176.下院のスナイパー 1
この物語はフィクションです。実在の人物・団体・事件・名称等は一切関係ありません。
私が出る前に、真紀はボールペンで私の胸元をコツンと叩き、今日の昼食の塩加減を指示するような、あまりにも落ち着いた口調で言った。
「まずは下院の射撃部の人を探してきて」
言うのは簡単だった。
まるで、八百メートル先から人の頭を『教材用・貫通前後比較図』に変えてしまうような狙撃手を軍校の中で探し出すことが、購買部で牛乳を二パック買ってくるのと同じくらい簡単なことであるかのように。
その時、私は手の中の空白の名簿を見下ろし、これはおそらく三十分後には短くも光栄な一生を終えるのだろうと思っていた。だが、道の途中で私は気づいた。
探す必要など全くない。
聞く必要すら、全くない。
下院の射撃部で名前を書くとしたら、その名前は一つしかない。生徒会のコーヒーポットからは焦げた土のような黒い液体しか出てこないのと同じくらい、これは常識であり、天意であり、本校でまだ手続きに汚染されていない数少ない真理の一つだ。
アカリ・フラック。
校舎の間にある、冷たい風に吹かれて墓地の参道のようになった金属の連絡廊下を踏んで、下院の訓練区へ向かった。吐き出す白い息が一塊、また一塊と前方に漂い、まるで前を歩く見えない誰かが、私の代わりにため息をついているようだった。
冬の連邦中央星際連合軍事学院が最も得意とすることは二つある。
一つ目は、自分は勉強しに来たのか、それとも青春という名の低温耐久刑を受けに来たのかを疑わせること。
二つ目は、本来普通に話し合えば済むはずのことを、規則と印鑑と権限の切り分けと現場サインに満ちた戦術的災害へと包み直すことだ。
代表隊選抜は後者だ。
そしてアカリは、おそらく前者と後者が正面衝突した時、唯一砕けずに飛んでいける弾丸だ。
下院射撃部の屋外長距離靶場は校舎の最も外側、防風壁と模擬地形区の近くにあった。普段、人はあまりそこへ行きたがらない。理由は単純だ。寒くて、静かだからだ。大半の学生にとって、寒さは手を震わせ、静けさは自分が思ったほど大したことがないという事実を耳元で囁いてくる。
本物の射手にとっては、その二つはむしろ贈り物だ。
最後の防風扉のそばまで来た時、まず銃声が聞こえた。
射撃訓練の後で新兵たちが「今の弾はちょっと風にずれた」と互いに言い訳し合うような、賑やかな銃声ではない。
一発。
乾いていて、短く、少し冷淡でさえあった。
誰かが世界に向かって余計な無駄話をするのが面倒で、鉛と火だけで自分のサインを書き残したような音だった。
数秒後、遥か八百メートル先の頭部靶のセンサーが、一拍遅れて赤く灯った。
私は扉のそばに立ち、その赤い点が灯るのを見て、手の中の空白の名簿が少し余計なものに思えてきた。目の前で実弾が黒板に答えを書いてくれたのに、まだチョークを握って「すみません、第一問はどう答えればいいですか」と聞いているようなものだ。
防風壁の隙間から吹き込んだ風が、私のマフラーを後ろへなびかせた。二歩前に進むと、ようやくアカリの姿が見えた。
彼女は射撃位に伏せ、身体を極限まで低く保っていた。全身が、地面と、ライフルと、呼吸と、照準線と同じ一つのものに溶け込んでいるかのようだった。濃い色の訓練用ジャケットが背中に張り付き、肩甲骨の線が寒気の中で清潔かつ鋭利に浮かんでいた。彼女はすぐには起き上がらず、ただ右目を照準器から少し離した。風を確認しているのか、それともこの世界にもう一発撃つ価値があるかを確認しているのか。
私は彼女の二歩後ろに立ち、声を出さなかった。
出したくないのではなく、出せなかったのだ。
教会の中で神像に向かって怒鳴ったりはしない。同じように、靶場では狙撃手が引き金を引き終わった直後にすぐ話しかけるべきではない。
さらに数秒後、アカリはボルトを引き、薬莢を排出した。その動作は、退屈な判決文に判子を押すように手際よかった。彼女は横顔を向け、視線が私を捉えた。驚きはなく、ただ「やはり来たか」とでも言いたげな淡々とした色があるだけだった。
「あら、星野」
彼女の声は相変わらず、死んだように静かだった。
「そこに立って五秒。私が敵だったら、あなたはもう二回死んでるわ」
「ちょうどいい」私は手の中の空白の名簿を振った。「私は今日、他人を二回殺せる人間を探しに来たの」
アカリは名簿を一瞥し、それから私を見た。表情は淡く、雪の上についた刃の跡のように淡かったが、口角にわずかな弧度があるようにも見えた。
「なら、探す場所は間違っていないわね」
私は白い息を吐き、射撃位のそばまで歩いた。地面は凍りつくほど冷たく、足音さえ澄んで響いた。私はうつむいて彼女の銃を見、それから遠くの標的を見た。
「八百」
「八百二十」
彼女は淡々と訂正した。
私は少し黙った。
なるほど、こういう人間は、他人がさらりと口にした格好いい数字にさらに二十を上乗せして、事実で恥をかかせてくる。
これは傲慢ではない。プロフェッショナリズムだ。上院の、胸章の大きさだけで生きているような廃棄物どもには、この種の専業的な恥をかかされる資格すらないかもしれない。
アカリは保護眼鏡を少し押し上げ、ようやく地面から起き上がった。膝で銃を支える姿勢は緩やかだったが、その緩さは怠惰からではなく、「自分が常に力を入れていることを証明する必要はない」という種類の余裕からだった。こういう人間は厄介だ。努力というものが、時として才能が登場する前の準備運動に過ぎないのだと、心底思わせてくるからだ。
「代表隊選抜?」
彼女が聞いた。
「うん」
「上院も出すの?」
「出す」
「またあの、重症の均衡美学?」
私はこらえきれず笑った。
いわゆる均衡美学とは、人間の言葉に翻訳すれば、学校が実力を問うべき場面に、わざわざ「身分としての体裁も大事にしよう」という余計なものを詰め込む習性のことだ。金縁の制服と名門の姓を名簿に並べれば、標的の方が礼儀正しく自ら歩み寄って命中してくれるとでも思っているかのように。
「大体そんな感じ」私は言った。「でも今回は真紀が流れを改めた。混ざりたい人間はまだ混ざれるけど、少なくとも綺麗には混ざれない」
「真紀?」
アカリが彼女の名前を口にした時、語尾は平坦で、お世辞もなければ軽蔑もなかった。新しい銃のバランスを評価しているような響きだった。
「彼女、本当に流れを変える気があるの?」
「その言い方は何」
「事実確認の声色よ」アカリはライフルを立て、片手で銃床を握って立ち上がった。彼女は私が思っていたより少し背が高く、近距離で見ると視線も伏せ撃ちしていた時より圧迫感があった。凶悪なのではない。正確なのだ。彼女が人を見る時、ついでにその人間の骨まで校正してしまうかのように。「軍校で大半の人間が『流れを変える』と言う時、それは元々見苦しかったものをレイアウトし直して、少し優しい色の表を一枚添えるだけの意味よ」
「……反論できない。あなたの言葉、私たち生徒会の毎日の仕事内容にそっくりだから」
「じゃあ、なんで彼女はあなたを寄越したの?」
「下院の射撃部には二番目の名前を探す必要がないと、彼女が知っているから」
アカリは私を見た。
風が彼女の背後から吹き、額の横の短い髪を横へ流した。寒すぎるせいか、私はこの光景が一瞬、過剰なほど清潔に見えた。この学校が生み出すものとは思えないほどに。本校がより頻繁に生み出すのは、腐った流れ、作り笑い、予算不足、そして命中率を超えた自信を持つ高等な廃棄物たちだ。
「直接的ね、星野」
「今日はもう半日、行政のゴミ山に浸かってたから。無駄にする修辞なんて残ってないのよ」
「真紀にそこまでこき使われて?」
「……その言い方、かなり危険よ」
アカリは少し止まり、本当に半秒ほど考えてから、淡々と付け加えた。
「仕事の話よ」
「そうであってほしいわ」
今度は彼女が本当に笑った。短く、浅く、でも確かにあった。
正直に言って、その一瞬は、彼女が八百二十メートル先の頭部標的を撃ち抜いた時よりも危険だった。前者は命を奪うだけだが、後者は不必要な好感を生みやすいからだ。
こういうことは軍校では大抵ろくな結末にならない。特に私にとっては。私の生活はすでに十分に手狭で、真面目な話をしている最中に突然笑う下院の狙撃手をさらに詰め込む余裕はない。
残念ながら、人生は私の需要など一度も聞いてくれない。
アカリはライフルをラックに戻した。その動作は残酷なほど手際よかった。彼女は私に向き直り、両手を外套のポケットに突っ込んだ。
「相談しに来たの? それとも通知しに来たの?」
「通知なら、空白の名簿は持ってこないわ」
「じゃあ、相談ね」
「形式上はそう。実質的には、上院のあの自意識過剰な廃物に本校の射撃水準を代表させないでくれ、というお願いよ」
アカリは少し首を傾げた。
「あの男への評価、随分高いのね」
「これでもかなり抑えた方よ。もっと言うと人格攻撃になる。まあ大抵、それも事実だけど」
「本当に正直ね」
「教育資源が限られているという事実を、少し温かみのある言葉で表現しているだけよ」
彼女はもう一度笑った。今度はさっきより明らかだった。
「いいわ、副会長。少なくとも『学院の名誉のためにご協力を』としか言えない連中よりは好感が持てる」
「じゃあ、答えは?」
アカリはすぐには答えなかった。
彼女は目を上げ、遠くの靶場を見た。風が彼女の毛先を少し乱した。その瞬間、彼女の横顔はとても冷たく、冬という季節そのものが一時的に一人の人間の輪郭を借りているかのようだった。
「出られるわ」
彼女は言った。
「でも、条件がある」
そう来ると思った。本当に実力のある人間が条件を出さない時は、大抵、現場で他人の額に直接条件を書き込むつもりの時だけだ。
「言って」
「第一に、靶道は一視同仁。距離、銃器、校正時間、判定基準、全部同じセット。姓のせいで有利な風向きを手に入れる人間がいてはならない」
「合理的ね」
「第二に、廃物の体裁を整えるための化粧はしない。私を出すなら、成績通りに撃たせて。故意に手加減して、上院と下院が仲良し家族みたいな団結劇に付き合わせないで」
「この点は特に強く支持するわ」
「第三に」アカリは私を見た。初めて少し口調が遅くなった。「もし最後に誰かがその枠を無理やり上院のあの廃物に押しつけようとするなら、生徒会の中で少なくとも一人は、こう言わなければならない。彼女の方が適任だからじゃない、あなたたちが恥をかくのが怖いだけだ、と」
私は一秒間、黙った。
この言葉はあまりにも正確すぎた。正確すぎて、苦笑いさえ余計に思えるほどだった。
なぜなら、これが問題の核心だからだ。
強い人間が選べないのではない。強い人間がたまたま体裁の悪い身分だった時、それを多くの人に見せる勇気がないだけだ。
「約束するわ」私は言った。「少なくとも、私は言う」
アカリは私を見つめた。
「あなた一人が言って、意味があるの?」
「必ずしもあるとは言えない」私は空白の名簿を裏返し、ペンを取って一行目に彼女の名前を書いた。ペン先が紙を走る音は、乾いていて小気味よかった。「でも、真紀が二回目を言う」
「真紀が本当に言うの?」
「彼女が言わないような人間なら、私は今日ここにいない」
風の音が数秒止んだ。
いや、正確には、その数秒間、私の耳は自分の呼吸と、ペン先が名前を書き終える音しか拾わなかった。
アカリ・フラック。
文字が紙に落ちた瞬間、名簿はもう白くなくなった。
空っぽだった紙が、突然重さを持ったようだった。インクの重さではない。この瞬間から、これはもう誰が試合に出るかという問題ではなく、誰が制度の前に立って、普段は背景を見、顔色を窺い、姓を確認し、最後にようやく渋々成績を見るという事実を、制度自身に認めさせるかという問題になったからだ。
アカリはその一行を見て、何も言わなかった。
私は名簿をしまい、心の中はむしろ少し軽くなった。事が解決したからではない。少なくとも、本物を掴んだからだ。行政の最大の苦痛は忙しさそのものではない。一日中動き回った末に、手元に残るのが言葉遣いだけ丁寧で中身が空っぽの紙束だという時だ。今は違う。今、この紙には弾薬の匂いがする。
「上院のあいつ」アカリが不意に口を開いた。「どう処理するつもり?」
「まだ決めていない」
「決めていないようには見えないけど」
「それは私が人生設計をしっかり持っている顔をしているせい。誤解よ」
「私は、徹夜明けで生徒会の代わりに他人の人格的欠陥を処理しに行く顔だと思っていたけど」
「……なんでそんなに正確に攻撃できるの?」
「職業病よ」
私が睨んでも、彼女はひどく平静で、手を伸ばして、風で曲がった私のマフラーを少し直してくれた。
ほんの短い一瞬だった。
指先が顎の横を掠めた。冷たかった。
なのに私は、わけもなく一拍、動きを止めてしまった。
アカリはその動作を何でもないことのように扱い、マフラーを直し終えると手を引いて、淡々と言った。
「風邪をひかないで、副会長。あなたが倒れたら、生徒会のあの表たちは集団で意味を失うから」
「私を心配しているの? それとも表を心配しているの?」
「半々」
「いかにも本校らしい優しさね」
「気に入らない?」
私は彼女を見た。
彼女も私を見た。
冬の風が私たちの間を通り抜け、靶場の遥か先のセンサーランプがまだ微かな赤を残していた。その光景はどこか荒唐無稽だった。判決文のように冷たい風の中に二人の女が立ち、一人は八百二十メートル先の頭部標的で自分が一枠に値することを証明したばかりで、もう一人は生徒会の名簿を、爆発寸前の行政的火種のように抱えていた。
そして私たちは、気に入るかどうかを議論していた。
軍校というのは、本当に日常の判断を狂わせやすい場所だ。
私は咳払いをして、視線を逸らした。
「私はあなたが選抜の場で他人の自尊心を撃ち砕くところの方が好き」
「それも告白?」
「仕事の依頼よ」
「残念ね」アカリは横を向き、銃のケースを手に取った。口調は相変わらず平坦だったが、語尾にわざと少し余韻を残した。「もう少しで、もっと聞こえのいい返事をするところだったのに、シモ」
私はその場で自分の影を踏みそうになった。
彼女は今、私を名前で呼んだ。
副会長でも、生徒会でも、制度と公文書という一枚の紙を隔てた呼び方でもない。
シモ。
私は突然理解した。なぜ多くの人間が、狙撃の危険性を知りながら、それでも照準線の中に立ってしまうのかを。
なぜなら、引き金を引く前から、名前の呼び方まで過剰に正確な人間がいるからだ。
「冗談はやめて」私は両手をポケットに突っ込み、できるだけいつも通りの不機嫌な声を保った。「その照準は選抜のために取っておいて。それ以外のことは、あなたが上院のあの廃物を成績板の下に釘付けにしてから話そう」
アカリは銃のケースを背負って器材収納区へ歩き出し、振り返らなかった。ただ片手を軽く振った。承諾のようでもあり、愛想を省くのが面倒なようでもあった。
「じゃあ真紀に伝えて」
「何を?」
「下院はここにいる、って」
私はその場に立ち尽くし、彼女が遠ざかるのを見ていた。
風がまた吹いて、手の名簿の端をめくり上げた。私はうつむいて、そこに書かれた名前を見た。今日は少なくとも、無駄骨ではなかった。
「とても面白い」★四つか五つを押してね!
「普通かなぁ?」★三つを押してね!
「あまりかな?」★一つか二つを押してね!




