214.心肺停止 1
この物語はフィクションです。実在の人物・団体・事件・名称等は一切関係ありません。
わたしとジェスが潜水艦から這い出た時、最初に目に入ったのは海でも空でもなかった。
一列に並んで、順番に開いていく垂直発射管のハッチだった。
あの光景は、うまく言葉にするのが難しい。
正直に言うなら、誰かが氷原全体を過剰に高価なグランドピアノに見立て、鍵盤の蓋を一つ一つ開けながら、人を送り出すために特別に作曲された曲を弾こうとしているような画だった。
金属のハッチが順番に跳ね上がり、その下の深黒色の発射井が露わになる。冷白色の指示灯が一本ずつ点灯し、吹雪と煙塵の中でも整然と、ほとんど神経質なほど規則正しく並んでいる。帝国という存在の本当に恐ろしいところは、火力そのものではなく、破壊すら礼儀作法の展示のように仕上げてくることだ。
わたしは潜水艦の外殻の上に片膝をつき、靴底がまだ滑っている状態で、通信を繋いだ。
「オーバーロード、こちらフロスト01。ミサイル発射確認。帰りの足は?」
真紀の声がすぐに返ってきた。
あの冷静さは、安心すると同時に腹も立つ。安心できるのは、真紀がこういう口調で話せている間は、状況がまだ完全に収拾不能なレベルには達していないということだ。腹が立つのは、他人が死にもの狂いでやっている時にあれだけ安定していられると、今のわたしが十キロ走り終えたみたいに息を切らしているのが、やたらと品がなく見えてくることだ。
『フロスト01、こちらオーバーロード。ミサイル発射確認。格闘艇はすぐ行く』
わたしは少し固まった。
ちょっと待て。
本当に、純粋に固まった。戦術的な理由でも哲学的な理由でもなく、ただ荒唐無稽な現実に頭を一発殴られた後の、あの間抜けな停止だ。
「オーバーロード、こちらフロスト01」わたしはもう一度確認せずにいられなかった。「今のは格闘艇、と言いましたか。輸送機ではなく?」
ジェスはわたしの横でしゃがみながら、まるで最初からこの脚本が優しく書かれていないと知っていたかのような素早さで動いていた。
発煙筒を開けながら、ちらりとこちらを見る。白い煙柱が氷原と崩落した瓦礫の間から一気に噴き上がり、まるでわたしたちのために立てられた、非常に縁起の悪い墓標のようだった。
「怖くないわよ」真紀の声は、驚くほど軽かった。「優しくするよう頼んでおく。オーバーロード、オフライン」
通信は案の定、次の瞬間に切れた。
結構。
真紀は抗議の隙すら与えない。
さすがは生徒会だ。さすがは戦場だ。責任を美しい言葉で包装することに最も長けた二つの機構が、今日エウロパで運命的な合流を果たした。
「諦めなよ、01」ジェスが言う。「少なくとも帰れる」
ジェスの手は全く止まらない。保険の約款が絶対に読みたくない類の小型装置を、ジェスは手際よく地面に放り、氷面に差し込み、固定爪を開いていく。
次の瞬間、その一つの円筒の天蓋が猛然と弾け飛び、折り畳まれていた天鉤気球が一気に膨らんで、見えない手に思い切り引っ張られたように、シュッと上空へ飛び上がった。
普通の気球ではない。
戦場仕様の、死の予約票だ。
気球の末端には、細いが恐ろしく丈夫な特製スチールケーブルが垂れ下がっており、吹雪の中で反射光が一閃一閃と光る。金属の蛇を引き伸ばしたようだ。ジェスはケーブルの端を掴み、先にわたしの腰に素早く一巻きし、バックルを掛け、締め、二重確認した。動作は手慣れていて、ジェスが普段から人の荷物を梱包して送り出す仕事でもしているのかと思うほどだった。それから自分の分のケーブルも固定する。
「ちょっと待って」わたしは自分の腰のハーネスを見下ろした。「ジェス、これ、設計コンセプトが本当に『救助』なの。どう見ても『分別回収』に近いんだけど」
「分別回収も回収の一つじゃん」
「それ、慰めにゼロもならない」
もう一言建設的な文句を付け加えようとした、その瞬間、最初のミサイルが発射された。
氷原全体が、誰かに下から思い切り蹴り上げられたような衝撃を受けた。
轟音。
一発の巨響ではなく、連続した、多点の、背筋が凍るほど精密な打撃だった。遠くの大型通信塔が最初に命中し、上半分が白い閃光の中で折れ飛んだ。まるで黒い注射針を途中でへし折ったようだった。
続いて反対側の大型アンテナアレイ。ミサイルは構造の内部に潜り込んでから炸裂し、金属骨格がちぎれた神経網のように四方へ飛び散った。氷層、鉄骨、電弧、燃焼する破片が同時に舞い上がり、辛うじて秩序を保っていた基地の輪郭は、瞬く間に崩れていく幾何学図形と化した。
いい知らせは、目標に命中したことだ。
悪い知らせは、わたしたちもまだその幾何学の中にいることだ。
地面から、歯が浮くような低い唸りが伝わってきた。
爆発ではない。構造が崩壊する前に上げる、くぐもった呻き声だ。
足元の、わたしたちが一路殺し抜いてきた潜水艦も、それに合わせてぐらりと揺れた。周囲の氷面に白い亀裂が走り、巨大な生き物の眼球が足の裏で突然開いたように見えた。風は氷の粉と焦げ臭さを運び、通信塔が倒れる破片はまだ遠くで一節ずつ落下し続けており、その一打ごとに、わたしの残り少ない安心感の上に落ちてくる。
そして、通信チャンネルに別の声が入ってきた。
「こちらサンダー22。便乗希望者がいると聞いたが」
わたしは一瞬、固まった。
この声は――
「……Fクラスの委員長」
わたしは顔を上げた。
次の瞬間、戦場にあってはならない種類のユーモアというものを、わたしは初めて理解した。
一機の格闘艇が、超低空で高速に切り込んでくる。
「飛んできて人を拾う」という優しいバージョンではない。
「通りがかりに地表からあなたたちをかっさらっていく」という、明らかに狂気のエンジニアリングチームの産物のバージョンだ。機体は氷原を舐めるように轟音で迫り、側翼は崩落した縁をほとんど擦るように飛行し、腹部の推進噴流が積雪と砕氷と煙霧を丸ごと巻き上げた。機首の前端には特製の回収装置が伸び出しており、先端はフックではなく、個性を一切隠そうとしないV字形のアイアンアンカー構造だった。ケーブルを掴むためだけに設計された。シンプル、有効、危険、そして軍のマニュアルに誇らしげに掲載されていそうな代物だ。
「地上戦でよく使う手法なんだよ」ジェスが言う。
「ここのどこが地上に見える」
「地があれば地上でしょ」
「外は宇宙だぞ」
「厳密には、エウロパも宇宙の中にあるから」
こういう時に天文の補足をしてくれるジェスに、わたしは心から感謝した。感謝しながら呪った。
格闘艇が超低空を一閃した。
V字形アンカーは、悪意そのもののような精度で、天鉤気球が引き伸ばしたケーブルをぴたりと捉えた。ケーブルが固定された瞬間、末端の自動解放装置が起動し、気球がパンッと外れ、ケーブル全体がほとんど残酷なほど一直線に張り詰めた。
そして、わたしとジェスは空中に引き剥がされた。
「引き上げられた」ではない。
体ごと、魂ごと、当事者の意見を一切聞く気のない高速の力によって、地表から強引に引き剥がされた、という感覚だった。腰に衝撃が走り、次の瞬間には足元の氷面も、潜水艦の残骸も、崩壊中の基地も、燃える塔架も、すべてが猛烈な速度で下へ縮んでいく。風圧が一気に押し寄せ、視界が砕け散り、五臓六腑がまとめて家出を宣言したかのようだった。
罵る言葉すら最後まで出てこなかった。
口を開けた瞬間、肺が先に後悔した。
正直に言えば、今この瞬間、帝国の軍需産業にも、生徒会の作戦参謀にも、「天鉤回収は実用的だ」と思っているすべての人間に対して、派閥を超えた均等な怨念を抱いている。これは便乗ではない。乗客を荷物として外側に吊るして直送する宅配便であり、しかも「壊れ物注意」と書いてあるのに配達員が全く読んでいない種類のやつだ。
氷原が遠ざかる。
黒い宇宙が近づく。
エウロパのあの薄っぺらい外部環境は、防護服がかろうじて耐えられる境界線の外側へと、あっという間に退いていった。音が消え始めた。詩的な消え方ではなく、物理的な消え方だ。風の音、爆発音、エンジン音、さっきまで鼓膜を叩き続けていたすべてが、誰かが扉を閉めたように一瞬で遮断された。世界が静かになりすぎた。自分の心拍と、酸素供給器の残り少ない送気音と、体の内側から膨らんでくる鈍い圧痛だけが残った。
真空だ。
くそ、真空だ。
わたしたちが身につけているのは、製造者の良心に苦情を申し立てたくなるほど薄い多機能防護服と、水中作戦用に準備された呼吸モジュールだけだ。全く役に立たないとは言わない。少なくともこれのおかげで、自分がまずいことになりつつあると認識できている。人間、あまりにも素早く死ぬと、文句を言う暇すら与えられない。わたしのような性格にとって、それはいくらなんでも割に合わない。
頑張って横を向き、ジェスを見た。
次の瞬間、心臓が一気に沈んだ。
ジェスが意識を失っていた。
誇張でも、痛みに耐えて一時的に目を閉じているのでもない。ジェスはケーブルの反対側に引きずられ、頭が傾き、四肢が脱力し、重さを抜かれた人形のように宙を漂っていた。マスク越しの顔は白く、目が微かに上を向いていた。その光景は怖いほど綺麗で、いつも口が減らなくて嫌になるくらいだった薔薇を、誰かが冷蔵庫の一番冷たい段に無造作に放り込んだような、そういう綺麗さだった。
「ジェス――」
自分の声が聞こえなかった。
もしかしたら、声が出ていなかったのかもしれない。
それでも、わたしは手を伸ばした。
自分もろくな状態じゃない中で、ほとんど本能で手を伸ばした。ケーブルが激しく揺れ、手袋の外層が擦れて火花が散りそうなほどだったが、わたしはロープを伝ってジェスの腕の固定帯を掴み、死にもの狂いで引き寄せた。
せめてジェスを宇宙ゴミにしないように。
その考えが浮かんだ瞬間、自分でも笑いたくなった。
こんな状況でも、こんな品のない文章が出てくるのか。でも人間というのは、意識が遠のいていく時ほど、一番粗くて一番直接的な考えにしがみつくものらしい。その考えさえ守っていれば、他のものはもう少し後で崩れてもいい、というように。
ジェスをこちらへ引き寄せた。
重かった。
ケーブルの引力、体の低体温、視界の縁から押し寄せてくる鈍い黒ずみ、すべてが同時に引っ張り合っていた。指先の感覚がどんどん薄くなり、胸に鉛が入ったようで、目を開けているだけでも力が要った。遠くにアスガルドの格納庫の輪郭がようやく視界に入り、あの巨大な艦体が暗闇の中で回収口を開けて、灯りが別の世界のように明るく見えた。
もうすぐだ。
もうすぐ、だ。
自分に言い聞かせているだけかもしれない。
なぜなら次の瞬間、また視界が揺れ始めたから。
回収甲板の人影がぼやけた色の塊に伸び、ケーブルが減速した瞬間、わたしとジェスはほとんど引きずられるようにして回収エリアへ叩き込まれた。膝が先に甲板を打ち、続いて肩と肘が一緒に砕けるような感触で叩きつけられた。骨を解体して雑に組み直されたかのように痛かったが、それはどうでもよかった。
大事なのはジェスだった。
呼吸を整える間もなく、わたしは自分の顔から酸素マスクを引き剥がし、無我夢中でジェスの顔に押し当てた。バックルがうまく合わなくて、わたしは一度罵って、もう一度押し込み、ようやく固定した。高圧酸素が送り込まれ、マスクの内側に薄く白い霧が広がった。
ジェスに触れた。
まずい。
ひどくまずい。
単純に冷たいのではなく、もう反応が戻ってこようとしていない種類の冷たさだった。
「早く――」
自分の声が聞こえた。砂紙で削ったように掠れていた。
頭が回り始めた。普通の目眩ではなく、世界全体が横へ傾き、光まで重くなるような、あの感覚だ。わたしはジェスから視線を離すまいとして、その薄れかけた意識を必死に繋ぎ止めようとして、甲板を走ってくる人たちに早く来いと念じながら――
「早く来て!」
喉の奥に残っていた最後の力を全部引き絞った。
「ジェスが、呼吸してない――!」
次の瞬間、視界が完全に落ちた。
「とても面白い」★四つか五つを押してね!
「普通かなぁ?」★三つを押してね!
「あまりかな?」★一つか二つを押してね!




