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臨界の星穹  作者: Mr.佐藤焫焵
士官学校編
50/75

13. 高負荷限定演習 3

この物語はフィクションです。実在の人物・団体・事件・名称等は一切関係ありません。

宿舎に戻って最初に思ったのは、疲れたじゃなかった。


馬鹿馬鹿しい、だ。


本当に馬鹿馬鹿しい。


昼間は高重力訓練場で、二人の別ジャンルの狂人に交互に人生を解体されていた。一人は俺を壁に叩きつける担当で、もう一人は戦艦の部品みたいに重い熱熔銃を持たせて、金属の暴風の中で自分の顔を撃ち抜かない方法を教える担当だ。それで夜に帰ってきたら、部屋はまだあの高級モデルルームのままだった。


暖色の照明。


長いソファ。


一面の情報ウォール。


宣伝動画に使えそうなほど清潔な床。


そして昨日から存在を認識しつつ、必死に無視し続けているミニバー。


聯邦のやり口は本当に巧みだ。


まず半壊させておいて、統合作戦司令部よりも豪華な個室を用意して、青痣を冷やしながら「もしかして変態の金持ちに囲われてる?」と思わせる。


答えはもちろん、違う。


分かってる。


これは待遇じゃない。


これはメンテナンスだ。


高級消耗品は、清潔な箱に入れておくものだ。


装備をソファの脇に放り投げて、まず洗面所の鏡を見に行く。


なるほど。


右肩が、朝よりさらに見事なことになっていた。


最初はただ赤みがあっただけなのに、今は鈍い紫の絵の具で一刷きしたみたいに、肩窩から鎖骨の下まで青痣が広がっている。カールのほうの痕跡もまだ消えていないところに、ミラがさらに一筆加えた。二人の教官が合作で、俺の上半身をミニマリスト風の被災地図に仕上げてくれていた。


その青痣を二秒ほど見つめて、心の底から一つの結論を出した。


「……二人とも、年取ったら関節が痛くなればいい」


冷蔵庫の上段を開けて、医療用アイスパックを取り出し、肩に押し当てる。


「っ——」


いい。


生きている証明がまた一つ増えた。


その冷たさは気持ちいい冷たさじゃない。肩が条件反射で縮み上がって、今日トリガーを引くたびに反動が骨に叩き込まれていた瞬間を全部思い出させるような冷たさだ。片手でアイスパックを押さえながら、もう一方の手でミラが渡してくれた命中記録ボードを開いて、ソファに沈み込む。姿勢は、療養中の負傷兵と人生に打ちのめされた社畜の中間あたりだ。


光幕が点灯する。


命中率。


反応時間。


銃口偏移。


風場予測誤差。


後座圧制安定値。


全部が冷たく並んでいる。礼儀正しい判決文みたいに。


前半は、正直すぎるくらい惨めだ。


一番最初の命中記録を見て、自分でも笑いそうになった。


ゼロ。ゼロ。ゼロ。偏離。失敗。遅延。早打ち。銃口上振れ。肩部反動制御不足。


すごい。


聯邦提供・厳選失敗ハイライト集だ。


でもスクロールしていくと、数字が本当に変わり始めていた。


奇跡的な急上昇じゃない。


「天に選ばれた少女が一日で悟りを開き、以後百発百中」みたいな熱血展開でもない。


ただ、着実に、少しずつ上がっていく。


命中がゼロから一になり、一から三になる。予測誤差が縮まり、銃口の戻りが速くなる。最後の何発かには、ミラが赤でマークを入れていた。


その赤マークを何秒か見つめた。


面倒くさい。


本当に面倒くさい。


これが何を意味するか、誰より自分が分かっているから。


今日だけ運が良かったわけじゃない。


熱熔銃が急に良心に目覚めて、俺の肩を消耗品扱いするのをやめたわけでもない。


ミラが心を軟らかくして、こっそり難易度を下げたわけでもない。


俺が本当に——学び始めた。


この事実は、殴られることより腹が立つ。


アイスパックを肩にもっと強く押しつけて、ソファに背を預け、天井を見ながらゆっくり息を吐く。


「あんた、本当に彼女に追い立てられて、上手くなってる」


その言葉を、あまり大きな声では言わなかった。


声に出したら、何か恥ずかしいものが本当に成立してしまいそうで。


この感覚が嫌いだ。


進歩が悪いからじゃない。


「進歩」がここでは何を意味するか、分かりすぎているから。


普通の学校なら、進歩は成績が上がることかもしれない。


普通の士官学校なら、進歩は正式配属に近づくことかもしれない。


でも聯邦特戦キャンプみたいな場所では、進歩はただ一つのことを意味する。


あいつらが欲しい形に、どんどん近づいているということだ。


そう思って、もう一度記録に目を落とした。


画面の中で少しずつ安定していく曲線は、少し綺麗に見えた。


そして少し、気持ち悪かった。


誰かが俺の壊れた部分、強がり、意地、第一特別運用科で無理やり叩き出されたものを全部持っていって、磨いて、削って、最後に満足そうに言うみたいだ。


——ああ、この素材はなかなかいい。


手で目を覆って、アイスパックをまだ肩に当てたまま、ソファに深く沈み込む。


死にたい。


字義通りじゃない。


「この体制に死ねと言いたいのに、本当に何かを学んでしまった」という意味での、死にたい。


嫌いな先生がいて、口が悪くて、厳しくて、金属たわしで人を擦るみたいな教え方をする先生なのに、テストが返ってきたら、そいつが教えたことが全部出てた、そういう感じだ。


ミラはそういう人間だ。


毒。


冷たい。


言葉は狙撃スコープみたいに正確で、一言も俺を楽にするつもりがない。


でも彼女の「楽にしない」は、俺を辱めるためじゃない。


俺を、役に立たない本能から引き剥がすためだ。


それが分かる。


分かるから、余計に面倒くさい。


手を目から外して、横を向いてバーカウンターのほうを見た。


ミニバーはまだそこにある。


照明は低い。


瓶は静かだ。


今日ひどかったね、脳みそを少しだけ鈍らせるものはどう、と言っているみたいな静けさで。


俺は唾を飲んだ。


……駄目だ。


これは完全に誘惑の罠だ。


聯邦は絶対わざとやっている。


十四歳で、肩がこんなことになっていて、頭の中で教官の評価が再生されているような不運な奴が、酒棚を見てどれだけ自分の人生を十分間だけ柔らかくしたくなるか、ちゃんと計算している。


三秒見つめた。


それから、矜持を持って視線を逸らした。


「見えなかった」


もう一度、繰り返す。


そう言えば本当に効くとでも思っているみたいに。


結局、冷蔵庫からチェリーコーラを取り出した。


プルタブを引くと、炭酸が「カシュッ」と弾ける。その一瞬の癒し感は、聯邦の勲章制度より存在意義がある。


一口飲む。冷たくて、甘くて、少しだけ不健康な幸福感がある。


よし。


文明はまだ終わっていない。


ソファに座り直して、コーラを膝に置き、記録の続きを見る。


最後の一行は、ミラが手動で加えた注釈だった。


反応は十分、気性が過熱しやすい。可塑性高、弾薬の無駄遣い多。明日、負荷増加。


その一文を二秒見つめた。


それから、忍えきれずに笑った。


「……くそ」


本当に毒だ。


でも本当に、彼女らしい。


頭を後ろに倒して、目を閉じる。頭の中が勝手に今日の二コマを並べ始めた。


カールが教えたこと。


拳を顔で受けるな。


間を盗め。


リズムを盗め。


まず生きろ。


ミラが教えたこと。


目標を追うな。


風を読め。


軌道を読め。


先回りして待て。


一人は近距離の時間差を教えた。


一人は遠距離の時間差を教えた。


面倒くさいことに、二つはつながっていた。


目を開けて、膝の上に置いた自分の手を見る。


青痣は増える。


タコも増える。


筋肉は痛む。


肩は固くなる。


頭は、普通の十四歳の少女らしさとはどんどん遠ざかる方向に鍛えられていく。


でも元々、俺は普通の少女じゃない。


俺は星野霜。


一等兵。


砲弾の盾。


口が悪い。


そして運悪く、少し飲み込みが早い。


これは今のところ、俺の人生に何の幸福ももたらしていない。


でも少なくとも、今日は一方的に叩き潰されただけで終わらなかった。


もう一口コーラを飲んで、缶の表面に映る自分の歪んだ顔を見ながら、ゆっくり結論を出した。


「……まあ、いいか」


「どうせ兵器に磨かれるなら、少しは折れにくいやつになってやる」


言い終えて、自分で少し吐き気がした。


成長台詞みたいで、最悪だ。


超気持ち悪い。


だから即座に付け足した。


「でも聯邦はやっぱり死ぬべきだ」


ずっとましだ。


「とても面白い」★四つか五つを押してね!


「普通かなぁ?」★三つを押してね!


「あまりかな?」★一つか二つを押してね!

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