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臨界の星穹  作者: Mr.佐藤焫焵
臨界の星穹:月面都市コペルニクス
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167.校内放送 2

この物語はフィクションです。実在の人物・団体・事件・名称等は一切関係ありません。

鬱陶しい。


さらに鬱陶しいのは、彼女が私の視線に気づいたように、それほど長くも短くもない歩道越しに、こちらを見てきたことだ。


一瞥だけ。


でも、それで十分だった。


彼女がまず私を見て、次に私の隣の面々を見て、最後に後ろに粘着している後輩たちを見たのが分かった。最後に、その視線が私の上でごく短く止まり、こう言っているようだった。


まだ片付いてないの。


私は視線で返した。


これはあんたのせいだ。


彼女は笑わなかった。


少なくとも、表向きは。


でも、彼女が理解したことは、私には分かった。


相手が理解していると分かっていながら、人波と公務越しに何事もないふりをしなければならないこの感覚は、本当に嫌だ。誰かに細い糸で指を縛られているようなものだ。普段は気づかないが、今引かれて初めて、ずっと縛られていたことに気づく。


ジェスは私の視線を追って前を見て、それから低く、いやらしい声で「おー」と言った。


「彼女、見てるよ」


「黙れ」


「間違ったこと言ってないじゃん」


「もう一言でも言ったら、その場で噴水に突き落とす」


「この気温で人を水に落とすの、けっこう非道徳だよ」


「あんたに道徳は必要ない」


ヘートヴィヒが横から、ごく軽く一刀を入れた。


「でも、会長がこちらを見た時のあんたの顔は、確かに何か悪いことをした人みたいだったわ」


私は勢いよく振り返った。


「あんたも今日、暇なの?」


「暇じゃないわ」ヘートヴィヒは言った。「ただ、あんたが分かりやすいだけ」


……上等だ。


今日この学校は、集団で星野シモに対する認知アップデートでも実施したのか。


一人また一人と、私が分かりやすいと言い出す。


どこが分かりやすいんだ。


私は十分に扱いにくい人間のはずだ。


真紀の方は幹部にさらに急かされているようで、これ以上こちらに構う余裕はなさそうだった。手にした書類を脇に挟み、私の方へごく軽く顎をしゃくった。


外から見れば、会長がクラスメイトに送った短い合図にしか見えないだろう。


だが、私は見慣れすぎている。


あれは完全に——


待ってて。勝手に動くな。


私の口角がピクリと動いた。


この女は本当に、どうしようもない。こんな距離からでも、命令のニュアンスをこれほど自然に押し込んでくる。


しかも、私はそれを本当に理解できてしまう。


しかも、私は本当に無意識に足を止めてしまう。


恋愛というものは、やはり判断力を損なう。


「会長、あんたを呼んでるの?」後ろから、おずおずとした声が聞こえた。


振り返ると、あの後輩たちがいつの間にかまた少し距離を詰めていた。質問した子はパンフレットを抱え、教科書の中で禁書を見つけたかのように目を輝かせていた。


私は心底疲れた。


「呼んでない」私は言った。


「でも、さっき見て——」


「気のせいだよ」


横の別の後輩が小声で付け加えた。「でも、私たちもそう見えたんですけど……」


「あんたたち、今日は学校に来たの? それとも私を研究に来たの?」


パンフレットを抱えた後輩がすぐに答えた。


「両方じゃ駄目ですか?」


私は彼女を見た。


彼女はとても誠実に私を見た。


……連邦の教育は、どこで道を誤ったら、人間をこんな風に育てられるんだ。


ジェスはすでに笑い疲れ、ハーヴィーの肩につかまって震えていた。ハーヴィーは相変わらず死人のような顔をしていたが、眼鏡の奥の光は明らかにまともではなかった。Dさえも、黙って私を二秒見つめてから、「星野シモ」という生物がこの集団環境でどれだけのトラブルを自然に引き寄せるかを再評価しているようだった。


最後に、私は一言だけ投げるしかなかった。


「駄目」


「研究だけでも駄目ですか?」


「特に駄目」


「じゃあヘアケア――」


「もっと駄目」


ヘートヴィヒはようやく見物に飽きたのか、わずかに首を傾けた。


「私は先に行くわ」


私は彼女を一瞥した。「火力分散のために残ってくれないの?」


「残念だけど」彼女の口調は優雅なほど冷静だった。「私がいると、彼女たちをさらに興奮させるだけよ」


これは事実だった。


反論できなかった。


彼女は二歩進んでからまた立ち止まり、振り返って最後の一刺しを入れた。


「でも」ヘートヴィヒは言った。「さっきあんたが振り返って静かにするように言った時、確かにいじめてるみたいに見えたわ」


私は目を細めた。


「それは追撃じゃなくて、中傷だ」


「観察よ」


「あんたたち、今日はなんでそんなに私を観察したがるの?」


ヘートヴィヒは答えず、ただそういう目で私を一瞥し、背を向けて去っていった。その背中は清潔で、安定していて、俗世に属さない一本の線のように端正で、こちら側の乱雑な青春の事故をすべて私に押し付けたままだった。


皇女殿下は本当にお見事だ。


私は偽物のように桜が舞う校内の歩道に立っていた。左には笑い転げるジェス、右には冷酷に刃を突き立てるハーヴィー、後ろには「憧れ」を顔に貼り付けた後輩たち、前方には公務から抜け出せないでいながら、一目で私をその場に釘付けにできる生徒会長兼私の彼女。


上等だ。


この光景、ついに完成した。


私は制服の肩のラインに落ちた花びらを見下ろし、手を伸ばしてそれを払い落とし、この学校を、講堂ごと、歩道ごと、木の下ごと、生徒会ごと、風紀ごと、後輩ごと、そして横で非人道的に笑っている同居人たちごと、まとめて宇宙空間へ打ち上げてしまいたいと心底思った。


残念ながら、それはできない。


新学期はまだ始まったばかりだから。


そして私はおそらく、この誤解を招く制服を着続け、災いを呼ぶこの顔を晒し続け、かろうじて人間の形を保ちながら、この忌々しい学期を最後まで歩き切らなければならない。


そう考えると、私にはただ一つ、非常に誠実な願いしか残されていなかった。


頼むから、午後の授業では、もう誰もパンフレットを持ってサインを求めに来ませんように。


あの騒動から抜け出した時には、時間はもう正午に近づいていた。


いわゆる「抜け出した」というのは、もちろん勇猛果敢な突破でもなければ、冷酷非情な言語技術で全員を退散させたわけでもない。強いて言えば、わけの分からない理由で半日近く祭壇に祀られて展示された人間が、管理人が閉館する直前に、ようやく裏口からこっそり逃げ出したようなものだ。


連邦軍校の新学期初日は、理論上は希望と秩序と活力に満ちているべきだ。だが実際には、朝六時過ぎから式典に引っ張り出され、立ったり座ったり、見られたり囲まれたりして、胃が人生に疑いを持ち始めた頃になっても、「この学校に対して最低限の敬意はまだある」というふりを続けなければならない。


慣例では、正式な授業は昼食後から始まる。しかもその「正式な授業」というやつも、高い確率で教師が教室を一巡し、田んぼの見回りでもするように今年の連中がまだ死んでいないことを確認し、「新学期は新たな気持ちで」といった建前をいくつか投げて、あとは放置するだけだろう。


つまり今この時間は、本来なら食べ物のためにあるはずだった。


温かくて、食べられて、できれば脂の乗った食べ物のために。


「飯を食いに行こう」私は歩きながら言った。「朝早くから引っ張り出されて、まだ何も食べてない。これ以上長引けば、連邦は学生を一人失う前に、昼食の配給枠を一つ失うことになる」


ジェスがほぼ即座に乗ってきた。


「それは急いで食堂に行かないとね」ジェスはわざと息を吸い込み、安っぽい街頭演劇の進行役みたいな大げさな口調で言った。「イケメンを餓死させるのは大罪だから。学校が半旗を掲げて弔うかもしれない」


私はジェスを見るのも面倒だった。


「ジェスは本当に才能があるね。気遣いを騒音公害みたいに聞かせる才能が」


「それはシモの心の中にジェスがいる証拠だよ」ジェスはすっと近づき、耳元にだけ熱を残すようにわざと声を落とした。「それを愛って呼ぶんだよ」


私は即座に手刀を返し、ジェスの額にクリーンヒットさせた。


パシッ。


音は大きくなかったが、手応えは抜群だった。


ジェスはすぐに額を押さえ、百回はリハーサルしたような見事な演技を披露した。


「痛い――先輩が殴った――」ジェスは泣き真似をしながら、口角は全く下がらず、「連邦軍校のキャンパス内暴力、白昼堂々、非人道的極まりない――」


「もっと大きな声で演じてもいいよ」私は冷たく言った。「風紀も呼んで、委員長にジェスの脳の構造を検査してもらえばいい。中身が全部無駄話で埋まってないか」


近くを通りかかった学生数人がこらえきれず、低く笑い声を漏らした。


ジェスは厚かましくもそちらに頷いて挨拶した。まるで自分が大衆に愛される大道芸人であるかのように。


羞恥心というものは、人によって配給量が異なることを、生まれながらに証明している人間がいる。


ハーヴィーは少し後ろを歩いていて、どこからか手に入れた新学期の進行表を手に挟んでいた。その顔はいつも通り、余分な感情はすべて連邦のエネルギー支出を増やすだけだと言わんばかりに省エネだった。


食堂の建物が見えてきた時、ハーヴィーが淡々と口を開いた。


「このタイミングで星野が食堂に入ったら、なかなか壮観な光景になるだろうね」


私は踏み出しかけた足を、思わず止めた。


くそ。


ハーヴィーの言う通りだ。

「とても面白い」★四つか五つを押してね!


「普通かなぁ?」★三つを押してね!


「あまりかな?」★一つか二つを押してね!

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