207.巡洋戦艦アスガルド 2
この物語はフィクションです。実在の人物・団体・事件・名称等は一切関係ありません。
私だけが、二歩前に進んだ後、ふと立ち止まった。
「おかしいわね」私は眉をひそめた。
真紀が首を傾けた。
「何が」
「さっきの私たちの動き、小さくなかったわ」私は言った。「貨物室、武器庫、整備エリア。普通ならいくら鈍感でも、誰かが警報を鳴らしているはずよ」
ジェスが肩をすくめた。
「帝国の艦艇の労働倫理も、彼らの貴族の晩餐会と同じで、優雅さを重んじて、何かあればまず袖口を直すんじゃないの」
「それにしては直す時間が長すぎるわ」私は言った。
ヘートヴィヒがここで後ろから口を開いた。
「この船がまだ起動していないからよ」
私たちは一斉に彼女を見た。
彼女は艦内の白い照明の下に立っていた。あの帝国軍礼服はまだ着替える暇がなく、朝の演説の時ほどの清潔さは失われていた。肩には埃がつき、袖口には血がつき、表情も昨日より早く成熟していた。叛国の縁に立つことは、確かに人を鍛えるらしい。
彼女は静かに説明を続けた。
「帝国の高級戦艦、特に新造艦は、その多くが遺伝子ロックと皇族権限による管理を採用しているわ。正式起動前は、多くのメインシステムがスタンバイ状態で、完全には連動しない。内部警報、全艦封鎖、武器の権限付与も含め、一部は指定された権限を通じて解除しなければならないの」
彼女は私を一瞥した。
「皇族のDNAがなければ、本当の意味での起動はできないわ」
貨物室の通路が一時静まり返った。
それからジェスが真っ先に笑った。
嘲笑ではない。テストの最後の問題の答えが隣の席にあると突然知った時の、気分の良さから来る笑いだ。
「最高じゃない、鍵のお嬢さん」
ヘートヴィヒは即座に眉をひそめた。
「マッカロウさん、私は道具ではありません」
「わかったわ」ジェスは全く意に介さず言い直した。「喋って、怒って、しかも船まで動かしてくれる高級な道具ね」
「ジェス」真紀がもう一度彼女を呼んだ。
今回は私まで危うく吹き出しそうになった。
ヘートヴィヒはこの呼び方にかなり言葉を詰まらせたようで、反論したい気持ちと、自分が今この艦強奪事件全体で最も重要な「生きた鍵」であることを認めざるを得ない現実との間で、顔色を微妙に変えていた。
そこで私は非常に思いやりを持って彼女のために総括してあげた。
「ご安心を、殿下。道具には通常、発言権はありません。あなたは明らかに違います」
彼女は私を睨みつけた。
よし、まだ人を睨む気力があるなら、状態は悪くない。
私は視線を再び前方の、艦橋へ続くメイン通路に向けた。白い照明のラインが床に沿って伸び、その突き当たりには通常のハッチよりも分厚い気密扉がある。その奥が、この船の本当の頭脳だ。
私は手の中の銃を握り直した。
「良い知らせは、この船がまだ眠っているような状態だということ」私は言った。「悪い知らせは、これから目覚まし時計を止めに行って、鍵を差し込まなければならないということよ」
Dがニヤリと笑った。
「修学旅行よりずっと面白いな」
「連邦教育省がそのセリフを聞いたら、お前を即刻退学にするだろうな」ロイが言った。
「じゃあ聞かせるな」
真紀が半歩前に出て、艦橋へ続くその扉に視線を落とした。
「無駄口はいいわ」彼女は言った。「行くわよ」
私は頷き、一人一人の顔に視線を走らせ、最後にヘートヴィヒで止めた。
「殿下、ここからは本当に後戻りできませんよ」
ヘートヴィヒは前を見つめ、一秒沈黙し、それからごく軽く答えた。
「今日はその言葉を何度も聞いたわ」
「これが最後になることを祈るわ」
そう言って、私は銃口を上げ、前方の通路に狙いを定め、艦橋へ向けて第一歩を踏み出した。
艦橋前区の最後の気密扉は、私の想像以上に骨があった。
材質のことではない。材質がいくら硬くても、所詮は鋼鉄だ。本当に骨があるのは、扉の向こうにいる人間たちだ。彼らは少なくとも、貨物室の整備員のように、負傷兵の車から這い出してきたばかりの連邦の二年生を見た途端、人生の選択肢を「しゃがむ」と「死なない」に単純化したりはしなかった。
この連中には職業精神がある。
残念ながら、職業精神は通常、死に方をより正式なものにするだけだ。
私は扉の脇に張り付き、真紀に合図を送った。真紀は反対側に立ち、指先はすでに扉の脇の緊急オーバーライドパネルに触れている。蘭は後ろで臨時に接続したケーブルを使い、この扉の最後の権限ロックを剥がすのを手伝ってくれている。ヘートヴィヒは私たちの半歩後ろに立ち、その表情は静かだった。扉が開けば、今日起こったすべてのことが本当に後戻りできなくなることをすでに理解しているかのように静かだった。
よし。
どうせ私たちも、最初から引き返すつもりなどなかったのだから。
「開け」
私の言葉が終わるのと同時に、真紀の手元のオーバーライドプログラムが一瞬で走った。
気密扉が左右に開く。
私たちが顔を出すより早く、十数条の光線が真正面から飛び込んできた。
それは余裕のある銃撃戦の幕開けなどではない。向こうには警告もなければ、「何者だ」というドラマチックな無駄口もない。扉の隙間が開いた瞬間、光線は早起きの毒蛇の群れのように噛み付いてきて、ドア枠の縁をその場で白く焼き焦がした。私が艦橋の輪郭を半分覗き込んだ次の瞬間には、真紀に強引に引き戻され、背中を壁に強く打ち付けた。
「チッ」
私は先ほど袖口を掠めた焦げ跡を見下ろし、瞬時に不機嫌になった。
「中の連中、真面目に仕事しすぎよ」
「喜ぶべきことかしら」真紀が冷ややかに返す。
「喜べないわ」私は手首を振った。「でも、死んでもらう価値はあるわね」
扉の向こうの射線は完全に固定されている。相手は明らかに艦橋の内側で早くから角度を固めており、扉が開けば標準的な扇形の封鎖射撃が来るようになっていた。こちらが無理に顔を出せば、一人ずつ順番に撃ち抜かれるだけだ。
だから私は振り返った。
「D、来い」
Dは後方の通路脇に寄りかかり、奪ったばかりの帝国戦闘用ハーネスを不満げに調整していたが、私に呼ばれると即座にニヤリと笑った。その笑顔は、彼が本当に戦いに来たのか、法律で明文禁止されている娯楽イベントに参加しに来たのか、非常に判断に迷うものだった。
「やっと俺の番か?」
「私がここまでお前を連れてきたのは、人種差別ドキュメンタリーの主演を演じさせるためだと思ってたの?」
「良心に目覚めたのかと思ってたぜ」
「私にそんな臓器はないわ」
Dはハッと笑い、傍らの艦内警備装備ラックから対光線シールドを直接引き抜いた。本来は艦内の治安部隊が使うべきもので、シールドの表面には青みがかったエネルギーコーティングが施され、縁は暴徒と道理を説くための専用かと思うほど分厚かった。もう片方の手にはあの戦斧を提げている。彼が背筋を伸ばして立った時の画面は、荒唐無稽なほど完成されていた。
大柄な黒人の青年が、帝国の制服を着て、戦斧を提げ、帝国の艦内治安シールドを掲げ、連邦の二年生の代わりに帝国の新造艦の艦橋を解体しに行こうとしている。
この物語、私が自分の目で見なかったら、私自身だって信じないだろう。
私はシールドの表面を叩いた。
「第一波を凌げ、火線をこじ開けろ。死ぬなよ」
Dは横顔を向け、非常に殴りたくなるような笑みを浮かべた。
「お前のその心配の言葉、人を階段から突き落とす前に『足元に気をつけて』って言うのと同じに聞こえるぜ」
「無駄口叩かずに行け」
次の瞬間、彼は本当に突っ込んだ。
Dは遠慮したり、美学を気にしたり、突撃の前にカッコいい台詞を唱えたりするような人間ではない。彼はどちらかといえば、突然人格を持つことを決定した破城槌に近い。シールドを掲げ、肩を沈め、そのまま艦橋の内側へと直接激突した。十数条の光線がほぼ同時にシールドの表面に叩きつけられ、青白い光の痕跡が表面で炸裂し、中で誰かが祭りをしているかのように眩しく光った。
「わお」ジェスが私の横で口笛を吹いた。「これ、本当に黒い流星って感じね」
「変な渾名をつけるな」私は言い捨て、即座に姿勢を低くして続いた。
Dが突入したその瞬間、封鎖角度全体が彼一人によって強引に歪められた。艦橋内の当直将校たちは明らかに、扉の向こうから突入してくるのが標準的な突撃部隊ではなく、前進するシールドと、人を労災事故に仕立て上げる戦斧だとは予想していなかった。
最初に発砲した不運な奴は、銃口を横にずらす暇もなく、Dに座席ごと撥ね飛ばされた。後退しようとした二人目は、彼の反手の斧でライフルを真っ二つに叩き割られた。金属の破裂音が艦橋内に響き渡り、誰かが船の経費で私たちのために余興を盛り上げているかのようだった。
「入れ!」
私は叫び、自ら扉の内側の左死角へ滑り込み、銃を上げてメインコンソールに最も近い武装当直員を一人仕留めた。真紀が反対側から切り込み、無駄な動きを一切見せずに、まず右側の二つの火力ポイントを制圧し、次に警報レバーに触れようとしていた下士官を反手で通信席に投げ飛ばした。
ロイと蘭も続いた。
ロイは普段、学生会の報告書の裏にこっそり落書きを増やすような人間に見えるが、いざ本番となると、動きは驚くほど安定していた。
彼は右上の監視モニター横のサブコンソールを一発で撃ち抜き、そのエリアにいた二人の当直員から最後の勇気を強引に奪い去った。蘭は彼よりもさらに静かだった。彼女は隅から滑り出てくる刃の影のようだった。手を出せば最短経路で、まず銃を奪い、次に足をすくい、そして相手を床に押さえつける。その一連の動作は、行政手続きを暴力バージョンに変換したかのように清潔だった。
アカリの突っ込みが一番激しかった。
あの子は肩の偽包帯をとっくに引き剥がしており、頭から飛び込んだ時には「ついに私の番」というようなキラキラしたオーラすら漂わせていた。もし彼女に旗を持たせたら、艦の強奪を文化祭の開会式にしてしまうのではないかと疑うほどだ。
「右側クリア!」彼女は大声で叫んだ。
「艦橋を遊園地にしないで!」真紀が彼女に言い返した。
「はい、会長!」
艦橋内の第一波の抵抗は、Dのあの理不尽な突撃の時点で半分崩壊していた。残りの半分の中で、本当に厄介なのは戦える人間ではなく、破壊しようとする人間だ。
なぜなら、私が中央エリアの最後の武装当直員を仕留めた直後、メインコンソールの後ろで、艦長らしき男が艦橋のメインシステムに向かってよろめきながら飛びついたからだ。その男はそれほど年をとっていないが、制服は十分に新しく、肩章も十分に清潔で、驚きと怒りで顔がひどく歪んでいた。彼は尻尾を踏まれた獣のように嘶きながら、メインコンソールの一番内側にある封印レバーを引こうと手を伸ばした。
「帝国の戦艦が、貴様らのような悪党の手に落ちるなど断じて許さん!」
私は心の中で「まずい」と罵るのが精一杯だった。
こういう人間の最も厄介なところは、忠誠心があることではない。自分が負ける前に、テーブルの上のカードを全部燃やしてしまうほどに忠誠心が強いことだ。艦橋の設備、もし彼に重要なノードを破壊されれば、今日私たちが殻を奪ったとしても、高価なゴミの山を抱えて軍港の中で死を待つしかなくなる。
私が銃を上げようとした時、ヘートヴィヒが私より一歩早かった。
本当に、一歩だけだ。
彼女がいつそのエネルギーハンドガンを抜いたのか、私には見えなかった。一秒前まで彼女は私の後ろに立っていたのに、次の瞬間には、光線が私の耳元をかすめ、あの艦長の顔面にきれいに突き刺さっていた。
警告も、躊躇も、余分な台詞もなかった。
その光線は直接彼の顔面を後方へ吹き飛ばした。男は二つ目の忠言を言い終えることもなく、電源が切れたように後ろへ倒れ込み、副操縦席の半分をなぎ倒した。
艦橋全体が一拍静まり返った。
私でさえ一拍静まった。
正直なところ、ヘートヴィヒがただのひ弱い飾りではないことも、今日ここまで歩んできて、とうの昔に潔白とは言えなくなっていることも知っていた。だが、彼女がコンマ数秒で判断を下し、銃を抜き、発砲し、殺害し、しかもそれが冷酷なまでに正確であったのを目の当たりにすると、心の中で彼女の評価欄を新しく作らざるを得なかった。
この第三皇女、殺伐とした決断力が少し度を越している。
ヘートヴィヒはその滑り落ちる死体を見つめていたが、表情には何の揺らぎもなく、ただ前に歩み寄り、腰をかがめて床に落ちたエネルギーハンドガンを拾い上げ、銃柄を私の方へ差し出した。
「彼に世界樹システムを破壊されたら、私たちは離陸できなくなるわ」
私は銃を受け取った。彼女の掌の残熱がまだ感じられた。
あの不運な艦長は、帝国の軍艦を守るために、帝国の第三皇女に撃ち殺される日が来るとは夢にも思わなかっただろう。
この世界は時として、皮肉なほど公平だ。
私はその銃を腰の後ろに差し込み、ついでに端末を繋いだ。
「二階堂」
公開周波数の向こうから、すぐに二階堂・フレイヤの、イライラしているが私が今忙しいことを認めざるを得ない声が聞こえてきた。
「何よ」
「人を何人か寄こして捕虜を押さえて。艦橋の事後処理をする。ついでに死体袋一つと清掃ロボットを準備して」
相手は半秒沈黙し、それから非常にあっさりと返した。
「……あなた、喋り方がどんどんプロの犯罪指揮官みたいになってるわね」
「ありがとう、早くして」
間もなく、二階堂の人員が到着した。
全員が二年生で、修学旅行のリストから直接艦の強奪現場へ引きずり込まれた学生たちだが、艦橋に入ってきた時の、皆の「もう後戻りできないんじゃないか」という表情は、非常に記念すべきものだった。私は制圧した数名の艦橋当直員を彼女たちと彼らに引き渡し、ついでにあの艦長の死体を指差した。
「二階堂に伝えて。人員を退避させた後、離陸前に、彼女たちと彼らを全員外へ放り出すようにって」
私は一拍置き、付け加えた。
「生きている者は縛って、死んでいる者は袋に入れて。貨物室を安っぽいホラー映画みたいにしないでね」
風紀委員の一人が口元を引きつらせたが、それでも力強く頷いた。
よし。
二階堂のあの組織病は、正しく導かれれば驚異的な効率を発揮する。私が彼女を鬱陶しく思いながらも、決して侮れない理由はここにある。
ヘートヴィヒがこの時、立体投影パネルを持って歩いてきた。見たところ、艦橋の副席から無理やり引き抜いてきたようだ。
「星野、まずはこの船について手早く理解しておいた方がいいわ……」
彼女が言い終わらないうちに、船全体の基地警報がついに不承不承といった感じで鳴り響いた。
その音は悲しいほど遅く、何か巨大な体制が、最悪の事態がすべて終わった後になってようやく、自分たちが本来仕事をするべきだったとハッと目覚めたかのようだった。鋭い警報音が艦内通路に沿って響き渡り、照明の色も先ほどの冷たい白から警戒の赤へと変わった。
どうやら、私たちが追い出したあの連中が、ようやく十分に遠い場所まで逃げて告げ口をしたらしい。
私は彼女の手にある投影パネルを一瞥した。
「後で見るわ」私は言った。「どうせ操作は大同小異よ」
ジェスがその場で頭を抱えた。
「ああ、雪風号を思い出させないで」
「安心して」私は戦術席へ歩きながら返した。「今回は暗記する量が少ないことを祈るわ」
真紀はすでに極めて自然に艦長席の前に歩み寄っていた。
その瞬間、その光景がなぜあんなにもしっくりきたのか、言葉で説明するのは難しい。おそらく、彼女には元々、高い位置に座り、全員を処理すべき案件として扱うのが似合う気質があったからだろう。
あるいは、今日最初から最後まで彼女があまりにも安定していて、この椅子が彼女に奪われたというより、椅子の方が最初から彼女を待っていたように見えたからかもしれない。
彼女が座る時、余分な躊躇は一切なかった。
まるでその席が、元々彼女のために残されていたかのように。
「全員配置へ」真紀が言った。
彼女は目を上げて艦橋を見渡した。その口調は、これが帝国軍港内での武装強奪ではなく、ただの学生会の例会であるかのように平坦だった。
「シモ、あなたは戦術長。ジェス、ダメージコントロールとモニタリング。蘭、通信。アカリ、レーダー。ロイ、あなたは引き続き操舵よ」
彼女は一拍置き、後からついてきた数名の二年生の委員長たちに命令を下した。
「B班、C班、D班の委員長、あなたたちはCICに入り、状況の集約と各区画からの報告を担当して」
「殿下、起動をお願いします」
ヘートヴィヒは頷いた。
「ええ」
Dが隣に立ち、斧を提げたまま、明らかに少し傷ついた表情をした。
「ちょっと待て、俺はどうなるんだ」
真紀は顔も上げずに一秒考えた。
「あなたはフレイヤの鎮圧を手伝いに行きなさい」
彼女はさらに付け加えた。
「あるいは、彼女が教条で人を殺そうとするのを止めて」
Dはニヤリと笑った。
「その仕事、気に入ったぜ」
「全く意外じゃないわ」私は言った。
ヘートヴィヒが艦橋のメインコンソール前に歩み寄り、両手をコンソールのセンサーエリアに置き、少し俯いて、顔面認証装置に自分の顔の輪郭をスキャンさせた。
次の瞬間、艦橋のメイン環列全体が一斉に点灯した。
後で私たちに砲撃の支援をしてくれるとはとても信じられないほど穏やかな女性システムの音声が、艦橋内に響き渡った。
「システム認証完了。ヘートヴィヒ・フォン・ヴィッテルスバッハ殿下、ご乗艦を歓迎いたします。私は第七代人工補助知能システム、世界樹、ユグドラシル(Yggdrasil)です」
よし。
名前も実に帝国らしい。
ヘートヴィヒは時間を無駄にせず、直接命令を下した。
「システム、エンジン点火、各外部ハッチ閉鎖、出航準備」
「警告」世界樹の音声は依然として穏やかで、殴りたくなるほど穏やかだった。「管制塔から出撃命令が発せられていません」
「この検証をスキップし、武器管制を解除」
ヘートヴィヒは振り返って私を見た。
「火器管制権は戦術長に委譲するわ」
私は戦術席に座り、展開されたばかりの武装ページを一瞥し、思わず苦笑した。
「悪くないわね」私は言った。「雪風と重複している装備がいくつかあるわ。今回は暗記を減らせそう」
ジェスはダメージコントロールとモニタリング席に座り、全艦状況パネルを接続しながら鼻を鳴らした。
「そのセリフが良いことのサインじゃないって、わかってたわよ」
「それは私が今、かなり機嫌がいいってことよ」私は言った。
艦橋のメインディスプレイに、外部映像と港区の火器管制ネットワークが同時に展開された。軍港の格納庫の扉、中央管制塔、近隣の泊位の艦艇、外周の追撃能力を持つ三隻の船が、復讐のチェックリストのように私の目の前に並んだ。
よし。
これでこそだ。
私は手を伸ばし、一号砲塔を格納庫の扉へドラッグした。
「一号砲塔、格納庫の扉をロック」
さらに二号砲塔を中央管制塔へ切り替える。
「二号砲塔、管制塔をロック」
三つ目のカーソルは、私たちに最も近く、私たちが出港した後に真っ先に噛み付いてくる可能性が最も高いあの戦艦に落とされた。
「三号砲塔、最も近い戦艦をロック」
続いて、垂直ミサイル発射システムを展開し、対艦大型ミサイルのシーケンスを選択した。
「垂直ミサイルランチャー、対艦大型ミサイル装填、パルジファル(Parsifal)。目標、残りの三隻をロック」
アカリがレーダーパネルを見つめ、興奮のあまり声が少し上ずっていた。
「ロックオン完了」
ロイは操舵環列に手を置き、珍しく静まり返っていた。普段いい加減な人間も、正しい場所に置かれれば変わるものらしい。
真紀は艦長席に座り、前方にある、急速に後悔の念に包まれようとしている軍港を見つめた。
「承認」彼女は言った。「実行」
私は少し笑い、指で直接発射ボタンを押し込んだ。
「超高温プラズマ砲、ムスペルヘイム(Muspelheim)、発射」
次の瞬間、船全体が熱すぎる息を猛然と吐き出したかのようだった。
一号砲塔から発射された超高温プラズマビームが、宇宙港の格納庫の扉を直接溶かし抜いた。その厚い金属の扉は、真っ赤に焼けた針で突き破られた薄膜のように、まず光り、次に崩れ落ち、最後には全体が外側にめくれ上がった火色の裂け目となって溶け落ちた。
ほぼ同時に、二号砲塔のプラズマビームが中央管制塔を薙ぎ払った。
それは爆発というより、高層ビルの一区画が現実から一瞬で消し去られたような光景だった。銀白色の高温の奔流が塔の胴体に撃ち込まれ、次の瞬間、管制塔全体が中段から溶け崩れた。指揮窓、通信アレイ、外壁装甲が一緒に崩壊し、炎が内部から無理やり絞り出されるように炸裂した。
三号砲塔はさらに直接的だった。
隣の、元々は私たちの「僚艦」と呼べたはずの新造船に向かって、一撃で貫通させた。
同じ泊位区に停泊し、何が起きているのか理解する暇もなかった戦艦は、艦腹をその場で焼き抜かれた。火柱が噴出したその瞬間から、その船はもう誰にも追いつけない運命となったのだ。
そしてパルジファル。
あの代物は元々、優しさなど持ち合わせていない。
垂直発射機が次々と開き、数発の対艦大型ミサイルがほぼ同時に飛び出し、長い尾を引きながら、追撃してくる可能性のある残りの三隻の艦艇に向かって突進した。続く数秒間、帝国軍港全体は、機嫌の悪い神様に頭を押さえつけられて火の中に突っ込まれたかのようになった。ミサイルの命中、至近弾、破片の雲、二次爆発、燃料火災、警報音、通信の乱れが、すべて同じ画面上で同時に花開いた。
帝国軍港全体が、瞬く間に火の海と化し、阿鼻叫喚に包まれた。
私は、さっきの第二管制線の中佐に少しだけ黙祷を捧げたくなった。もし彼が今も生きていて、この光景を見ているなら、腸がちぎれるほど後悔しているだろう。
残念ながら、この世界にはどんな薬もあるが、後悔の薬だけはない。
私は武装のチャージを再調整しながら、横目でヘートヴィヒを一瞥した。
彼女は艦長席の隣の、少し低い位置にある席に座り、一言も発していなかった。
だがその姿には、本当に奇妙な圧迫感があった。学生会の書記でもなく、叛国を強いられた若い皇女でもなく、すでに未来を見据え、帝国の権力の中枢の縁に本当に座っている者のように見えた。炎の光が彼女の横顔を照らし、また暗くしたが、彼女のまつ毛はほとんど動かなかった。
私はふと思った。もしある日、この女が本当にさらに高い地位に就いたなら、銀河はそれほど退屈しないかもしれない、と。
「真紀、拘束アーム解除されたわ」ジェスが彼女に向かってOKのサインを出した。
真紀は前方から視線を外さなかった。
「ロイ」
「了解」
「アスガルド、出航」
ロイが両手で操舵環列を押し下げた。
次の瞬間、艦全体の重力感が変わった。
鋼鉄の巨艦が、艦腹の噴流とメインエンジンの点火によってゆっくりと持ち上がり、まだ燃えている貨物泊位から身を引き剥がした。まるで、ついに鎖から立ち上がることを決めた獣のように。外にあるのは、私たちが打ち砕いた格納庫、折れた塔、燃える船、そして全体が悲鳴を上げている帝国軍港だ。
そして私たちは、その炎と過ちを踏みつけながら、強引に飛び立った。
「とても面白い」★四つか五つを押してね!
「普通かなぁ?」★三つを押してね!
「あまりかな?」★一つか二つを押してね!




