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臨界の星穹  作者: Mr.佐藤焫焵
士官学校編
52/73

13. 高負荷限定演習 5

この物語はフィクションです。実在の人物・団体・事件・名称等は一切関係ありません。

午後は、ミラの番だ。


いや、正確には「番」じゃない。


彼女が軍靴でスケジュールを踏み潰して、カールから直接強奪したんだ。


訓練場のドアが押し開けられたとき、俺は壁にもたれて水を飲んでいた。喉にはまだ血の味が残っている。ミラは黒灰色の戦術外套を着て、右目の義眼に極細の青い光を走らせ、いつものように葉巻をくわえていた。機嫌は最悪だが命中率は保証付きの、災害そのものみたいな佇まいだ。


彼女は俺を一瞥し、第一声から彼女らしさ全開だった。


「借りる」


カールは彼女をまともに見ようともしない。


「まだバラバラにはなっていない」


「だから、熱いうちに使う」


……あんたたち、自分の言ってること聞いてる?


俺は人間だ。焼き立ての部品じゃない。


十分後、俺は射撃区に引きずり込まれていた。


巨大なシミュレーションカプセルは、心理的トラウマを製造するためだけの金属缶詰みたいだ。周囲の風圧ユニットが低く咆哮し、頭上のレールにはすでに破片弾が装填されている。ミラが熱熔銃を俺の胸に放り投げてきて、その重さで危うく重力という概念を学び直すところだった。


「今日は追加だ」彼女は言う。


俺は彼女を見た。


「拒否権は?」


彼女は煙を吐き出し、低能な質問をした哀れな生き物を見るような目をした。


「ある」彼女は言う。「拒否するなら、記録にこう書く。『心理的耐圧不足。後方勤務部で書類の折り方から学び直すことを推奨』」


俺は個人的な恨みでもこもっているのかと思うほど重い熱熔銃を抱えながら、二秒黙った。


「……起動して」


ミラの口角が上がった。その笑みは淡いが、とても意地が悪かった。


「風速、百八十」


俺は危うく耳を疑った。


「いくつ?」


「時速百八十キロ」彼女はゆっくりと言う。「鼓膜も退役申請するか?」


次の瞬間、シミュレーションカプセルが起動した。


風は吹いてくるんじゃない。


直接ナイフで肉を削ぎ落としに来る。


金属粉塵、細かい合金片、熱波、低周波の振動が一斉に襲いかかり、視界が一瞬でボロボロの灰色に切り裂かれた。俺が銃を構えた途端、第一波の高速破片が斜め上から吹き込んできた。俺を説教するためだけに集まった銀色の毒蜂の群れみたいだ。


一発目。


外れた。


二発目。


掠めた。


三発目でようやく一枚に命中し、白熱の奔流がそれを歪んだ光の塊に溶かした。


「遅い!」通信機からミラの声が耳に叩きつけられる。「破片のケツを追うな、軌道を読め!的当てやってんじゃない、風と命の奪い合いをしてるんだ!」


俺は歯を食いしばる。反動で手首がじんじんする。


また一波。


今度はもっと速い。


俺はほとんど直感で動いていた。狙うのではなく、頭より先に体に決めさせる。右側三時の方向、二枚が高速で屈折。頭を下げ、手首を返し、二発。左上、一枚が乱流で押し流される。補正して一発。足元で跳弾した破片がふくらはぎを掠め、焼けつくような痛みを残していく。


カプセル内の警告灯が狂ったように点滅する。


ミラの声はまだ続いている。


「目を信じるな。リズムを信じろ」


「重心を落とせ」


「風向きが変わった。木偶の坊かあんたは」


「よし、今のは様になってた」


「次にあんな不格好な弾撃ったら、銃ごと壁に釘付けにするぞ」


……この女、どうやったら一言一言に指導と脅迫を同時に込められるんだ。


風の中で息を切らし、汗と埃が首に張りつく。肩は内側でゆっくり火を燃やされているみたいに痛い。でも不思議なことに、ある瞬間から、俺は本当にそのリズムを掴んでいた。


勇気のおかげじゃない。


才能のおかげでもない。


他に逃げ道がないところまで、追い詰められたからだ。


風切り音に規則性が生まれる。


破片の反射から軌道が読めるようになる。


熱熔銃の重い銃身は、ただの足手まといではなく、俺がようやく機嫌の取り方を覚えた野獣みたいに感じられ始めた。


最後の破片の波が押し寄せてきたとき、俺はほとんど何も考えなかった。


銃を上げる。ステップを踏む。連射。


三枚。


五枚。


七枚。


最後の一枚が耳の横を掠めて飛んでいく。俺は振り返りざまに一発撃ち込み、灼熱の光束が空中でそれを短命な白い花に変えた。


警報が止まった。


カプセル内の風圧が少しずつ下がっていくと、俺は膝から力が抜け、危うくその場に崩れ落ちそうになった。熱熔銃の銃床はまだ肩のくぼみに押し当てられていて、ひどく熱い。水から引き揚げられたみたいに、大きく息を吸い込む。


通信機が二秒間沈黙した。


それから、ミラの声が聞こえた。


「……想定よりは、少しマシだ」


彼女の口からこんな言葉が出るなんて、他人が進学祝いのパーティーを開いてくれるのと同じくらいの価値がある。


俺は顎の汗を拭い、息を切らしながら笑った。


「あんたの褒め言葉って、毒盛られてるみたい」


「まだ甘い菓子をやる価値はないからな」


カプセルのドアが開いたとき、俺はグラインダーで全身を削られたみたいな気分だった。


でも、昨日とは違うと分かっていた。


カールは俺に、ただ殴られるだけの状態から脱する方法を叩き込んだ。


ミラは俺を、風の中で銃を撃てるようになるまで追い詰めた。


聯邦特戦キャンプの教育理念は、言ってしまえばとてもシンプルだ。


今日、お前を少し壊しておかなければ、明日、お前を彼らが望む形に作り直すことはできない。


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「普通かなぁ?」★三つを押してね!


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