171.人類の発展史 2
この物語はフィクションです。実在の人物・団体・事件・名称等は一切関係ありません。
夜、鉑橋街二十二番地に帰った時には、もう九時になろうとしていた。
午後の授業が終わった後、本当はDたちと一緒に帰るつもりだった。駐車場まで行ってから、ふと思い出したのだ。まだ帰っていない人間が一人いることを。
そこで私は、名ばかりの副会長として、最も身分にふさわしく、かつ最も副会長らしくない仕事をするために引き返した。人の退勤を待ち、上着を持ち、ついでに連邦生徒会の最低限の体面を保つという仕事だ。
夜八時半、九島真紀会長は本日の勤務を正式に終了した。
「正式」と言っても、最後の書類をファイルに押し込み、ペンのキャップを閉め、書類の山から血路を切り開いてきたばかりなのに襟元にはシワ一つないような顔をして、「今日はここまで」と宣言しただけだが。
私は彼女を車に乗せ、どこへも寄り道せずに真っ直ぐ家に帰った。
主な理由は疲労だ。
副次的な理由は、「夜はどこかでリラックスしよう」というような言葉に対するロマンチックな想像力が、今日の私には微塵も残っていなかったからだ。朝の社会的な死から始まり、昼は書類仕事、午後は生徒会への強制連行、そして最後には帝国の皇女を生徒会の名簿に押し込む手伝いまでさせられた。こんな風に生きていて、夜空の月を見上げる気力が残っているとしたら、その人間の神経は私の想像以上に完全にイカれている証拠だ。
家に帰って、私はまずシャワーを浴びた。
熱いお湯を浴びている時、ようやく「今日という日が終わりそうだ」という実感が湧いてきた。体を洗い、髪を乾かし、真紀に無理やり押し付けられた、口では面倒だと言いながらも結局は真面目にこなしている寝る前のスキンケアを終える頃には、もう寝る時間になっていた。
電気を消そうとした時、あいつが一冊の本を抱えて私の部屋のドアの前に立っているのが見えた。
ノックして入ってくるわけではない。
ドアの前に立ち、本を抱え、ひどく当たり前のような顔で私を見ているのだ。
私は即座に警戒した。
「何?」
「半年よ」彼女はその本を私の方へ突き出し、行政命令でも下すような平坦な口調で言った。「修学旅行まであと半年。少なくとも歴史の因果関係くらいは理解しておきなさい。その時になって恥をかかないように」
私はその本を見下ろした。
表紙は古い紙の本のように作られており、角の擦り切れ具合までそれらしく模造されていた。今の時代、わざわざ「本」の形をしたものを作るということは、大抵中身が本ではないことを意味する。
私は彼女を見上げた。
「今から補習?」
「今から始めないと、半年後に今日の午後みたいなことになるわよ」
「今日の午後、私がどうしたって?」
彼女は私を見て、半秒間を置いた。
「人類の文明史を、食堂のメニューみたいに聞いていたことよ」
……素晴らしい。
根に持っている。
しかも、シャワーを浴びて着替え、寝る直前になってわざわざ教材を抱えて復讐しに来るような、執念深い根の持ち方だ。
私はその偽装本を受け取った。
「会長は暇だね」
「暇じゃないわ」彼女はきっぱりと答えた。「だから、とりあえずこれだけ渡しておくの」
そう言い残すと、彼女は中に入ることもなく、ドアの前に立ったまま私を一瞥し、背を向けて去っていった。
私はその代物を抱えたままその場に立ち尽くし、二秒ほど呆然とした後、結局ドアを閉めた。
部屋に戻り、その「本」を開く。
案の定、中はくり抜かれており、薄い読み取り用チップがはめ込まれていた。これを作った人間はレトロな美学に病的な執着があるか、あるいは単に、知識を端末に直接送り込むよりも、本の形に偽装した方が、相手に拒否できない圧迫感を与えられると考えたのだろう。
私はチップを抜き取り、ベッドサイドの端末に挿入した。
画面が明るくなる。
続いて、低く平坦な機械の女声が、部屋の中にゆっくりと流れ始めた。
『西暦二七四四年、旧地球の日本人科学者、天野宗一郎が人類史上初となる超光速エンジンの開発に成功した後、人類は正式に内太陽系の閉鎖期を終え、旧地球の重力の束縛を越えて光年単位の航行時代へと突入し、数千年にわたる宇宙大航海時代を開幕させた——』
「それは午後に聞いた」
私は無表情で手を伸ばし、早送りした。
すでに真紀に捕まって一度補習させられているのに、また超光速エンジンの第一世代から聞かされるなんて。人類がこれで歴史を学べないとしたら、それは決して学生だけの責任ではない。
プログレスバーが少し先に飛び、機械音声が再び繋がった。
『西暦二八〇〇年三月、六十六年に及ぶ植民地建設プロジェクトを経て、人類はついに月面に初の完全な自給能力と人工重力システムを備えた都市を建設した。この都市は後世においてこう呼ばれている——月面中立都市、コペルニクス』
私はベッドに横たわり、頭の後ろで手を組み、天井を見つめた。
コペルニクス。
元々はそういう始まりだったのか。
これまで私のこの名前に対する印象は、「月にある、ひどく厄介で有名で、これから私たち全員を別の厄介事に引きずり込む可能性が高い場所」という程度でしかなかった。今聞いてみると、歴史的に見てもその厄介さは非常に安定しているようだ。
『西暦三〇〇〇年、人類は自らの技術によって正式に太陽系の境界を脱した。地球連合政府は同年、宇宙紀元の成立を宣言し、この年を宇宙暦元年と定めた』
この文には何の問題もない。
非常に偉大で、進歩的で、人類がついに自分たちの厄介事を一つの惑星から星域を跨ぐレベルへと拡大させることに成功した記念碑のようだ。
私はさらに少し早送りした。
歴史を補習する正しい方法とは、一秒たりとも真面目に聞くことではなく、テストに出る部分、使える部分、そして真紀に抜き打ちで質問されそうな部分を先に掴むことだ。年号の間にある数十年の建設や、関連法案、鉱業調整表などについて、私が今夜少し聞き逃したからといって文明がその場で滅びることはないと信じている。
すぐに、機械音声はもっともらしい部分へと差し掛かった。
『宇宙暦三〇〇年、人類の版図拡張は段階的な限界に達した。旧太陽系では、各大企業門閥による活性鉱石の争奪を巡り、三十年に及ぶ重力子内戦が勃発。月面都市コペルニクスのドームは度重なる損傷を受け、旧地球経済圏と植民地外縁部の統治システムは一時崩壊し、人類文明には無政府主義化の傾向が現れた——』
私はゆっくりと上体を起こした。
ここからが面白い。
つまり、コペルニクスが後に「中立都市」などと呼ばれるようになったのは、皆が突然良心に目覚め、平和の尊さを悟ったからではなく、この場所が先に各勢力から徹底的に破壊し尽くされたからなのだ。
それなら筋が通る。
人類は通常、理想から秩序を学ぶことはない。
人類は、自分たちを爆破して消し去りそうになった経験から、生き延びるためのルールを辛うじていくつか記憶する生き物なのだ。
機械音声は平然と読み上げを続けた。
『宇宙暦三五〇年一月、ヴィッテルスバッハ家がホーエンローエ造船門閥と連合し、《鉄と秩序の宣言》を発表。同年、「ライプツィヒ級」初代弩級艦隊を中核として、まとまりのない植民地議会と地球連合政府を強制的に解散させ、全星域に軍事戒厳令を敷いた』
『宇宙暦三五〇年四月、銀河帝国が正式に成立し、宇宙暦を廃止』
『帝国暦元年六月、フリードマン一世が正式に即位し、銀河帝国の至高の皇帝となった』
私は端末で波形が跳ねるのを見つめながら、真紀がなぜ私にこの部分を理解させようと執着したのか、少しわかった気がした。
これは単なる歴史ではないからだ。
これらのものは、今も生きている。
制度の中に生き、軍校の中に生き、ヘートヴィヒのあの常に冷たすぎる顔の上に生き、そしてあのコペルニクス交流草案の行間にも生きている。
年号を暗記しているつもりかもしれないが。
実際には、これから踏み込むことになる泥沼の取扱説明書を読まされているのだ。
私は手を伸ばし、さらに進捗を進めた。
そして、最も重要な部分が現れた。
『宇宙暦三五〇年八月、帝国暦元年。鉄血の戒厳令を拒否した自由派の学者、軍官、平民、および地方の家系が、東方系諸家の指導の下で秘密裏に集結し、遠征軍を組織。帝国の支配からの離脱を計画した』
『推挙された若き指導者——図南雅之は、新帝国に臣従することを良しとしない者たちを率い、太陽系から脱出。この遠征体制が、後世の銀河連邦十大家族の雛形となった』
ついにここまで来たか。
私はベッドのヘッドボードに寄りかかり、薄暗闇の中で淡く光る端末の画面を見つめながら、この出来事全体が、とてつもなく大規模で、とてつもなくコストが高く、後世の教科書に載るレベルの「家出」のように思えてきた。
ただ、一般人の家出なら、せいぜい連れ戻されるだけで済む。
この集団の家出は、帝国の主星圏から太陽系外へと一気に逃亡し、ついには後世の連邦の祖先の墓と正当性を丸ごと持ち去ってしまったのだ。
長年戦争を続けてきて、どちらも相手を普通の敵国として扱えないのも無理はない。
片方がもう片方を見る目は、おそらく、分家が失敗して、結局それぞれが怪物に成長してしまった親戚を見るようなものだろう。
機械音声は私の感想など意に介さず、そのまま再生を続けた。
『宇宙暦五五〇年七月、帝国暦二〇二年。二百年に及ぶ放浪の末、遠征者たちはついにおおぐま座の外縁星域に到達し、ここに後の銀河連邦の基礎を築いた』
『宇宙暦七〇〇年、帝国暦四〇四年。銀河帝国軍と銀河連邦は、オリオン座アルファ星にて初めて接触。双方は短い探り合いと交火の後、撤退した。以降数百年にわたり、大小の戦役が頻発し、後世に呼ばれる「双極星域秩序」が徐々に形成された』
私は一時停止ボタンを押した。
部屋の中が急に静まり返り、端末の光だけが残った。
私はベッドに座ったまま、しばらくぼーっとしていた。
外の廊下は静かだ。
鉑橋街二十二番地は、この時間になると大抵、ゆっくりと沈み込んでいく。昼間どんなに騒がしくても、それぞれが傷や苛立ちを引きずって帰ってきても、夜になれば家そのものが一足先に静かになり、すべての人の声を一時的に壁の中に吸い込んでしまうかのようだ。
私はプレイリストを見下ろした。
まだ続きがある。
たくさん。
帝国の体制統合、連邦十大家族の役割再編、第一次停戦、第二次停戦、停戦がいかにして決裂したか、コペルニクスが数度の戦役の後にいかにして月面の永久中立区として再定義されたか。そして、なぜ今になっても、連邦と帝国は表面的な友好交流をわざわざあの場所で行うのか。
少し考えた後、私は結局、再生を再開した。
今度は早送りしなかった。
なぜなら、ここから先が、私たちに直接関係のあることだからだ。
『帝国暦六一二年、宇宙暦二六二年。度重なる会戦、エネルギー封鎖、月面航道危機を経て、双方は中立商務議会の調停の下、《コペルニクス停泊協約》に署名。月面都市コペルニクス、地球近傍軌道のいくつかの港湾区、および関連する補給回廊において、非正規武装の緩衝ルールが段階的に確立された』
『帝国暦六五〇年、宇宙暦三〇〇年。《月面永久中立宣言》が成立。コペルニクスは単なる植民地の象徴から、双極文明のいずれもが容易に破壊し得ない政治的記念碑、金融の中継拠点、および外交のショーウィンドウへと変貌を遂げた』
『以降四百年にわたり、コペルニクスは停戦交渉、捕虜交換、学術交流、商務仲裁、および象徴的な青年交流の指定場所として長期的に機能している』
私はそこまで聞いて、思わず笑ってしまった。
「象徴的な青年交流」。
よく言ったものだ。
人間の言葉に翻訳すれば、大体こういうことだろう——
お前ら両陣営は死ぬほど憎み合っていて、ナイフもすでに研ぎ澄まされているが、今日はカメラも多いし、投資家もたくさん来ているから、とりあえず若者たちを前に出して、未来にはまだ話し合いの余地があるふりをしてくれ。
実に清潔だ。
そして、実に吐き気がする。
機械音声はまだ続いている。
『コペルニクスは旧太陽系の起源の記憶、帝国成立の前史、連邦脱出の神話、および重力子内戦のトラウマを同時に内包しているため、その政治的象徴性は一般の中立港をはるかに凌駕する。コペルニクスで行われるいかなる公開活動も、対内的な物語と対外的な宣伝という二重の意義を備えている』
私は瞬きをした。
ここが核心だ。
対内的な物語。
対外的な宣伝。
つまり、修学旅行であれ、友好交流であれ、学生代表であれ、皇女の演説であれ——これらのものは、最初から単に学生のために用意されたものではないということだ。
カメラに見せるためのものだ。
両陣営の国民に見せるためのもの。
投資家、軍、メディア、門閥、議会、そしてまだ正式にテーブルを降りていないすべての者たちに見せるためのもの。
ヘートヴィヒがそこに立つのは、ただ話をするためではない。
真紀が書類の後ろに座っているのは、ただ手続きを組むためではない。
そして、そこに押し込まれる私たち軍校生は、もしかすると最初から最後まで、あの絵の枠を埋めるための背景として使われるだけなのかもしれない。
そう考えると、昼のあの草案がさらに忌々しく思えてきた。
あれが完璧であればあるほど、誰かがすでに全体の絵図を描き終えているということを意味するからだ。
私は端末の音量を少し下げ、聞き続けた。
『近代以降、連邦と帝国は青年交流、軍校訪問、学術演説、記念式典などの名目で、コペルニクスにて限定的な接触を重ねてきた。こうした接触の核心的な目的は、通常、互いを真に理解することではなく、第三者勢力に対して——双方が依然として「交渉可能」であるという表面的な能力を備えていることを証明することにある』
……素晴らしい。
教材すらこれほどまでに正直だとは。かえって、この資料を編纂した人間に敬礼したくなってくる。
少なくとも、嘘を厚塗りしすぎてはいない。
私はベッドの脇に手を伸ばし、あの偽装本を拾い上げてパラパラとめくってみた。驚いたことに、表紙の裏側には手書きの付箋が貼られていた。文字は几帳面で、私には絶対に書けないような整った字だ。
そこにはたった三行だけ記されていた。
コペルニクスは観光地ではない。歴史の傷跡だ。
交流は理解のためではない。「まだ理解できる」と誇示するためだ。
この三つ、暗記すること。
私はその三行を二秒ほど見つめ、思わず吹き出した。
ひどく真紀らしい。
補習のメモまで、作戦の要約を書いているようだ。
慰めもしない、励ましもしない、知識そのものがロマンチックであるかのように装うことすらせず、最も醜く、かつ最も役に立つ部分だけを抜き出して、顔に投げつけてくる。
情緒も何もないやり方だ。
だが、効果的だ。
私はその付箋をもう一度読み返し、ふと、今日の昼、彼女が私の部屋のドアの前に立っていた時の様子を思い出した。シャワーを浴び、本を抱え、ただのついでに物を届けに来ただけのように平然としておきながら、実際には半年後の厄介事を私の枕元に押し付けていったのだ。
時々本気で思う。真紀という人間の恋愛の仕方は、生徒会の公文処理と全く同じだと。
まず分類する。
次に順位をつける。
あなたがどこでつまずくかを予測する。
そして、あなたが気づく前に、救済手段を押し付けてくる。
そう考えると、私は無意識にドアの方へ視線を向けた。
外からは音がしない。
彼女はおそらく、とっくに自分の部屋に戻っているだろう。
あるいは、まだ起きていて、別の書類に目を通しながら、明日ヘートヴィヒをどうやって正式に生徒会に登録するかを考えているのかもしれない。あのコペルニクス草案は、今頃きっとどこかのファイルフォルダーの中で、彼女と同じように、静かにしているふりをしているのだろう。
私は視線を戻し、再び端末を見た。
教材はまだ続いている。
今度の内容はここ百年のことだ。門閥資本がいかにしてコペルニクスを利用し中立的な金融チェーンを維持しているか、連邦と帝国がいかにしてあそこで暗黙の了解の下に正規の武装密度を下げつつ、その一方で情報員、代理商会、民間の警備部隊、メディアの監視員を誰よりも詰め込んでいるか。
聞けば聞くほど、修学旅行には思えない。
誰かが懸命に戦場を絨毯のように敷き詰め、そこに制服を着て足を踏み入れるよう招待しているかのように聞こえる。
私はベッドに横たわり、その平坦な声が続くのに任せた。
今度は早送りしなかった。
突然歴史を愛するようになったからではない。
真紀が私に補習させようとしているのが、テストの内容ではないとようやく理解したからだ。
彼女は私に、まず理解させようとしているのだ——
半年後、私たちが向かう場所は、決してただの月ではないということを。
それは傷口なのだ。
両陣営によって記念碑、金融港、外交の窓口、交流の舞台として包み隠された、古い傷口。
そして、そういう場所は、大抵一番血を流しやすい。
端末はまだ音を流し続けている。
その一連の年号、協約、戦役、そして体裁の良い言葉の羅列を聞いているうちに、まぶたがゆっくりと重くなっていった。眠りに落ちる直前、最後に浮かんだ考えはコペルニクスのことでも、帝国のことでも、戦争をプログラムのように書き換える連邦のろくでなし共のことでもなかった。
私が考えていたのは——
明日、真紀に抜き打ちで質問されたら、少なくとも天野宗一郎とコペルニクスの建設年だけは暗記しておかなければならない。
そうしないと、あいつは本当に月面の歴史を口実に、堂々ともう一度私を笑い者にするだろうから。
……それだけは避けなければ。
少なくとも、こんなところで負けるわけにはいかない。
「とても面白い」★四つか五つを押してね!
「普通かなぁ?」★三つを押してね!
「あまりかな?」★一つか二つを押してね!




