134.燃料 2
この物語はフィクションです。実在の人物・団体・事件・名称等は一切関係ありません。
降下ハッチが再び噛み合った瞬間、自分の肩が廃棄寸前の装甲板みたいに張り続けていたことに初めて気づいた。
雪風号の腹部回収艙の外部映像がまだメイン画面に残っていた。厚い装甲板が一枚ずつ閉じていき、あの発光して発作を起こしている青白い惑星と、その重力裂帯たちを、艦の外殻の向こうに一時的に閉め出した。
最後の映像に映ったのは、活性インジウム二塊と嵐晶体の半截を引きずった第一梯隊の全地形車両だった。竜の口から金塊を奪い返し、ついでに一口噛んで帰ってきた鋼鉄の野獣みたいな様子で、ボロボロで、見苦しいが、非常に尊敬に値した。
それから、ハッチが閉まった。
艦橋が一瞬、雪風らしくないほど静かになった。
みんなが喜べないからではない。
この艦の人間は、「よかった、全員まだ生きてる」という感情を、普通の人間らしく表現するのが全般的に苦手だからだ。本物の雪風式の喜びは、まず全員で半拍ぼんやりして、スクリーンを見間違えていないか、どこかの手足が欠けていないか、誰かが通信で「すみません、実はまだ外を漂ってます」と補足してこないかを確認して、それから各自こっそり息を吐く、という手順を踏む。
私が最初に息を吐いた。
吐かないわけにいかなかった。
吐かなかったら、艦橋の真ん中で人工窒息の実演をして、連邦の医療システムに非常に情けない症例を一件増やすことになっていた。
「回収艙の圧差、安定」ジェスは副操縦席を見ながら言った。口調は、さっきの狂気の撤退がただの普通の書類仕事だったかのように平坦だった。「除染プログラム開始。おめでとう、とりあえず第一梯隊を戦没者名簿に書き加えなくて済んだ」
「今日のあなたの話し方、本当に機能している人間みたいね」私は言った。
ジェスが横目で私を見て、口角をわずかに動かした。
「すぐに初期設定に戻れるけど」
「……それは別にいい、今のままで」
「これも保存する」
「あなた最近、私の黒歴史データベース構築に熱心すぎない?」
「職業倫理」
よし。
ようやく少しジェスが戻ってきた。
そして私は、その憎たらしい懐かしさに、なぜか少し安心した。
前方のメインコンソール脇で、アッシュはこの短い息継ぎの窓口を無駄にしなかった。手を上げて外部映像を落とし、回収艙内部のリアルタイム監視を引き上げた。
映像の中で、第一梯隊の車両がちょうど固定を完了したところだった。車体全体が、惑星本人と一戦交えてきたような有様だった。外殻は傷だらけ、右側の護板は焦げて黒ずんでいる。車頂に固定された嵐晶体の半截は今もまだ青く輝いており、どこかの怪しい宗教から奪ってきた聖遺物みたいに光っていた。
ハッチの内側が開くと、Dが最初に飛び降りた。
着地した瞬間、膝が明らかに沈んだが、男は自分のほぼ廃棄寸前のブーツの底を一度だけ見下ろし、この請求書を惑星本人に送りつけるかどうかを検討するような顔をした。続いてアッシュが降り、動作は相変わらず安定していた。四Gオーバーの嵐の中で採掘してきた人間には見えない安定さだった。最後が真紀だった。
彼女が降りた瞬間、私の心臓がまた情けなく縮んだ。
真紀は倒れなかった。大げさによろめきもしなかった。ただ着地の瞬間に少し止まった。見えない針が左膝の関節の中を一回刺したような止まり方だった。外骨格の脚部フレームの警告灯がまだ完全には消えておらず、赤い光が彼女の脚の外側で点滅していた。今すぐ輪機室へ行って扳手を借り、この惑星と超重力を発明した人間を全員宇宙のゴミ箱に叩き込みたくなった。
でも彼女が顔を上げた時、表情はまた恐ろしいほど平静だった。
「私はまだ生きていて、あなたに怒鳴られる気はない」という種類の平静さだ。
こういう時に彼女を格好いいと思ってしまうのは、私のどこかが壊れているからに違いない。あるいは反対に、彼女を抱きしめたくなる。どちらの衝動が先かは、今は考えないことにする。
アイダはすでに医療助手二名を連れて回収艙の外で待っていた。今日は余計なことを言わず、余計な一言も挟まなかった。ただ車両を一瞥し、第一梯隊の体についた、非常に説得力のある埃、傷、電気焼け跡、重力引き裂きの残留を一通り見て、素早く判断を下した。
「除染、スキャン、水を飲む。先に倒れた奴は後回しにする」
「それは医療的な慰めですか?」Dが聞いた。
「資源配分」アイダは顔色一つ変えなかった。
よし。
この艦は人を慰める時でさえ、連邦の予算編成みたいな感じがする。
アッシュが視線を艦橋内部へ戻した。
「短い息継ぎ、ここまで」彼は言った。「二次簡報に入る」
よし。
これが私の知っている雪風号だ。
飛ぶ山のある惑星から活性インジウム二塊と嵐晶体の半截を奪い返した次の瞬間には、「では、この九死一生を交差できる専門報告書にまとめるのは誰か」モードに入る。ロマン値ゼロ、効率値満点。連邦軍の採用宣伝の反面教師として十分すぎる。
私は一時的に脇に置いていたデータをメイン画面に引き戻した。
活性インジウムの純度初期測定値。
嵐晶体の表面エネルギー準位。
車体損耗。
外骨格の返送データ。
近軌道乱流の残像。
第一輪地表重力波の実録。
一本一本が、こう大声で告げていた。生き延びたのはスタートに過ぎない、これを上位者が辛うじて理解できる形に整理しろ。
アカリが返送記録を校正しながら、先に口を開いた。
「第一輪回収結果、確認」彼女は言った。「活性インジウム二塊、純度高し、内核構造の完全度は予測を上回る。嵐晶体半截、エネルギー準位は不安定だが、反応材料シーケンスへの組み込みは可能。地表環境は、『発作中』から『カルテをこちらの顔に直接叩きつける準備中』の段階に移行した。短期間での同規模降下は推奨しない」
「その環境評価、だんだん星野みたいになってきた」ロイが言った。
「ありがとう、褒め言葉じゃないけど」
「私は褒めてるつもりだった」
蘭は隣に座ったまま、さっきの地表重力波と逃脱ルートを重ね合わせた、工学部の学生を泣かせるのに最適な図を作り続けていた。顔を上げずに淡々と一言添えた。
「少なくとも、ハーヴィーの評価より分かりやすい」
「聞こえてます!」輪機室チャンネルからすぐに抗議の声が飛んできた。「それに、あれは専門用語です!」
「あなたの専門用語は、半分が設計者の十八代前の先祖への罵倒だ」ジェスが言った。
「それも専門の一部です!」
この人は今日輪機室にいるのに、存在感が相変わらずうるさい。大したものだ。
アッシュが手を上げ、輪機室チャンネルをメインスクリーンの右側に引き出した。
「ちょうどいい」彼は言った。「二次簡報の後半、そちらに引き渡す」
画面が切り替わると、艦橋全体の色温度が二度ほど下がったような感じがした。
輪機室。
あの場所は、どんな古い艦でも最も内臓に近い部分だ。熱く、騒がしく、粗暴で、「素人に見せるためにあるわけじゃない」という確固たる気質がある。
映像の中で、旧式の新型可制御核融合熱汽ボイラーはすでに大半が解体されていた。巨大な外殻板と蒸気導管が、剥き出しにされた肋骨のように吊り架にかかっており、冷却後の暗赤色の光がまだ内部に残っていた。
反対側には、新式のヘリウム・水素駆動炉のメインインターフェイスフレームがあった。清潔で、冷白で、線が鋭く、旧時代より薄く、速く、そして失敗を許さない機械の心臓のようだった。
その二つの世代の間に立っているのが、ヴィクトル主任機関長とハーヴィーだった。
一人は今にも誰かを学校に送り返して再履修させそう。
もう一人は今にも神明の靴紐に触れる約束を貰ったかのような顔をしている。
非常に合理的な組み合わせだ。
そして非常に危険でもある。
「活性インジウム、こっちに届いた」ハーヴィーの声には過剰な興奮が滲んでいた。次の瞬間には鉱石を抱えてその場でプロポーズしそうな勢いだった。「先に言っておきますが、これは普通の『珍しい鉱石が手に入って嬉しい』じゃない。これは——」
「あと三言余計なことを言ったら、旧炉の断熱材として詰め込む」ヴィクトルが冷たく遮った。
「……主任機関長、本当にエンジニアの感性を尊重してくれませんね」
「エンジニアの感性が炉の点火を邪魔するなら、一緒に解体する」
私は笑いそうになった。
なぜかは分からないが、この二人が輪機室で噛み合っているのを見ると、どこか踏み台のある感覚がする。たぶん、地表のあの山が浮く神経病惑星と違って、ここの危険は人間が理解できる種類だからだ。接合部、圧力、容差、溶炉、燃料調合。まだ怖いが、少なくとも突然床ごと押し潰しに来はしない。
ハーヴィーがスキャンパネルをカメラに向けた。本人が鉱石になったみたいな興奮ぶりだった。
「見てください」彼は言った。「活性インジウムの結晶格子安定度が、私たちの最楽観の試算より高い。二次精錬が通れば、この二塊で『神風』の第一輪越遷燃料調合に入れます。完全満載じゃないけど、『理論上可能』を『実際に始められる』まで押し上げるには十分」
「人間語で」Dの声が別のチャンネルから割り込んだ。
ハーヴィーが深く息を吸い込んだ。
「人間語で言えば——」彼は発光する活性インジウムを手で叩いた。「これが『神風』に入った瞬間、雪風号はただ息をするだけの老いた壊れかけた艦じゃなくなる。彼女はまた、走り方を覚え始める」
艦橋が一瞬静かになった。
大げさではない。
この一言が、ちょうどその場所に当たったからだ。
この艦は、ずっと歯で噛みしめ、骨で磨り減らし、「まず死なないことを優先する」という継ぎ接ぎのやり方で、倒れるべき状態から今まで引きずってきた。前の二惑星で補ったのは命だった。三番目のこの一口で補うのは速さであり、未来であり、「一格ずつゆっくり這わなくていい」可能性だ。
そしてその可能性が具体的になり始めると、重くなる。
煩わしくなる。
でも、手放せなくなる。
ヴィクトルが一歩横へ退き、『神風』の外層インターフェイスを露わにした。まだ完全には点灯しておらず、一時的に沈黙した大きな鐘のようだった。周囲の磁束拘束リングが幾重にも並び、冷白色の校正灯が外枠に沿ってゆっくりと流れていた。
機械アームが活性インジウムを慎重に掴み、導入槽へと押し込んでいった。その映像は特別に華やかでも、ドラマチックでもなかった。ひどく工学的で、地味だった。でも私は目が離せなかった。
なぜなら、これは「鉱石を運ぶ」のではないと分かっていたからだ。
今まさに、命がけで持ち帰ったものを、自分の手で雪風号の未来に押し込んでいる。
「導入前、最終確認」ヴィクトルは言った。
声が、さっきより低く、安定していた。口では感性を語らない古参の機械師が、本当の節目に来た時だけ見せる、儀式への敬意のようなものがあった。
「『神風』第一シーケンス、待機」
「ヘリウム・水素駆動炉メインインターフェイス、清潔確認」
「旧ボイラー解体支架、ロック完了」
「活性インジウム調合前磁束フレーミング、開始」
ハーヴィーが操作台に手を置いた。
その瞬間、輪機室の映像全体が一拍静まったように見えた。
それから、第一塊の活性インジウムが磁束レールに沿って導入槽へ滑り込んだ。
大きな音はなかった。
俗っぽい神々しい光の爆発もなかった。
ただ、ひどく低く、ひどく深い、何か巨大なものが艦の腹の奥でようやく静かに寝返りを打ったような、低周波の共鳴音が一つ鳴った。
私の肩が固まった。
私だけじゃない。
艦橋にいる全員が、同じ瞬間に感じ取ったようだった。
幻覚ではない。
艦だ。
雪風号が、彼女なりの、非常に古くて、非常に硬くて、全然ロマンチックではないやり方で伝えていた。
受け取った。
第二塊が続いて入った。
今度の共鳴音はより明確だった。メイン画面の隅のエネルギー曲線がゆっくりと頭を上げ始めた。速くはない。でも安定していた。病床からようやく起き上がった老兵が、まず二度息をついてから、手を伸ばして自分の銃を探すような動きだった。
ハーヴィーの目が恐ろしいほど輝いていた。
「反応あり!」彼はほとんど数値板に飛びかかるように叫んだ。「『神風』の受信、安定!調合係数、許容値内!主任機関長、これは誤信号じゃないです!」
「目は見える」ヴィクトルは言った。でも口角が、極めて微かに動いた気がした。「続けろ」
アッシュは艦橋の前方に立ち、ずっと何も言わなかった。
この時になって初めて、彼はごく軽く息を吐いた。どこか深くしまってあった重さを、少しだけ下ろしたような吐き方だった。
「よし」彼は言った。
たった二文字だった。
公務的なほど平坦だった。
でも、なぜかその中に、普段はほとんど聞こえない何かがあった。
喜びではない。
もっと、——ようやく、に近いものだ。
ようやく。
ようやく空振りじゃなかった。
ようやく命だけを持ち帰ったのではない。
ようやく何かが、本当に前へ動き始めた。
私は輪機室の映像を数秒見つめてから、一拍遅れて自分の口角が上がっていることに気づいた。
「笑ってる」
ジェスの声が近かった。私が一番無防備な瞬間を選んで石を投げてくるような近さだった。
私は彼女を横目で見た。
「今日の仕事ぶりが良かったから、上司の表情を観察する度胸が出てきた?」
ジェスはペンを二本の指で回しながら、姿勢は気だるそうで、口調は平坦だった。
「ただ確認したかっただけ。あなたみたいな人間も、死にかけていない時にそういう顔をすることがあるって」
「どういう顔?」
「ようやくこれが無駄じゃなかったと信じてる、そういう顔」
私は半拍黙った。
……この女、今日は本当に古い刃物を使う気がない。
煩わしい。
でも正直、すごい。
私が返す前に、輪機室のハーヴィーはすでに次の段階の没我状態に入っており、エネルギー曲線を前に呪文のように計算式を唱え始めていた。公式を呪語として扱う技術系の神官みたいだった。
「第一輪調合がここまで安定していれば……嵐晶体を補助材料シーケンスに組み込んで……いや、待て、まず夢を見るな、この熱閾値を先に越えろ……主任機関長、このピーク値を見てください!このピーク値、綺麗すぎます!」
ヴィクトルが冷たく返した。
「使えれば十分。綺麗かどうかは私には関係ない」
「本当にロマンが分からない人ですね」
「分かる」ヴィクトルは言った。「若い頃は語ったこともある。最後に気づいたのは、返事をくれるのは炉心だけだということだ」
「……なんで主任機関長が輪機室にいるのか、急に少し分かった気がします」
「今頃気づいたなら、まだ青い」
この会話で、艦橋全体が少し軽くなった。
ロイまで笑った。
蘭はまだ世界が自分に熱いコーヒーの一杯を借りているような顔をしていたが、口角が明らかに動いた。
私は俯いて第一輪回収データを二次簡報テンプレートに統合し始めた。指先が、さっきまでのような震えをようやく持たなくなっていた。数字が一行ずつ入力されていくと、何か実感のあるものが生まれてきた。
活性インジウム:二塊。
嵐晶体:半截。
第一梯隊:全員生還。
『神風』:受信開始。
新炉インターフェイス:第一輪調合前整備に入った。
これらの言葉が書き出されると、もはや空気の話ではない。
記録になる。事実になる。後のすべての決定の基礎になる。
そして一度事実になったものは、なかなか後退しない。
……艦も。
人間も。
そう思いかけたところで、個人チャンネルがまたかすかに光った。
誰かを確認するまでもない。
なぜか今は、あの私的チャンネルが光るたびに、「あなた、私がまだ仕事中だと分かってる?」と先に怒鳴りたくなる衝動がある。もっと厄介なのは、真紀がそれを分かった上でもやるだろうということも、今の私には分かっていることだ。
私的チャンネルを耳に入れた。
「シモ」
よし。
またこれだ。
今日の彼女は、名前を一言呼ぶだけで何段もの台詞より効く技を、どれだけ繰り返す気なのか。
「……何」
声を低く抑えた。自分が何かのスイッチを押されたみたいに見えないように。
真紀の背景は比較的静かで、おそらく除染か簡易検査の区画にいるのだろう。呼吸はさっきよりずっと楽になっていたが、疲れはまだ聞き取れた。過熱状態から退いたばかりの刃物のような、鋭さはあるが温度もまだある感じだ。
「見えた」彼女は言った。
「何が?」
「『神風』が反応した」
私は一瞬止まった。
「……うん」
「あなたの今の判断、報われた」
この一言は、さっきの「見事だった」より軽くなかった。
もっと重かった。
もっと真紀らしかった。
単純に指揮を褒めているのではない。彼女は私に伝えていた。あなたが今抱えていたものが何だったか、私には分かっている。そしてその重さは、無駄じゃなかった。
本当に腹立たしい。
こういう言葉は、どんな曖昧な綺麗事よりもずっと、今の私には致命的だ。
私は二秒黙って、最後に画面の隅で上昇中の炉心曲線に視線を釘付けにしながら、低く返した。
「先にアイダの検査を受けてから話して」私は言った。「あの惑星にあんな目に遭わされて、まだ私が怒り収めてないから」
向こうが少し間を置いた。
それから、彼女がごく薄く笑う気配がした。
声を出した笑いではない。呼吸の縁がほんの少し緩んだような、そういう笑いだ。
「分かった」彼女は言った。
「それと、後で逃げないで」
私の全身が固まった。
……この人は本当に何なんだ。
艦橋の上に、星野 シモ専用の心拍攻撃兵器でも隠してあるのか。
「今、忙しい」私は無理やり言った。
「知ってる」彼女は特別に平坦に返した。「だから、後で、と言った」
通信が切れた。
私は暗くなった私的チャンネルの欄を見つめ、頭の中でしばらく、連邦に正式な新兵科の設立を申請することを考えた。九島真紀と対面しながら正常な判断力を維持できる、高耐圧艦橋要員。全宇宙での合格率は三パーセントを超えないと思う。
「顔、赤いね」
ジェスが隣で言った。
私は顔を上げずに、ペンを一本投げた。
「もう一言言ったら、次の通信当直表で主任機関長とロマンについて語り合う枠に入れる」
ジェスはそのペンを受け取り、笑った。
「それもいいかも。あの人、一途だし」
「二人とも黙って」
「私は何も言ってない」アカリが無実を訴えた。
「心の中で言ってた」
「それはあなたの被害妄想」
よし。
雪風号が、ようやく見慣れた姿に戻ってきた。
輪機室はまだ騒がしい。
『神風』はゆっくりと目を覚ましつつある。
艦橋は再び忙しくなった。
第一梯隊は生きて帰ってきた。
そして私にはまだ、二次簡報一式、後続の資源評価、第二輪の実行可能性判定、それから検査が終わった後に私を見つけに来るかもしれない——あるいは私が見つけに行くかもしれない——九島真紀の件が残っている。
人生は本当に、理不尽なほど充実している。
でも今回は、不思議と特別に文句を言いたい気分にはならなかった。
文句を言ったとしても、どこかに妙な踏み台感があった。
全員がまだここにいる。
雪風号が本当に、ただ踏ん張るだけの艦から、再び走れる艦へと変わり始めている。
この一連の、荒唐無稽で、危険で、心臓と理性を一緒に限界まで往復させた日々が、ただ「生き延びた」だけじゃなくなりつつある。
それは、前へ進むという言葉に、少しずつ似てきている。
私は最後のデータを入力し、顔を上げてメインスクリーンを見た。
青白い第三惑星がまだそこに浮かんでいた。静かで、綺麗で、危険で、私たちを一度血が出るほど噛んで、まだ満足していない怪物のようだった。
そして雪風号の炉心曲線が、画面の別の隅で、少しずつ上を向いていた。
速くはない。
でも安定していた。
心拍みたいに。
返事みたいに。
「とても面白い」★四つか五つを押してね!
「普通かなぁ?」★三つを押してね!
「あまりかな?」★一つか二つを押してね!




