168.生徒会 1
この物語はフィクションです。実在の人物・団体・事件・名称等は一切関係ありません。
反応がない。
私は生徒会室のドアの前に立ち、さっきノックした位置に手を止めたまま、ノックが礼儀正しすぎて、中の会長に空気扱いされたのではないかと疑った。
もう一度ノックした。
やはり反応がなかった。
これは少しおかしい。
生徒会室というのは、普段誰かが喋っていなくても、書類をめくる音や資料を移動させる音や、公文書に生き埋めにされた誰かの最後のつぶやきくらいは聞こえるものだ。なのに今は、部屋全体が連邦の行政制度のために殉職した後のような、過剰な静けさに包まれていた。
私は眉をひそめ、ドアノブに手をかけた。
回した。
鍵はかかっていなかった。
……さらにおかしい。
ここは生徒会室だ。九島真紀の縄張りだ。鍵がかかっていないなどというのは、風紀委員会が全員校則を家に置き忘れてきたのと同レベルの、世界観の崩壊に属する事態のはずだ。
私はドアを押した。
体を横向きに滑り込ませられる程度の隙間が開いた瞬間、暗闇の中から手が伸びてきた。私の手首を掴む力は迷いなく、躊躇の欠片もなく、そのまま私を丸ごと引きずり込んだ。
「――」
ドン。
背後でドアが重く閉まった。
カチャリ。
閉まっただけでなく、鍵まで一緒に落とされた。
背筋が反応するより先に、唇が熱さに触れた。呼吸が散らされ、鼻先が馴染みのある気配にぶつかった。制服の布地の冷たい匂いと、真紀の体から漂うあの薄く、清潔で、近づくたびに心拍を乱してくる匂いが混ざっている。
頭が一瞬、飛んだ。
驚いたからではない。
こういうことが他の誰かに起きたなら、私はまず「この人は命が長くない」と判断するだろう。でも九島真紀が相手の場合、最初に処理しなければならないのは恐怖ではなく、心臓だ。
キスをされながら半歩後退し、無意識に壁を手探りした。指先が冷たい壁面を滑り、スイッチに触れた。押した。
カチッ。
電気がついた。
やはり真紀だった。
当たり前だ。
真紀以外に、生徒会室でこんな方法で私を待ち伏せする度胸のある人間はいないし、ドアに鍵をかけながら逃亡犯をようやく捕まえたみたいにキスをしてくる人間も、他にいない。
光が落ちて、目の前の人間がはっきり見えた。白い生徒会の制服は一糸乱れず、金色のパイピングと腕章は端正に収まり、黒髪はきちんと束ねられ、呼吸が乱れていても乱れ方に管理能力があった。
ただ、その目だけが、ほとんど私の顔に触れそうなほど近くにあって、中に浮かんでいるものがいつもより深かった。会長の目ではなく、一日中何かを堪えていた人間が、もう演じるのをやめたような目だった。
私は手を伸ばして真紀を抱き寄せ、向かってきた力に乗って、そのキスを受け取った。
どうせもう引きずり込まれたのだから。
それに正直に言えば、九島真紀に暗くなった生徒会室に引き込まれて、平然と行政手続きの話ができる人間は、そもそも恋愛をする資格がないと思う。
私たちはしばらく、ドアの脇でキスをした。
真紀の手が私の肩に乗り、制服越しでも指先に力が込められているのが分かった。
私も先に退くつもりはなかった。今朝は放送で名指しされ、全校から掲示板のように見られ、飯もまだ食えていない。そのうえ彼女の奇襲まで受けるはめになった――これが新学期の一環だとでも言うなら、連邦の教育方針はやはり根本的におかしい。
最終的に、私が先に少し離した。
呼吸が分かれた瞬間、照明がひどく残酷で、さっきまで暗がりに隠れて存在しないふりができていたものを、全部照らし出してしまった。
「……」
真紀は何も言わなかった。
私は真紀を見た。
「どうしたの?」
「何でもない」
「そんなわけないでしょ」私はまだ少し息が乱れていたが、語気はわざと平らに保った。「何でもなかったら、放送で私を昼飯から引っこ抜いて、ドアを開けた途端にキスするの?」
真紀の視線が少し落ちた。会長モードの殻に、私がそっとひびを入れたような瞬間だった。声も低くなった。
「ただ……シモに会いたかっただけ」
この言葉が他の誰かの口から出たなら、普通の一言だっただろう。
真紀の口から出ると、致命的だ。
なぜなら、真紀はいつもこういう言い方をしないからだ。
普段の真紀は「書類は左に置いて」「五分後に会議」「星野、余計なことするな」「あとで話す」の方がずっと得意だ。こんなふうに声のトーンを落として、長い間堪えた後でようやく緩んだような語尾を出すのは、刀の峰を返して刃の部分を私に見せるようなものだ。
もう少し嘴を尖らせようとしたが、言葉が喉まで来た時、ずっと胸に引っかかっていた別のことが先に出てきた。
「私、てっきり……」
言葉が止まった。
こんなことを口にするのは、少し情けない気がした。でも、もうここまで引きずり込まれてキスをされた後で、何もなかったふりをすれば、後で蒸し返される材料を自分で増やすだけだ。
だから言った。
「真紀に嫌われたのかと思ってた」
真紀がさっと顔を上げた。
私は横を向き、積み上げられた公文書の山を見つめた。この一言が少し情けなく聞こえることは、自分でも分かっていた。
「あの日」私は言った。「ヘートヴィヒを連れて帰ってきた時のこと」
全部言わなくても、真紀には伝わる。
あの朝の一瞬は、本当に短かった。周りの人間のほとんどは気づかなかったくらい短く、もし私自身が後ろめたくなければ、視線がたまたま交差しただけの一秒だと思えたかもしれない。
でも、真紀は見ていた。
私も、真紀が見ていたことを知っていた。
互いに分かっていて、他の誰にも気づかれていない瞬間というのが、一番厄介だ。喧嘩のようには爆発しない。ただずっとそこに刺さったまま、喉の奥に飲み込めない骨のように残り続ける。
「みんなには分からなかった」私は低く言った。「でも真紀は見てた。一瞬だったけど……真紀があの時、怒ってたのは分かってた」
言い終えると、部屋が数秒静まった。
窓の外の光がブラインドの隙間から切り込んで、床に斜めに落ちていた。空気の中には紙と、インクと、さっきのキスが残した微かな熱があった。真紀は私の前に立ち、すぐには反論も肯定もしなかった。
この種の沈黙が、一番真紀らしい。
真紀はいつも感情を深く収納している。公文書より整然と分類して、ファイリングしてしまえば、刺されたことすら自覚しなくて済むかのように。問題は、感情というものは決して道理を聞かず、生徒会の規格管理も受け付けないことだ。
しばらくして、真紀がゆっくりと顔を上げた。
私は固まった。
真紀の目に、涙が浮かんでいた。
こぼれ落ちそうなほどではなく、ドラマチックな号泣でもない。ただ目の縁がわずかに赤くなり、薄い水の光が浮かんでいた。いつも過剰なほど冷静なその顔を、少し脆く、ほとんど九島真紀らしくないほど脆く見せていた。
これは真紀が怒鳴るより、ずっと悪い。
なぜなら、九島真紀が涙を見せた瞬間に、私の心臓は事実上、停戦を宣言してしまうからだ。
私は手を伸ばし、指の腹で真紀の目尻の水気をそっと拭った。触れた瞬間、真紀の睫毛が一度震えた。もともとまだ堪えていたのに、私がこうしたことで、かえって余計に悲しくなったかのように。
「泣くと、不細工になるよ」私は真紀をからかった。
この言葉はひどい。
ひどさは自分でも分かっている。こういう時に言うには、まったく慰めにならない。小学生が木の枝でカタツムリを突っつくようなものだ。
でも、仕方なかった。
「泣かないで」みたいなことをまともに言えば、私は自分の言葉で先に死ぬ。優しくなれるより、まず嘴を尖らせてから補修する方が、私の本能にとってはずっと自然だ。
真紀は案の定、不満そうに口を結び、睨んでくる目には、いつもの会長の圧迫感が微塵もなかった。率直に言えば、少し甘えているようにすら見えた。
「じゃあ、慰めてよ」
……くそ。
誰がこれに耐えられるというんだ。
さっきまで連邦の行政制度がおかしいと心の中で笑っていたが、本当におかしいのは九島真紀の方だ。外では法律条文のように冷たいくせに、ドアを閉めたら私にこういう顔と口調を向けてくる。軍校生の心理防衛ラインを意図的に崩しているとしか思えない。
「真紀、それは反則だよ」
「規則は外にある」真紀は低く言った。
私はこの一言で頭の回路が飛びそうになった。
上等だ。会長殿は公文書を処理できるだけでなく、人の扱い方も心得ている。
私は真紀を引き寄せた。真紀は抵抗せず、ごく自然にその力に従って寄りかかり、額がほとんど私の顎に触れそうになった。
その瞬間、今朝の全校規模の社会的死も、さっきの賑やかな昼食の騒動も、人間を部品番号で管理するこの学校全体も、ドアの向こうに置き去りにされたような気がした。
もちろん、錯覚はすぐに終わる。
ここは生徒会室で、生徒会室の中で一番不足していないものは、公文書に次いで、報いだからだ。
私は真紀を抱えたまま、横の長椅子へと下がった。あの椅子は見た目がひどく真面目で、保護者や教官や行政的な洗礼を受けに来た人間を迎えるためにあるような顔をしている。
まさかその椅子に会長が肩を押さえられて座らされ、普段は結われている黒髪が少し乱れることになるとは、誰も思わないだろう。
真紀が目を上げて私を見た。
私は真紀を見下ろした。
部屋が静まり返った。
静まり返りすぎて、胃が抗議の声を上げた。飯をまだ食べていないのに、先に恋愛問題を処理することになった。この人生設計には、根本的な欠陥があるのではないか。
だが、そのわずかな理性は、真紀の目尻に残った赤みに即座に押し潰された。
私は身を傾けた。
真紀の手も持ち上がり、指先が私の衿に触れかけた――
コンコン。
ノックの音が響いた。
私は完全に固まった。
真紀も固まった。
あの瞬間、時間は止まったのではなく、非常に悪意を持って振り返り、こう告げたのだ。さて、そろそろ回収の時間だ、と。
扉の外から、聞き覚えのある、歯が痒くなる声が聞こえた。
「会長、いらっしゃいますか。二階堂です」
……くそっ。
本当にタイミングを選ぶのが上手い。
もしこの世界に、人の良い場面を専門に台無しにする神がいるなら、その神の下には風紀委員会が設置されていて、二階堂・フレイヤは年間最優秀社員に違いない。
真紀は電流でも流れたかのように、ほぼ一瞬で椅子から立ち上がった。さっきの目尻の赤も、乱れた呼吸も、私を抱いていた時の明白な私心も、一秒以内に真紀によって強制的に折り畳まれた。燃え上がりかけた布を、誰かが氷水に押し込んだかのように。
私が口を開く間もなく、真紀はすでに身だしなみを整え始めていた。
白い制服の裾を引き伸ばす。衿を直す。髪を耳の後ろへ。呼吸を押さえ込む。目の表情を収める。
数秒で、さっきまで暗くなった部屋で私を引きずり込んでキスをし、私の一言で目が赤くなり、「規則は外にある」と低く言っていた人間が、生徒会長・九島真紀に戻った。
私は椅子の端に座ったまま、奇妙な敬意を覚えた。
真紀の冷静さへの敬意ではない。
人間が、危うく彼女を長椅子に押し倒しかけた三秒後に、何事もなかったかのように公務モードに戻れるという事実への敬意だ。これはもはや自制力ではない。官僚体制と恋愛本能の奇跡的な共存だ。
扉の外から、礼儀正しさが腹立たしい追加確認が聞こえた。
「会長?」
「います」
真紀の声が出た瞬間、それは穏やかで、何も起きていなかったかのようだった。それから真紀はちらりと私を見た。その一瞥は短かったが、内容は豊富だった。大意はこうだ。まず座って、ボロを出すな、後で話す。
なぜか笑いたくなった。
緊張しているからではない。
この一連の出来事があまりにも完璧に荒唐無稽だったからだ。
今朝は全校の前で社会的に火葬され、正午前に飯も食えず、放送で生徒会に呼び出され、入室と同時に彼女に暗闇に引き込まれてキスをされて自分の名前を忘れかけ、その後もう一歩進もうとしたところで、風紀委員長に全校で最も正当な口調でドアの外から遮られた。
連邦軍校は公平な場所だ。
誰も三分以上、本当に幸せでいることを許さない。
真紀は最後に袖章と衿を確認してから、ドアを開けに行った。
ドアノブが回る一秒前、私は椅子の背にもたれ、無表情のまま自分の呼吸も平らに押さえ込み、「私はただここに呼ばれて、普通の伝達事項を受けに来ただけです」という顔を作った。
ドアが開いた。
「とても面白い」★四つか五つを押してね!
「普通かなぁ?」★三つを押してね!
「あまりかな?」★一つか二つを押してね!




