普段、言葉を飲み込むタイプではない。誰かを殴りたければ、誰かを守りたければ、どこかへ突っ込みたければ、たいてい直接言う。今廊下でこんな風に詰まっているのは、かえってわたしを少し不安にさせた。
わたしは足を止め、Dを見た。
「どうしたの」わたしは訊いた。「言いたいことがあるなら言って」
Dは息を吐いた。
重い息だった。次に出てくるのが言葉ではなく、鉛の塊であるかのような重さだった。
「ジェスがわたしたちに言うなって言ってたけど」Dは言った。「でも、お前には知る権利があると思う」
わたしは眉をひそめた。
Dは先に手を上げて一言補足した。
「先に言っておく。話すのはいいが、俺から聞いたなんて言うなよ。あいつを問い詰めるな。その場でキレるのもなしだ」
わたしはDを見た。
「言って」わたしは言った。「怒らない」
Dはわたしをひと目見た。その目は、「一口だけ食べる」と誓った子供を見る大人の目に似ていた。信用はしていないが、最終的には口を開いた。
「お前が目を覚ます前に、ジェスは一度、本当に心肺停止になった」Dは言った。「C班の医療チームが蘇生を続けて、ようやく引き戻したんだ」
その瞬間、廊下の冷気が少し重くなったような気がした。
わたしはすぐには何も言わなかった。
聞き取れなかったわけではない。その言葉が簡潔すぎて、白を切る暇すら与えてくれなかった。あれは単純に呼吸が止まりかけていたのではなく、回収甲板での混乱の中での誤判断でもなかった。ジェスは本当に止まっていた。本当に一度切れていた。本当に他人の力で引き戻されていた。
自分の声が思いのほか静かなのを聞いた。
「心臓は何秒止まってた?」
「三分五十九秒」
Dはそう言ってから、自分でも先に笑い出した。
軽薄な笑いではなかった。生き延びた者だけが持てる、あの苦笑いだった。
「まるで悪ふざけが成功したみたいに」Dは言った。「四分目に入ったら、目が覚めた」
わたしも口の端を引いた。
浅く。
自分でも笑いと呼べるかどうか分からないほど浅く。
「あいつらしいな」
その言葉が口から出た瞬間、白い床単の騒動でとっくに塞がったと思っていた胸の穴が、実は全然塞がっていなかったことに気づいた。ジェスの馬鹿げた悪ふざけが、もっと馬鹿げたやり方で一時的に蓋をしていただけだった。Dが真実を引き剥がした今、その下にまだ熱を持っている傷口が見えた。
あいつは本当に、もう少しで戻ってこれなかったのだ。
医療室でわたしが怒り狂ったのは、騙されて頭に血が上ったからだけではなかった。あの人間が一度本当に向こう側へ少し滑っていたから、だからこそあんなに怒って、殴りたくて、白い床単の下から引きずり出したくて、罵る力の中にまで少し震えが混じっていたのだ。
通路の分岐点に来て、わたしとDは別れる形になった。
Dはわたしに頷いて、背を向けようとした。わたしは思わず声をかけた。
「D」
Dが振り返った。
冷たい白い灯りの下に立つ、壁のような、塔のような男を見て、わたしは心から言った。
「ありがとう」
Dは何も言わず、ただ手をひと振りした。
その動作はぞんざいだったが、わたしには伝わった。
この艦で一番貴重なのは、誰かが上手い言葉を言えることではない。厄介なことになるかもしれないと分かっていながら、それでも真実を知らせることを選ぶ人間がいることだ。
*
翌朝、ジェスは昨夜医療班に組み立て直されたかのように、すっきりとした顔で艦橋に現れた。
最初に目にした瞬間、昨日Dが話してくれた心肺停止の話がDがわたしの根性を試すために即興で作った話ではないかと一瞬疑ったほどだった。目の前の人間は颯爽と歩き、道すがら皆に挨拶して回り、医療区から放たれた患者ではなく、貴族の温泉リゾートから休暇を終えて戻ってきた人間のような元気さだった。
「おはよう、みなさん」ジェスは手を振り、晴れやかな顔で言った。「今日も辺境の慈善事業に励む良い一日ですね」
蘭が目を細めた。
ロイは黙って視線を逸らした。朝から彼女のペースに引き込まれたくないのだろう。アカリは自分の席に座ったまま、ジェスが通り過ぎる時に一瞥した。今のこの体がもう一度高速乗艦に耐えられるかどうかを評価しているようだった。
真紀は主席の前に立ち、全員が揃ったのを確認してから会議を正式に始めた。
「まず確認する」真紀は言った。「今回の行動の主な目標は、AU-1206外縁の巡回戦力を引き離すことだ。何を奪うか、どれだけ奪うかは重要ではない。本当に重要なのは、多点で騒乱を起こして相手を疲弊させ、こちらの位置を誤判断させることだ」
メインスクリーンで、金色の航路とAU-1206周辺のマーカーが一緒に点灯した。
あの図を眺めながら、わたしの胸にはある種の妙な高揚感があった。
略奪に行くからではない。頭の中のあまり道徳的でない種から始まったこのアイデアが、艦橋の会議卓に正式に乗せられた作戦案として育ったからだ。ある意味、犯罪そのものより達成感があった。「海賊になる」を全艦が協力する正式任務として包み上げられる人間は、そう多くない。
真紀は目を上げ、続けた。
「第二に、今回の行動には明確な一線がある」
艦橋の空気がわずかに引き締まった。
「武器を持たない人間を傷つけてはならない」真紀は言った。「脅してもいい、恫喝してもいい、圧力をかけてもいい。しかし実際に手を出してはいけない。非武装の目標に直接死傷をもたらすいかなる行為も、一律禁止」
ジェスはさっきまで笑顔だったが、これを聞いた瞬間、「あ、ルールがあったのか」という失望がわずかに顔に出た。
真紀はその小さな感情の揺れを見ていないかのように、二つ目の条件を続けた。
「それから、力ずくで奪ってはいけない」
この一言には、わたしも思わず片眉を上げた。
真紀はいくつかの視線を受け止めながら、穏やかに説明した。
「表向きは任意の寄付という名目でやる以上、純粋な暴力による略奪にしてはいけない。これはイメージの問題だけでなく、リスク管理でもある。相手が『うるさいが筋の通った変人集団に遭遇した』と感じれば感じるほど、『ただの殺人鬼に遭遇した』と感じるより、警報レベルが最高まで引き上げられにくい」
わたしは頷いた。
この点については昨夜、真紀と既に話し合っていた。
わたしたちが欲しいのは混乱であって、大混乱ではない。巡回艦隊に残業させることであって、要塞を本気にさせることではない。その一線を越えた瞬間、帝国の反応は段階的に跳ね上がり、わたしたちがそれまで積み上げてきた精巧な騒乱劇は即座に自殺の生中継に変わる。
「でも」わたしは口を開き、いくつかの予定接敵ポイントを引き出した。「説得はできる」
ジェスがそれを聞いて即座に笑い出した。
「たとえば、エアロックの前まで連れて行って、とても丁寧に『ご寄付をぜひ』と言うとか?」
「そう」わたしは真剣な顔で頷いた。「でも本当に投げてはいけない」
ジェスの笑みがさらに広がった。
わたしはジェスを見て、最後の一言を付け加えた。
「わたしたちは山賊であって、殺人鬼ではない」
蘭が隣でぼそりと呟いた。
「わたしたちは学生であって、山賊ではない」
「生徒会が本業、山賊は副業」ジェスがすかさず受けた。
「その副業の経歴を持って就職活動したら、風紀委員会に呼び出されるわよ」わたしは言った。
今日は二階堂がいなかった。いなくて良かった。いたら今頃、整頓規則の起草を始めていただろう。タイトルまでわたしが考えてあげた――「生徒会メンバーが辺境での脅迫行為を個人の副業として表現することを禁ずる補足条例について」。
笑いがひと段落すると、真紀が軽く咳払いをして、会議をもう一つの同様に微妙だが、明らかにジェスの集中力を引き出せる核心的な問題へと引き戻した。
「次は分配について」
ジェスが即座に姿勢を正した。
言わざるを得ないが、お金の話になった時の彼女の反応速度は、乗艦警報を聞いた時より速いことがある。
真紀は表情を変えずに続けた。
「今回の全ての……」
真紀は少し間を置いた。この言葉を使うべきかどうか判断しているようだった。
そして何事もなかったかのように言い直した。
「……つまり、全ての寄付所得は、三対七で分ける」
「え?」
ジェスの動きがその場で止まった。
その「え?」には、驚き、疑念、裏切られた感、そして宇宙の公正さに対する深い失望が詰まっていた。
「なんで三割しかないの?」
真紀は眉一本動かさなかった。
「七割は向こうのもの」真紀は淡々と言った。「三割もらえるかどうかも、皇女の顔色次第ね」
ジェスは瞬きした。
「誰の顔色?」
「皇女よ」
「皇女?」
ジェスはもう一度繰り返した。まるでこのキーワードを最終確認しているようだった。
次の瞬間、彼女の顔が一変した。
その変化は面白かった。今日楽しみにしていた豪華な食事がいきなり配給クッキーに変わったような、あるいは半日かけて練習したヒーローの登場シーンが、最終的に宮廷礼儀規則第八条に収まると知った時のような顔だった。
「こんな遠くまで来て」ジェスは目を丸くした。「皇女の顔色を伺うためだったの?」
「そう」真紀は穏やかに返した。
「苦労して船を奪って、海賊の真似事までして」
「そう」
「傷つけてもいけない、力ずくでもいけない」
「そう」
「そのうえ顔色を伺う」
「そう」
ジェスは真紀を見て、「この世界がおかしいのか、自分が今気づいただけなのか」という顔をした。
そして、ついに悲憤に近い口調で、この会議の最初の名言を放った。
「じゃああたし、膝をついて飯を乞うただの乞食じゃないの!」
艦橋が一秒、静まり返った。
次の瞬間、わたしは非常に親切に最後の一刺しを入れた。
「土下座が嫌なら、行かなくてもいいのよ?」
ジェスはわたしに向き直り、その目はすぐにでも飛びかかって二口噛んでやりたいが、自分に理がないので感情を半分飲み込まざるを得ないという表情だった。
これは実は昨夜わたしが真紀と個別に話し合ったことだ。
手に入れたものは全て真紀のところで一度通し、それからより体裁の良い名目に変えて、奨学金、補助金、任務手当のような形で全員に均等に分配する。そうすれば受け取る側の心理的な負担も少なく、本格的に辺境海賊に転職したと本人が思わずに済む。結局のところ、わたしたちがやっているのは帝国の封鎖を迂回する戦術的な操作であって、起業ではない。
「三割しかない」という事実を本当に気にするのは、たぶんジェスだけだ。
あるいはジェスだけが、「倫理的に曖昧な辺境脅迫任務」を即座に個人の所得比率に換算して、その場で不満を表明できる。
それを思うと、わたしはふとジェスをもう一度見た。
ジェスはまだそこで憤慨していた。口の中で「リスク、労働、精神的補償」といった言葉を小声でつぶやき、艦長と海賊業界の基層待遇について交渉を始めようとしているようだった。わたしはその、元気よく跳ね回り、怒り方にも力がある姿を見て、Dに昨日掘り返された胸の冷たさが、ようやく少し引いていくのを感じた。
結構。
分配に文句を言えるということは、まだ生きているということだ。
三割が少ないと言えるということは、かなり元気があるということだ。
それで十分だ。
真紀もわたしのその一瞥に気づいたのだろう。何も言わず、ただ次の議題に移る前に、視線がほんの短くこちらで止まった。その一瞬は淡く、錯覚と言えるほど淡かった。しかし、わたしには読み取れた。
意味はたぶん――もういい、人の顔をじっと見るな、会議はまだ終わっていない。
わたしは黙って視線をメインスクリーンに戻した。
まあいい。
人はまだいるし、口もまだあれだけ動いている。当分は死にそうにない。
これから気にすべきことは、もうジェスが起き上がれるかどうかではない。
人を傷つけず、力ずくで奪わず、礼儀正しいふりをしながら、帝国の辺境巡回艦隊をどうやって翻弄し続けるか、だ。
正直に言えば。
本物の海賊になるより、よほど難しい。
「とても面白い」★四つか五つを押してね!
「普通かなぁ?」★三つを押してね!
「あまりかな?」★一つか二つを押してね!




