162.星野式ナンパ術 1
この物語はフィクションです。実在の人物・団体・事件・名称等は一切関係ありません。
ヴィスラン大佐の執務室を出た瞬間、私は二つのものを目にした。
一つ目は、廊下の端に立ち、制服の箱を二つ抱え、まるで服ではなく不発弾でも持たされているかのように緊張しきった顔の勤務兵。
二つ目は、その二つの箱の前に立ち、生まれてから「気まずい」という感情を一度も経験したことがないのではないかと疑いたくなるほど、相変わらず平然としているヘートヴィヒだった。
この光景を見た時、私の最初の感想は「ああ、制服が届いたか」ではなかった。
――連邦のやつら、本当に人を一息で追い詰めるのが好きだな。
皇女殿下を下院に押し込んだと思ったら、すぐ制服を持ってくる。行政効率をこういう方向に使うなら、この国が今日まで持ちこたえているのも、まあ、分からなくはない。
ヘートヴィヒがこちらを向いた。
「終わった?」
「まあ」私は力なく答えた。「まとめると、連邦は私の身体を健康的な発育と判断した上で、と追加の人生的厄災を付録としてつけてくれたらしい」
「おめでとう」
「その二文字、あなたの口から出てくると、訃報より怖いんだけど」
私がそう言った瞬間、横にいた勤務兵の肩がかすかに震えた。笑いをこらえているのが、遠目にも分かった。上等だ。司令部の人間でさえ、今の私がどういう状態か理解しているらしい。
どういう状態か。制度という名の手術台の上で一通り処置されて、麻酔が覚める前に「明日また来てください」と言われた、運の悪い患者だ。
その時、一人の女性職員が前に進み出て、ヘートヴィヒに制服の内容を小声で説明し始めた。冬季制式上衣、内側シャツ、長ズボン、長靴下、校章、下院識別帯、そして見るからに精密機器の組み立てキットのような固定具一式。
「固定具」という言葉を聞いた瞬間、頭が痛くなった。
連邦士官学校のこの制服を設計したやつは、一体どんな頭をしているんだ。
着てみれば授業に行けそうな見た目なのに、構造はエンジンの分解整備に近い。肩帯、腰留め、内衬固定片を見るたびに、設計者が「人間が自分で着る」ということを仕様書に入れ忘れたんじゃないかと疑いたくなる。
「更衣室の準備ができております、殿下」女性職員が恭しく言った。
ヘートヴィヒはわずかに頷き、制服ボックスを受け取ると、横の更衣室へと向かった。
私はそのままズラかるつもりだった。
薄情なわけではない。
今日は本当に、もう限界だ。
身体の異常が宇宙規模の健康的な発育だと告げられ、気づけば何かの先輩兼厄災磁石に格上げされていて、今の私の頭の中にあるのは、どこかに座ってアインシュタインを呪い、ヴィスランを呪い、ついでにジェスを統合作戦司令部の花壇の下に埋めることだけだ。
そう思って二歩踏み出した瞬間、背後から極めて平静な声が聞こえた。
「星野中尉」
私は止まった。
この呼び方を聞いた瞬間から、もう嫌な予感しかしない。
ヘートヴィヒが外の人間の前でこういう正式な呼び方をする時は、たいてい本題か、あるいは私を社会的に葬り去るような本題かのどちらかだ。
私はゆっくりと振り返った。
更衣室の扉は完全には閉まっておらず、ごく細い隙間が残っていた。
ヘートヴィヒはその隙間の向こうに立っていた。表情は相変わらず落ち着いていて、更衣室の入り口で誰かを呼び止めているのではなく、停戦協定を発表する謁見の場にでもいるかのようだった。
「……何?」
もう十分すぎるほど嫌な予感がしていた。
ヘートヴィヒは一秒沈黙した。言葉を選んでいるようだった。これは珍しい。この皇女殿下のやり方は、たいていさっさと一言で切り捨てるか、目線だけで相手に悟らせるかだ。
それから、ヘートヴィヒは言った。
「少し入ってもらえる?」
私の思考が、約半秒、完全に止まった。
その後に残ったのは、一つの言葉だけだった。
嫌だ。
「嫌」私は即答した。ほぼ反射だった。
扉の隙間から、その目が静かに私を見ていた。
横にいた勤務兵と女性職員が同時に、非常に職業的で、非常に克制的だが、すでに現場から離脱したいオーラを全開にした表情になった。上等だ。全員、これは自分が聞くべき会話ではないと分かっている。釘付けにされているのは私だけだ。
「冗談じゃないわ」ヘートヴィヒは言った。
「私もそう」
「手を貸してほしいの」
……その四文字が嫌いだ。
四文字そのものに問題があるわけではない。ヘートヴィヒの口から出てくると、意外なほど破壊力があるのだ。
さっきこの女は、「覚悟はできている」という顔で、下院も帝国も士官学校も刀叉教育も一気に宣誓するように語った。それなのに今、同じ落ち着いた口調で「手を貸してほしい」と言える。
主砲斉射を見届けたと思ったら、次の瞬間艦長が振り返って「すみません、このバックルが外せなくて」と言ってきたようなものだ。
荒唐無稽だ。
だが、妙に筋が通っている。
私は眉をひそめた。
「侍従は?」
ヘートヴィヒの目は平坦だった。天気の事実を告げるように。
「いないわ」
「女官は?」
「いない」
「皇女の衣装を整えて、ついでに目撃者を始末してくれる帝国の高級専門スタッフは?」
「いない」
「帝国皇族ってそんなに格式高いのに、侍従なしだと更衣室で立ち往生するの?」
ヘートヴィヒは少し考えてから答えた。
「本当のことを言えばいいなら――そうね」
私は危うく笑いそうになった。
いや、今笑うのは不謹慎だ。
だが笑わないのも自分に申し訳ない気がした。
なぜなら、これは本当に筋が通りすぎているからだ。
帝国の士官学校はナイフとフォークの使い方しか教えなかったと顔色一つ変えずに言い切れる第三皇女が、今、連邦統合作戦司令部の更衣室で立ち往生している。理由は制服を着切れないから。
この世界のユーモアのセンスは、時々本当に殴りたくなるほど高級だ。
私は横の二人の職員を見た。二人は即座に顔を背け、自分たちは廊下に置かれた装飾美術品に過ぎないというふりをした。
上等だ。退場の段取りまで整っている。ということは、今日このひと刺しは、どうやら避けようがないらしい。
「先に言っておく」私は声を落として歩み寄った。「中が何か私を始末しなければならない光景だったら、すぐ出る」
ヘートヴィヒは一歩下がり、場所を空けた。
「そんなものはないわ。自分で着ることはできたけど、人前に出られる状態には整えられないだけ」
……この言い方が、意外なほどヘートヴィヒらしかった。
軟でも、恥じらいでもなく、かわいそうな振りをした助けを求めるわけでもない。
ただ率直に認めているだけだ――できる、でも完全ではない。やれる、でも基準には届かない。
頬を染めてもじもじするより、よほど厄介だ。
彼女は媚びているのではなく、本当に不足を私に見せているのだから。
私は更衣室に入り、後ろ手にドアを引いた。
そして、自分が今日、本当に上位貴族と縁のある星の下に生まれたのだと悟った。
部屋は広くはないが、十分に明るかった。どんな細部も逃げ場のないほどに。制服ボックスは開けられて長椅子の上に置かれ、包装紙と識別帯が横に散らばっていた。
ヘートヴィヒはすでに内側シャツを着終えていた。下も下院の制式ズボンに換えてある。ただ外側の冬季上衣がまだ完全に整えられておらず、肩のラインが少し歪み、腰側の固定具が正位置に入っておらず、背中の束帯も引き伸ばされていなかった。制服そのものは着ている。ただ、きちんと掛けられているはずの絵が、額縁だけがこっそり斜めになっているような状態だった。
そして最も腹立たしいのは――
それでも、彼女はちゃんとして見えることだ。
この人間に、天の道理というものはないのか。
「見終わった?」ヘートヴィヒが言った。
「連邦が第三皇女をこの半完成状態で下院に送り込んで、初日から全校に『帝国の皇女は制服の着方を知らない』と伝わらないか確認していたの」
「それで、結論は?」
「連邦にそんな恥はかかせられないし、私も一緒に恥をかきたくない」
私は近づき、腰側の固定具を見た。案の定、二つが正位置を外れていた。
この部品はもともと面倒くさい。角度が合わなければどうやっても入らないのに、しかも側後ろから手探りで位置を確認しなければならない。この制服を設計したやつが、いつか私の手の届くところに来たら、制服一式をそのまま着せて、自分で全部留めさせてやる。
「少し向こうを向いて」私は言った。
ヘートヴィヒは従った。動作は素直で、二度目を聞いてくることもなかった。
指先が布地に触れた瞬間、頭の中で最初に浮かんだのは、気まずさではなかった。
――彼女の立ち姿は、本当に正確だ。
人に見せるための綺麗さではなく、長年の規律によって作られた端正さだ。肩は揺れず、腰は落ちず、振り向く角度にすら、ある種の儀式的な節制が宿っている。
だからこそ、その完璧な立ち姿が、今「誰かに側後ろから制服の固定具を正位置に戻してもらっている」という状況と、ひどく噛み合わない。
噛み合わなさすぎて、宇宙に拍手を送りたくなった。
「連邦の制服は」ヘートヴィヒが静かに口を開いた。「帝国より面倒ね」
「帝国の礼装の方が地獄でしょ」
私は腰側の固定具を正位置に戻しながら、冷笑した。
「連邦のはせいぜいエンジニアリング思想の過剰摂取。帝国のは本当に人間を展示台扱いしてる」
「星野中尉は帝国の礼装にも詳しいの?」
「詳しくない。被害経験があるだけ。以前一度見たことがあって、見てるだけで着てる人が気の毒になった」
一つ目を留め、二つ目を探る。
距離が近かった。近すぎた。彼女から淡い洗剤の香りがした。司令部の公用更衣室の、冷たい白い照明と金属の棚と消毒液が混ざり合った清潔な匂いとは少し違う。濃くもなく、意図的な香りでもなく、ただひどく清潔だった。清潔すぎて、悪態をつきたくなった。
なぜなら、第三皇女の制服を整えるだけでなく、この距離で正気を保たなければならないということだからだ。
神様は本当に、あらゆることを試したがる。
「動かないで」
私はしゃがんで、裾の内側の固定片を確認した。案の定、一枚めくれていた。
こういうのは着慣れれば最初に押さえてから掛けると自然と分かる。そうしないと外側に微かだが目立つ折り目ができる。普通の人間には気づかれないかもしれないが、ヘートヴィヒがこの状態で学院に入ったら、三時間もしないうちに全校の半分が「帝国の皇女は制服の扱いに慣れていないのか」と研究し始めるだろう。
「本当に自分では整えたことがなかったの?」
「着ることは自分でできた」ヘートヴィヒは答えた。「でも最終的な整束、帯の掛け方、背中の引き伸ばし、裾の固定は、たいてい私がやることじゃなかった」
「贅沢ね」
「分業と解釈してくれてもいいわ」
「私は体制が人を飼い馴らしたと解釈したい」
めくれた内側の固定片を戻し、立ち上がり、彼女の背後に回った。
そして、本当の厄介事が背中の束帯だと分かった。
いい加減に……。
これが、彼女が私を呼んだ理由だ。
前面と腰側だけなら、おそらく彼女も時間をかければ自分でできる。だが後ろの束帯は、まず位置を合わせ、引き伸ばし、内側の固定環に通し直す必要がある。自分でできないことはないが、非常に不格好になる上、一度引き歪めると冬季上衣の背線が全部崩れる。
第三皇女にとって、それは出陣前に軍帽を傾けるのと同じくらい致命的だろう。
私はその束帯を見て、二秒黙った。
「連邦の下院制服のこの設計、本当に頭がおかしい」
「同意するわ」
ヘートヴィヒは迷わず答えた。
「よし、少なくともこの件では意見が一致した」
私は手を上げ、背中の布地を押さえ、束帯を中線に戻した。
最初の動作は、本当に普通だった。
本当に。
真剣に言っている。
ただ制服を整えるだけで、それ以上のことは何もない。
問題は――近すぎることだ。
わずかに前傾みになり、両方の肩甲骨の間から布地を中央に寄せ、背線に沿って下へと押さえていかなければならない。彼女が呼吸しているのが分かるほどの距離で。しかもその呼吸が、ひどく安定しているのだ。落ち着かないのが私ではなく彼女であるかのように。
これはひどく不公平だ。
更衣室で立ち往生していたのはヘートヴィヒのはずなのに、なぜ試練を受けているのは私の方なんだ。
「星野中尉」
「何?」
「手が安定しているわね」
私は危うく、その束帯で彼女を絞め上げるところだった。
いや、こういう時に突然人を褒めないでほしい。
しかも、全くもって口説いているわけでもないのに、口説くよりずっと致命的な口調で。
「褒められるような技術じゃない」私は無表情で答えた。「下院には私より上手い人間がたくさんいる。今ここにいないのが不運なだけ」
「そう」
ヘートヴィヒは少し間を置いてから、付け加えた。
「じゃあ、わたし、幸運だわ」
私の手が、一瞬止まった。
この女は、本当に危険だ。
危険なのは、意図的なところではなく、意図的でないところだ。
わざと人を惑わせているのでも、わざと曖昧に言っているのでもない。ただあまりにも率直で、その率直さが時々、防衛線を素通りして神経に直撃する。
私は深く息を吸い込み、思い切って最後の束帯を固定環に通し、引き締め、押さえた。
「終わった」
私は一歩下がった。
ヘートヴィヒが振り返り、自分の様子を確認してから、私を見上げた。その目は相変わらず静かだったが、近くで見ると、なぜか遠くで見る時より圧があった。
彼女に見られているのではなく、私が今し方整えたすべての細部が、彼女の代わりに私を見ているような気がした。
「襟がまだ少し歪んでいる」私は苛立たしげに言い、手を伸ばして襟線を直し、ついでに肩章も正位置に押さえた。「動かないで」
ヘートヴィヒは動かなかった。
だから、こういう光景になった。
私が彼女の前に立ち、襟と肩線を整えている。彼女は目を伏せて私を見ており、まるで何かの世話を受け入れているかのように静かだ。私の内側の半分は、狂ったように叫んでいる。
なぜ私は統合作戦司令部の更衣室で、帝国第三皇女の下院制服を整えているんだ。
人生のどこで間違えたら、こういうことになるんだ。
もしヴィスランが今ドアの外から現れたら、本当に道連れにしてやる。
「はい、これで人前に出られる」
私は手を引き、半歩下がり、わざと語気を硬くした。
ヘートヴィヒは私を見て、それからごく静かに言った。
「ありがとう」
……くそ。
さっきの「わたし、幸運だわ」より、これの方がずっと厄介だ。
この「ありがとう」には、皇族らしい気取りが一切ない。高い位置から施しを与えるような感じもない。「よくできた」でも「覚えておく」でもなく、ただ単純な、ありがとうだ。
こういうものが一番嫌いだ。
嘲笑うことすらできないから。
私は視線を逸らし、長椅子の上のボックスを見るふりをした。
「次は自分で着られるようにして」
「覚えるわ」
「そうしてくれ」
「もし分からないところが出てきたら――」
「次はない」私は即座に遮った。
ヘートヴィヒは私を一瞥し、少し理解したように頷いた。
「じゃあ、次がないという前提で覚えるようにする」
私は二秒こらえて、こらえきれなかった。
小さく笑ってしまった。
大きくもなく、長くもなく、ただ、まずいと分かっていながら、あまりにも真剣すぎる返しに刺さってしまったような笑いだった。
「あんた、本当に鬱陶しい」
「褒め言葉として受け取っておくわ」
「褒めてない」
「分かってる」
あまりにも落ち着いた返し方に、また笑いそうになり、同時に横の金属棚に頭から突っ込みたくなった。
「とても面白い」★四つか五つを押してね!
「普通かなぁ?」★三つを押してね!
「あまりかな?」★一つか二つを押してね!




