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臨界の星穹  作者: Mr.佐藤焫焵
臨界の星穹:月面都市コペルニクス
512/573

178.警察署  2

この物語はフィクションです。実在の人物・団体・事件・名称等は一切関係ありません。

——初めて警察署に入ったのは——


いや、失礼。


これはもう私の初めての警察署ではなかった。


首都星デュナン首都圏分署に連れてこられた時、頭に浮かんだのは緊張でも後悔でもなく、非常に静かな、静かすぎて煩わしいほどのデジャヴだった。


例えば。


受付の後ろにある、人生を裁いているかのように明るい白色灯。


例えば。


当直の警官が私を上から下まで、下から上まで見て、「未成年の女学生に見えるものが、なぜ七人を救急車送りにできるのか」という微妙な疑念を目に浮かべること。


さらに例えば。


最初は文明社会のやり方で処理しようとするが、しばらくすると文明社会とはただ混乱に少し整った上着を着せたものに過ぎないと気づくこと。


最初は手錠なしの予定だった。


現場にはナイフがあり、目撃者がいて、ヘートヴィヒがいて、ヒルダがいて、運転手がいて、街角の監視カメラも年間実績を叩き出す準備ができていたほど明るかった。


理屈では、現場で刃物があり、理論上は正当防衛の範囲内に収まっているはずの私は、最悪でも調書を取られ、面会室で紙を漉いたような安物のコーヒーを数杯飲み、学校か保護責任者に迎えに来てもらうだけのはずだった。


私もそう思っていた。


当直警官が私の記録を呼び出すまでは。


私は自分の目で見た。公務員らしい「お嬢さん、ご協力ください」という顔を保とうとしていた中年警官が、端末を三秒ほど見た後、顔が釘打ち機で打たれたように、まず固まり、次に硬くなり、最後に執行機関の職員の顔には出てはいけない表情になるのを。


「わあ」というやつだ。


敬意ではない。


恐怖でもない。


「危険物を迷子の学生として連れてきてしまったかもしれない」という職業的な衝撃だ。


何が表示されたか、膝で考えなくてもわかった。


タランド星の死刑囚報告書。


殺人。


刑事記録。


前線勤務。


一戦闘で帝国軍四十名以上を処理。


その他、見ただけで不穏で、しかも軍によって真っ黒に塗りつぶされた記録欄の数々。


補欠試験の記録を調べようとしたら、戦地精算書と黒いファイルが半冊挟まっていたようなものだ。処理方法を変えたくなるのは、私にも理解できる。


だから私は空気を読んだ。


自分から両手を差し出し、「わあ」状態からまだ完全に戻っていない当直警官を見た。


「……その顔は何?」私はできるだけ落ち着いた声で現場の空気に合わせた。「手錠をかけるなら、かけてくれていい。こっちが気を遣う必要はない」


その警官は私の潔さに少し面食らったようで、一拍置いてから小声で言った。


「……手続きです」


「わかってる」私は手首を持ち上げた。「早くして。今日はもう十分疲れた」


その望みはすぐに叶えられた。


カチャリ。


金属が手首に収まった瞬間、私は奇妙な懐かしさを感じた。


……これは人生の成長記録に書き留める感想としては、あまり適切ではない。


連れていかれた若い警官は、ずっと無言だった。私が次の瞬間に手錠で机の脚を外し、分署全体を改装するかもしれないと怖れているかのような無言だった。私は思わず横目で見た。


「なんで三メートルの安全距離を保とうとしているの?」


彼の喉が動いた。


「そんなことは」


「してる」


「……」


「安心して」私は背もたれに寄りかかり、できるだけ親切な口調で言った。「今は疲れているから、署を解体する気分じゃない」


今度は彼の顔色まで変わった。


よし。


私の慰め方は、やはりいつも通り教育的だ。


---


取調室は記憶よりも殺風景だった。


白壁、鉄の机、二脚の椅子、人を標本のように照らし出す一灯。こういう場所が最も得意とするのは、問い詰めることではなく、ここに座っているだけで「自分は最初から生まれてくるべきではなかったのではないか」という気分にさせることだ。


やってきたのは年配と若手の二人組だった。


年配の方は目の下のたるみが深く、顔には「私はあなたより面倒なものを扱ってきた」と書いてあった。若手の方は警察学校を出たばかりのように背筋が伸びており、「理論上は冷静でなければならないが、目の前に七人を病院送りにした人間が座っている」という軽い混乱状態にあった。


私は押し付けられるように座らされた。手錠はまだ前についている。年配の警官が資料を開き、私を見た。


「星野シモ?」


「今のところそうです」


「今夜、第二工業高校区外縁のバス停付近で、七名の被害者と衝突が——」


「訂正します」私は手を上げた。「七名のゴミです。被害者ではない。怪我は結果で、ゴミは本質です」


若手の筆先が止まった。


年配は目を上げた。すぐには怒らず、何かを確認したかのような表情になった。


「話し方が達者ね」


「ありがとう、幼い頃から鍛えました」


「なら、今は事情をはっきり話した方がいいとわかっているはずだ」


「私もそうしたい」私は少し後ろに寄りかかり、声は誠実だった。「だから、まず言葉の定義を整理しましょう。『衝突』なのか、それとも『相手がナイフを出し、強引に連行しようとしたのを私が阻止した』のか。この二つは、後の行政手続きが大きく変わります」


年配は二秒黙った。


よし。


最初の球は受け取ってもらえた。


対尋問(たいじんもん)の第一原則は単純だ。


相手に事件を定義させない。


「衝突」と言えば、双方の乱闘に聞こえる。


「ナイフの提示と強引な拘束の阻止」と言えば、性質が変わる。


文字遊びではない。誰が先に線を越えたかを釘付けにすることだ。こういう場所が最も好むのは曖昧さだ。曖昧になれば責任を分散させやすいからだ。だが私は責任を平均分担させられることが、昔から大の苦手だ。


年配はペンを机に置いた。


「わかった、あなたが話して。最初から」


「最初は長すぎます」私は誠実に答えた。「それに、前半はすでに記録にあるはずです。ヘートヴィヒは私たちと夕食の後で別れ、運転手に迎えに来てもらう予定でしたが、時間通りに現れなかった。ヒルダが鉑橋街二十二番地で確認し、私たちは手分けして捜索しました。時間記録はすでにお持ちのはずです」


若手は無意識に頷き、尋問中に容疑者に対してそういう反応をするべきではないと気づき、慌てて首を引っ込めた。


私は笑いそうになった。


対尋問の第二原則。


必要な範囲だけ答え、相手に自分がどこまで把握しているかを自分で明かさせる。


全部話す必要はない。相手の手札の量に応じて、相手自身に出させる。そうすることで私の一言一言が釘として機能し、お弁当として差し出されることにならない。


年配は私を見た。なぜ学生に見える年齢の少女が、タランド星のようなところにあれほど普通の戸籍記録に出てくるべきではないものを残しているのか、ようやく理解し始めたような目だった。


「それで、その後は?」


「その後、第二工業高校区外縁の辺鄙なバス停でヘートヴィヒを発見しました」私は言った。「七名の男性に囲まれており、そのうち少なくとも一名はすでに彼女の手首を掴んでいて、もう一名は折り畳みナイフを持っていました。順序に注意してください。包囲、引き摺り、ナイフの提示が先で、私の行動がその後です」


若手がついに口を挟んだ。


「でも、現場の状況から見ると、あなたの行動は……軽いとは言えない」


「その点は同意します」私は頷いた。「『過剰な行動』と書きたければ、反対しません。ただし前提として、私がどういう状況で行動したかを先に書いてください。ナイフと強引な拘束を省いて、私が人を病院送りにしたことだけ残すのは、調書ではなく作文コンテストです」


年配はかなり長い間私を見た。


「を受けたことがある?」


私は瞬きをした。


「どちらの意味ですか? 正式なカリキュラムとして、それとも生き残った人間が自然に身につける種類の?」


若手が息を呑んだ。


年配は追及せず、ただ何かを書き留めた。おそらく「対応が手慣れている」「言葉の選び方が鋭い」「通常の未成年手続きで処理しない方がいい」といった類のことだろう。


どうもありがとう。


私はいつも、各種公的機関のシステムに積極的で前向きな印象を残したいと願っている。


それから三十分以上、私たちは非常に礼儀正しく、互いに絞め殺したくなるような雰囲気の中で、第一回目の問答を終えた。


彼らは行動の順序を聞き、私は誰が先に人を掴み、誰が先にナイフを出し、私が最初は人を連れ出そうとしたのに、どうして本格的にひっくり返すことになったかを、一つずつ分解して話した。なぜあんなに激しく行動したのかと聞かれた時、私はこう答えた。


「少し痛めつけるだけでは、二分後にまた起き上がってくるから」


これは本当のことだ。


そして本当のことは、こういう場所ではたいてい聞こえが悪い。


問答の中盤で、若手がついに耐えられなくなった。


「最初から人を連れて逃げることもできたのに、なぜ——」


「逃がしてくれなかったから」私は遮り、彼の目を見た。「それと、私に『なぜ最初に連れて逃げなかったのか』と聞く前に、あの七人にこう聞くべきじゃない?『なぜ最初の警告で退かなかったのか』と」


彼は口を開けたまま、続きが出てこなかった。


年配がこの時、初めてわずかに疲れたような表情を見せた。


「あなたは誘導されるのが嫌いね」


「誰が好きですか?」私は言った。「特に、私の顔にまだこれだけ血が残っているのに」


これがおそらく、この問答全体で最も説得力のある一言だった。


なぜなら年配がようやく思い出したように、私は完璧な状態でここに座って文句を言っているのではなく、顔の側面は本当に刃物で切られており、手の関節も腫れており、袖口にも乾いた血が残っているからだ。


文明社会はいつもこうだ。


なぜそんなに人を傷つけたのかを先に聞いて、あなた自身も血を流していたのだと、半拍遅れて気づく。


第一回目の問答が終わった後、私はすぐには解放されなかった。


これは普通のことだ。


現場の七人のうち、数人が骨折し、数人が脳震盪を起こし、一人は本当に鼻の骨が折れていた。病院側からの報告が戻ってくるまで、警察側も「調書を取ったらお疲れ様でした」という普通の案件関係者として私を扱うことはできない。


だから私は一時的に留め置かれた。


ドラマ的な鉄格子のある留置場ではない。私はまだ学生で、皇女側の敏感な背景もある。保護管束でも留置協力でも、意味は同じだ。


今夜は帰れない。


本当に嫌だ。


私は公的機関らしい寒さの小部屋に案内された。顔の傷口は簡単に処置され、手錠も「今は座っていて扉を外そうとはしないと思うが、一応警戒は保つ」モードに変わった。窓の外の空が少しずつ白み始め、私はそこに座り、壁に背を預け、頭は想像よりはるかに冴えていた。


精神が良いからではない。


静かになった瞬間、さっきの光景が自動的に巻き戻り始めるからだ。


バス停の下に立つヘートヴィヒ。


手首の赤い跡。


言いかけて、私に遮られた言葉。


そして最後のあの、とても静かな——


ごめんなさい。


くそ。


皇女が、夜中に一人で出歩いて、入るべきでない場所に踏み込んで、危うく両国の外交問題になりかけて、最後に私に謝罪する。


これは全く道理に合わない。


最も道理に合わないのは——私が本当に少し、その言葉に弱かったことだ。


私は後ろへ倒れかかり、目を閉じた。


「本当に面倒……」


当直の警官が小窓から一瞥した。警察への文句だと思ったのだろう。


残念ながら違う。


私が文句を言っているのは、人生に対してだ。


---


翌朝、警務体制が本格的に動き始めた時、私は一秒も余分に待たず、そのまま解放された。


「そのまま」というのは正確ではない。


前には当然、文明社会が最も得意とする一連の手続きがあった。身元確認、書類への追加署名、案件の仮扱い、学校への連絡、保護責任の引き渡し、今後の出頭の案内、そして無数の印鑑と筆の受け渡し。その感覚は、戦場から生きて戻ってきた後、まず受付で自分が確かに生きていることを証明してから、社会に認められた呼吸権を受け取るようなものだった。


昨夜と比べれば、これでも十分に人情があった。


分署の正面玄関を出た時、夜明けの空気は真っ直ぐに冷たく、氷水で脳を洗い直されたようだった。昨夜の疲労がこの時になってようやく骨の奥まで滲み始め、顔の傷口は一拍一拍と痛み、指も打ちすぎて一回り腫れていた。


よし。


これが私の理想的な朝の状態だ。


負傷、徹夜、前科記録に新しい脚注が一行追加、そのまま時間通りに登校して生徒会副会長を続ける。


遠くから何かが飛んできた。


反射的に手を上げたが、指が痛んで危うく受け損ねた。それでも何とか掴んだ。


——バイクの鍵だった。


顔を上げた。


九島真紀が、分署外の駐車スペースの脇に立っていた。外套はきちんと着られ、マフラーも清潔に巻かれており、清晨六時の空気そのもののように冷静だった。顔がまだ痛くなければ、世界の一部がまだ正常に機能していることに感謝したいところだった。


そして彼女が口を開いた瞬間、その感謝の気持ちは正確に処刑された。


「本当に人に面倒をかけるのが上手いわね、星野シモ」


私は手の中の鍵を掂量し、思わず笑った。


「留置所にもう少し置いておくかと思ってた」


言い終わった瞬間、頭をパシリと叩かれた。


強くはなかった。


だが正確だった。


しかも徹夜後で神経が少し不安定な私の頭に打たれると、効果は十分に顕著だった。


「夢を見て」真紀は言った。「あなたがいなければ、誰が使い走りをするの?」


私は頭を揉み、舌打ちをした。


「あ、奴隷が足りなかったのね」


「自分の立場をよく理解しているじゃない」


「ありがとう。私は組織が下層の労働力をどう効率的に搾取するかを理解するのが得意なの」


真紀は私を一瞥した。


その一瞥は淡かったが、私には読めた——まず、腕が欠けていないか足が折れていないかを確認してから、こんなにも良心のない普通の口調で話すことを決めたのだ。


これが彼女らしかった。


そして、良かった。


もし彼女が最初から柔らかい口調で来たら、昨夜頭を打ったのは私の方だったのではないかと疑っただろう。


「顔は?」彼女は聞いた。


「まだ私の顔についている、今のところ落ちていない」


「傷の話よ」


「ああ」私は側面のガーゼを触った。「少し痛いけど、大丈夫。それよりも、あなたが直接来たことの方が驚いた」


真紀は手を伸ばし、乱れかけた私のマフラーを少し引き上げた。公文書が少し曲がっているのをついでに直すような動作だった。


「他に誰がいるの?」


「例えばロイとか」私は言った。「男性財務が警察署の前で人を迎えに来る光景は、現代社会の福祉システムの荒唐無稽な美しさがある」


「ロイは今朝早くから予算の補修に行かせた」


「それは意外でも何でもない」


「ランは器材と場地を回っている」


「それも意外でも何でもない」


「ジェスは昨夜あなたが署に入ったと聞いて、差し入れを持ってお見舞いに行こうとするくらい興奮していた」


私は二秒沈黙した。


「……あいつ、警察署を動物園だと思っているの?」


「大体そんなところ」


私は笑った。


笑い終わると、胸の中に昨夜からずっと張り詰めていたものが、ようやく少し緩むのを許されたような気がした。この世界は本当に妙だ。時に人を安心させるのは、誰かが優しく「大丈夫だよ」と言ってくれることではなく、相手が片手で頭を叩きながら面倒だと文句を言いながら、それでも警察署の前で待っていてくれることだ。


この安心感には何の理屈もない。


なのに私は最近、こういう道理に合わない安心に、どんどん弱くなっている。


「ヘートヴィヒは?」私は聞いた。


「無事に戻った」真紀は言った。「ヒルダの方がすでに話と記録をあなたに有利なバージョンに調整してあった。学校も出てきた。そうでなければ、あなたがこんなに早く出てこられると思う?」


「そうだと思ってた」私は伸びをして肩を引っ張り、痛みで思わず息を吸い込んだ。「世の中に無料の正義などない」


「あなたのは正義じゃないわ」


「じゃあ何?」


真紀は私を見て、口調は平坦だった。


「あなたが手加減しすぎただけで、相手がもっと当然の報いを受けたから、結果がまだ見られる程度に収まっただけよ」


反論できなかった。


「じゃあ、あの七人のゴミが十分にゴミだったことに感謝すべき?」


「ヘートヴィヒ側が協力してくれたことに感謝した方がいい」真紀は私の顔のガーゼから視線を外した。「昨夜のあなたの打ち方だけでは、今日はこんなに楽になっていなかった」


私は車に寄りかかり、横を向いて彼女を見た。


「心配してた?」


「してない」


「してた方がいい」


「損失を計算していたの」


「どんな損失?」


真紀は顔色一つ変えなかった。


「副会長が欠席すれば、生徒会の仕事量が増える」


「うわ、冷血だ」


「それから」


「まだあるの?」


彼女は一拍置いてから、淡々と続けた。


「あなたの顔が本当に切り裂かれていたら、うるさくなる」


私は固まった。


「……それはどういう理由?」


「非常に実際的な理由よ」


「会長」


「何?」


「あなたたまに、人の一番防ぎにくいところを狙って刺してくる」


真紀は答えず、ただもう一つのヘルメットを私に渡した。


おそらく途中で持ってきたのだろう。サイズはちょうどよく、シールドも昨夜私のが英雄的に殉職した先輩とは違い、きれいだった。


私はヘルメットを受け取り、彼女を一瞥した。


「今日は私が自分で乗る? それとも乗せてもらう?」


「昨夜七人を病院送りにしたばかりで、今日も片手で乗れると証明したいの?」


「そういうわけじゃない。今日は正直、負傷兵として戦後の待遇を少し享受したい」


「なら乗って」


彼女はあまりに自然に言ったので、私の方が半拍遅れた。


「……真紀」


「また何?」


「今日、私に対して少し優しすぎない?」


真紀は私を見て、眉一つ動かさなかった。


「今すぐ署に戻って、もう一度調書を取り直してほしいなら、それでもいいわよ」


「結構、ありがとう、今のままで十分です」


私はすぐにヘルメットをかぶった。


人として最も重要な知恵の一つは、適切なタイミングで黙ることだ。特に、昨夜署に入ったばかりで、今朝は学生会長の隣に立ち、彼女が用意してくれたヘルメットを手に持っている時は、余計な強がりはすべて自業自得になりかねない。


私は素直に乗り、後ろに座った。


真紀は発進前に少し首を傾けた。


「ちゃんと掴まって」


「私は別に初めてじゃ——」


次の瞬間、バイクが前へ滑り出し、私の強がりは飲み込むしかなくなり、手も正直に彼女の外套の後ろを掴んでいた。


冬の朝の風はやはり冷たかったが、昨夜パトカーに乗っていた時の冷たさと比べると、今のこれは正常に感じた。普通の通り、普通のエンジン音、普通の帰り道、そして前を走る、冷たくて人情がないように見えて、それでも警察署の前に迎えに来た学生会長。


私は彼女の背中を見て、昨夜の一連のことが、今になってようやく本当に終わった気がした。


もちろん、一時的にだけ。


学校に戻って、生徒会に戻って、普通の日程に戻れば、九島真紀流の事後処理が前で待っているのはわかっていた。


でも不思議と、今はそんなに怖くなかった。


おそらく昨夜、最悪の部分はすでに一通り打ち終わったからだろう。


そして、おそらく——


口でどれだけ文句を言おうと、最後に迎えに来たのは真紀だったからだ。


道理に合わない話だ。


でも、役に立つ。


少なくとも、徹夜して傷を負って警察署から出てきた女が、清晨の冷風の中で、珍しく静かにしていられる程度には。


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