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臨界の星穹  作者: Mr.佐藤焫焵
臨界の星穹:月面都市コペルニクス
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165.駐車トラブル  2

この物語はフィクションです。実在の人物・団体・事件・名称等は一切関係ありません。

「ただし入校後は指定停車区に直行し、途中停車禁止、騒音禁止、登録外乗員の無断乗車禁止」二階堂・フレイヤは書類を真紀に返し、朝食を冷凍庫に戻せるほど冷たい声で言った。「また、今回の融通は今後の先例とはならない」


「ご心配なく」真紀は書類を受け取り、淡々と言った。「私たちもこんな醜いものを校内の伝統にしたくない」


Dはゆっくりと真紀を振り返った。


「……聞こえました」


「聞かせるために言ったから」真紀は平静に答えた。


私はついに笑い声を漏らした。


ごく短く。


挑発になる前に止まれるくらいの短さで。


二階堂・フレイヤの視線が飛んできた。私はすぐに笑いを収め、「私は法を守る中尉であり、今日は絶対に自分から事を起こさない」という仮面を被り直した。


もっとも、その仮面はおそらくDの大型バスと同じで、視力がある人間には全員バレている。


「乗って」真紀が言った。


「私は機車で行く」私は返した。


「車を前に動かして、横を塞がないで、という意味」真紀は私を見もしなかった。「星野中尉、今日の理解力がその程度なら、チェリーコーラを飲む量を減らすことをお勧めする」


「……それまで武器にするの?」


「使えるものは使う」


私は黙ってエンジンをかけた。


横の大型バスも低く震え始めた。ようやく合法的な存在として認められた巨獣が、再び息を吹き返したようだった。ジェスは車のドアへ向かいながら、わざわざ振り返って二階堂・フレイヤに手を振った。


「委員長、また今度。次は条文じゃなくて笑顔を持ってきてくれると嬉しいな」


二階堂・フレイヤは冷たく一言返した。


「まず人間らしく規則を守ることを覚えてから言いなさい」


ジェスの足が一瞬止まり、それから大笑いした。


「うわ、これいい。シモ、聞こえた? 風紀委員長、今日調子いいじゃん」


「聞こえた」私は車頭を正面に向けた。「あと二言くらい言ったら、明日から本当に遠足みたいに歩いて登校することになるよ」


ジェスは肩をすくめて乗り込んだ。


Dはドアを閉める前に、私を見下ろした。


「九島は強い」


「今更?」


Dは少し考えてから、もう一言付け加えた。


「二階堂も強い」


私は半秒沈黙してから、くぐもった声で答えた。「だから真ん中に立つのが嫌いなんだよ」


Dは頷いた。完全に理解したという顔で、それからドアを閉めた。


車のドアがドンと鳴って閉まり、大型バスがゆっくりと前進し始めた。真紀は私の横に立ち、私が先に出るのを待っていた。


「行こう」真紀は言った。


私はハンドルを握り、たまらず真紀を横目で見た。


「さっき何て言ったの?」


真紀は前方の校門を見たまま、今日の昼食の副菜でも語るような口調で言った。


「二階堂が大勢の前で追及し続けたくなくなるようなことを」


「それは答えじゃない」


「全部知る必要はない」


「……本当に意地が悪い」


真紀はようやく私の方を向いた。


朝の光がその目に落ちていた。清潔なほどに。そして、厄介なほどに。


「シモ」真紀は言った。「一つだけ知っておけばいい」


「何を?」


「今日入れたのは、私たちが言い合いに勝ったからじゃない」真紀は言った。「面倒を抱えたくない人間が、私たちが思っているより多かったからだ」


私は少し固まった。


それから低く鼻を鳴らして、ヘルメットを被り直した。


「連邦、すごいね」私は言った。「入学させるかどうかも、道理じゃなくて、誰の手元の面倒の方が大きいかで決まる」


真紀は小さく笑った。


ごく薄く。


耳元をかすめる風のように。


「おかえり、学校へ」


前方の校門、前方の車、前方の面倒を見つめながら、私はこの一言が今朝一番呪いに近いと思った。


大型バスが校門を通過した後も、合法的な生物にはなれなかった。


これはすぐに分かった。


どんなものでも、校門を通ったからといって、この学校に本当に受け入れられたわけではない。ただ、校内への存在を黙認されたに過ぎない。たとえばDの大型バス。たとえばジェスの口。たとえば私。たとえば名目上は学員だが、実態は制度の廃棄物を再利用した不運な連中。


私は機車であの巨大な代物の後ろについて、校内の主幹道を指定停車区へと向かった。朝の校内は校門前よりずっとまともな顔をしていた。並木は整然と刈り込まれ、建物のガラスは厭世的なほど清潔な光を反射し、遠くではすでに何グループかの学生が教棟に向かって移動していた。制服は整い、歩調は揃い、生産ラインから開封されたばかりの規格化された若者のようだった。


そして、その規格化された若者たちが、一斉にこちらを向いた。


仕方ない。


普通の人間が、夜店と野戦補給站と廉価な交通手段と中年の破産した夢を一つのシャーシに溶接したような大型バスが校内に入ってくるのを見れば、完全に気にしないふりをするのは難しい。


「この視線が嫌いだ」私は声を落とし、前を行くバスの後部を睨んだ。


真紀は私の半機車身後ろを走りながら、声を風に切られながらも、それでも安定していた。


「被見られるのが嫌いなの? それとも、あのバスを恥ずかしいと思っている自分が嫌いなの?」


「その二つは矛盾する?」


「しない」真紀は言った。「だから同時に二つ分嫌えばいい」


私は舌打ちをした。


こういう人間と言い合うのが難しいのはここだ。彼女は正面から刺してこない。ただ、私が認めたくなかった言葉を、先に静かに言い切ってしまう。


一言で言えば、高級版の嫌がらせだ。


前のバスは校内ナビに従って、側区道路へとゆっくり曲がっていった。そこは主幹道より静かで、実習棟の裏と器材倉庫に近く、普段は部活の車両、後方支援の小型車、校内作業員の整備車が通る場所だ。学校があのバスをここに押し込んだのは、一言に尽きる。


まともな人間に長く見せるな。


車がまだ完全に停まる前に、ジェスが車のドアから頭を出した。


「宣言します」ジェスは厳かな顔で言った。「私たちは『違法車両』から『指定停車ゴミ置き場』への階級昇格を無事に完了しました」


「おめでとう」私は機車を白線の中に停めた。「もう少し頑張れば、年末には固定汚染源に昇格できるかもね」


Dが運転席から降り、ドンとドアを閉めた。


彼はあの車の横に立つと、この車がようやく人型に進化した後、最初に生えてきた器官が肩だったかのように見えた。Dの表情はいつも通りだった。重く、ゆっくりで、何でもまず頭の中で三回圧縮してから吐き出すような顔だ。


「入れただけでいい」Dは言った。


「基準が低すぎない?」ジェスが車のドアの段から飛び降りた。「あんたの人生って、今日爆発しなければ順調、みたいな感覚?」


Dはジェスを見て、二秒真剣に考えた。


「……だいたい」


「あんたたち二人の生存哲学、一個は路上詐欺みたいで、もう一個は工事現場の安全標語みたい」私はヘルメットを外した。「長く聞いてると通報したくなる」


ハーヴィーが後ろから降りてきた。手には薄いクリップボードを持ったまま、車内でも整理し直すことを忘れなかったらしい。この男の怖いところは、世界が今すぐ爆発したとしても、ハーヴィーはまず書類を平らにしてから、破片が自分のカップに入っていないか確認するだろうということだ。


「もう一つ気になることがある」ハーヴィーは鼻梁の眼鏡を押し上げた。「風紀委員長さっきの引き下がり方、終わりじゃない感じがする」


「ようやくまともなことを言った」私は言った。


「ありがとう」ハーヴィーは静かに答えた。「褒め言葉には聞こえないけど」


「そうだから」


私の言葉が終わる前に、後方から足音が聞こえた。


整然と、急いでいて、非常に不愉快な目的意識を帯びた足音だ。


振り返ると、風紀の腕章をつけた学生二人がこちらへ早足で向かってきた。前の男子はファイルを持ち、後ろの女子は携帯型検査ボックスを押していた。二人の表情はどちらも事務的で、委員長に目で釘を刺されてから一息たりとも気を抜けない人間の顔だった。


ジェスが遠慮なく悲鳴を上げた。


「嘘でしょ——まだ来る?」


「来た」ハーヴィーは言った。


「それの何が無駄じゃないの?」


「言う前から予測してたという点で」


私はその二人の風紀委員がどんどん近づいてくるのを見ながら、こめかみがまた疼き始めるのを感じた。やはり、二階堂・フレイヤという人間は、校門で最後の一秒まで言い合いをするタイプではない。


入れてやる。そして中で、より合法的に、より静かに、より気持ち悪い方法で、少しずつ解体する。


それが風紀委員長のロマンスだ。


騒がない。荒れない。取り乱さない。


ただ、条文に基づいた死に方をさせてくれる。


「九島先輩」前の男子はまず真紀に頷き、それからDの大型バスに視線を移した。「委員長の指示により、この車両は入校後の追加検査が必要です。審査完了まで『通行制限載具』として暫定登録します。その間、教学区、寮の主幹道、中央広場周辺への無断移動は禁止です」


「そうだと思った」ジェスは手を挙げ、連邦に拍手を送りたいような表情をした。「連邦の信頼って、コンビニのおにぎりの中のサーモンみたいだよね。開けるまで入ってるかどうか分からない」


その男子の表情はまったく動かなかった。


プロか、あるいはこの仕事に感情を潰し尽くされたかのどちらかだ。


「また」彼はファイルを開いた。「車内の音響システム、照明設備、外付け電源モジュール、加熱設備、収納スペース、仮固定構造は、すべて逐一確認が必要です。申告用途と一致しない場合は、撤去、封存、または期限内の修正を求めます」


「ちょっと待って」ジェスが目を丸くした。「音響システムって何? あれはただの――」


彼女は途中で止まった。


なぜなら、もし続けていたら、次の一言はこうなるからだ。


「あれはただ、人間らしく生きるためのものだ」


あるいは。


「あれはただ、車の魂の一部だ」


どちらの一言も、風紀の附記欄に非常に恥ずかしい形で残ることになる。


Dは何も言わず、ゆっくりと眉をひそめた。


爆発寸前の皺め方ではない。壁が、自分がどこに立っているかさえ申請が必要なのだと気づいた時の皺め方に近かった。


「検査していい」Dは口を開いた。声は低かった。「でも車は壊さない」


「撤去するかどうかは検査結果次第で――」


「彼は検査を受けると言った」真紀がその男子を遮った。口調は変わらず穏やかだった。「では手順通りに進めて。ただし、協力は無制限の追加解釈権を持つという意味ではない」


その男子は一瞬止まり、頭の中で校則を数ページ素早くめくった。


「……了解です」


私は横で聞きながら、胃がじんわりと痛くなるのを感じた。


真紀は「完全に合理的」と「実はすでに警告している」の間に語気を保つのが本当に上手い。この技術水準は高く、誰でもできるわけではない。多くの人はその二点の間で往復して自滅する。


後ろの女子はすでに携帯検査ボックスを開け、封条、スキャンペン、数枚の標識シールを取り出し始めていた。赤、黄、白。広げると、機嫌が最悪の文房具屋の特売セットのようだった。

「とても面白い」★四つか五つを押してね!


「普通かなぁ?」★三つを押してね!


「あまりかな?」★一つか二つを押してね!

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