↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
臨界の星穹  作者: Mr.佐藤焫焵
臨界の星穹:月面都市コペルニクス
460/575

156.成長期 1

この物語はフィクションです。実在の人物・団体・事件・名称等は一切関係ありません。

四時ちょうど。


目を開けても、天井はまだ真っ暗だった。


私は三秒くらい仰向けになったまま、訓練された本能が私を起こしに来るのを待った――そして、その本能はちゃんと私を蹴り起こした。起き上がる、手探りで枕元のランプに触れる、スイッチを入れる。一連の動作は、誰かが舞台裏で事前に録画しておいたかのように滑らかだった。


これが、雪風号に長く居すぎた末路だ。


艦の四時は交代の時間だ。四時に起きて身支度を整え、艦橋へ上がる。このリズムを筋肉に刻み込んでしまった以上、昨夜どれだけ尊厳ゼロで泣いていようと、身体は四時きっかりに私を布団から掘り出す。生体時計は感情なんて気にしない。時間だけを気にする。


ある意味では、誰よりも忠実だ。


私は顔をこすって立ち上がり、機械的にクローゼットへ向かった。昨日の制服は適当に掛けただけだから、今日は洗濯に出さなければならない。ついでに着替えを何着か探して洗濯かごを満たしてから、今日やるべき残りのことを考える。


段取りは頭に入っている。手順は熟知している。私は何でもこなせる。


制服を引っ張って洗濯かごに放り込み、それからクローゼットを開けて服を探した。


一番上の棚に、以前の私服が何着か、きちんと畳んで置いてあった。手を伸ばして一枚引き抜く。濃い藍色の長袖で、以前よく着ていたやつだ。


広げて、頭からかぶる。


途中まで。


止まった。


もう少し力を入れる。


――ビリッ。


ファスナーでも、ボタンでもない。布だ。


私は下を見て、服の破れ目と五秒間、向き合った。


胸のあたり、縫い目が裂けていた。実に潔く、実に真剣に、躊躇いというものを一切感じさせない裂け方だった。まるでこの瞬間をずっと待っていて、今日ようやく解放されるチャンスを掴んだかのようだ。


……あれ。


私は服を脱ぎ、もう一度確認した。幻覚ではない。縫い目は本当に裂けている。しかも非常に、非常に、非常に理解しがたい位置で。


顔を上げて、鏡を見た。


鏡の中には一人立っていた。髪はまだ寝癖で乱れ、目はまだ腫れている。顔はいつもの顔だ。


しかし。


以下の事象は。


非常に。


おかしい。


私はゆっくりと視線を下ろした。


襟元へ。


そして――


「……ちょっと待って」


洗面所へ行き、電気を全部つけて、全身鏡の正面に立った。不慣れな症例を前にした外科医のような真剣な目つきで、上から下まで、自分自身を再スキャンした。


顔――変わらず。


首――変わらず。


肩――少し広くなったような気もするが、光の加減かもしれない。


そして。


胸。


私は長いこと見つめた。


とても長いこと。


浴室の蛍光灯がジジッと鳴り始めても、私はその場に立ったまま見続けた。


……光の問題ではない。


私は手を伸ばし、非常に慎重に、考古学の発掘現場で防塵シートをめくるような厳かな気持ちで、今この瞬間、私の人生観をわずかに揺るがしている事実を確認した。


柔らかい。


しかも、しっかり詰まっている。


私の手はその場で止まり、脳内で緊急の部門横断会議が召集された。


感覚部門:確認、中身あり。


物理部門:確認、体積存在、一年前の記憶と顕著な差異あり。


論理部門:……予算増額を要請。現時点の演算結果は「異常」を示している。


否認部門(最後に発言):むくみかもしれない。


私は手を下ろした。


鏡の中の人間を見つめた。


その人間も、まったく同じ困惑の表情で私を見つめ返していた。


「……私、臨終の輝きか、それとも突然変異でも起きた?」


誰も答えない。洗面所には私と、壮絶な戦死を遂げた濃い藍色の長袖しかいないのだから。


私は破れた縫い目に目を落とした。


この服は頑張った。もともと別の私のために作られたもので、服に罪はない。ただ時代についていけなかっただけだ。私の学生証と同じように、私の学籍状態と同じように、昨日の無人バスのシステムと同じように――


旧バージョンの星野霜のために作られたものは、今や何一つ体に合わなくなっていた。


私はその服を丁寧に畳んで、脇に置いた。


もう着られないとは思うが、それでも捨てる気にはなれなかった。人間というのはそういうものだ。持っていても仕方がないと分かっていても、消え去らせるのが惜しいのだ。


もう一度クローゼットを漁って、少し余裕のある上着を見つけた。今度は慎重にサイズを目測してから頭を通した。よし、これは弾け飛ばなかった。今日ここまでで最も順調に進んだ出来事だ。


顔を洗い、歯を磨き、髪を適当に整えた。


鏡の中の人間は確かに昨夜よりはマシで、少なくとも目の腫れは半分引いていた。


ただ、その人間が本当に私なのかどうか、まだよく分からない。雪風号で過ごした数ヶ月と、鉑橋街(はっきょうがい)二十二番地を出発する前の人間が、同じ一人と言えるのかどうか。何かは確かに変わった。服が私を認識できなくなるほど大きく変わった。でも、何かは出発前のあの日のまま止まっているような気もした。


窓の外はまだ明るくない。


部屋に戻り、ベッドの端に座った。ちょうど机の上のあの写真が目に入った。


もう泣かなかった。ただ一瞥して、視線を外した。


昨夜のノルマはもう使い果たした。


個人端末の振動音がそのとき響いた。私がまだ生きているか確認するかのように、軽く。手に取って見た。


真紀。


その名前をしばらく見つめてから、メッセージを開いた。


真紀:大丈夫?


たった五文字で、公文書のように無駄がないが、午前四時十分という送信時間そのものが、一つの答えだった。


少し考えて、返信した。


霜:たぶん、大丈夫だと思う。


真紀:たぶん大丈夫って、どういうこと。


私はその一言を眺めて、「主観的な体感としては明らかな崩壊はないが、システムが正常に稼働しているかは確認できない」という状態をどう説明するか真剣に考え、最終的に人間の言葉に翻訳するとこうなると判断した。


霜:自分が大丈夫なのかどうか、よく分からないってこと。


数秒の沈黙。


真紀:……今どこ?


霜:鉑橋街。


それ以降、新しいメッセージは来なかった。


私は端末を置き、そのまま座って、窓の外の音のない音をしばらく聞いていた。鉑橋街の朝は徹底して静かで、家そのものの古い軋み、壁の中の水道管、床板の微かなため息まで聞こえるほどだった。


十分ほど経って、呼び鈴が鳴った。


私は立ち上がり、ドアまで歩いて行き、映像確認ボタンを押した――そしてドアを開けた。


ドアの外に、九島真紀が立っていた。


彼女は私服姿だった。制度を代弁できそうなあの正式な軍服ではなく、ごく普通の濃い色の上着。髪もきちんとは整えず、適当に結んでいるだけだった。手には何も持たず、ただそこに立っていて、風が彼女の数本の後れ毛を揺らしていた。


私がまだ何も言わないうちに、彼女は先に私を見た。


そして、固まった。


「あら、変わったね」というような儀礼的な驚きではない。本当に固まっていた。目がわずかに見開かれ、視線が私の顔、首、肩、全身を何度も何度も走査していく。何か照合プログラムを走らせているのに、結果がいつまでも予想と一致しない、というふうに。


三秒の沈黙。


「あなた……霜?」


私は頭を掻いた。


「他に誰がいるの」


彼女はもう一度、今度はさらに念入りに私を見た。私が冗談を言っていないか確認するように。


「……大きくなったわね」彼女は最後に言った。声はいつもより半音低く、非常に真剣な観察報告の結論を述べているようだった。


「それは知ってる」私は脇に退いて、彼女を中に入れた。「入って。外は寒いから」


彼女は中に入り、私の横を通り過ぎるとき、視線がやはり無意識にこちらへ流れた。


私は気づかないふりをした。


「それに」私はドアを閉めて振り向いた。「今日、服を一枚失った」


真紀が足を止めて振り返った。


「どういうこと」


「弾け飛んだの」


彼女は少し沈黙した。


それから視線を逸らし、非常に職業的な平静さを保とうと努力している表情で、軽く咳払いをした。


「……新しいのを買いなさい」


「言われなくても」


彼女はそれ以上何も言わず、上着を脱いでドア脇のフックに掛けた。まるでそこに自分の定位置があるかのように。


実際、彼女には定位置がある。

「とても面白い」★四つか五つを押してね!


「普通かなぁ?」★三つを押してね!


「あまりかな?」★一つか二つを押してね!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。