146.大人たちの催す葬列 3
この物語はフィクションです。実在の人物・団体・事件・名称等は一切関係ありません。
主制御パネルに流れ続けるニューステロップ、「雪風号事件から本日でちょうど一年」という一文を見つめているうち、最初は少し胸の中が空っぽになった。それから、頭のどこかの配線が急に誤接続を起こしたのか、非常に不健全で、それでいて妙に建設的な思いつきが、じわじわと浮かび上がってきた。
まず唇を結んだ。
それでも、口の端は勝手に上がっていく。
「……へへ」
隣にいたジェスが、真っ先にこちらを振り向いた。
この女は、誰かが馬鹿をやらかす直前に漂う「あ、これはやばい」という匂いを嗅ぎつける才能がある。私を二秒見ただけで、もう目を細めていた。
「うわ、シモ」
ジェスはコンソールに片手をつき、もう片方の手で口元を押さえて、共犯者の顔になるのをぎりぎり堪えている。
「その顔、めちゃくちゃ悪いことを考えてる」
すぐには口にしなかった。
こういう思いつきは、口に出す前に頭の中で二、三周させて、単なる未成年の暴走なのか、それとも高品質な未成年の暴走なのか、見極める必要がある。
字幕がもう一度流れる。
追悼式。
首都星デュナン。
遺族。
政府。
軍。
メディア。
連邦全体が、非常に真剣に、非常に厳粛に、非常に正式な手順を踏んで、私たちの葬式を執り行っている。
……最高じゃないか。
こんなに立派な舞台を用意してもらって、顔を出さないなんて、あまりにもったいない。
乾いた唇を舐めて、艦橋全員を見回した。
「みんな」私は言った。「ちょっと面白い案、聞きたくない?」
すぐには誰も答えなかった。
艦橋の全員が、私のことを知っているからだ。
それが厄介なところだ。私が「試験終わったら教官の宿舎をどう爆破するか」みたいな顔で笑っていると、全員が本能的に警戒レベルを上げる。
真紀は私の隣で、目にすでに「まさか犯罪に関わることじゃないでしょうね」と書いていた。
アイダは反対側で端末を抱えたまま、表情は穏やかだ。でも私には分かる。あの頭の中はもう、「止めるより先に、星野 シモが今度は常識をどっちの方向に曲げるつもりか見てみよう」という観察モードに入っている。
アッシュはというと――
主座に腰かけたまま、肘掛けに手を置いて、急かしもせず遮りもせず、ただ非常に腹立たしいほど冷静な、「今すぐ解体すべきかどうか分からない不発弾」を見るような目で私を見ていた。
ジェスはもう察している。
目を細めて笑い、一緒にゴミ箱を漁って、それを誇りに思うような悪い狐の顔になっていた。
「早く言ってよ」ジェスが急かす。「もうその顔になってるんだから。言わないと今夜眠れない」
「あんた、もともと眠れそうな顔してないけど」私は言った。
「褒め言葉としていただくわ」
「褒めてない」
「じゃあなおさらいい。方向性が正しいってことだから」
……この女は本当にうるさい。
まあいい。今はジェスとどっちが救いようがないか競っている場合じゃない。
主制御パネルに流れているニュース字幕を指さす。
「雪風号の追悼式をやってるんだよね」
ロイが腕を組んだまま、片眉を上げた。
「今のところ、そうらしいな」
「しかも公開で、正式で、首都星でやってる」
蘭が小さく頷く。
「信号密度と公開スケジュールから見て、大型公務行事に相当する」
「よし」
私は口の端を上げた。
「じゃあ行こうよ」
艦橋が一秒、静まった。
二秒。
三秒目に、ジェスが吹き出した。
普通の「ぷっ」じゃない。堪えきれずに腰から折れる、あの笑い方だ。片手でコンソールを支え、もう片方で私の肩を掴んで、教科書の最後のページで先生の解答が逆さまに印刷されているのを見つけたときみたいに笑っている。
「やっぱり!」ジェスは笑いながら私の肩を叩く。「絶対それだと思った! 絶対そう来ると思った!」
私もつられて、へへ、と二度ほど笑った。
その瞬間、私たち二人はおそらく、連邦軍の制服が一番似合わない人間に見えていた。
真紀が眉間を押さえた。
「あなたたち二人」
その三文字だけで、副長閣下が今、私たちを艦外に荷物として放り出して、「拾っても餌を与えないでください」というラベルを貼りたがっているのが分かった。
でも今は勢いが乗っている。止まれるタイミングじゃない。
「いや、真剣な話だってば」私は笑いを少し引っ込め、まだ軍法に従う気のある人間の顔を取り繕った。「考えてみてよ。連邦は今、私たちの追悼式をやってる。それって何を意味してる?軍も遺族もメディアも軍校も、無駄話の長い重要人物も、全員その場に揃うってことだよ」
アイダの視線が動いた。
先輩が計算を始めた。私には分かる。
すぐに畳みかけた。
「なのに私たちは、なんで馬鹿正直に正規の手順を踏んで、先に報告して、先に隔離されて、先に許可を待って、宿題を後から提出するみたいに自分たちを送り返さなきゃいけないの?」
主幕を指す。
「向こうが舞台を組んでくれてるんだから、直接行けばいい」
ジェスが横で補足する。笑い方が非常に性格が悪い。
「そう、本人が自分の追悼式に出席する」
今度は私まで堪えきれず、口の端がまた上がった。
えげつない。
でも、完璧に正しい。
艦橋にさざ波のような反応が広がる。
息を呑む者。
「さすがにやりすぎだろ」という短い笑いを漏らす者。
「理性はだめだと言ってるが、感情的には全力で見たい」という複雑な顔をしている者。
真紀が先に口を開く。
予想通り、第一声は冷や水だ。
「却下」
「最後まで聞いてよ」
「星野、ここは学園祭じゃない」
「学園祭じゃないのは分かってる」私は腕を組んだ。「学園祭にはこんな高品質の報復チャンスなんてない」
「ほら、それが却下する理由よ」真紀が冷たく言う。
ジェスがまた笑い始める。
私は真紀の軍紀パンチを完全に無視して、続けた。
「重要なのは騒ぎを起こすことじゃない。効率だよ」
その一言で、アッシュがようやく肘掛けを軽く叩いた。
一度だけ。
大きな音じゃない。
でも艦橋の全員が知っている。主座の人間が本気で聞き始めたサインだと。
私も合わせて、口調を少し正した。
「今、連邦側は私たちを事故として処理してる。そうだよね?」
アイダが頷く。
「そう」
「じゃあ正規の手順で帰ったら何が起きる?雪風号はまず拘束される。検証される。分流される。機密指定される。口を封じられる。山ほどの人間が会議を開く。遺族はすぐには知らされない。メディアもすぐには知らされない。外では勝手な憶測だけが増えていく」
ロイが引き取る。すでに私の思考の流れを辿っている。
「軍は事件の語りを一から再構築しなきゃならなくなる」
「そう」私はすぐロイを指した。「それだ。でも私たちが追悼式の当日、その会場の、全員の頭上に直接現れたら――」
ジェスが補足する。笑い方が非常に性格が悪い。
「非常に礼儀正しく、死人本人が到着したとお知らせするのよ」
今度は蘭まで顔をわずかに背けた。
笑いを堪えているんだと思う。
真紀は私たち二人に頭痛を起こされそうになりながらも、遮らなかった。彼女にも分かっているからだ。この案は犯罪まがいだが、骨のない犯罪じゃないと。
私は深く息を吸って、最後を言い切った。
「遺族は真っ先に、生きて帰ってきたと知る。メディアがどう好き勝手に書こうとしても、本物の艦が首都上空に直接乗り込んできた事実には勝てない。軍も雪風号を未処理の事故ファイルのまま扱い続けられなくなる。連邦はその場で私たちの帰還を認めて、その場で事件全体を再定義せざるを得なくなる」
そこでアイダがようやく口を開いた。
「政治的には、一度で語りの主導権を取り戻せる」
その声は平坦だった。でもアイダの口からこの言葉が出るときの重みは、私にはよく分かる。
真紀がアイダを見た。
「まさか、本当にできると思ってるの?」
アイダはすぐには答えなかった。
端末を開いて、目にもとまらぬ速さでいくつものウィンドウを叩いていく。首都圏航路、公務活動空域、軍の優先識別チェーン、首都星近軌道の管制レイヤー……データが次々と目の前を流れていく。検索しているというより、頭の中で勝手に整列するよう命じているような速度だ。
数秒後、アイダが顔を上げた。
「公式な身分で一分前に届け出れば、止められる」アイダが言う。
ジェスが頷く。
「いかにも連邦らしい」
「まったく届け出なければ、リスクが高すぎる。首都防衛圏が先に発砲するか、強制的に航路を変えさせる可能性がある」
ロイも眉をひそめた。
「しかも雪風号には、行方不明艦艇の識別記録がまだ付いてる」
アイダがまた端末を叩く。
「でも、追悼式当日の軍事記念空域ウィンドウに合わせて、こちらの識別復帰、現場への軍上層部の集中、メディアの配置完了、艦体が明確に目視可能という条件を重ねれば――」
アイダが一拍置いた。
「成功率は大幅に上がる」
真紀は沈黙した。
その意味は分かる。
副長は口では「やりすぎだ」と言いたがっているが、理性のほうはすでに、これが単なる発狂じゃないと認め始めている。
そこでアッシュがようやく口を開いた。
「続けろ」
たった二文字。
艦橋の空気が一変した。
この案は、もう笑い話じゃない。
テーブルに乗ったのだ。
私は唇を舐めた。妙な爽快感があった。授業中に思いついた、本来なら大目玉ものの案を口にしたら、先生に教室からつまみ出されるどころか「続きを黒板に描け」と言われたときの気分だ。
「もう一つ、重要な点がある」
手を挙げて、指の関節でコンソールを叩く。
「皇女は私たちと一緒に派手に出てきちゃいけない」
蘭が先に頷いた。
「同意。ヘートヴィヒが露見すれば、事案のレベルは即座に跳ね上がる」
「跳ね上がるどころか、爆発する」真紀が言う。
「だから彼女は地味なルートで動く」私は言った。「雪風号が派手に復活して、全部の視線を吸い取る。その隙に、ヘートヴィヒと彼女の人たちは別の警備チェーンから移送する。できるだけ普通で、退屈で、誰も二度見しないルートで」
ジェスが横から補足する。
「例えば医療後送艇とか、首都圏の定期シャトルとか」
「それ」私は指を鳴らした。「退屈であればあるほどいい。全部のカメラを雪風号に向けさせる。追悼式を、遺族の涙を、軍の顔色が変わる瞬間を、一年ぶりに生きて帰ってきた私たちを撮らせる。皇女はそのどさくさに紛れて消える」
蘭が静かに言う。
「声東撃西」
「私は“各自が欲しいものを取る”と呼びたいけど」私は言った。
「私は“法務部を過労死させる作戦”と呼びたいわね」ジェスが言う。
「それは今日始まった話じゃないでしょ」
アイダが端末に視線を落としたまま、いくつか注記を書き換えた。
「これをやるなら、ヘートヴィヒの移送は雪風号の公開プロセスから完全に切り離す必要がある。艦内で知っている人数も、さらに絞るべきね」
「絞れ」アッシュが言った。
一拍、静寂。
私は主座を見上げた。
アッシュはいつものアッシュのままだった。笑いもしないし、私やジェスみたいに「校則を爆破しに行く」興奮した顔もしていない。ただ前方の航路投影を見ている。もともとそこにある道を、他の誰も踏み出す勇気がなかっただけの道を、確認している目だった。
真紀が眉をひそめた。
「アッシュ、本気で採用するつもり?」
アッシュは直接答えなかった。
まずロイに聞いた。
「首都圏外環からデュナン上空まで、防衛火網に叩き落とされない、十分に美しい進入ラインを引けるか」
ロイが一秒固まって、それから口の端がわずかに引きつった。
私はその表情を知っている。
不安じゃない。
技術屋が無茶な要求を聞いた後、内側の一部が「……これは意外と面白い挑戦かもしれない」と思い始めたときの顔だ。
「計算はできる」ロイが言う。「ただし相当な精度が必要だ。首都圏当日の公務航路の空き枠にも合わせないと」
アッシュが次に蘭に聞いた。
「追悼式会場の公開放送チェーン、軍の識別チェーン、メディアの中継ノード。雪風号が進入する十秒前に、全員に正体不明の物体じゃなく、こちらの識別を先に見せられるか」
蘭がイヤホンを押さえ、目に光が宿り始めた。
「やってみます」
「やるんだ、試すんじゃない」アッシュが言う。
「……やります」蘭がすぐに言い直した。
ジェスが横で、性格の悪い笑みを浮かべる。
「よかったね、蘭も道連れ」
「黙って」蘭が言う。
アッシュが今度はアイダを見る。
「ヘートヴィヒ側の地味な移送は、あなたがラインを切れ。委員会には通知するが、完全なタイムラインは渡すな。必要最小限の情報だけ」
アイダが頷く。
「了解」
真紀はまだ何か言いたそうだったが、アッシュはすでに彼女を見ていた。
「九島」
真紀がすっと姿勢を正す。
「はい」
「艦内秩序はあなたが担当。今この瞬間から、雪風号の帰還計画は、表向きの航程と実際の航程の二本立てになる。知っている者のリストを改めて分けろ。ヘートヴィヒとその随行の通路警備は倍にするが、外から見た印象は今よりもっと普通にしろ」
真紀が一拍止まった。
「……普通、ですか?」
「そうだ」アッシュが言う。「厄介極まりないが、ニュースにするほどでもない高級外交客を守っている――そのくらいに見えればいい」
真紀は理解した。
「了解」
最後に、アッシュの視線がこちらに来た。
嫌な予感がした。
「星野」
「……何?」
「案を出したのはあなただ」アッシュが平然と言う。「だから当日、現場に最初に降りる小艇は、あなたが先頭を切る」
私は言った。「……は?」
ジェスが笑い崩れた。
「よかったね、マスコットにようやく正式な用途ができた」
「何がマスコットだ!」私は思わず飛び上がりそうになった。「案を出したのと、自分が真っ先に降りるのは別の話だろ!」
「別じゃない」アッシュが言う。
「どこが別じゃないんだよ!」
「雪風号では、別じゃない」
……くそ。
これだから、建設的に発狂するのは嫌なのだ。
最後に真っ先に実行させられるのは、たいてい提案者本人だから。
でも、考えてみれば。
もし本当に追悼式の当日、雪風号を首都の上空まで持っていって、連邦全体が見ている前で、小艇に乗って会場に降り立てたなら――
その光景を想像しただけで、心臓がひどく不健康な速さで跳ね始めた。
悪戯じゃない。
いや、厳密に言えば悪戯だ。
ただ、規格が少し高すぎるだけ。
首都圏全体がしばらく忘れられなくなるくらいには。
アッシュがそこで、指先で肘掛けを軽く叩いた。最後の印を押すみたいに。
「いいだろう」
彼女は言った。
「連邦がすでに雪風号の葬式を一度挙げてくれたというなら――」
アッシュは顔を上げ、主幕に映る首都圏航路を、私たちの一周忌ニュースを流し続けている公共波を、そして、さっきまで揃って死んだような顔をしていたくせに、今はどこかおかしくなり始めている私たちを、順に見渡した。
そして、あの冷たさが妙に筋の通った、だからこそ腹立たしい声で、後半を落とした。
「雪風号自身で、その葬式を終わらせに行く」
艦橋が一秒、静まり返った。
次の瞬間、誰が最初に笑い出したのかは分からない。
ジェスかもしれない。
私かもしれない。
全員一緒だったのかもしれない。
でも、その瞬間、私は一つのことを確信していた。
――この帰還は、間違いなく騒がしくなる。
「とても面白い」★四つか五つを押してね!
「普通かなぁ?」★三つを押してね!
「あまりかな?」★一つか二つを押してね!




