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臨界の星穹  作者: Mr.佐藤焫焵
臨界の星穹:ロスト
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149.直々の臨席 2

この物語はフィクションです。実在の人物・団体・事件・名称等は一切関係ありません。

デュナン星が初めて主観測スクリーンに完全な姿を現したとき、私の頭に最初に浮かんだ言葉は「綺麗だな」でも「やっと帰ってきた」でもなかった。 それは――


くそ、この星、警戒心強すぎだろ。


デュナン近傍軌道に懸架された十二基の「天幕」要塞は、この距離から見ると、黒いベルベットに打ち込まれた十二本の銀色の釘のように見えた。ただ大きいだけじゃない。


「これは単なる建造物ではない。国家が自らの疑心暗鬼と焦燥感、そして安全への渇望を、そのまま宇宙空間の臓器として溶接したものだ」と、見る者に意識させるような巨大さだった。


それらがデュナンを囲んでいる。 王冠のように。 あるいは、トラバサミのように。


「見飽きた?」 真紀の声が横から漂ってきた。高くはないが、私のとりとめのない思考から、正確に私を現場へと引き戻す声だった。


私は鼻を鳴らし、視線を主幕から自分の目の前のステータスバーに戻した。


「開戦前の地理的観察をしてただけ」


「さっきの表情は、どの要塞から爆破し始めるか考えている顔だったわよ」


「純真で善良な一年生をそんな風に中傷しないでくれる?」


「あなたのことを知っているからよ」


……反論できない。


艦橋の照明が一段落とされ、コンソール、航星図、戦闘情報区画、そして主観測スクリーンの冷たい光だけが残された。全員が配置についている。


普段の「皆が仕事をしている」状態ではない。もっと別の何か――全員がすでに自分自身を任務の中に格納し終え、あとは最後の一つのコマンドが下されるのを待つだけ、という状態に近い。そのコマンド一つで、全体が前方へと噛みついていく。


アッシュは主座に座り、姿勢も表情も変えていなかった。宇宙全体が彼女の目の前で二つ目の太陽を爆発させたとしても、まず「熱源の出所を確認しろ」と言いそうな、あの死人のような顔のままだ。


ロイは進入ラインを凝視している。 蘭はヘッドホンをかけ、前方の三つの波段が同期して跳ねている。 アイダは反対側で移送のタイムラインを監視している。


エヴリンの前には、見ただけで目を背けたくなるような電子戦シナリオが七、八層も浮かんでいる。 ハーヴィーは後方で、半死半生の淵から引きずり戻してきたばかりの機材の横にしゃがみ込み、言うことを聞かないが本気で殴り壊すわけにもいかない病人たちと交渉しているような顔をしていた。


ジェスは戦術席の端に寄りかかり、ペンを回している。


この後、首都圏防衛網によって連邦の教材にされるリスクがあることを知りながら、それでも特等席でのショーを楽しみにしているような、そんな混帳な態度だった。


この船は本当にすごいと思う。 他の軍艦が首都圏に入るなら、それは「帰投」という言葉が似合うだろう。 しかし雪風号が首都圏に入るのは、自分が主演する社会的な死者蘇生の現場に出席しに行くようなものだ。


「天幕外周の正式識別境界まで、二分」 ロイが口を開いた。


誰も無駄口を叩かない。 冗談で救えるような二分間ではないからだ。


デュナン星がさらに拡大される。 天幕の輪郭もより鮮明になる。 それらの要塞の外装甲が光の中で冷たい色を放ち、首都星全体を、非常に高価で、非常に理不尽な「立ち入り禁止」の膜で包み込んでいるように見えた。


軍校の授業で、教官が誇らしげな口調で「天幕は連邦の決意の象徴だ」と言っていたのを不意に思い出した。 今、この目で見て思う。天幕が象徴しているのは、連邦が「物事がスムーズに進むこと」など決して信じていないという事実だ。


「ヘートヴィヒのほうは?」私は聞いた。


アイダは顔を上げない。


「すでに処理を開始している」


主幕の右下に、非常に薄いマーカーが一つ跳ねた。 小さくて目立たないマーカーが、雪風号の後方からゆっくりと分離し、視力を侮辱しているのかと思うほど平凡なサービス航路に沿って滑り出していく。 あまりにも普通だ。 事前に知らされていなければ、二度見することすらないだろう。


「あれが護衛と侍女さん?」私は聞いた。


「第一陣よ」アイダが言う。


その小さなマーカーを一秒間見つめながら、私の心に奇妙な考えがよぎった。 これこそが、今の雪風号が最も雪風号らしい部分だ――


一方で、首都圏の人間が全員不整脈を起こしそうなほど派手に追悼式の上空へ切り込もうと準備しながら。 もう一方で、本当に表に出せないものを、音もなく隙間から逃がしていく。


一隻の船が同時にこの二つをやるなんて、本当に病んでいる。 でも、恐ろしく優秀だ。


「気を散らさないで」 真紀が私を見ずに、淡々と一言投げた。


「散らしてないよ」 「さっき副線を凝視していた時間は、正常な戦術確認の必要時間を超えていたわ」 「そんなことまで管理するの?」 「あなたがこの後、変なことを口走る原因になりそうな前段階の要因は、すべて管理する」


……副長というのは、時に副長ではない。 私の脳に外付けされた行動矯正プログラムのようだ。


「識別境界まで、九十秒」 ロイが言う。


エヴリンがシナリオの階層を一つ上に引き上げ、普段よりさらに平坦な声で言った。 「電子戦設備の予熱完了。第一組の偽装手続きチェーン完了。第二組の上報遅延シナリオ、マウント完了。第三組の異常優先権マーカー、待機」 「人間の言葉に翻訳して」ジェスが言う。


エヴリンは瞬き一つしない。 「天幕にまず我々を見せ、次に自らを疑わせ、上層部に問い合わせさせ、最終的に発砲のタイミングを逃させる」 「よし、ずっと人間の言葉になったわ」


ハーヴィーが後ろから不意に口を挟んだ。 「前提として、こいつらが同時にフリーズしなければ、な」


私は即座に振り返った。 「このタイミングでそんなこと言わないでよ!」 ハーヴィーは片眉を上げた。 「俺は誠実な文化を維持しているだけだ」 「工学部門の誠実な文化は、士気にとって本当に有害なんだけど」 「士気は俺のメンテナンス範囲外だ」


……前言撤回。 工学部門が人の心を落ち着かせるのに向いていないのではない。ハーヴィー本人が、その気すらないのだ。


アッシュが肘掛けを叩いた。 すべての雑音が即座に消える。


「ハーヴィー」 「はい」 「今この瞬間から、設備が本当に煙を上げない限り、艦橋全体に向かってお前個人の終末予言を発表するのはやめろ」 「……了解」


ジェスが低く笑い声を漏らした。 賭けてもいいが、今のハーヴィーの内心は「じゃあ少しだけ煙が出た場合はどうするんですか」と付け足したくてたまらないはずだ。ただ、こんな状況で減らず口を叩けば、本当に気密扉から放り出されるかもしれないと分かっているから黙っているだけだ。


「識別境界まで、六十秒」


蘭がヘッドホンをさらにきつく押し当てた。 「首都圏公共中継、予熱段階に移行。会場のメインチェーン、正常。礼式艦隊、定位置。追悼式の開会音楽まで、残り一分二十秒」


私は思わず舌打ちした。 「雰囲気出てるねえ」 「気に入ったなら、後で小艇を降りるときにBGMとして流してあげるわよ」ジェスが言う。 「やめて。途中で感動して泣きそうになるかもしれないから」 「あなたが? 泣く?」 「何、私にだって文学性くらいあるんだけど」 「見えないわね」真紀が言った。 「副長、今日何かノルマでもあるの? 私に二回突っ込まないと退勤できないとか?」 「今日が順調に行けば、全員しばらく退勤なんてできないわよ」


……それもそうだ。 私は口を閉じた。


主幕の中で、雪風号の進入ラインが、いよいよ天幕の外周に本格的に張り付き始めた。 それらの要塞が、一つまた一つと画面の端からのしかかってくる。沈黙し、巨大で、理屈は通じるが自分たちの理屈しか通じない審判官のようだ。艦橋に警報は鳴っていないが、それでも何か目に見えないものが降りかかってくるのを感じた。


スキャンだ。 ロックオンだ。 首都圏の防衛網が、初めて私たちを本当に「見た」のだ。


「接触」 蘭が低く告げた。


その瞬間、主幕の右上に、細長い十二の識別セクターが花のように、雪風号の周囲に一層ずつ展開された。


私の胃が微妙に縮み上がった。 この感覚は、初めて実機でカタパルト射出される直前に似ている。シートベルトが完全にロックされ、キャノピーが下り、通信が一斉に流れ込んでくるあの瞬間。外にはお前がリラックスするのを待ってくれる奴なんていないし、自分がまだ未成年だなんてことも思い出さないほうがいい。


エヴリンの指が動き始めた。 映画に出てくるような、操作パネルを大袈裟に叩きまくるような動きではない。 彼女はただ速く、安定して、正確に、シナリオを一つまた一つと下へ送り込んでいく。その動きはチューニングをするように小さいが、その文字列の本質が、連邦最強の防衛網の神経を細い針で突っつくようなものであることは分かっていた。


「第一層の接触完了」エヴリンが言う。


「天幕、異常のマーキングを開始」


「第二層、プロセス遅延の適用完了」


「上報優先権、上昇」


「末端の火器管制判定、審査待ちに移行」


聞いていて頭皮が粟立った。 分からないからではない。 分かりすぎるからだ。


これらの言葉を人間の言葉に翻訳すると、こうなる。 ――私たちは、首都圏で最も凶暴な番犬に、噛みつく前に「これは飼い主を呼んで見せるべきじゃないか」と疑わせることに成功した。


アッシュは動かない。


「蘭」


「了解」 蘭は息を吸い込んだ。


「公開識別チェーン、待機。メインノード、ロック完了。字幕権限、割り込み成功。会場の映像はまだメイン空域に切り替わっていません。カウントダウン七秒で流し込みを開始します」


「ロイ」


「航路安定。現在の姿勢を維持。これ以上半歩でも前へ出れば、挑発とみなされる」


「よし」アッシュが言った。


「なら、我々は奇跡のように見せるだけに留め、宣戦布告のようには見せないでおこう」


……いかにもアッシュらしい。 拍手したくなるほど冷静で、背筋が凍るほど理性的だ。


アイダが不意に口を開いた。


「第二陣の移送、切り離し」


主幕の底部で、あの薄い色の副線が再び光った。 ヘートヴィヒ本人が、雪風号から離れたのだ。


誰もあえて口には出さない。 振り返って見る者もいない。 だがその瞬間、やはり奇妙な感覚があった。雪風号は、最も目立たせてはいけないものを外へ逃がしながら、自分自身の最も目立つ骨を、わざとスポットライトの下へ押し出している。


馬鹿げている。 そして、いかにも私たちがやりそうなことだ。


「七秒の窓口まで、残り十五秒」 蘭が言った。


艦橋全体が、一斉に呼吸を半寸ほど引っ込めたような気がした。


ジェスはもう笑っていない。 ハーヴィーも声を出さない。 ロイの手は操縦桿の縁に置かれ、いざとなれば美しい進入ラインから逃命のための弧線へと、艦全体を即座に引き戻す準備ができている。 真紀は副長席の横に立ち、視線をいかなる重要なステータスバーからも外さない。


そして私は、不意に考えた。 もうすぐだ。 本当に、もうすぐ。 あと少しで、これらの冷光も、コードも、シナリオも、針のように短い報告も、すべてが一つの極めて単純で、粗暴で、取り消し不可能な光景に変わるのだ。


雪風号が、雪風号のために開かれている追悼式の上空に現れる。


そう思った瞬間、心拍数がはっきりと速くなった。 乱れているのではない。 一回一回の鼓動が、重いのだ。


「窓口まで、十秒」 蘭が言った。


エヴリンは画面を凝視している。


「天幕の第一層火器管制、依然として上報の受領待ち」


「第二層要塞、クロスチェックを要請開始」


「いいわ、もっと礼儀正しくしなさい……」


彼女の最後の言葉は、報告ではない。 呪詛に近かった。


私は少し笑いそうになった。 上院の人間は、やはり恐ろしい。


「九秒」 「八秒」 蘭の声は大きくない。だがこの瞬間、それは誰かの爪が艦橋全員の神経を一つ一つ削っていくように響いた。


「七秒」


蘭が動いた。 その瞬間、彼女の目の前にある三つのチェーンが同時に点灯した。


メイン中継ノード、軍の礼式回線、首都圏公共字幕システム。見えない手が、それらの中に同時に、非常に静かで、しかし全員を酸欠に陥れるに十分な単語を押し込んだ。


雪風号。


事故のコード番号ではない。 未確認の艦影でもない。 正体不明の航跡でもない。


まず、名前だ。 ただの名前。 なぜなら時として、名前は砲火よりも残酷だからだ。


「六秒」蘭が低く言う。 「メイン字幕、挿入完了」 「五秒」 「軍の回線、承認中」 「四秒」 「会場のメインカメラ、偏向を開始」


ロイの口の端が、ごくわずかに動いた。 「見つけたな」


主幕の中で、会場のメインカメラを示す細い線が、本当にゆっくりとこちらへ向き直った。


私の胸が激しく締め付けられた。 下では――デュナンの地表では――今、誰かが見上げている。 誰かが先に文字を見る。 誰かが眉をひそめる。 誰かが中継機材の故障かと疑う。 誰かが、すでに立ち上がっているかもしれない。


だが、私たちはまだここにいる。 まだあの七秒の中にいる。 天幕要塞の銃口の判断と、全連邦の理解能力の間に存在する、本来ならあるはずのない細い糸の上を、なおも前へ歩いている。


「三秒」 エヴリンが言う。 「天幕、依然として火力使用の権限を下達せず」


「二秒」 蘭の声がさらに低くなる。 「公共波帯、第一波の自主的な転送拡散を開始」


……ああ。 これで本当に終わりだ。 公共波帯が自ら拡散を始めたなら、事態はもういかなる単一の部門の統制下にも置かれない。


今、首都圏に突入しているのは私たちだけではない。 全連邦が、ニュースのアーカイブの底に沈んだはずの船が、再び自分自身の名前の下へと突き進んでいくのを、その目で見届けているのだ。


「一秒」


警報は鳴らない。 砲火もない。 天幕特有の、あのいかにも連邦らしく、人間味の一切ない整然とした一斉射撃もない。


ただ、主幕のデュナンが拡大し続けている。 ただ、あの十二基の要塞が、再び躊躇うことを学び直している十二の鉄の心臓のように、私たちの頭上に懸かっている。


ただ、蘭がごく短い息を吸い、そして言った。 「七秒の窓口――通過」


艦橋の誰も歓声を上げなかった。 こういうときに歓声を上げるのは、かえって馬鹿げているからだ。


だが、私には見えた。 ロイの肩のラインが少し緩んだのを。 ハーヴィーが後ろで「くそ」と吐き捨てたが、その言葉の少なくとも半分は「生き延びた」という意味だったのを。 ジェスが、校則の縁で踊り狂ったのにまだ捕まっていないような顔で、堪えていた息をゆっくりと吐き出して笑ったのを。 真紀が、この時になってようやく、きつく握りしめていた指を解いたのを。


アッシュは、依然としてアッシュだった。 声のトーンさえ、一分も上がっていない。 「よし。進入を維持」


そして、彼女は私を見た。 ただ一瞥。 分かっている。


今ではない。 でも、もうすぐだ。


もうすぐ、この七秒間は、蘭のスクリーンから、エヴリンのシナリオから、ロイの航路から、ハーヴィーが直したあの辛うじて人間の言うことを聞く設備から離れ、私が立つ小艇のタラップの上に、本当に降りてくる。


私は自分の手を見下ろした。 震えていない。 少なくとも、今はまだ。


真紀が横で、不意にとても低い声で言った。


「星野」


「ん?」


「そのときが来ても、下を向かないこと」


……やはり、このタイミングでこれを言うのか。 私は彼女を見ず、前方のデュナンの光だけを見つめた。


「分かってるよ」


そして、心の中で後半を補った。


――私は、背筋を伸ばして立つ。 ――私は、降りていく。 ――私たちは事故ではないと、彼らに見せつける。


主幕の中で、会場空域の第一層カメラが、完全にこちらへ向き直った。 雪風号のシルエットが、雪風号のために開かれている追悼式の場へ、正式に切り込んでいく。


そして私は知っている。 七秒の窓口は、すでに通過した。


ここからは、生きている人間の出番だ。


「とても面白い」★四つか五つを押してね!


「普通かなぁ?」★三つを押してね!


「あまりかな?」★一つか二つを押してね!

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