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臨界の星穹  作者: Mr.佐藤焫焵
士官学校編
54/64

14. 遅延性薬品相互作用 2

この物語はフィクションです。実在の人物・団体・事件・名称等は一切関係ありません。

夜、宿舎に戻ったとき、そのまま気絶するかと思っていた。


そうはならなかった。


人間というのは本当に性根が腐っている。


体がもう限界なのに、頭だけがわざわざ喧嘩を売りに来たみたいに冴えている。


俺は仰向けになって、天井を見つめていた。


ベッドが柔らかすぎる。


これは文句じゃない。


本当に、柔らかすぎるんだ。


背中が沈んでいく感触が、最初に呼び起こすのは安堵じゃなくて、違和感だ。高価な生地と絶妙な温度で丁寧に包まれながら、こう言われているみたいな感じがする——どうぞゆっくり休んでください、明日また続きを壊しますから。


聯邦は人を痛めつけることに関して、アフターサービスまで一流だ。


部屋は静かだった。


エアコンの送風音、壁の循環システムの低い振動、自分の呼吸。それだけが聞こえる。


寝返りを打つと、肩が即座に抗議した。昼間カールが刻んだ青痣と、ミラが叩き込んだ痺れが、夜になって時間通りに出勤してくる取り立て屋みたいに、一斉に浮き上がってくる。


肋骨を手で押さえて、小さく息を吸った。


「……本当に上手な教え方だ」小声で毒づく。


毒づいても、眠くはならなかった。


ベッドサイドの小棚には、今日の命中記録端末がまだある。さっき見た。最後の二十七秒の命中率は、自分のものとは思えないくらい綺麗で、システムが人を間違えたんじゃないかと疑いたくなるほどだった。


でも、違う。


あれは俺だ。


それが殴られることより腹が立つ。


俺が本当に強くなっているということだから。


強がりでも、運でも、たまたま耐えただけでもない。


本当に、これらのことを学び始めている。


どう躱すか。


どう先読みするか。


風と痛みと恐怖を全部体の中に押し込んで、それでも引き金を引く方法を。


暗くなった端末の画面に、自分の顔が映っていた。


どう見ても、学校で昼食のデザートや好きな人のことで悩んでいるほうが似合う顔だ。こんな豪華な士官宿舎みたいな個室で、今日何発殴られて何発当てたかを計算している顔じゃない。


それから——


なぜかは分からない。


唐突に、六A倉のことを思い出した。


自分から思い出したわけじゃない。


向こうから上がってきた。


床の隙間から黒い水がじわじわ滲み出てくるみたいに、まず匂いが来て、次に音が来て、それから映像が来た。


六A倉は、こんなに静かじゃなかった。


あそこには常に音があった。


金属の壁板が遠くの衝撃で鳴る低い共鳴。


古い循環ファンがぎこちなく回る雑音。


誰かの咳。


誰かが眠りの中で歯を食いしばる音。


起きているのに、一言も声を出せない誰か。


空気は汚かった。


吸い込むたびに、喉の内側を一枚ずつ削っていくような汚さだった。


目を閉じる。


部屋の空気はきれいで、冷たい。


でも俺が嗅いでいるのは、錆と汗と濡れた布と、長く人を閉じ込めてきた区画の匂いだった。


戻ってきたみたいだった。


その匂いの中から、ダビデの顔が浮かび上がってきた。


完全な形じゃない。


最初に思い出したのは、手だった。


関節がはっきり浮き出ていて、手の甲に古い傷跡があって、爪の際はいつも汚れていた。その手が、どこかから節約してきた水を半口、俺に押しつけてくれたことがある。灯りが消えかけたとき、俺の肩を一度叩いて、あまり深く眠るなと言ってくれたこともある。


それから、声。


少ししゃがれていた。


大きくなかった。


六A倉みたいな場所では、誰もが何かに聞かれることを恐れるみたいに話した。


彼が何を言っていたか、もう正確には思い出せない。


人間というのは、追い詰められたとき、大事な言葉より先に、どうでもいいことを覚えているものだ。


たとえば、彼がいつも少し右寄りに座っていたこと。


咳をする前に眉をひそめること。


一度、区画の天井をぼんやり見上げながら、外の星は本当は全然きれいじゃないんじゃないかと、唐突に聞いてきたこと。


そのとき俺は答えた。


きれいじゃなくても、ここよりはましだ、と。


今思えば、本当に俺らしい返し方だ。


嫌みで、役に立たない。


手の甲で目を覆う。


この部屋は広すぎる。


記憶が歩き回れるくらい広い。


六A倉なら、寝返りを打つだけで隣の人間にぶつかった。今は一人で大きなベッドを使っていて、シーツは清潔で、温度は丁度よくて、角には例のミニバーがあって、薄暗い灯りの下で瓶がきらきら光っている。手招きでもするみたいに。


昼間見たとき、思わず唾を飲んで、見えないふりをした。


十四歳、アルコール予備軍、聯邦の重点育成対象。


この経歴を書き出したら、自分でも自分を少年補導に送りたくなる。


寝返りを打って横向きになり、膝を引き寄せた。


動作は小さかった。誰かに見られることを恐れるみたいに小さかった。


部屋には誰もいない。


でも、あそこから持ち出してきた習慣というのはある。


あの場所に長くいると、眠るときも本当に体を伸ばせなくなる。


目が覚めたとき、隣にまだ誰かがいるかどうか、分からないから。


目を開けたまま、暗闇の中でぼんやりした壁の角を見ていた。


ダビデ。


六A倉。


一番奥に押し込んで、釘を打って、存在しないことにしていたものが、今夜は全部一緒に緩んでいた。


そして最悪なのは——


今の俺は、冷たい区画の床の上にいるわけじゃない。


腹が痛くなるほど空腹なわけでも、大勢で押し合いながら次の配給を待っているわけでもない。


柔らかすぎるベッドの上にいる。


聯邦特戦キャンプが用意した個室の中で。


廊下には巡回がいる。


室内の温度は安定している。


冷蔵庫には飲み物まである。


この落差が、笑えた。


そして吐き気もした。


六A倉が言っているみたいだった——ほら、お前は生き残ったじゃないか。


このベッドが続きを補うみたいだった——だから今のお前は、もっと高く売れる。


天井を見上げながら、笑いたくなった。


聯邦を笑いたかった。


自分を笑いたかった。


泥の中から人間を拾い上げて、洗って、包んで、きれいにして、それから前線に送り込んでまた血を流させる、この偉大なシステム全体を笑いたかった。


「大したもんだ……」


小声で言った。


この部屋を褒めているのか、この世界を罵っているのか、自分でも分からなかった。


エアコンの風は安定していた。


俺はずっと眠れなかった。


基地の遠くから低周波の警報が一度だけ短く鳴り、新しい作息が始まることを告げるまで、俺は目を開けたまま、散らばった記憶と一緒に夜を過ごしていた。


上出来だ。

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