203.夜更けの訪問者 2
この物語はフィクションです。実在の人物・団体・事件・名称等は一切関係ありません。
晩餐会が散会する音は、始まりとは少し違った。
始まりは弓を引くようで、全員が背を伸ばし、笑顔を整え、家名、家柄、学歴、軍階、礼儀を全部身に纏っていた。散会は弦を緩めるようで、食器の音はまだ続き、ヒールはまだ規律正しく床を叩き、会話もまだ美しい音量を保っているが、場を支えていた力はすでに引いていた。誰もがまだ人間らしく見えたが、ようやく生きた人間らしくなってきた。
私と真紀は側廊に沿ってメインホールを出て、半開きのドアを二枚回り込み、ようやく更衣室外のそれなりに静かな廊下へと出た。照明は金色から冷たい乳白色へと退き、楽団の音は幾重もの壁を隔てて、ぼんやりとした残響だけが残っていた。まるで体裁にこだわる幽霊が、晩餐会はもう終わりだということを認めたくないかのように。
私は立ち止まり、まずハイヒールで立ち位置を定めてから、ゆっくりと息を吐き出した。
その息は胸の中に長く圧し込まれていた。肋骨の中に根を張ってしまうかと思うほど。
真紀は私を一瞥し、急かさず、先に口を開こうともしなかった。
これが、あいつのことを比較的耐えられると思う理由の一つだ。時々、法令条文のように話して鬱陶しいが、黙るべき時は、人として分を弁えている。
私は手を上げ、額の辺りの銀白色のウィッグを後ろへ払いのけようとしたが、指先が宙で少し止まった。
「あの手法が嫌いなの」
声が口から出た時、自分でも少し乾いた音だと思った。
真紀は壁に寄りかかり、姿勢はまだ真っ直ぐで、白い軍礼服は冷たい照明の下で過剰に規律正しい雪のようだった。
「どの手法?」
「育ちの良いやつ」
私は笑ったが、笑みは薄く、自分でも納得できないような笑いだった。
「粗野なのは対処しやすい、欠礼なのも対処しやすい、不快感が顔に書いてあるから。一番厄介なのは、言葉が美しくて、手も半寸しか余分に動かさず、距離もほんの少ししか近くならない。こっちが怒ったら、むしろ自分の方が品がないように見えてしまう」
真紀は二秒間黙ってから言った。「線がどこにあるか知っているから」
「そう、それで線の上を踏んでくる」私は頭を壁に預けた。「踏んだ後もこちらに笑いかけて、まるで良い教育を受けた人間のような顔をしている」
「今、観察報告を書いているみたいね」
「違うわ、今は遺書を書いている気分よ」
真紀の口角が動いた。笑いたいようでもあったが、このタイミングで笑ったら私に首を絞められると判断したのか、堪えた。
私は目を閉じ、舞踏会で近づきすぎた何人かの顔を、頭の中で一枚ずつ通過させた。実際には表面上、誰も行き過ぎたことはしていない。だがそういう表面上の行き過ぎなさこそが、より鬱陶しい。炎の星の件の後から、ある種のものへの耐性が骨の中から一塊くり抜かれたかのようになっている。帝国の男性、制服、発音が綺麗、物腰が抑制的、指先が整っている。いくつかの条件が重なると、胃がこの文明社会に対して異議申し立てを始める。
「さっき一瞬、シャンパングラスを直接誰かの顔に被せたくなった」
「一瞬だけなら、成長したわね」
「あなたの励まし方、軍法会議みたいよ」
「誉め言葉として受け取るわ」
「誉めてないわよ」
「受け取ることはできる」
私はついに横を向いて彼女を見た。
「九島真紀」
「ん」
「今夜、本当に王子みたいで、鬱陶しかった」
真紀は眉一つ動かさず、ただ平坦に返した。
「あなたも今夜、王子に拾われそうな面倒な人物みたいだったわよ」
私は呆気に取られ、それから堪えきれずに笑い出した。
なるほど、こいつは悪くなった。
しかも覚えが早い。
笑い終えると、胸の中に詰まっていたものがようやく半分だけ緩んだ。私は体を起こし、手を上げてイヤリングを外そうとした。指先がまだ届いていないのに、真紀が先に手を伸ばし、髪の毛に絡まっていた金属の留め具を外してくれた。動作は安定していて、痛くもなく、余分に触れることもなく、どこかに安全な線があってそれを知っているかのようだった。
キャミソールの肩紐が肩から滑り落ちた瞬間、私はほとんど解放されたような感覚を覚えた。
「生き返った?」真紀が尋ねた。
「半分だけ」私は俯いてその深青色のドレスを一瞥した。「残り半分はこれを脱いでから」
「じゃあ先に入って」
「承りました、王子殿下」
「もう一回言ったら、ダンスフロアに送り返すわよ」
「あの帝国の連中が、あなたが花嫁を奪いに来たと思うでしょうね」
今度は真紀が本当に私を睨んだ。
薄かったが、効いた。
私の気分はさらに二段上がった。
更衣室はすでにほとんど空になっており、鏡の前には散らばった侍女と学生が数人残っているだけだった。さっきまで戦場の前線のようだったのに、今はメイク落とし、香水の残り香、疲労感だけが漂っている。人間の社交活動の本質は偽装浸透とさほど変わらないという気がいつもする。ただ一方はナイフを持ち込み、もう一方はラメを持ち込むというだけで。
十数分かけて、自分という、人生に重大な誤解を与えかけたバージョンを一層ずつ解体した。
まずウィッグを外す。銀白色の長髪が完璧すぎて病的な造型から、道具本体に戻る。それからイヤリング、ネックレス、手袋、ドレス、ボディテープ。最後に、元の連邦制服のジャケットを着直し、ショートヘアも普段の形に整えた時、鏡の中にようやく自分らしい輪郭が戻ってきた。初めて、制服というものが文明の光だと思った。
襟が少しきつくてもいい、布地が少し硬くてもいい。肩を銀河系全体に評価させるようなことさえしなければ、連邦軍需処に感謝の手紙を書く用意がある。
真紀も元の制服に着替えていた。
白い軍礼服が退場すると、彼女の全体がまた少し馴染んだ感じになった。さっきが悪かったというわけではない。さっきは良すぎた。普通の人間に耐えられる範囲を超えて良すぎた。制服に戻った今は相変わらず清潔で隙がないが、少なくとも私が知っている真紀に近く、迷子になった連邦の王太子のようには見えない。
彼女が手袋を折り畳んでしまうのを見ながら、私はふと口にした。
「ねえ、さっき誰かが本当に跪いて殿下と呼んでいたとしても、私はあまり驚かなかったと思うわ」
「そういう人間は先に病院に送るわ」
「理由は?」
「脳に異常があるから」
「筋が通ってる」
部屋に戻った時、時間はもうかなり遅かった。
ドアを入るなり、私はまず肩の力を抜き、それからソファに全身を投げ込んだ。丁寧に包まれた拷問から生き残ったような感覚だ。真紀は上着を掛け、ついでに机の上の資料を片付けて空きスペースを作った。その動作は自然で、まるでこの部屋が最初から彼女のものだったかのようだ。
何か言おうとしたところで、呼び鈴が鳴った。
私と真紀は顔を見合わせた。
この時間帯に、まだ体裁を保った格好でやってくる人間は、面倒か、面倒よりも面倒なものか、どちらかだ。
真紀がドアを開けた。
ドアの外にいたのは、ヘートヴィヒだった。
晩餐会の盛装はすでに着替えていて、代わりに軽い夜間の普段着とショールを纏い、金色の長髪も少し緩んでいて、化粧も薄くなっていた。メインホールであの巨大な肖像画の隣に立っていた時よりも、ずっと普通に見えた。ただ、帝国の皇女が深夜に連邦の学生の部屋のドアを叩く時、「普通」という言葉自体がすでにどこか普通ではなくなっていたが。
ヘートヴィヒは数枚の紙を手に持ち、少し申し訳なさそうにまず真紀に頭を下げた。
「夜分に失礼します。九島さん、明日の朝の演説原稿を少し見ていただけますか」
私はソファに寄りかかり、その紙の束を一瞥した。
「……わざわざ深夜に部屋まで来たのは、原稿の校正のため?」
ヘートヴィヒは真剣に頷いた。
「九島さんは文章と構造に厳しいとうかがいましたので」
私は真紀に視線を向けた。
「帝国側にどんなイメージを残してきたの」
真紀は淡々と彼女を中に招き入れた。
「句読点を直してくれそうな人、かもしれないわ」
「威名が轟いてるわね」
ヘートヴィヒは入室後、きちんとお礼を言ってから、原稿を真紀に渡した。真紀は受け取り、最初の二ページを流し読んだだけで、眉がごくわずかに寄った。
「第三段落が長すぎるわ。主語の切り替えが多すぎる。公開演説なら、聴衆は二度目の転換点の前に集中力が切れる」
ヘートヴィヒは少し呆気に取られ、すぐに素直に頷いた。
「わかりました」
「それとこの文、修辞が過剰ね。明日、士官学校の学生に聞かせたいなら、形容詞を二つ減らした方がいい」
「ここもですか?」
「ここの方がより深刻ね」
私は横に座り、帝国の皇女が深夜に演説原稿を持って真紀に添削を頼みに来るという光景を眺めながら、今夜はメインホールから今まで、世界全体の画風がどこか安定していないと思った。
自分の目で見なければ、晩餐会の会場で巨大な肖像画の隣に立ちながら「飾るなと言ったはずなのに」と小声で呟いていたあの人が、今、私たちの部屋の小さなテーブルの前に座って、九島真紀の文章構造の話を真剣に聞いているなどとは信じられなかっただろう。
この光景は、静かに荒唐無稽だった。
そして静けさというものは、十分に積み重なると、本当に聞きたかった言葉を表面に押し上げてしまう。
私はヘートヴィヒをしばらく見つめ、結局口を開いた。
「一つ聞いてもいいかしら、殿下」
ヘートヴィヒが顔を上げた。
「どうぞ」
私は肘を膝に乗せ、少し前傾みになり、晩餐会の照明の下では美しく見えたが今は少し疲れた様子のその瞳を見つめた。
「あなたは連邦に来て、一体何を得ようとしているの」
部屋の中が一瞬静まり返った。
真紀は口を挟まず、ただ手の中の原稿を置き、視線もヘートヴィヒへと落とした。
私はもう少し率直に言った。
「あなたは帝国の皇女よ。普通の交換留学生でも、友好活動に参加するだけの飾りでもない。連邦軍事学院のような場所に来ることは、多くの人の目には、自分から人質リストに名前を書き込むのとほとんど変わらないわ」
私は薄く笑った。
「だから気になるの。政治的なパフォーマンスなの、風当たりを避けているの、それとも自分を誠意の証明として使っているの」
ヘートヴィヒはすぐには答えなかった。
その沈黙は不快に思っているからでも、反撃を考えているからでもない。むしろ、こういう問いがいつか誰かの口から出ることはわかっていた、ただ今夜かどうか、私が問うかどうかはわからなかった、というような沈黙だった。
私は彼女を見つめ、もう一つのことも口にした。
「それと、先日、見てしまったものと、聞いてしまったものがある」
ヘートヴィヒのまつ毛がごくわずかに動いた。
私は続けた。
「あなたを殺そうとしている人間がいる。空言でも、脅迫状でも、どこかの貴族が酔った勢いで口を滑らせた話でもない。手配があって、指示があって、人員がある、本物の殺意よ。命じた人間の立場も、低くはない」
細部のすべてを明かしたわけではないが、核心は伝えた。
部屋の卓上ランプは静かで、その光がヘートヴィヒの横顔に落ち、その一瞬に過ぎ去った表情を照らし出した。
驚きではなかった。
どちらかといえば、悲しみだった。
薄く、短い。だが、私には見えた。
真紀にも見えた。
ヘートヴィヒは手を膝の上に置き、指先をごくわずかに握った。それから顔を上げ、私と真紀を見て、声は大きくなかったが、先ほど原稿の話をしていた時よりもずっと安定していた。
「具体的なことはまだ話せませんが、私の最終的な目的は平和です」
その言葉が落ちた後、部屋は半秒間静まり返った。
私は先に笑い出した。
嘲笑ではない。あまりにも物語の台詞のようなものを聞いてしまい、身体が自動的に反応したのに近い。
「殿下、そのセリフ、かなり悪役っぽいわよ」
ヘートヴィヒは意外にも怒らず、否定すらせず、ただ極めて静かに返した。
「否定しないわ。ある人たちの目には、私は確かに悪役ね」
真紀がここで不意に割り込んだ。口調は平坦だが、照準は正確だった。
「例えば、皇兄たち」
ヘートヴィヒは真紀を見て、頷いた。
「そうね」
私はソファの背にもたれ直し、片手を上げ、熱血アニメでよく見るような、馬鹿馬鹿しいほど元気な剣を掲げるポーズをとった。
「じゃあ私たちはこれから、熱血アニメみたいに『信じてくれ』の一言でいいの。それで三人が夕陽の下に立って、血盟を結んで、背景でメカが二、三台爆発する感じ?」
真紀が私を見た。
「くだらない映画を見すぎよ」
だがヘートヴィヒは頭を下げ、ごく軽く笑った。
その笑いは短く、今夜初めて本当に力を少し緩めたような感じだった。
「それはいらない」ヘートヴィヒは顔を上げ、声が先ほどよりわずかに低くなっていた。「ただ、しばらくの間、私を信じてほしいの。私が平和のためだと」
私は彼女を見た。
今度は、すぐに返さなかった。
なぜなら、もし最初に会った時にこれを言われたなら、この帝国の皇女は純粋に世間知らずか、演技が上手いかのどちらかだと思っただろう。だが今まで、ヘートヴィヒがしてきたいくつかのこと、見せたいくつかの表情、そしてさっきの一瞬の悲しみが、この言葉をそのままゴミ箱に捨てることを難しくしていた。
これが厄介なのだ。
こういう、最後まで嫌い切れない人間が、一番面倒だ。
私はため息をついた。
「最初に会った時にこれを言われたら、絶対に信じなかった」
「今は?」ヘートヴィヒが尋ねた。
「今は」私は真紀を一瞥してから、視線をヘートヴィヒに戻した。「保留よ」
真紀も添削途中の原稿をテーブルに置いた。
「私も同じ」
この答えは熱血でも、ロマンチックでも、特別に義侠心に溢れているわけでもない。
だが私は合理的だと思った。
私たちは友情の大合唱を演じに来たわけではない。晩餐会にすら暗殺計画が紛れ込んでいるような世界に生きているのだ。信頼というものは、半歩先に差し出せるだけでも十分に気前が良い。一度に全部もらおうとするなら、まず何かを差し出してもらわなければならない。
ヘートヴィヒもわかっているようで、ただ頷いた。
「それで十分よ。ありがとう」
その後の十数分で、真紀は残りの段落を素早く添削し、ヘートヴィヒも一つ一つ真剣に書き留めた。用件が済むと、ヘートヴィヒは長居せず、すぐに立ち上がって告辞した。
ドアのところで彼女は立ち止まり、振り返った。
「おやすみなさい」
私は手を振った。
「おやすみなさい、殿下。それと、明日の演説で『平和』という言葉を最後通牒のように言わないようにすれば、壇を降りる時に生きていられる確率が上がるわよ」
ヘートヴィヒは少し呆気に取られ、それから笑い出した。
「努力するわ」
ドアが閉まった後、部屋は突然、完全な静けさに包まれた。
私はソファにもたれ直し、閉まったドアを二秒間眺めてから、のろのろと口を開いた。
「じゃあこれから、私たちは熱血漫画になるの?」
真紀は原稿を一束に揃えながら、顔も上げずに言った。
「ならないわ。熱血漫画はあなたを主人公にしないから」
私はまず固まり、それから堪えきれず、ソファに笑い崩れた。
その笑い声が出た瞬間、今夜ダンスフロアから持ち帰ってきた重さが、ようやく少し散った気がした。
「九島真紀」
「ん」
「今夜、口が悪かったわね」
「誰かさんに習ったから」
「嘘ね、私は常に品行方正よ」
「なら連邦の道徳教育は一から見直した方がいいわ」
私はさらに笑った。
窓の外の夜が帝国ホテルの外壁に圧しかかり、遠くにはまだ晩餐会の余韻の灯りが残っている。部屋の中には制服の布地の清潔な匂い、添削途中の原稿、そして笑い終えてようやく少し緩んだ胸の感触だけが残っていた。
平和、陰謀、人質、皇女、皇兄、暗殺。
どの言葉も重い。
学生の修学旅行前夜に降りかかるような重さではない。
だが、すでに全部降りかかってきていた。
私は頭をソファの背に預け、天井を見上げながら、明日のことを考え、月面都市のことを考え、ヘートヴィヒの「平和」という言葉を考え、そして真紀の「主人公にしない」という言葉を考えた。
それからもう一度、小さく笑った。
「まあいいわ」私は小声で言った。「主人公は大抵、死ぬのが遅くて、面倒も多いから」
真紀は机のそばに立ち、淡々と返した。
「あなたは今でも十分に面倒よ」
「ありがとう、同志愛を感じる言葉ね」
「そういう意味じゃないわ」
「そう受け取ってもいいわよ」
今度は、彼女が否定しなかった。
「とても面白い」★四つか五つを押してね!
「普通かなぁ?」★三つを押してね!
「あまりかな?」★一つか二つを押してね!




