185.日勤引き継ぎ 1
この物語はフィクションです。実在の人物・団体・事件・名称等は一切関係ありません。
結局、私たちは追加注文をしなかった。
理性が突然勝利したからではない。土瓶蒸し、最高級ウニとキャビアの木箱入り、そして宗教儀式に分類できそうな備長炭炙りウニ寿司を経験した後では、人は多少なりとも、非常に危険な平穏状態に短時間突入してしまうものだからだ。
その平穏は、満腹で動けないというのとは違う。
どちらかといえば、一日中、保護者、業者、制度、当直表、そして全連邦の祝日手配に対していつでも戦争を始められる状態だったのに、熱いスープ、白米、魚の脂、そして暖房に一通りとろ火で煮込まれた結果、突然「まあいいか、世界をもう一晩くらい生かしておいてやろう」と思ってしまうような状態だ。
私は椅子の背もたれに寄りかかり、テーブルの上の空き皿と半分残った急須を見つめながら、今ここで立ち上がったら、過剰な幸福感のせいで一時的に重力への敬意を失うのではないかと真剣に考えた。
向かいに座る真紀は、すでに自分の湯飲みをテーブルの端に戻していた。その動作は、この食事が「年末年始当直後の救急処置」ではなく、彼女にとってごく普通の夕食であるかのように洗練されていた。
この人は本当に不公平だ。
朝の六時過ぎから夕方まで私と一緒に立ちっぱなしで、人の波と規則に押し流され、冷たい風の中で引き継ぎが終わるまで耐え抜いたというのに。私は今、再構築された人間のような状態だが、彼女はまだ「状態良好、明日の作戦にも継続投入可能」という安定感を維持している。
私は彼女を見つめ、たまらず口を開いた。
「真紀」
「何?」
「あんた、実は全然疲れないんじゃないの?」
彼女は目を上げて私を見た。その表情は不愉快なほど平坦だった。
「疲れるわよ」
「じゃあなんで、この後帰ってさらに書類を三つ修正できそうな顔をしてるのよ?」
「疲れをあなたに見せていないだけよ」
「……それ、何かの高度な会長スキルみたいに聞こえるんだけど」
「スキルじゃないわ」
と、彼女。
「ただの習慣よ」
私は二秒黙った。
「あんたのその習慣、周りからすると結構プレッシャーだわ」
「あなたにとって?」
「特に私にとってはね」
私は正直に認めた。
「当直で限界まで使われて、今にも廃棄されそうな劣悪な設備みたいに見えるんだから」
真紀はそれを聞いて、私を一瞥し、それからとても淡々と一言返した。
「あなたは劣悪ではないわ」
私はつい「珍しく人間の言葉を話したわね」と返しそうになったが、彼女は次の瞬間、非常に安定した調子でこう補足した。
「ただ、消耗が早いだけよ」
……よし。
いつもの九島真紀が戻ってきたわね。
私は湯飲みを両手で包み込み、うつむいて最後の一口を飲み干した。自分が「高消耗型」かどうかについて彼女と議論して体力を浪費するのはやめることにした。なぜなら彼女はきっと、今日のどの時間帯で私が明らかに速度低下を起こしたかを真面目に列挙し始めるだろうし、それはあまりにも恥ずかしくて聞きたくないからだ。
ちょうどその時、店員が会計バインダーを持って近づいてきた。その笑顔は非常に標準的で、祝日イベント前の職業的な輝きすら帯びていた。
「お客様、今夜のご飲食代がキャンペーンの基準額に達しました」
と、彼女。
「もしよろしければ、無料でクリスマスの記念写真を一枚お撮りいたしますが」
私はその場で一瞬固まった。
このキャンペーンが奇妙だったからではない。むしろ逆だ。あまりにも合理的だった。合理的すぎて、このチェーン寿司屋の祝日営業モデルに対して一瞬、粛然とした思いを抱いたほどだ。前半は土瓶蒸しとウニで労働階級を慰撫し、最後に、将来ある日突然社会的な気まずさを再爆発させる可能性のある実体写真を一枚プレゼントする。
完璧。本当に完璧なシステムだわ。
私はほとんど本能的に断ろうと口を開きかけた。
だが、私の口が動くより早く、真紀が極めて平静に答えていた。
「では、お願いします」
私は半拍遅れて、彼女を振り返った。
「……ちょっと待って」
「どうしたの?」
真紀が尋ねる。
「あんた、引き受けるのが自然すぎない?」
「あるんだから、撮るわよ」
引き継ぎ資料をもう一部持っていくかどうかを決める時のように、彼女の口調は安定していた。
「もともと海から――じゃなくて、もともと特典なんだから、もったいないじゃない」
私は彼女を見て、突然あることに気づいた。
この場面で、もし私が断り続ければ、おかしく見えるのは私の方だ。
なぜなら店員はただ普通にキャンペーンのサービスを提供しているだけであり、真紀もただ普通におまけを受け入れているだけだからだ。私だけが、このタイミングで過敏に反応すれば、まるで私自身が「彼女と一緒に写真を撮る」という事に対して何か過剰な反応を示しているように見えてしまう。
彼女は何もしていない。むしろ完全に常識に沿った行動をしている。なのに、彼女があまりにも普通すぎるせいで、私のすべての躊躇がひどく不自然に見えてしまうのだ。
私は一つ咳払いをした。
「先に言っておくけれど」
私は低い声で言った。
「もしこの写真がすごく不細工に撮れても、私は責任を持たないからね」
真紀は私を見た。
「今日、あなたが不細工に見えなかった時間帯なんてあったかしら?」
私は目を細めた。
「真紀、今の言葉は慰め? それとも新型の攻撃?」
「事実確認よ」
「……だろうね」
店員はおそらく私たちのこの会話を聞いていなかったか、あるいは聞いていたが、サービス業の成熟した美徳によって聞こえなかったフリをしてくれたのだろう。彼女はすぐに私たちを、レジ横に設置された祝日仕様の小さな背景パネルの前に案内した。背景パネルはそれほど派手ではなく、シンプルな冬の夜の青色、雪の結晶の模様、小さなクリスマスツリーのイルミネーションがあり、隅には店名と日付が印字されていた。
普通であればあるほど、恐ろしい。
なぜなら、この写真が出来上がった時、それは完全に普通の記念品のように見えるからだ。
そして、完全に普通の記念品こそが、往々にして一番扱いが難しい。
「お二人とも、こちらに立っていただければ結構です」
店員はとても親切に言った。
私がそこに立った時、まだ「これはただの無料イベントだ、大騒ぎするほどのことじゃない」という表面上の落ち着きを保とうとしていた。
問題は、人と人との距離は、時にセンチメートルではなく、意識で測られるということだ。
普段、生徒会や校門口や会議の席で近くに立つのは、また別の話だ。
今、祝日の背景パネルの前に立って記念写真を撮るのを待っているのは、まったく別の話なのだ。
自分の肩が少しこわばっているのが、はっきりとわかった。
真紀は私の隣に立ち、その表情は憎らしいほど平静だった。彼女が今日着ているコートはまだ完全にはボタンが留められておらず、中の制服の襟元とマフラーのラインがとても整っていた。それに比べて今の私は、長時間の行政的災害からかろうじて生還したばかりの生存者のように見えていることだろう。
店員はタブレット端末を構え、穏やかに微笑んだ。
「左の方、もう少しだけ真ん中に寄っていただけますか?」
無意識に横へ一歩動く。
すると店員がもう一言付け加えた。
「もう少しだけで結構です。その方が画面のバランスが良くなりますので」
私は仕方なく、さらに半歩内側へずれた。
真紀は動かなかった。
ここが一番ひどいところだ。
彼女はまったく調整する必要がないのだ。彼女がそこに立つだけで、画面全体が自動的に、彼女が本来立つべき場所を知っているかのように見える。それに比べて、私の二度の微調整は、「不自然とは何か」を公開展示しているようなものだった。
「なんで毎回、恥ずかしいディテールは私にばかり降りかかってくるのかしら……」
私は小声で愚痴をこぼした。
「あなたがよく動くからよ」
真紀は前を向いたまま、声を低くして答えた。
「その答え、非常に不親切ね」
「でも正確でしょ」
店員は明らかに、私が精神的に微小な災害を起こし始めていることにまったく気づいておらず、非常にプロフェッショナルに誘導を続けた。
「はい、お二人ともそれでバッチリです。よろしければ、レンズを見てください。自然な感じで、特別なポーズは必要ありません」
自然。
この言葉は、時として本当に暴力的だ。
自然にしろと言われれば言われるほど、人は不自然になる。
私はレンズを見つめながら、今の自分の顔がおそらく「私に問題はないが、明らかに何か問題がある」という微妙な状態を呈しているだろうと感じていた。真紀は至って安定しており、もし彼女のような人間が卒業アルバムの証明写真を撮られたら、おそらく「口角の角度」の欄で〇・二ミリほど調整するだけで終わるだろうと合理的に疑えるほどだった。
「はい、いち、に――」
店員は一瞬止め、突然とても穏やかにもう一言補足した。
「左の方、そんなに緊張しなくて大丈夫ですよ」
その場で目を閉じそうになった。
真紀が隣で、ごく軽く息を吐き出した。
それが笑いだったのかどうかはわからない。
だが、もし今私が彼女の方を向いたら、今夜は本当に自然ではいられなくなることだけはわかっていた。
だから私は無理やり視線をレンズに釘付けにし、無表情のままこの祝日のおまけである社会的公開処刑を受け入れた。
「さん。はい、撮れました」
私が心の中でほっと息をついたのも束の間、店員は再び画面をうつむいて見た。
「こちら、とてもよく撮れていますが、もしよろしければ、念のためもう一枚撮らせていただきましょうか」
私:「……」
「お願いします」
と、真紀。
ゆっくりと彼女を振り返る。
「あんた、今日は特別に証拠を残すことに熱心じゃない?」
「サービスのプロセスを尊重しているだけよ」
「その言葉、『制度のためだ』とバージョンが一つ違うだけだわ」
二枚目は一枚目よりも早く終わった。
おそらく、人は逃げられないと悟ると、一時的に抵抗を放棄した平穏状態に入るからだろう。
店員は写真をプリントに回し、傍らの小型プリンターが一生懸命に祝日仕様のフレームがついた小さなカードを吐き出した。一分も経たないうちに、彼女は完成品を店のロゴが入った薄い紙のケースに入れ、両手で私たちに差し出した。
「こちら、今夜の記念写真です。素敵なクリスマスをお過ごしください」
私はてっきり、真紀が私に取らせると思っていた。
だが彼女はとても自然に手を伸ばし、それを受け取った。
「ありがとうございます」
と、彼女。
私はその紙のケースが彼女の手の中で止まるのを見て、ふと口を開くべきかどうか迷った。
本来なら、写真には私も写っているのだ。
本来なら、私が一言尋ねるべきなのだろう。
本来なら、これはただの一定額以上のおまけであり、大したことではない。
だがなぜか、彼女がこうして極めて平静にそれを受け取った時、私はかえって何も言えなくなってしまった。
店員が去った後、私たち二人はレジの横に立ち、数秒間、短い沈黙が流れた。
最後に口を開いたのは私だった。
「あんたが持っておくの?」
真紀は手元の紙のケースを見下ろした。
「せっかく撮ったのだから」
「その答え、本当にあんたらしいわね」
「あなたが持っていってもいいわよ」
紙のケースを見て、それから彼女を見た。
外は冬の夜、店の中はまだ暖かく、会計を済ませたばかりで、頭上の祝日用のイルミネーションは疲れを知らずに点滅している。こんな時に私が本当に手を伸ばして写真を受け取ったら、この事態が急に明確になりすぎる気がした。
だから私は首を振った。
「とりあえず、あんたが持っておいて」
私は言った。
「私に持たせたら、たぶん当直の資料に挟んで、最後は巡回記録と一緒に提出しちゃうから」
真紀は私を一瞥した。
「それは確かに、あまり良くないわね」
「でしょ」
私は両手をコートのポケットに突っ込んだ。
「私は今のところ、生徒会のファイルキャビネットに今夜の精神的トラウマを保存したくないの」
彼女は今度こそ、本当にごく淡く笑った。
大きくなく、ほとんど音もないと言っていいほどだった。
だが、淡すぎるからこそ、余計に気になった。
ドアを押して外に出ると、外の冷たい空気が即座に顔に吹き付けてきた。店内の暖かさは背後で一気に遮断され、雪に洗われたような都市の夜の冷涼感が再び肌に張り付いてきた。道端の街灯がまだ溶けきっていない積雪を照らし、空の色は来た時よりも深く、風もより直線的になっていた。
ヘルメットを真紀に渡し、自分が先にバイクに跨ってエンジンをかけた。
この一連の動作はとても慣れたもので、バイクに戻りさえすれば、今夜のあの写真も、あの背景パネルも、店員の「左の方、そんなに緊張しなくて大丈夫ですよ」という言葉も、一時的に背後に振り落とせるような気がした。
真紀が後部座席に乗り、私の腰に手を回す動作はとても自然だった。
自然すぎた。
私は前を睨みつけ、バイクをゆっくりと駐車スペースから滑り出させた。
最初は二人とも何も言わなかった。
息が詰まるような気まずい沈黙でもなく、話すことがないわけでもない。どちらかといえば、今夜言うべきこと、言うべきでないこと、スムーズに言いすぎたこと、平静に受け取られたこと、そのすべてがほぼ一通り起きてしまったことを、二人ともわかっているような感じだった。今残っているのは、風にそれらを少し吹き飛ばしてもらい、同じ場所で結び目にならないようにすることだけだ。
交差点の赤信号が点いた時、私はゆっくりとバイクを止めた。
向かいのビルのガラスにわずかにぼやけた光の影が映り、角の積雪が白く光っている。この時間の通りはすでに随分と静かになっており、まばらな車列が滑り抜け、タイヤが雪を圧する音を長く引きずっていた。
振り返りはせず、ただ信号機を見つめたまま、私は突然尋ねた。
「あの写真、不細工に写ってた?」
背後が一秒、静まり返る。
「不細工じゃないわ」
真紀が答えた。
ハンドルを握りしめ、すぐには言葉を返せなかった。
二秒経ってから、私は低い声で言った。
「答えるのが早すぎる。怪しいわね」
「さっき見たからよ」
「……その場で見たの?」
「ええ」
こめかみを極細の針で突かれたような気がした。
「真紀、あんたって奴は、本来なら曖昧に処理できたはずの事を、実体のある証拠として固定するのが本当に上手いわね」
「あなたが先に聞いたんじゃないの?」
「でも、嘘をつくことだってできたでしょ」
「必要ないわ」
青信号が点いた。
再びアクセルをふかし、バイクを前へ滑り出させる。
風の音が立ち上がると、多くの言葉は自動的に途切れる。それはいいことだ。なぜなら、いくつかの言葉が夜風に吹き散らされれば、あまりはっきりと聞こえなかったフリを、もう少し堂々とできるからだ。
だが厄介なことに、真紀のさっきの「不細工じゃない」という一言は、やはりしっかりとそこに残っていた。まるで彼女が、今夜処理を終えたけれど一時的に非公開にしておくファイルの中に、それをついでに挟み込んだかのようだった。
私たちがさらに少し進んだ後、彼女は後ろから淡々と一言付け加えた。
「それに、二枚目の方が自然だったわ」
……ほう。
この一太刀は、さっきの言葉よりも残酷だった。
なぜならそれは、彼女がただ見ただけでなく、非常に注意深く観察したこと、さらには一枚目と二枚目の私の違いまで把握していることを意味しているからだ。
次の交差点でそのままバイクを止め、彼女と理論武装の戦いを始めたい衝動に駆られたが、最終的には基本的な交通安全意識によってその衝動をねじ伏せた。
「真紀」
「何?」
「あんた、今のタイミングまで待ってから言うつもりだったでしょ」
「少しね」
「だろうね」
彼女はそれ以上は何も言わず、ただ私の腰に回した手が少し安定しただけだった。
それは特に誇張された動作ではなく、曲がる前の単なる体重移動だったのかもしれない。だが、この時間帯に、この温度で、この夕食の後で、この写真の後に起きたことだからこそ、どうにも単なる普通の動作とは思えなくなってしまうのだ。
私は仕方なくすべての注意力を路面に向け、今一番重要なのはバイクを安定して走らせることであり、脳内で一定額以上の特典写真に対するリスク評価を行うことではないと自分に言い聞かせた。
残念ながら、人は「考えるな」と自分に言い聞かせれば言い聞かせるほど、考えてしまうものだ。
店員が「バッチリです」と言った時の口調、彼女が写真を紙のケースに収めた動作、さっきの「不細工じゃない」という言葉、臨時の配置――そして自分が本当にそれを口に出して聞いてしまったことまで。
本当に、どうしようもない。
私はてっきり、今夜一番危険なオブジェクトはあの「極薄」の箱だと思っていた。
だが今となっては、無料の記念写真もそこに追加しなければならないようだ。
住まいの近くに戻ってきた時、路上の風はさらに少し冷たくなっていた。
バイクを見慣れた場所に停め、エンジンを切る。世界全体が突然静まり返った。エンジンの余震はまだ手のひらに残っていたが、夜の空気はすでに非常に澄んでおり、これ以上一言でも多く言えば、今夜が名付けるべきではない何かに向かって半歩進んでしまうのではないかという錯覚を抱かせるほどだった。
真紀が先に降り、ヘルメットを脱いで白い息を吐き出した。
私もヘルメットを外し、その場に立って少し間を置いてから、低い声で言った。
「写真は、絶対誰にも見せないでよ」
彼女が私を見た。
「誰のこと?」
「誰のことかわかってるでしょ」
私は無表情で言った。
「もしジェスが見たら、私は来年、新しい年間スケジュール帳を必要としなくなるかもしれないわ。あいつはこの写真一枚で一年間生きていけるからね」
真紀は二秒黙った。
それから、紙のケースをコートの内ポケットにしまった。
「わかった」
と、彼女。
「彼女には見せない」
その「わかった」という言葉は短かった。
どうでもいい些細な事をついでに引き受けたかのように短かった。
だがなぜか、彼女がそう言うのを聞いて、私はさっきよりもさらにまずい感覚を覚えた。
なぜなら、もしその写真が本当にまったく重要でないのなら、わざわざそんなに大切にしまう必要はないからだ。
雪の夜の中に立ち、彼女がコートの内側から手を戻すのを見ながら、突然今夜に何らかの総括を下したくなった。
だが真剣に考えてみると、今夜は到底まともに総括できるようなものではないと気づいた。
多すぎるのだ。
当直、疲労、寿司、土瓶蒸し、ウニ、あの『私たち関係ないものだ』、道中の風、店員の記念写真キャンペーン、彼女の早すぎる「不細工じゃない」、そして最後の、コートの内ポケットにしまわれた紙のケース――すべてが混ざり合い、今夜はまるで、すでに食べ終わったのに、その味がまだ舌先と脳内に残って消えようとしない何かのようだった。
最終的に、私は非常に不本意ながら一つのことを認めざるを得なかった。
「……今日は、そんなに悪くない一日だったかもしれないわね」
真紀は私の向かいに立ち、私を一瞥した。
「今頃気づいたの?」
「気づいたんじゃないわよ」
私は手袋を外し、極力情けなくならない範囲に口調を保った。
「最初は労災記録みたいな一日になると思ってたのに、最後には思い出に分類できそうなものが少し混ざったってこと」
彼女はすぐには何も言わなかった。
冬の夜の風が私たちの間を吹き抜け、少し雪の匂いを運んできた。
そして、真紀はとても淡々と一言返した。
「じゃあ、覚えておくことね」
私は顔を上げて彼女を見た。
彼女の表情はごく普通で、特別なところは何もなかった。
だが、よりにもよってこの普通さが一番厄介なのだ。
なぜなら、彼女がただ適当に話を合わせただけなのか、それとも今夜を本当に、残しておくべき何らかの場所に収めたのか、判断が非常につきにくいからだ。
私は二秒ほど沈黙し、最後には咳払いをして視線を外すしかなかった。
「とても面白い」★四つか五つを押してね!
「普通かなぁ?」★三つを押してね!
「あまりかな?」★一つか二つを押してね!




