185.日勤引き継ぎ 2
この物語はフィクションです。実在の人物・団体・事件・名称等は一切関係ありません。
翌日、早朝の風は、私が学校へ向かってバイクを走らせていたあの道中よりも少し冷たかった。
目を覚まさせるような冷たさではない。十二月二十六日という、世界中が暖房のそばに寝そべって昨日のカロリーを消化しているべき朝に、なぜ自分が他人のバイクを校門口まで走らせなければならないのかと、そう世界を呪いたくなるような冷たさだ。
ゆっくりとブレーキをかける。タイヤが校門前の薄い氷晶の層を擦り、軽い砂音を立てた。
後部座席からヘートヴィヒが降りる。その動作は相変わらず滑らかで、ブーツの踵が地面を踏む瞬間に半分の躊躇もなかった。まるで日番の当直に来たのではなく、深夜に陥落した前線拠点に引き継ぎ(デブリーフィング)に現れたかのようだった。
そして私はといえば、人を職場に送り届け、ついでに他人の生命力が搾り取られるのを見届けるだけの、不運な副会長に過ぎない。
ちょうどその時、校門の片側が押し開けられた。
ロイ・ハルトマンがそこに立っていた。
片手で重い鉄の門を支え、もう片方の手には鍵束を提げている。
空はまだ完全に明るくなく、冬の朝は常に、夜色を薄めたものの完全には洗い流せなかったような、すっきりしない灰色を帯びている。そのどんよりとした灰色がロイの上に落ち、彼を普段よりもさらに背が高く、そして薄く見せていた。
「おはよう……」
無意識に挨拶をした。
言葉が出た瞬間、私自身も少し呆気にとられた。
……なんだか、ロイが少しやつれているように見える。
病的なやつれ方ではない。漫画のように一晩で憔悴して、自動的に目の下のクマと枯れ葉の背景が追加されるようなドラマチックなバージョンでもない。それは、なんというか――本来なら明日のために残しておくべきリソースを、昨夜のうちにこっそり前借りして使い果たしてしまった人間の薄さだった。
彼を二秒ほど見つめる。
見れば見るほど、この薄さは生まれつきのものではなく、生活によって強制加工された結果だと思えてきた。
「あら、副会長」
ラン・ヴァイスの声が校舎の反対側から漂ってきた。
とても自然な軽さだったけれど、私が触れたくない場所を細い針で正確に突いてくるような的確さがあった。
振り返ると、彼女は壁際の影から歩み出てくるところで、手には昨日あの『極薄』が入っていた小さな紙袋を提げていた。紙袋は彼女の指先に引っ掛けられ、歩幅に合わせて軽く揺れている。まるで文明社会特有の間接的な証拠品のようだった。
彼女はとても穏やかに笑っていた。
その穏やかさは本当に腹が立つ。なぜならそれは無邪気さではなく、高度な『知っていてわざと聞く』態度だからだ。
「何か聞きたいことでもおありですか?」
私は即座に首を振った。
聞けない。
聞きたくもないわよ。
私は、こんな時にきっぱりと首を振れる自分は、連邦から『他人の私生活への介入回避功労章』を授与されるに値するとすら思った。大げさな規格である必要はない。真鍮製でいい。裏面には『知るのが少ないほど、長生きできる』と刻んでほしいものだ。
私の反応が早かったのを見て、ランは少し残念そうに眉尻を軽く動かした。だが彼女は追撃せず、ただ紙袋を少し高く持ち上げた。戦利品を見せるように、あるいは買い物の景品を見せるように。
「残念です。副会長なら、少なくとも人道的配慮から夜番の引き継ぎ状況くらいは聞いてくれるかと思ったのですが」
「私は人道に対して基本的な信仰を持っていますけれど」
私は言った。
「早朝から自分の精神衛生を犠牲にしてまで慈善活動をするつもりはありません」
ロイはそれが聞こえたのか、あるいは私たちにかまっている余裕がまったくなかったのか、もう片方の扉も押し開けた。
動作は相変わらず安定していたが、少し自動化されたマシンのように見えた。システムが正常に動いていることはわかるけれど、コアパーツが実は焼け焦げそうになっているのではないかと疑いたくなるような安定感だ。
ヘートヴィヒは私の隣に立ち、視線をロイとランの間で一度往復させ、最後に非常に率直な結論を下した。
「おはようございます。ロイ、なんだか死にそうに見えますね?」
私は一瞬、目を閉じた。
純真すぎる。
私は本当に、この純真さが羨ましいわ。
それが美しいからではない。最も直接的な一言で、すべての曖昧さや社会的なレトリックを蹴り飛ばすことができるからだ。ヘートヴィヒは状況が読めないのではなく、まったくその方向へ思考の回路が及んでいないのだ。だから、同じ言葉が彼女の口から出ると、少しの汚れもなく、ただ非常にクリーンな破壊力だけを持つことになる。
その言葉を聞いて、ロイは顔を上げ、ヘートヴィヒを一瞥した。
その一瞥は、極めて平静だった。
平静すぎて、私は彼に拍手を送りたくなった。
明らかに状態が悪く、しかも同僚から面と向かって「死にそう」と指摘されている時に、視線を『現実は受け入れるが、説明は展開しない』というレベルに保てるこの修養は、もはや宗教に近い。
「私は大丈夫だ」
ロイは言った。
彼の声は普段よりも少し低く、昨夜誰かと長時間にわたる極めて消耗の激しい個人的な議論を交わしたかのようだった。
ランは彼の隣に立ち、極めて自然に後半の言葉を補った。
「ただ、夜は少し忙しかったので」
この言葉自体には何の問題もない。
問題は、この言葉を言ったのがランであり、言い終わった時に彼女の手にはあの小さな紙袋が提げられており、そしてロイ本人は一晩中樹液を吸い取られた高級な針葉樹のように立っていることだ。
私は紙袋を見て、それからロイを見て、最後に自分の人生を非常に大切に思い、視線をより安全な場所に戻すことに決めた。
例えばヘートヴィヒの髪の毛の先。
例えば校門の横にある『外来者はまず登録を』と書かれた看板。
例えば今日は雪が降るかどうか。
例えば十七歳にして余計な口を叩かない美徳をいかに養うか。
ちょうどその時、今日のもう一人の当直の相棒が到着した。
最初はとても軽く、速い足音が聞こえた。遅刻を恐れつつも、大きな音を立てて走ると失態になるのを恐れているような足音。続いて、小柄な男子生徒が私たちの視界に入ってきた。彼は制服を着て、コートのボタンを一番上まで留め、マフラーまで襟の下にきちんと収めていた。『学生風紀身だしなみ模範図』からそのまま切り抜いて現実世界に貼り付けたかのようだった。
彼は背が高くなく、肩幅も狭かった。髪はとても規則正しく切り揃えられており、前髪を切るたびに定規で測っているのではないかと疑うほどだ。鼻筋には細いフレームの眼鏡がかかっており、レンズの縁には冷気の中から入ってきたばかりの白い曇りが少し結んでいた。手にはバインダーを抱え、右手の人差し指は無意識にバインダーの金属の縁を押さえていた。突然それが逃げ出してしまうのを恐れているかのように。
彼は私たちから二歩離れたところで立ち止まり、まずヘートヴィヒに頷き、次に私と夜番の二人にもそれぞれ一度ずつ頷いた。その標準的な動作は、今から校歌でも歌い出すのではないかと思わせるほどだった。
「山田と申します」
ほう。
質感があるわね。
私は心の中で即座に彼にスタンプを押した。
ヘートヴィヒは頷いた。
「ヘートヴィヒです。今日は私とペアですね」
「はい」
山田は極めて素早く返し、背筋はさっきよりもさらに少し伸びた。
「よろしくお願いいたします」
その『はい』はとてもクリーンで、冷水からすくい上げたばかりのように澄んでいた。
たまらず彼をもう一度見てしまう。
こういう人間は面白い。
主人公のオーラがあるからではない。彼が一目で、デブリーフィングの事項を元の三倍の量で書き写し、臨時で当直に呼ばれただけなのに国家公務員試験でも受けるかのように真面目に取り組むタイプだとわかるからだ。学校という場所がまだ完全に崩壊していないのは、十中八九、こういう人間が落ちてきそうな部品を黙ってネジで締め直しているからでしょうね。
ランも山田を見て、笑みを少しだけ深めた。
「いい子ね」
山田は明らかにこわばった。
褒められたことへの得意げな反応ではなく、『私は何かやりすぎたのだろうか』という本能的な反省。この反応はあまりにも誠実で、もしこの子がいつか学校の後始末に派遣されたら、おそらく『承知いたしました』と一言だけ言って、胃痛は夜に一人で消化するのだろうと思わせた。
「先に引き継ぎをしよう」
ロイが言った。
ありがたいわ。
朝をあの危険な、私が多くを知りすぎてしまう方向から、ようやく正軌に引き戻してくれる人間が一人いてくれた。
私たちは警備室の方へ二歩移動した。鉄の扉が開いており、冷たい風が外から吹き込み続け、ドアの横の掲示物を微かに揺らしている。警備室の中には昨夜使われた電気ケトルがまだ隅に置かれており、ガラス窓には薄い曇りの跡があった。夜中に誰かが長く留まっていたため、空気までがそれを記憶しているかのようだった。
ロイは鍵束を机の上に置いた。
「校門は六時二十分に開けた。一回巡回し、外周に異常なし。午前二時半にセキュリティシステムの誤報があり、確認したところ東側廊下の窓枠が寒さで収縮し、マグネットセンサーの接点が不安定になったためと判明。登録済みだ」
山田は即座にうつむいてメモを取り始めた。
その速さたるや、私に微妙な羞恥心を抱かせるほどだった。同じようにペンでメモを取るにしても、ある人は神託を受けているように見え、ある人は自分が今日あとどれくらい生きられるかのカウントダウン線を引いているように見える。私は後者ね。
ヘートヴィヒが尋ねた。
「誤報の箇所は、今日ももう一度確認した方がいいですか?」
「確認を勧める」
と、ロイ。
「午前中、日差しが出てくれば直るかもしれない。あるいは、もう一度鳴るかもしれない」
「承知しました」
彼女は非常に平坦に返した。
山田は傍らで小声で復唱する。
「東側廊下の窓枠、マグネットセンサーの接点、午前中に再確認……」
聞けば聞くほど、彼は自分を低スペック版の録音機だと思い込んでいるように見えた。
しかも、非常に生真面目な種類の録音機。
ランは小さな紙袋を机の角に置き、引き継ぎ簿から付箋を一枚剥がした。
「それから、これです」
彼女は言った。
「昨夜残った消耗品は、ついでに整理しておきました」
私はその『消耗品』という言葉を睨みつけ、丸二秒間沈黙した。
この世で一番恐ろしいのは、目の前で下ネタを言われることではない。
行政言語で下ネタを言われることだ。
消耗品――。
この言葉がランの口から出ると、隙がないほど合理的だった。まるで昨日のあの小さな紙袋は、最初から解決不能な曖昧さと疲労の根源などではなく、ただ夜番のプロセスにおいて使用後に清点されるべき、一つの消耗品に過ぎなかったかのようだった。
個人の羞恥を公務の語彙で包装するこの能力は、あまりにも成熟しており、そしてあまりにも邪悪。私は今後、早朝、空腹時、かつ心理的防衛線が完全に展開されていない状態では、できるだけランと同席しないようにしようと決心した。
ヘートヴィヒは明らかにそのカーブに追いついておらず、ただ単純に「ああ」と応じただけだった。
山田はまず付箋を一瞥し、それから紙袋を見て、最後に非常に優秀なことに、付箋に本当に書かれていることだけをメモすることを選んだ。この子がもし無事に学内政治から卒業できたら、前途は計り知れないでしょうね。
私は突然、彼に対して少し敬意を抱いた。
彼が特別に賢いからではない。彼には本能があるからだ――。
どの情報が、目には見えても、脳に真面目に収納すべきではないかを察知する本能が。
デブリーフィングは実はすぐに終わった。
夜番が言うべきことを言い、日番が記録すべきことを記録し終えると、残りは退屈なほど細々とした事項だけだった。訪問者記録簿は何ページ目まで補充したか、側門のあのラッチが最近少し緩いこと、午前中に工事関係者が来たら北側を歩かせること、暖房のメインスイッチには早めに触れないこと、などなど。
だが、まさにこうした瑣事が、学校を『機能しているように見える』状態から『本当にまだ崩壊していない』状態へと支えているのだ。
引き継ぎが終わった後、ロイは明らかにほっと息をついた。
その息はとても淡く、注意しなければ聞こえないほどだったけれど、私には見えた。
まるで、なぜか暗い海を高速で進んでいた昨夜の船からようやく自分を降ろし、再び陸地に戻した人間のようだった。ただ、陸地もそれほど慈悲深いわけではない。なぜならランがまだ隣に立っており、その表情は相変わらず、昨夜ただ一緒に書類の束を照合しただけであるかのように従容としていたからだ。
「じゃあ、私たちはこれで帰るわね」
ランが言った。
「ええ」
ヘートヴィヒが応じ、一瞬言葉を切り、そしてとても誠実に一言付け加えた。
「ロイ、帰ったらちゃんと寝てくださいね」
この言葉が出た瞬間、私は彼女を『世界にまだ善意を抱いているで賞』の申請に引っ張っていきたくなった。
あまりにも率直で、あまりにも真摯だったからだ。
ロイは呆気にとられたようだったが、軽く頷いた。
「ああ」
ランはヘートヴィヒを見て、突然少し笑った。
「安心して。彼を休ませる責任は私が持つから」
私は冷たい空気にむせそうになった。
この人の言葉は本当に犯罪的だわ。
文字通りの犯罪ではない。朝の七時前に、まだ心理的な暖機運転が完了していない同僚に対して、過剰に成熟した発言を行うことを禁じる、校則の補足条項に記載されるべき種類の犯罪。
私は顔を背け、門の外の路面の氷晶の結び具合を見ているフリをした。
ヘートヴィヒは何の他意もなく頷く。
「なら、よかった」
……なら、よかった、ですって。
この世で最も恐ろしい会話は、時として誰かが理解したことではなく、誰かがまったく理解していないのに、完璧なキャッチボールを成立させてしまうことね。
ランは明らかにこの反応にとても満足していた。彼女は小さな紙袋を再び指に掛け、私に向かってウインクをした。その動作は無いも同然の軽さだったけれど、私ははっきりと感じ取った。彼女は間違いなく私に警告しているのだ。――あなたはさっき何も聞かなかった、それは賢い選択よ。でもあなたがどれだけ見たか、私も知っているわ、と。
私は思わず粛然と敬意を抱いた。
ある人は教壇に立つのが似合っている。
ある人は会議のテーブルの後ろに座るのが似合っている。
そしてある人は、ただ小さな紙袋を提げて冬の朝の校門口に立つだけで、他人の良心と想像力を同時に凍りつかせることができるのだ。
ロイとランが去る時、空の色はさっきよりも少し明るくなっていた。
朝の光が校舎の壁面に落ち、冷たく白く輝いている。ロイは前を歩き、足取りは依然として安定していたが、その後ろ姿にはなぜか歴戦の生き残りのような克制感が漂っていた。ランは彼の隣を、速からず遅からず歩いており、夜の本当の後始末担当は実は彼女であるかのようだった。
私は二秒ほど見送り、最終的にその光景を脳内から消去することにした。
知っていれば十分なこともある。
残しておいても、私が正常に朝食をとる妨げになるだけの光景もある。
「副会長」
山田の声で私は我に返った。
振り返ると、彼はバインダーを抱えて非常に真剣に私を見ていた。当直のペアではない人間の前で口を開くべきかどうか、判断しているかのようだった。
「どうしたの?」
「あの……」
彼はまず息を吸い込み、バインダーの縁を指でなぞった。自分に力を入れる場所を探しているようだ。
「質問ですが、午前中に保護者や工事関係者が同時に到着した場合、優先順位は登録時間に従うべきでしょうか、それとも入校の必要性で判断すべきでしょうか?」
私は瞬きをした。
この質問は非常に実践的だ。
しかも、本当に仕事をする人間だけが最初に考えるような事柄。
私が口を開く前に、ヘートヴィヒが先に彼を見た。
「必要性を先に見なさい」
彼女は言った。
「でも、口に出してそう言ってはいけません」
山田は呆気にとられた。
私は笑いそうになった。
素晴らしい。これぞヘートヴィヒだわ。
原則は非常に明確で、現実も非常に明確。さらには『現実をどう外部に向けて包装すべきか』までついでに教えている。これは虚偽ではないわ。校務サバイバル学とでも呼ぶべきものね。制度の体面とは、往々にしてこのような言葉によって最後のイチジクの葉を維持しているのだから。
「表向きはすべて手順通りに」
私が引き継いで言った。
「実際には、誰が本当に入れないと困るかを見極めるのよ。保護者がただ荷物を届けるだけなら、少し待たせても問題ないわ。だけど、業者が機材を積んだトラックで外に渋滞を作っているなら、彼らを待たせれば、後で全校が一緒に待たされることになる」
山田は非常に熱心に聞き、即座にメモを取り始めた。
「承知いたしました」
「それから」
彼がすべての言葉を漏らさず書き写そうとしている姿を見て、私はたまらずもう一言付け加えた。
「すべての事を遺書みたいに書かなくていいわよ。今日はただの日番。最前線に記念碑を立てに行くわけじゃないんだから」
山田は顔を上げた。私が突然そんなことを言うとは思っていなかったらしく、耳の根がごく軽く赤くなった。
「はい……いえ、申し訳ありません。癖なもので」
「その癖は悪くないわ」
ヘートヴィヒが言った。
彼女の言い方はとても平坦で、特に褒めているような口調ではなかったけれど、山田の背筋は即座にまた少し伸びた。目に見えない力で再調整されたかのようだった。その瞬間、私は突然理解したわ。この子はおそらく、情熱によって鼓舞されるタイプではない。上の人間が「それでいい」と一言だけ言ってくれれば、自分で黙々と合格点以上の仕事をするタイプなのだ。
簡単に言えば、使い勝手がいい。
しかも、見た目は脆そうだけれど、実際にはかなり打たれ強い――そういう使い勝手の良さね。
私はふと、今日校門口にトラブルを持ち込んでくるかもしれないすべての人々に対して、少し同情を覚えた。なぜなら彼らはまずヘートヴィヒに遭遇し、次に隣にいる小柄な男子風紀委員が、文書課から派遣されたように見えて、実際には登録表、時間、手順、そして視線の圧力を非常にうまく組み合わせてくることに気づくからだ。この組み合わせは華やかではないけれど、非常に厄介。
「じゃあ、私は帰るわ」
手袋を締め直し、私は言った。
「何かあれば呼びなさい」
ヘートヴィヒが私を見た。
「帰るんですか?」
「他に何があるの?」
私は言った。
「私は今日は当番じゃない。ロイがその場で羽化するのを観察するために残る義務もないでしょ?」
ヘートヴィヒは非常に真面目に少し考えた。
「しないと思います」
「……専門的な判断をありがとう」
彼女は軽く頷いた。本当にただ事実を修正しているだけのように。
私は時々、彼女のこのクリーンさに感心する。クリーンすぎて、ツッコミが彼女に当たっても、まずはその棘の一部が濾過され、より鈍く、脅威の少ない層だけが残るのだ。彼女の近くに立つと、世界が少しシンプルに見える。これは非常に危険で、そして非常に心地よい。
朝の風がまた吹き抜け、彼女の額にかかる数本の髪の毛を少し乱した。
無意識に手を伸ばし、その数本の髪を彼女の耳の後ろに掛け直す。
動作が出た後で、私自身も半拍遅れて気づいた。
ヘートヴィヒは私を見て、避けることもなく、ただわずかに瞬きをした。彼女のまつ毛は色が薄く、このような寒色の朝の中では、かえって普段よりもはっきりと見えた。その瞬間、空気が不自然なほど静まり返り、隣の山田でさえ本能的に呼吸を小さくしたかのようだった。
私は咳払いをして、手を引っ込めた。
「乱れてたから」
「ええ」
彼女は応じた。
「ありがとう」
声は相変わらず平坦だった。
だがなぜか、その『ええ』は風よりも軽かったのに、落ちてきた時はとても重みがあった。
本当に面倒ね。
いつもこうやって感謝を当たり前のように口にする人間は、わざと曖昧な態度をとる奴らよりもずっと防ぎにくい。
私は視線を逸らし、再びバイクに跨った。
山田はまだバインダーを抱えてそこに立っており、自分が今何をすべきか判断しているようだった。最終的に、彼は非常に空気を読んで、私にもう一度頷いた。
「副会長、お気をつけて」
「お前もな」
言い終わってから、私は自分で眉をひそめた。
山田は少し笑いそうになったが、当直の現場で笑うのは不謹慎だと思ったのか、無理やりこらえて、口角をかろうじて合格点の直線に押し戻した。だがその一幕が、かえって彼という人間を一気に生き生きとさせた。もはや、風紀室の壁にそのまま掛けられそうな、単なる規則正しい見本ではなくなっていた。
よし。
それでいいわ。
少し人間味があった方が、世界からこき使われるのにふさわしい。
エンジンをかけた。エンジン音が冷たい空気の中で特別に澄んで聞こえた。
校門はすでに開いており、今日の日番が正式に始まっていた。ヘートヴィヒは門のそばに立ち、山田は彼女の隣でバインダーをめくっている。二人の影が朝の光によって斜めに地面に伸び、一人は高く一人は低く、あまりにも真面目すぎる臨時人事配置のようだったけれど、奇妙なことにその場をしっかりと支えていた。
走り出す前、私は最後に一度振り返った。
そして、不可解にもこう思った。
――今日はまだ長い。
そして今夜は、私と二階堂・フレイヤの番だ。
……最高ね。
朝が始まったばかりだというのに、夜の不吉な予感がすでに私の胃の中に席を予約している。
私は無表情でハンドルを正面に向け、まだ完全に目覚めていない通りに沿って走り出した。寒風が袖口から入り込み、目を覚まさせると同時に、汚い言葉を吐きたくさせる。だがその冷たさの中で、私はまた突然、さっきのヘートヴィヒの非常に平坦な「ありがとう」という言葉と、私が彼女の耳の後ろに掛け直した髪の毛を思い出した。
結果として、私は汚い言葉を吐く気すら失せてしまった。
――やはり人間は、冬の朝に、静かすぎる相手に優しくしすぎてはいけないのよ。
簡単に事故が起きるわ。
「とても面白い」★四つか五つを押してね!
「普通かなぁ?」★三つを押してね!
「あまりかな?」★一つか二つを押してね!




