171.人類の発展史 1
この物語はフィクションです。実在の人物・団体・事件・名称等は一切関係ありません。
午後の授業が終わると、私はひどく微妙な気分を抱えたまま、再び生徒会室へと向かった。
微妙だと言うのは、今のところ物事が順調に進みすぎているからだ。
順調すぎるものには、大抵裏がある。
特にこの学校においては。
もしある事柄が合理的で、手続きが完璧で、表の記入欄まで綺麗に揃っているように見えるなら、それは十中八九、本当の厄介事を綺麗に折りたたんで、付録の二ページ目の裏に隠しているだけなのだ。
そして今、私が真紀に持ち帰ろうとしている知らせも、明らかにその類のものだった。
書記は見つかった。
ただし、条件付き。
しかも、相手はヘートヴィヒ。
この三つの事実を一つの文に並べるだけで、この後オフィスの中の空気がどう変わるか、容易に想像がついた。
ドアを押し開けると、中は案の定、昼間とは違う光景になっていた。
昼間が公文の被災地だとするなら、今は災害復旧の現場だ。
ロイはすでにあの空席に座り、自分の人生が実は借金返済のためにあるとたった今知ったかのような、ひどい顔色をしていた。
机の上には帳簿、伝票、そして見るからに厄介そうな月次決算のコピーが二部広げられている。その顔は、「男に二言はない」という言葉が、現実の前では大抵十分も持たないということを雄弁に物語っていた。
反対側では、ランがうつむいてファイルフォルダーを整理していた。動作は静かで、諦めがついている。ただ、耳の裏にはまだ引ききっていない赤みが残っており、それを見ると、自分の昼間の一言がかなりの戦果を挙げたのだと実感できた。
そして机の後ろの人物は、相変わらず安定して座っていた。
白い制服は清潔そのもので、黒髪は後ろで束ねられ、紙の上を滑るペン先のストロークは、すべてをねじ伏せてしまうほど平坦だった。ただ、私が戻ってきたのを見て顔を上げた時、その目に短い光が走った。
「戻ったのね」
「うん」
私はドアを閉め、中へ入った。
ロイが先に顔を上げ、ひどく恨めしそうな目で私を見た。
「お前、本当に俺を売り飛ばしやがったな」
「人聞きが悪いな」私は鞄を脇に置いた。「行政の才能を発掘してあげたって言ってよ」
「才能なんて腹の中で腐らせておいた方がマシだった」
「それはもう手遅れみたいだね」私は彼の机の上の帳簿を一瞥した。「ほら、連邦が君の未来をすっかり手配してくれてる」
隣のランが堪えきれず、口角をわずかに動かした。
私はとても満足した。
少なくとも、ここで不運な目に遭っているのは私一人ではなくなったのだから。
真紀はペンを置き、私に視線を落とした。
「で?」
短い一言だ。
だが、彼女が聞いているのは、ロイが生まれ変わることを後悔し始めているかどうかでも、ランがキャビネットの鍵を見つけたかどうかでもない。彼女が聞いているのは別のことだ。昼からずっと押さえ込まれ、あのコペルニクス草案の下で静かに横たわっている、あの件についてだ。
私は椅子を引き、机の前に座った。
「書記、見つかったよ」
机の周りが一瞬、短く静まり返った。
新任の会計は、その言葉が何を意味するのか理解するのに手間取ったのか、きょとんとしていた。そして理解した瞬間、その顔に「この災害、まだ規模を拡大できるのか」という驚愕が走った。
「マジで?」彼は思わず口走った。「どこの不運な奴だよ?」
私は机に身を乗り出し、極めて平坦な声で言った。
「ヘートヴィヒ」
今度の静寂は一秒では済まなかった。
本当に、時が止まった。
隣で書類を整理していた手もピタリと止まった。
会計の席に座るロイに至っては目を丸くし、私がたった今名前を口にしたのではなく、「明日から帝国の本土を生徒会の当番表に組み込む」とでも宣言したかのような顔をした。
真紀には、それほど目立った反応はなかった。
彼女はただ私を見つめ、机の端を指で軽く一度叩いただけだった。
「詳しく」
「名前を貸すのはいいって」私は言った。「でも、条件付き」
これには、新任の総務まで顔を上げた。
私は不意に、この状況が少し滑稽に思えてきた。
昼前まで、ここは会長一人の文書地獄に過ぎなかった。それが数時間経っただけで、オフィスには四人の人間が座り、さらに帝国の皇女が条件交換という形で、この地獄の敷居を跨ごうとしているのだ。
連邦の教育は、時として恐ろしいほどの効率を発揮する。
真紀は私を急かすことなく、静かに待っていた。
私は彼女を一瞥し、言葉を続けた。
「コペルニクス関連の書類で、彼女の身分で知ることができるものは、すべて真っ先に見せろってさ」
机の後ろのその目が、ついに少し変わった。
驚きではない。
やはり、というような色だ。
彼女は最初からその方向性を推測していて、ただ私が具体的な言葉を口にするのを待っていただけなのだ。
その顔を見て、私は不意に少し苛立った。
物事が厄介な方向へ転がり始めると、真紀はいつもこの表情をする。リラックスしているわけでも、冷血なわけでもない。大半の人間より半歩早く現実を受け入れている、そういう鎮静だ。
この鎮静さは、ある時はとても頼りになるが、ある時は机の上のホッチキスを投げつけて、もう少し人間らしい反応を引き出せないかと試したくなる。
「欲張りすぎじゃないか?」隣のロイがようやく声を取り戻し、小声で口を挟んだ。
「そうでもないわ」真紀の返答は早かった。
オフィス全体が少し静まった。
私は眉を上げて彼女を見た。
「随分と即答だね」
「過分な条件ではないからよ」彼女は手元の草案を引き抜き、中間のページを開いた。「本当に彼女に名前を貸させておきながら、一番肝心なものをすべてブロックするなら、それこそ愚の骨頂よ」
「なるほど」私は背もたれに寄りかかった。「つまり会長は、正式に狼を部屋に引き入れるつもりってわけだ」
「その比喩がとても失礼だということは置いておくとして」彼女は私を見ようともしなかった。「先に教えて。シモはどう返事をしたの?」
「全部見せられる保証はできない、って言った」
真紀は一つ頷いた。
「悪くないわね」
「悪くないだけ?」
「少なくとも、私の代わりに適当な約束はしなかった」彼女は視線を上げた。「その点は褒めてあげる」
「うわあ」私はわざと抑揚のない声を出した。「生徒会に表彰制度なんてあったんだ。ここは残業と死しかない場所だと思ってたよ」
ロイがひどく場違いなタイミングで頷いた。
「今のところ、その認識で間違いないみたいだな」
私は思わず笑い声を漏らした。
すると真紀は目尻一つ動かさず、別の書類の束を彼の前に押しやった。
「そんなに理解が深いのなら、これも一緒にお願い」
「……」
素晴らしい。
これが口は災いの元、現世での報いというやつだ。
会計氏の顔は先ほどよりもさらに遺影に近づき、総務はうつむいて、肩をわずかに震わせていた。おそらく笑いをこらえているのだろう。しかも必死に。
私は視線を戻し、再び机の後ろを見た。
「で?」
「だから、書記の件は成立させていい」真紀は言った。「権限をきっちり切り分けることが前提だけど」
「切り分ける?」
「彼女が見るべきものは見せ、見るべきでないものは見せない」席の配置でも決めるような平坦な口調だ。「名前を貸して生徒会に入る以上、ただの飾りにしておくわけにはいかない。でも、すべてのものを無差別に広げて見せるわけにもいかないわ」
私は彼女を二秒ほど見つめた。
「なんか、真紀は最初からこの手まで考えてたみたいに聞こえるけど」
「そんなことはないわ」彼女は淡々と言った。「ただ、この学校の厄介事は、大抵同じ方法で処理できるというだけ。まず分類し、次に等級を分け、最後にすべてが秩序立っているふりをする」
「連邦にまだ救いがあるみたいな言い方だね」
「私はそこまで楽観的じゃないわ」
その言葉が出た瞬間、私は吹き出しそうになった。
あまりにも真実だったからだ。
そして、いかにも真紀が言いそうなことだ。絶望でもなく、世をすねているわけでもない。現実を裏返して、その裏側を一瞥した後、それがこれほどまでに腐っているということを、ひどく冷静に認めているのだ。
「彼女、他に何か言っていた?」真紀がまた聞いた。
この「彼女」がヘートヴィヒを指しているのは言うまでもない。
私は少し考えた。
「言ってた」
「何と?」
「書記はどうでもいい、って」私は机に手を置き、ゆっくりと後半を付け足した。「重要なのは、連邦が何を交流として包装しようとしているかだ、ってさ」
オフィスの中が静まり返った。
今度は、冗談の後の短い間ではない。
本当に、何かが重く沈み込んだような静けさだ。
隣で巻き込まれたばかりの二人は全貌を知らないはずだが、この言葉に棘があることくらいは聞き取れたはずだ。それは普通の生徒会役員募集で出るような条件ではないし、普通の修学旅行で飛び出すような言葉でもない。
真紀は手元のページをめくり、また元に戻した。
「彼女らしい言葉ね」
「否定はしないんだ」
「元々否定するつもりはないから」彼女はようやく視線を上げた。その目はとても安定していた。「あの草案は、最初から綺麗すぎたわ」
私の心の中の棘が、誰かに触れられたような気がした。
私は何も言わなかった。
なぜなら、彼女のその言葉は、私が昼に感じたあの違和感が気のせいではなかったと認めているに等しいからだ。彼女も確かにそれを見ていた。しかも、私よりも早く。
「じゃあ、最初からおかしいと思ってたの?」私は聞いた。
「思っていたわ」彼女は逃げなかった。「でも、それだけじゃ足りない」
「どういう意味?」
「『おかしいと思う』こと自体は、ここでは何の価値もないという意味よ」彼女は机の上の書類を見つめ、少し声を落とした。「どこからか尻尾を出すのを待たないと。掴めるくらいに尻尾を出すのを。今はまだ草案、付録、編成欄、連絡窓口、そしていくつかの意図的すぎる用語があるだけ。これらを組み合わせるとひどく不自然だけど、直接テーブルをひっくり返すほどの理由にはならない」
会計が何か言いたげにしたが、結局飲み込んだ。
その感覚はわかる。
空気中に血の匂いが漂っているのに、死体がどこにあるのかわからないような感覚だ。一番苛立たしいのは、知らないことではなく、知っていてもまずは知らないふりをしなければならないことだ。
私は背もたれに寄りかかり、ゆっくりと息を吐き出した。
「じゃあ、これからどうするの?」
「まずは生徒会の人員を揃える」真紀は言った。「書記の件は私が手続きを進める。コペルニクスの件は、表面上は通常通り進めるわ」
「表面上は?」
「他にどうしろと?」彼女は私をちらりと見た。「今すぐ教務所に乗り込んで、あの草案を机に叩きつけて『あなたたち、何か企んでいるんですか』とでも聞くつもり?」
「ストレス解消にはなりそうだけど」
「結果も一瞬で終わるわよ」
それは確かにその通りだ。
その光景を想像してみて、即座に結論が出た。一分間スッキリする以外、何の建設的な意味もない。連邦が最も得意とするのは、質問に答えることではなく、質問した人間を別の表に再編成することなのだ。
「じゃあ、彼女は?」私は顎で草案を指した。「もう言質は取ったんだし、いつ引き入れるの?」
「早ければ早いほどいいわ」
私は眉を上げた。
「そんなに急ぐの?」
「彼女が本当にコペルニクスの裏側を知りたがっているなら、先延ばしにはしないはずよ」真紀は一拍置き、こう付け加えた。「それに、彼女を早めにここに座らせておいた方が、私たちにとって有利だから」
この「私たち」という言葉は、ごく自然に出てきた。
自然すぎて、私は一瞬反応し遅れたほどだ。
「生徒会」でもなく、「連邦側」でもなく、「私たち」。
私は彼女を見た。
彼女も自分がどの言葉を使ったか気づいたのか、ペン先が半拍ほど止まったが、言い直すことはしなかった。
隣の二人は明らかに気づいていない。
あるいは、気づいていても顔に出せないだけか。
私は不意に笑いたくなり、同時に笑えない気分にもなった。
なぜなら、真紀がこうであればあるほど、昼間の鍵の閉まったオフィス、あの途切れてしまったキス、そして彼女が机の後ろに戻り、すべての私的なものを再び白い制服の中に押し込めた様子を思い出してしまうからだ。
確かにそこにあるのに。
人が増え、机が増え、書類が増えれば、彼女はまた自分をあの隙のない完璧なポジションへと収めてしまう。
時々思う。生徒会長という生き物は、本質的に一種の慢性的な自傷行為なのではないかと。
「明日、私が彼女のところへ行くわ」真紀が言った。
私は我に返った。
「真紀が直接行くの?」
「何か問題でも?」
「別に」私は顎を撫でた。「ただ、その光景はなかなか面白そうだなって思っただけ」
「どの光景が?」
「連邦の生徒会長が、帝国の皇女に正式に入会要請をする光景」私は少し考えて、もう一刀付け加えた。「なんだか、両陣営が先に不可侵条約を結ぶべきみたいに聞こえる」
今度は総務も本当に声を上げて笑ってしまったが、すぐにうつむいて何事もなかったかのように装った。
真紀は顔色一つ変えなかった。
「で、シモはどうするの?」
「私?」
「最初に話を持っていったのはシモでしょ」彼女は私を見て、ひどく平然と言った。「後処理も一緒にやって」
私はその場で眉をひそめた。
「これって公私混同?」
「リソースの配置よ」
「だと思った」
「それに」彼女は一拍置き、後半を続けた。「シモがいれば、話が完全に死ぬことはないから」
……わかった。
この言葉には反論できなかった。
彼女の言う通りだからだ。ヘートヴィヒのような人間とやり取りする時、硬すぎれば折れるし、柔らかすぎれば滑り落ちる。真紀は局面を安定させるのが得意で、私はその局面に風通しの良い穴を開けるのが得意だ。両方を組み合わせれば、確かに片方だけで行くより効果的だ。
だが、この「彼女は私の使い道を知っていて、私も彼女がなぜ私を使わなければならないのかわかっている」という感覚は、やはり煩わしい。
そして、ひどく私たちに似ている。
隣で聞いていたロイが、たまらず小声でぼやいた。
「なんか、この生徒会がどんどんまともな行政機関から離れていってる気がするんだが」
私は彼を振り返った。
「おめでとう、あんたの観察力がようやく役に立ち始めたね」
「褒め言葉じゃないだろ?」
「それは、生存環境に対する期待値の低さによるね」
彼はますます後悔しているようだった。
その気持ちはよくわかる。
私自身、今日ほぼ同じタイミングで、自分がこの泥沼にすっぽりと引きずり込まれていることに気づき始めたのだから。
真紀は草案を再びファイルフォルダーに収め、その表紙を指で押さえた。まるで、まだ全貌を現すべきではない何かを一時的に押さえつけるかのように。
「じゃあ、とりあえずそういうことで」彼女は言った。「あなたたち二人は引き継ぎ資料を読み終えて。星野は残って」
私は彼女を一瞥した。
「また私?」
「何か意見でも?」
「ある」私は即答した。「でもどうせ無駄でしょ」
真紀はとても微かに笑ったようだった。
その笑みは淡く、私が彼女をじっと見ていなければ、おそらく気づかないほどだった。だが、淡いからこそ、私一人だけに向けて見せられたもののように感じられた。
隣の二人はうつむいて資料を片付け始めた。とても空気を読んだ動作だ。
いくら鈍感な人間でも、このオフィスにここまでいれば、自分の命と帳簿を持って一刻も早く退散すべき時があることくらいはわかるはずだ。
二人が前後に続いて出て行き、ドアが閉まる音がすると、オフィスの中の空気が再び少し引き締まった。
私は背もたれに寄りかかった。
「よし、これで話せるね」
「何を?」
「私を残した理由。まさかロイが崩壊していく様を見せたかっただけじゃないでしょ」
「それも少しは価値があったけれど」
「真紀」
彼女は私を一瞥し、ようやくファイルフォルダーから手を離した。
「ヘートヴィヒがここに入るのは、良いことよ」彼女は言った。「少なくとも、コペルニクスの件が正式に手続きに入る前に、私たちの目が一つ増えるのだから」
「まるで私たちが本当に何かを変えられるみたいに言うね」
「変えられないかもしれない」彼女は声を落とした。「でも、少なくとも、それがどうやって起きたのかすら知らない、ということにはならないわ」
私は二秒間黙った。
その言葉は、私が予想していたよりも少し重かった。
それは会長としての建前ではなく、真紀自身の本当の考えのように聞こえた。何かを阻止できると妄想しているのではなく、少なくとも盲目ではいたくないという。
ひどく真紀らしい。
そして、ひどく煩わしい。
彼女がこういう口調で話す時、私は冗談で適当に誤魔化すことができなくなるからだ。
机の上のファイルフォルダーを見つめていると、不意にコペルニクスという言葉が観光地の名前ではなく、折りたたまれた命令書のように思えてきた。ただ、今はまだ完全に開かれていないだけの。
「わかった」私は最後に言った。
彼女は小さく応じた。
「それから」
「まだあるの?」
「明日までに、月面都市の歴史を少しおさらいしておいて」
私は彼女を睨みつけた。
「……絶対、根に持ってるでしょ」
「一般常識を補完しろと言っているの」
「根に持ってるんだよ、それは」
「じゃあ、私を恨みながら暗記すればいいわ」
私は机の上の空のファイルフォルダーを投げつけそうになった。
だが不幸なことに、彼女が正しいこともわかっていた。
一番腹が立つのはそこだ。真紀には、私がやりたくないと思っていることでも、それをやった方が確実に無様な死に方をせずに済むようなことへと、私を突き動かす才能がある。
ある意味、これも才能だ。
ひどく嫌な類の。
私は立ち上がり、椅子を机の下に押し込んだ。
「わかった。暗記する」
「よろしい」
「でも先に言っておくけど、もしコペルニクスが最後にただの景色見学じゃなかったら、この歴史の宿題の恨みは全部真紀の頭に乗せるからね」
真紀は私を見上げ、平坦な声で言った。
「元々私の頭の上にあるわ」
私は一瞬言葉を失った。
彼女はすでにうつむいており、先ほどの言葉はただの平凡な陳述に過ぎないかのようだった。だが、私はそこに立ったまま、不意に何も言えなくなった。
なぜなら、彼女が冗談で言っているのではないとわかっていたからだ。
彼女は本気でそう思っている。
生徒会、草案、コペルニクス、ヘートヴィヒ、そしてまだ全貌を現していないものたち。彼女はそれらをまず自分の頭の上に引き受けるのだ。たとえ自分の権限外であり、手の届かない範囲のことだとわかっていても、彼女はまずそう考える。
馬鹿げている。
そして、ひどく彼女らしい。
私は彼女を二秒ほど見つめ、結局何も言わず、鞄を手に取ってドアへと向かった。
ドアを開ける前に、私は立ち止まった。
「明日は私も一緒に行く」
彼女は背後で応じた。
「ええ」
やはり短い。
だが今度は、その声が先ほどよりもさらに柔らかくなっているのが聞き取れた。
私は振り返らず、ただ手を軽く振って挨拶の代わりとし、オフィスを出た。
廊下はすでに夕暮れの色に染まり始めていた。光が床に落ち、長い影を伸ばしている。遠くでまだコペルニクスのことを、月面のことを、交流のことを、帝国軍校がどんな伝説級の厄介な人物を送り込んでくるかについて話している声が聞こえた。
「とても面白い」★四つか五つを押してね!
「普通かなぁ?」★三つを押してね!
「あまりかな?」★一つか二つを押してね!




