211.贅沢の極み 2
この物語はフィクションです。実在の人物・団体・事件・名称等は一切関係ありません。
「権限の割り当ても終わったことだし、」真紀が口を開き、全員を再び公務の軌道へと引き戻した。「エウロパの状況を確認するわよ」
メイン投影が切り替わった。
白い氷殻に覆われた衛星が回転しながら艦橋の中央に浮かび上がった。天文の教材の挿絵のように美しいが、もしその教材が誠実ならこう注釈をつけるべきだ——ここは寒く、致命的で、帝国軍に満ちている。憧れを抱かないように。
私はデータを引き出し、見ながら今の私の心情に最もふさわしい総括をした。
「結論は簡単よ」私は言った。「超低温。表面は強放射線。帝国軍の基地は地表ではなく、氷殻の下にあり、氷層の底面に逆さまに張り付いているわ」
ジェスが顔をしかめた。
「ちょっと待って、逆さま?」
「そう」私は断面図を拡大し、何らかの寄生金属器官のような基地を完全に見せた。「氷の上に座っているのではなく、氷の下に吊るされているの。上は厚い氷層、下は海。基地本体は、逆さに成長した鋼鉄の鍾乳石の連なりのようになっているわ」
「その形容、嫌いだな」ロイが言った。
「でも的確よ」蘭が追い打ちをかけた。
「良い知らせは、水はいくらでもあるということ」私は続けた。「悪い知らせは、ここの帝国軍は本当に見過ごせないということよ」
真紀は腕を組み、その逆さ吊りの基地の立体画像を見つめ、表情を沈ませた。
私は別のマーカーを点灯させ、エウロパの基地とホーエンツォレルンの封鎖帯の間の情報リンクを引き出した。
「ここは単なる駐屯地じゃないわ」私は言った。「エウロパの帝国基地は、ホーエンツォレルンが伸ばした耳目のようなものよ。一番火力が重い場所ではないかもしれないけれど、私たちが一番警戒すべき場所の一つであることは間違いない。アスガルドがここで探知されれば、その先は『通過が難しい』というレベルの話ではなくなるわ」
私は一拍置き、全員にその言葉を飲み込ませた。
「実質的に、通過不可能になる」
艦橋は再び静まり返った。
外では、アスガルドが相変わらず時代錯誤なほど優雅に緩やかに航行している。
中では、全員の神経が同時に引き締まった。
これが現実だ。
自分の制服に着替えたばかりでも。
語られなかった危険な親密さから抜け出したばかりでも。
ようやく二分間だけ一息つけると思ったばかりでも。
帝国は、私たちが疲れているからといって追跡を一時停止してくれたりはしない。
宇宙も、私たちの心情が複雑だからといって自動的に優しくなったりはしない。
私はエウロパの立体投影を見つめながら、その氷白色の衛星が雪の殻に包まれた罠のように思えた。中には私たちが最も必要とする水があり、私たちが最も残してはならない痕跡がある。こんな場所は、まるでアスガルドのために特注されたかのようだ——贅沢で、危険で、表面は芸術品のように冷たいが、内部は致命的な仕掛けでいっぱいだ。
本当に、この船のスタイルによく似ている。
私は目を上げ、主座、艦長席、そして自分の目の前に点灯した新しい権限インターフェースを見た。
その時、ふと気づいた。次に本当にエウロパに足を踏み入れる前に、もしかすると私たちはようやく少しだけ、自分が一体どんな怪物を操って前に進んでいるのかをはっきりと見る時間があるのかもしれない。
何しろ、アスガルドを連れて帝国の歯の隙間を抜けて連邦に帰るには、少なくともこの荒唐無稽なほど豪奢な戦艦が、一体どれほどのカードを隠し持っているのかを理解しておかなければならない。
そして私には予感があった。
そのカードの中には、絶対に水の問題だけではない何かが含まれていると。
艦橋から出た後、私はようやくこの船がいかに荒唐無稽なまでに振り切れているかを実感する暇を得た。
アスガルドの魅力は、つまるところ、黒曜石の外殻や強力な主砲、あるいは一見して世界を裁くのに適していそうな艦首の輪郭だけではない。本当に残酷なのは、帝国の階級制度を直接立体空間として作り上げ、しかもそれを堂々とやってのけ、恥隠しの布すら掛けるのを怠っていることだ。
下層の居住区、兵士の休息区画は、金属の棺桶を一つ一つ積み重ねたように狭い。人が横たわると、休息というより一時保管と言った方が近い。一人一区画、寝返りを打つには運命に許可を申請しなければならず、くしゃみをすれば隣の部屋にまで響く。帝国の末端兵士への配慮とは、おそらくこういうことだ——眠っている間に漂っていかない穴を一つ与えてやる。快適さと尊厳については、各自で神に苦情を申し立てろ。
中層からは少しマシになる。士官区画には少なくともまともなベッド、独立した洗面所、小型の居間があり、かろうじて「倉庫」から「宿泊施設」へとアップグレードされている。
だがさらに上——つまり艦橋と同じ階層にある皇族の生活区画——そこはもう生活条件が良くなったというレベルではない。
それは奢靡と呼ぶべきものだ。
いや、真面目に生きてきた人間が人格に亀裂を生じさせるほどに奢靡なのだ。
「何て言ったの?」ジェスは目を丸くし、顔いっぱいに『もう一度言ったら平民階級全体を代表して悲鳴を上げるわよ』という衝撃を浮かべていた。「もう一回言って?」
ヘートヴィヒは傍らに座り、ティーカップを手に持ち、今日の夕食のスープがクリームマッシュルームに変わったと報告するような平淡さで、戦艦に社会正義に反する設備があると告げた。
「だから、」ヘートヴィヒは茶を一口飲み、優雅な残酷さに近い淡々とした口調で言った。「この船には人工ビーチと、人工温泉があるのよ」
ジェスはゆっくりと私の方を向いた。
その目は、自分が徹夜しすぎたせいで突然天国の召喚を聞き始めたのではないかと確認しようとしているようだった。
「聞こえた、星野?」
「耳は聞こえてるわ」
「あああああ……」
ジェスは頭を抱えて惨鳴を上げた。それは人工ビーチの存在を知ったからではなく、自分の人生の最初の二十年が無駄だったと知ったかのような悲惨さだった。
「水着を持ってくればよかった!」
私は腕を組み、冷静に彼女の発作を見ていた。
「あなたは修学旅行に来たの? それとも五つ星リゾートのフリープランに来たの?」
「ここまで来たら、何の違いがあるのよ?」ジェスは痛恨の極みといった様子で反問した。「私たちはもう帝国の皇族特造艦を奪って逃走しているのよ。なのに船にビーチと温泉があるなんて! これが何を意味するか分かる?」
「帝国の上層部が『節制』という二文字を人間の言葉として聞いたことがないってことね」
「意味するのは——」ジェスは拳を握り締めた。「私が水着を着て乗艦するのに最適な人生の瞬間を逃したってことよ!」
「あなたの焦点はやっぱりエウロパよりずれてるわね」
「水着なら、船にもありますよ」ヘートヴィヒが付け加えた。
ジェスは半秒間フリーズした。
次の瞬間、主砲に点火されたように、私の一方の手をガシッと掴んだ。
「行くわよ!!! 見に行く!!!」
「ちょっと待って、あなた——」
私は抵抗を完全に起動する間もなく、ジェスに引きずられて二歩前へ進まされた。副艦長の尊厳というものはこういう時には大抵脆い。特に、引きずっている本人が副艦長を引きずっていると全く思っておらず、夢の施設への最後の一枚のチケットを引きずっているとしか思っていない場合は。
真紀は後ろに立ち、私たちを見ていた。その表情はおそらく「こうなると思っていたわ」と「今からこの二人を縛って艦橋に戻すのは間に合うかしら」の間くらいだった。
「ジェス、手を離しなさい」真紀が言った。
「艦長、これは士気管理です!」ジェスは振り返りもせずに大声で叫んだ。「長時間の低燃費巡航中、適度なレクリエーションはストレスを緩和し、チームの結束力を高めるのに役立ちます。これは非常に科学的なんです!」
「あなたの今の言葉は半分がでたらめで、残りの半分はあなた自身も信じていないと疑っているわ」
「私は水着を信じています」
「その一言だけは本心ね」私は言った。
ヘートヴィヒは立ち上がり、ティーカップを置いた。彼女の今日の表情は、先ほど部屋にいた時よりも収束しており、私だけが一瞬見たあの亀裂は、すべて彼女の骨の中に再びしまい込まれていた。だが皮肉なことに、だからこそ彼女を見るたびに、さっきの部屋の扉の内側の、息が詰まるほど静かな空気を思い出してしまう。
本当に面倒だ。
人間の記憶は時として、敵軍のジャミングよりも処理しにくい。
「見学するだけなら、」ヘートヴィヒは淡々と言った。「大きな問題はありません。アスガルドは現在最低航行モードにあり、艦内の高階層居住区を閉鎖する必要もありませんから」
「ほら!」ジェスは神託でも得たかのように即座に言った。「皇女殿下も同意してくれています!」
「ヘートヴィヒはあなたを拒絶しなかっただけよ」私は訂正した。
「私にとっては同じことです」
真紀はこめかみを揉み、最後には運命が自分にそれほど優しくないことをようやく悟ったかのように、崩壊する前に基本的な秩序を維持することを選んだ。
「三十分よ」真紀は言った。「見るだけ。損管班や医療班の処理が必要になるような事故は一切起こさないこと。ロイと蘭は当直に残りなさい。アカリは引き続きレーダーを監視。ジェス、もし人工ビーチを災害現場にしたら、私が自らの手であなたをエウロパの氷層の下に送って頭を冷やさせてあげるわ」
「了解しました、艦長!」ジェスの返事は夏休みの許可をもらった小学生のように響き渡り、楽しげだった。
ロイは操作席から振り返り、ツッコミを入れたいけれど当直要員には羨ましがる資格がないという複雑な表情を浮かべた。
「人工ビーチ……」ロイは小声で言った。「この船、一体どうなってるんだ」
蘭は顔も上げず、通信マスクを校正しながら言った。「今から羨ましがっていたら、後で当直する時に気分がもっと悪くなるだけよ」
「ありがとう、君の慰め方は本当に優しいな」
「私は事実を述べているだけよ」
私はロイのために二秒間黙祷を捧げたくなった。だが残念ながら、ジェスが再び私を引きずって前進し始め、ヘートヴィヒも案内するために振り返った。こうして臨時で結成された奇妙な隊列は——帝国の第三皇女が先頭を歩き、連邦の学生会副会長兼副艦長が損管官に半ば引きずられるように続き、艦長が後ろで私たちが本当に皇族のレジャー施設を解体しないか監視する——という形になった。
どう見ても病んでいる。
しかも完全に病みきっている。
皇族の生活区画へ通じる通路からして、すでに異常だった。
下層の通路が効率と耐久性のために生まれたとすれば、この辺りは設計者が図面に「高級感を出せ」と書いた後、誰も彼を止めなかったかのようだ。壁面は単なる金属ではなく、深い光沢を帯びた黒銀の材質で、極細の暗金のラインが埋め込まれ、枝脈のように曲がりくねって伸びている。照明は冷たい白の軍用灯ではなく、黄昏の残り火のように柔らかな間接照明で、床を踏むと、あるかなきかの流光が映し出される。
見れば見るほどツッコミを入れたくなる。
帝国の末端の兵士は引き出しで眠り、上の人間は美術館のような回廊を歩いている。この階級格差はもはや「不公平」という言葉で形容できるレベルではない。これは社会学の教科書をインテリアデザインにしたようなものだ。
「歴史上、なぜ常に革命が起きるのか、突然理解できたわ」私は言った。
「理想があるから?」真紀が尋ねた。
「狭いキャビンで寝返りも打てない人間が、上の階の人間が星空を見ながら温泉に入っていることに気づくからよ」
ジェスは強く頷いた。
「そう、それは支持する。革命は水着から始まるのよ」
「あなたの政治的啓蒙は、一貫して低俗ね」
「褒めてくれてありがとう」
「私は——」
通路の突き当たりの扉が、ユグドラシルの認証を受けて音もなく滑り開いた。
そして私たちは皆、言葉を失った。
なぜなら、事前に聞いていたとしても、実際に目にするとやはり「帝国という代物は推翻されて当然だ」と思わせるようなものがそこにあったからだ。
人工ビーチが目の前に広がっていた。
それは普通の意味での、プールの脇に少し砂を敷いて、デッキチェアを二つ置いて「これがバカンスだ」と自分を誤魔化すようなものではない。
違う。アスガルドの人工ビーチは、狂気じみたほど本気だった。巨大なドームは逆さまに伏せられた星空のようで、自分が実はまだ戦艦の中にいることを忘れさせるほど深い。
銀河の光の帯がアーチ型のガラスと金属構造の外に広がり、宇宙全体がプライベートな景観として収納されているかのようだ。きめ細かい白い砂が水際に沿って広がり、水の色は夏の入り江の一部を切り取って、こっそり皇族の甲板に隠したかのように澄み切っている。
岸辺にはダークカラーのデッキチェアと華やかなパラソルが並び、海風のシミュレーションまで本物そっくりで、潮の香り、湿度、温度、すべてが完璧だった。
入り口に立って、私の最初の念頭は「綺麗」ではなかった。
それは——
帝国は一体どの段階から、神話の暴君の別荘よりも誇張した戦艦を造ることを決めたのか?
「……やりすぎよ」ジェスは胸を押さえ、声を震わせた。「これはもう贅沢じゃない、侮辱だわ」
「あなたが侮辱されたポイントはどこ?」私は尋ねた。
「『プール』が最高級だと思って育ってきた私たちへの侮辱よ」ジェスは苦しそうに言った。「結果として、ある人たちは生まれながらにして戦艦の中で星の海の景色を見ながら人工太陽を浴びているのよ」
真紀は二秒間沈黙し、最後に最も冷静で最も残酷な結論を出した。
「だからこの船は価値があるのよ」
「艦長、その言葉は少しも慰めになりません」
ヘートヴィヒはすぐには何も言わず、ただ目の前の人工ビーチを見つめていた。まるで彼女がとっくに慣れ親しんでいるのに、私たちがまだ驚いている日常の風景を見ているかのように。
「ここは元々、長期航行中の皇族メンバーや貴賓が休息するために使われていたの」ヘートヴィヒは静かに説明した。「艦での滞在時間が長ければ、晩餐会や小規模な演奏会が開かれることもあるわ」
「戦艦の上で?」私は彼女を振り返った。
「帝国皇族の観念では、」ヘートヴィヒは言った。「戦艦は第一に権力であり、第二に武器なの。権力の延長である以上、生活様式も当然その中に延長されなければならないわ」
私は一時、言葉を失った。
この答えは非常にヘートヴィヒらしい。冷静で、正確で、美しく、そして一寸深く考えれば、その中にどれほど常軌を逸した「当然」が隠されているかに気づかされる。
つまり、アスガルドにビーチがあるのは、誰かの頭がおかしくなったからではない。
帝国の論理において、皇族は戦争によっていかなる生活の質も奪われるべきではないからだ。
下層の兵士? 格子で寝なさい。
上層の皇族? 星空と波の音をお楽しみください。
これが文明だ。
栄光の旗印を掲げ、不平等を金碧輝煌に装飾した文明。
「私、今本当に革命を起こしたい気分だわ」ジェスが言った。
「列に並んで」私は言った。「その枠は大人気だから」
ヘートヴィヒは私を軽く一瞥した。
その目の中を、とても淡いものが掠めた。笑みのようだが完全には形にならず、ため息のようだが認めたがらない。彼女は時々こうだ。感情を氷層の下の水のように隠す。明らかに流れているのに、表面は冷たいままだ。
だがこういう人間が一番厄介だ。
なぜなら一度その下の水を見てしまうと、上には氷しかないと自分を誤魔化すのがとても難しくなるからだ。
「温泉もあるわよ」ヘートヴィヒが言った。
ジェスは瞬時に復活した。
「そうよ! 温泉もあったわね!」
こうして私たちは次に人工温泉を見に連れて行かれた。
さっきの人工ビーチが「プライベート・ベイを戦艦に詰め込む」ものなら、ここは「最高級温泉旅館のコアエリアをそのまま宇宙に持ち込む」ものだった。
同じく巨大なドームの下、湯気が宙をゆっくりと漂い、ダークカラーの石材が水光に照らされて輝いている。円形の湯船が点在し、縁は古典的な趣のある銅金素材で、壁や柱は何かの木の根と神殿を折衷したようなデザインだった。
隅には本当に生け花、石灯籠、そして過剰に美しく整えられた盆栽まである。最も常軌を逸しているのは、片側に淡い色彩の光暈を帯びた光の幕があり、大人しく飼い慣らされた虹のように垂れ下がっていることだ。
私はその湯気立ち込める光景を見つめながら、突然思った。先ほどの主砲も、権限も、ワームホールジャンプも、さらにはフライブルクの蒸発でさえも、この瞬間ほど帝国皇族の精神汚染を体現しているものはないと。
「アスガルドに温泉がある」私はゆっくりと言った。
「ええ」真紀が言った。
「本当に温泉がある」
「そうね」
「戦艦の上に」
「そうよ」
私は振り向いて真紀を見た。
「私たち、今実はすごく長い悪夢を見ているんじゃないかしら?」
真紀はなんと本当に半秒間考えた。
「もし悪夢だとしても、すごく高価な悪夢ね」
ジェスはその場で手を叩いた。
「さすが艦長、その言葉、入り口に刻んでおきたいです」
私はこめかみを押さえ、自分が最近受け止めている情報量が少々非人道的だと深く感じた。
昨日は帝国港区からどうやって生きて逃げ出すかを考えていた。
今日は皇族旗艦の人工温泉の前に立ち、この奢靡な施設が軍事用途に数えられるのか、それとも文明の病の兆候なのかを真剣に悩み始めている。
人類の適応力は、時として私が認めたくないほど恐ろしい。
ジェスはすでに水面、湯気、そして更衣エリアに対して、ほとんど信仰に近い眼差しを向けていた。
「それで、」ジェスはゆっくりとヘートヴィヒを振り返った。「水着は本当にあるの?」
「あるわ」ヘートヴィヒは極めて平穏に答えた。
「浴衣は?」
「それもあるわ」
「……宣言するわ」ジェスは両拳を握り締め、目に涙を浮かべた。「帝国の政治がどれほど腐りきっていようと、アスガルドの施設部門だけは歴史に優しく記録される価値があるわ」
「あなたの歴史観は非常に危険ね」私は言った。
「私の歴史観はとても誠実よ」
「それは救いようがないって言うのよ」
真紀は息を吐き出した。自分の忍耐力と最後の交渉をしているかのようだった。
「今日は入っちゃダメよ」彼女は言った。
ジェスは雷に打たれたようになった。
「どうして?!」
「私たちは見学に来たのであって、正式な休暇に来たわけじゃないから」真紀は冷ややかに言った。「それに、この後まだエウロパへの潜入、補水、探知回避のプランを話し合わなきゃいけない。もし今浸かって出たくなくなったら、次の会議はあなたが浴衣姿で戦術報告をするの?」
ジェスは口を開けた。明らかに「実はそれでも構わない」と言いたそうだったが、真紀の視線を前にして、最後は涙を呑んでその言葉を飲み込んだ。
私は危うく吹き出しそうになった。
その時、傍らのヘートヴィヒが突然口を開いた。
「エウロパの件が片付いて、状況が許せば、ここは開放してもいいわよ」
ジェスは即座に振り向いた。
その表情は、すでに死刑を宣告された囚人が、突然裁判官から「待って、急ぐな、執行猶予がつくかもしれない」と告げられた時のようだった。
「本当に?」
「生きて帰ってこられればの話だけど」ヘートヴィヒは淡々と言った。
ジェスは二秒間沈黙し、それから厳かに頷いた。
「わかった」彼女は言った。「温泉のために、私は勇敢に戦うわ」
「あなたの動機は低級で安心するわね」私は言った。
「副艦長、これがとても効果的だということは否定できないでしょう」
その点については、私も反論のしようがなかった。
なぜなら、ある意味で、アスガルドはまさにそういう船だからだ。
荒唐無稽で、奢華で、冷酷で、儀式感を重んじ、リゾート施設まで戦艦の中に作り込んでいる。だがだからこそ、どんなスローガンよりも具体的に、帝国とは一体どういうものかを私たちに思い出させるのだ。
これは単なる軍事兵器ではない。
権力、美学、階級、浪費、そして暴力を一体に溶かし込んだ怪物だ。
「とても面白い」★四つか五つを押してね!
「普通かなぁ?」★三つを押してね!
「あまりかな?」★一つか二つを押してね!




