153.全船が迷おうと、席は譲らない 1
この物語はフィクションです。実在の人物・団体・事件・名称等は一切関係ありません。
連邦の大人たちは、生還者を気遣うふりをするのをあっという間に完全に諦めた。
彼らは検死を始めた。
雪風号の。
しかも追悼式の残骸の隣で、遺族の泣き声もまだ消えていない中、メディアのカメラが卵を焼けそうなほど熱い状況で、一年間迷航した艦を公開解剖の教材として直接広げにかかった。
技術官、軍法官、航行記録官、艦務分析員、そして連邦中央研究院の徽章をつけた一団が携帯型アクセスモジュールと権限端末を手に前へ押し寄せてくるのを見ながら、私の頭に最初に浮かんだのはこの一言だけだった。
――よし、追悼式が終わり、これより検死手順に入る。
解剖台に乗っているのは、私たちの船だ。
「この連中、船に一息つかせる気もないの」私は小声で言った。
真紀が横で、淡々と返した。
「連邦は死んで蘇ったものに対して、もともと辛抱強くない」
「それ、悪口に聞こえる」
「悪口を言っている」
……よし。
こういうときの正直さは、いつも気分がいい。
アッシュは前に出て、バイヤー・ヴァンダー提督、亜紀、カランド・ローゼン、現場で最高権限を持つ何人かと短く交渉した末に、ようやく私たちが直接バラバラに尋問されない形を一つ勝ち取った。先に艦を調べる、それから人を調べる、という順番だ。
聞こえはいくらかマシだ。
実際には「先に雪風号を解体する」を「雪風号の上の人間を解体するのは後回し」に置き換えただけだが。
それでも、少し有利な点がある。
艦の記録は嘘をつかないからだ。
そして時として、証拠は人間よりも上手く反論してくれる。
一、航行日誌を開いた瞬間、研究者たちが人生を疑い始めた
雪風号のリモートミラーアクセスが繋がった後、最初に呼び出されたのは航行日誌だった。
合理的な判断だ。軍にとっては、一年間行方不明だった艦がどこへ行っていたかを把握するほうが、疲弊しきった学員を先に問い詰めるより効率がいい。研究者にとっては別の意味がある。私たちがこの一年、宇宙の地理そのものに先に殺されなかった経緯を、ようやく知ることができるからだ。
大型の戦術表示スクリーンが中央に引き出された。
データケーブルが次々と展開され、座標が跳ね上がり、航路の断片が自動的に繋ぎ合わされ、失連期間の欠損記録がアルゴリズムの補完によって血管のように一区間ずつ接続されていく。正直に言えば、その光景は一度死亡宣告を受けた機械の屍体が、無理やり神経を繋ぎ直されているように見えた。
あまり好きじゃない。
あの道は、私たちが本当に走ったものだ。首都圏の人間に感嘆符として眺めてもらうために存在したわけじゃない。
前列に並んだ連邦の研究者たちは、最初はみな専門家らしい顔をしていた。「どこから帰ってきたとしても、私たちは冷静に分析できる」という顔だ。
航跡が引き出されるまでは。
雪風号が失連後に描いた漂流曲線が、非常に笑えない弧を描くまでは。
座標の投影が最終的に、名前を見ただけで本能的に画面を閉じたくなるあの領域を貫通するまでは。
うしかい座ボイド。
Boötes Void。
前列にいた白髪交じりの研究主任は、最初は目を細め、次に眉をひそめ、一歩前に出て、最後には端末が呪われているのではないかと疑うような顔になった。
「……少し待て」と彼は言った。
技術官が止まった。
主任はさらに一歩前に出て、ほとんど鼻がスクリーンにくっつきそうなほど顔を近づけた。
「この座標をもう一度流せ」
流した。
同じ結果だった。
もう一度。
やはり同じだった。
横にいた女性研究員は記録を取っていたが、途中で手が止まった。
「こんなはずがない」と彼女は言った。
私は心の中で思った。
ああ、来た。
首都圏の専門家たちが「私たちはコンビニで迷子になって帰ってきたわけじゃない」と気づき始める瞬間が、私は一番好きだ。
主任は顔を上げ、アッシュを見て、蘭を見て、スクリーンを見て、宇宙そのものに平手打ちを食らったような表情になった。
「あなたたちは……うしかい座ボイドに入ったのですか?」
アッシュは特に表情を変えない。
「縁辺部を経由しました」
主任は二秒ほど黙った。
その二秒の間、彼の頭の中で学術的な悲鳴が上がっていたに違いない。なぜなら、隣にいた別の研究者がすでに代わりに叫んでいたからだ。
「生きて帰ってこられたんですか!?」
よし。
ようやく正しいことを言う人間が出てきた。
私は思わず拍手しそうになった。
ジェスが私の横で声を落とした。「この台詞、好き」
「私も」と私は言った。「どんな歓迎の言葉より誠実に聞こえる」
「少なくとも本当に驚いてるから」
「そう。人間は本当に突拍子もないものを前にしたとき、第一反応だけは正直になる」
研究者たちはすぐに、非常に高知性的な取り乱し方を始めた。泣くわけでも叫ぶわけでもなく、同時に喋り始め、資料をめくり、星図を拡大し、重力モデルと放射線推定値を呼び出し、見れば見るほど沈黙し、沈黙するほど顔が白くなっていく。
なぜなら、うしかい座ボイドというのは訓練艦が通り抜けるために存在する場所ではないからだ。
あの場所は存在するだけで、宇宙が「お前たちのような小さなものは近づくな」と言っているようなものだ。
雪風号は近づいただけじゃない。
雪風号はそこから帰ってきた。
少し若い研究員が私たちを見て、目の色が変わった。生還した学員を見に来たはずが、気づけば目の前に「命を賭けて宇宙の禁区の端を踏んで、それでも自分の足で降りてきた人間型の統計的異常値」が立っているのに気づいた、そういう目だった。
爽快だった。
正直に言う、こういう瞬間は気分がいい。
運が良かっただけと思われるより、「これは科学的にありえない」という顔をされるほうが、ずっと好きだ。
ありえなくて当然だ。
科学通りに動いていたら、私たちはとっくに死んでいた。
二、交戦記録が出た瞬間、私は精神的に公開処刑された
航行日誌で第一波の衝撃を与えた後、軍側はようやく自分たちが天文研究会に来たわけではないことを思い出したらしく、すぐに次のデータを呼び出した。
交戦記録。
交戦回数。武器使用権限チェーン。弾薬消費。目標識別の断片。
……要するに、「この艦は生きて帰ってきただけじゃない、戦いながら帰ってきた」ということを首都圏の人間に改めて思い出させるための一式だ。
そのタイトルが主画面に引き出された瞬間、胃がわずかに縮んだ。
この記録が出れば、ある人間は非常に興奮し、ある人間は戦犯を探し始める。
さらに悪いことに、この二種類の人間はたいてい非常によく似た顔をしている。
記録官が一件ずつ読み上げ始めた。
最初の完全な交戦記録が出た。二件目。三件目。
敵艦の識別コード、交戦の時間窓、距離、武器の反応、回避機動、命中記録が一行ずつ展開されるにつれ、追悼式の会場の空気全体が硬くなっていった。
軍官の誰かが低く悪態をついた。
別の誰かが思わず一歩前に出た。
そして、集計画面がまとめられた。
銀河帝国高速巡洋艦、三隻。銀河帝国超次元攻撃潜航艦、一隻。銀河帝国駆逐艦、二隻。
その横に補足のマーカーが一つ。
帝国駆逐艦一隻、交戦離脱確認。火力交換未完了。
よし。
これで、とっくに封じておくべきだった暗殺のラインも一緒に保護されることになった。
二隻は本当に戦った。一隻は引いた。引いて、暗殺失敗の報告を持ち帰った。
私は心の中で静かに頷いた。
これでこそ、だ。
現場の他の人間の表情は、よくなかった。
「……これが訓練艦の交戦記録ですか?」
ある軍務官の声はもはや驚きではなく、宇宙がこっそり兵科教範を書き換えたのではないかと疑問を呈しているようだった。
私は心の中で返してやった。
そうだよ。しかも君が言う「訓練艦」というのは、普段は教育成果の報告書に使われ、招生パンフレットの写真を撮られ、校祭のときに学員に甲板を磨かせるあの訓練艦だよ。
なかなか刺激的でしょう。
そこへ、校長が登場した。
いや、正確には――軍校の校長が、自分にとって最も適切な出番を見つけた、と言うべきだろう。
さっきの家族の号泣、雪風号の追悼式への突入、生徒会長の軍への対応、医療艙の降下、それらの場面はどれも感情的すぎて、彼のような人間が得意とする戦場ではなかった。しかし今は違う。スクリーンには本物の戦績が掛かっていて、交戦数が並んでいて、発射記録があって、訓練艦とは思えない反撃の軌跡が描かれている。
だから彼は来た。
私が見ただけで白目を剥きたくなるような落ち着きを携えて。
あの顔に浮かんでいる表情を翻訳すれば、こうなる。
――ほら見ろ、うちの学院の教育は確かだろう。
私は心の中ですぐに補足した。
校長、もう少し前に出てきたら、この砲を撃ったのはあなた本人じゃないかと疑い始めますよ。
案の定、彼が口を開いた瞬間、その匂いが漂ってきた。
「雪風号は本学の実践訓練体系における重要なプラットフォームです」校長はゆっくりと言った。「学員が極限環境においても交戦能力を維持したことは、本学の教育が――」
私は危うく自分の唾液で溺れるところだった。
「教育が」じゃない。
今この場でなければ、本当に言ってやりたかった。
校長、雪風号が生きて帰ってこられたことが証明しているのは、私たちが死に損なったということであって、あなたのカリキュラムの完成度じゃありません。
ジェスは明らかに私と同じ方向で考えていて、肩を激しく震わせていた。
「何を笑ってるの?」私は小声で聞いた。
ジェスは気息声で返した。
「星野が今もし砲を持っていたら、最初に狙うのは帝国じゃなくて校長かもしれないと思って」
「それは誣告よ」
「違う、理解よ」
真紀が反対側でごく軽く咳をした。
意味は単純だ。
二人とも、顔を引き締めろ。
私はそれなりに顔を引き締めた。ただし半分だけ。
なぜなら次の瞬間、私が引っ張り出されたからだ。
物理的にではない。
精神的にだ。
軍の技術官がある交戦権限チェーンの一区間を拡大して、声を急に丁寧にした。
「こちらの近距離主砲と姿勢調整の連携操作は、誰が実行しましたか?」
スクリーンに表示された操作の時間窓は、命を賭けた賭けとしか言いようがなく、しかも賭け方が非常に不健全だった。一目見て分かる。自分と敵と艦体の完全性と生存率を一緒にミキサーに放り込んで回したような操作を、私以外の誰かがやるはずがない。
全員の視線がこちらに向いた。
私はその場に立って、教師に数学の問題で当てられた気分になった。ただし問題が「あなたはなぜ宇宙で発狂したのですか」というものだったが。
「……私です」と私は言った。
二秒、静まった。
その技術官もプロとしての姿勢を保とうとしたが、失敗した。記録を一度見下ろして、私を見た。
「あなたが?」
「他に誰がいるんですか」と私は言った。「私がこういうことを人に任せるタイプに見えますか?」
真紀が横で低く言った。「なるべく少なく話しなさい」
「かなり抑えてる」
軍がまた聞いた。「当時の判断根拠は?」
私は少し黙った。
合理的な質問だ。
合理的すぎて、腹が立つ。
なぜなら、事後から振り返れば何でも意思決定のように語れる。
でも、あのときはそうじゃなかった。
あのときは、こうしなければ死ぬ、という感覚に近かった。
私は自分でも二度と見たくないあの操作記録を見つめて、ゆっくりと口を開いた。
「判断根拠は、あの瞬間に撃ち落とさなければ、今こうして皆さんに質問してもらえる場所に立っていられなかったということです」
全員が静まった。
校長のあの、自分の功績に寄り添おうとしていた顔も、一瞬止まった。
私はもう一言付け足した。
「だから、戦術的直感でも、臨機応変な対処でも、学院の教育成果でも、好きなように書いてください。でも私の頭の中は、あのとき、もっとシンプルでした」
「どういう意味ですか?」誰かが聞いた。
「生き残ること」
……よし。
これは自分でも悪くないと思う。
まあ、半分は本当で、半分はあのとき込み上げてきた恐怖を、こういう場所でこの人たちに語るつもりがないというだけだ。
頼む。
死にかけたのは私だ。
なぜその話をあなたたちの楽しみのために提供しなければならないのか。
三、科学研究記録が開かれた瞬間、今度は連邦中央研究院が集団で飛び上がった
前の二ラウンドがまだ軍の主戦場だったとすれば、三ラウンド目から舞台は連邦中央研究院の人間に完全に奪われた。
理由は単純だ。
雪風号は帰投し、戦い、死なずに済んだだけでなく、暇を持て余したかのように科学記録まで大量に残していたからだ。
科学が好きだったわけじゃない。
死にそうになりながら、スキャンできるものはスキャンして、記録できるものは記録した。どうせ死ぬなら、せめて無駄死にするなという話だ。
連邦中央研究院は明らかに、軍校生たちが棺桶から這い出してきた後、眠れなくなるような記録を何件も机の上に放り出してくるとは思っていなかった。
データが開かれた瞬間、研究院の面々は冷静を装うのをやめた。
最初に飛び出てきたのは、氷結した準惑星だった。
完全な熱層構造、地殻亀裂、揮発性物質の抽出モデル、局所重力擾乱の測量図が揃っていた。
研究員A:「この解像度はどういうことですか?」
研究員B:「そこに滞在したんですか?」
研究員Cはすでに権限表をめくっていた。今すぐ気絶する権限が自分にあるかどうか確認しているようだった。
次に第二の記録が叩きつけられた。
高熱のカドミウム惑星だ。
画面に広がるのは、人類が近づくべきではないと直感させる赤色の熱分布図で、表面では金属が蒸発し、磁場が引き裂かれ、局所的な噴流が中小型艦を教科書の警告図に変えてしまいそうなほど不安定だった。
研究院の人間は、昇天しそうな顔で見ていた。
だが、まだ終わっていなかった。
第三の記録。猛毒の腐食惑星。
第四の記録。極端に不安定な活性インジウム惑星。
今度は主任より上位に見える老研究員が前に飛び出し、声が裏返った。
「これをどうやって手に入れたんですか!?」
私はその活性インジウム惑星のデータモデルを見ながら、心の中で答えた。
運が悪かったからです。
宇宙の中で普通の人間が会いたくないものを、私たちはほとんど全部会いに行きました。
連邦中央研究院の人間が私たちを見る目が、今はもう生還者でも学員でも交戦記録の幸運児でもなくなっていた。
彼らが見ているのは――歩く資料庫だ。
しかも、一瞬でも逃がしたら、部門ごと上層部に壁に貼り付けられるタイプの資料庫だ。
主任の声が震えた。
「これらの記録は全部、中央封存に……いや、先にバックアップを……いや違う、先に検証を……」
横にいた別の研究者はもう彼の話を聞かず、後ろのページをめくっていた。
そして、研究院の一角が突然、静まり返った。
あの静まり方は見覚えがある。
書類の中に、本来存在するはずがないのに、あってほしいと切に願っていた名前を見つけたときの静まり方だ。
次の瞬間、叫び声が来た。
「テキサス号を発見したんですか!?」
よし。
ようやく誰かが叫んだ。
さっきまで科学記録に興味を持っていなかった何グループかも、一斉に振り向いた。
活性インジウム惑星がどれほど厄介か知らなくても、テキサス号という規模の失踪艦の名前が、ある記録の付録に登場していいものではないことくらいは、誰でも分かる。
私はアッシュを見た。
アッシュは蘭を見た。
蘭は記録を見た。
最終的に答えたのはアッシュだった。
「はい」
たった二文字。
人混みに手榴弾を一個投げ込んだのと同じ効果だった。
研究院の人間がほぼ同時に半歩前に出た。
「位置は!」
「状態は!」
「回収可能性は!」
「船体の完全度は!」
私はその、テキサスバーベキュー屋がようやく肉を受け取った顔をした研究者たちを見て、心の中で少し落ち着いた。
そういうことか。
あなたたちにも、こういう顔をする瞬間があるんだな。
アッシュは平静だった。
「双子の青色巨星と原始惑星系円盤の間に挟まっています」
この一言で、研究院の何人かが息を呑んだ。
普通の息の呑み方ではない。「見つかったのはいい知らせだが、宇宙で最も引き揚げに向かない場所に挟まっているというのはどういうことだ」という種類の息の呑み方だった。
私はその学者たちの顔を見て、一人一人に水を一杯渡したくなった。
同情からではない。
「とても面白い」★四つか五つを押してね!
「普通かなぁ?」★三つを押してね!
「あまりかな?」★一つか二つを押してね!




