132.活性インジウム惑星 2
この物語はフィクションです。実在の人物・団体・事件・名称等は一切関係ありません。
艦橋の照明が降下モードに切り替わった。
単純に白色灯を赤色灯に変えるだけじゃない。
雪風号全体が、普段の「まあ一応、艦ではある」という顔を脱ぎ捨て、内側にある、武器プラットフォームに近い本体を露わにしたような感じだった。
メインスクリーンの輝度が下がり、副操縦席に半透明の青い軌道線が浮かび上がり、警告枠が縁に沿って静かに流れ始めた。悲鳴を上げないが、全員の死に方を記憶している、冷静なシステムのように。
私は艦橋の中央に座り、目の前の発光しながら発作を起こしている第三目標星を見つめ、ふと奇妙な感覚を覚えた。
この光景をアニメの第一話の最後に使えば、制作費が美しく燃えるだろう。
前提は、観客が今ここに座って、全員がいつ降下するかを決める責任を背負っている側の人間ではないこと、だが。
「重力波前縁、更新」
アカリの声が公共チャンネルに先に入った。彼女はメイン分析台の前に立ち、十本の指が惑星の悪い気分を一枚一枚剥がして読んでいるような速さで動いていた。
メイン画面左側の予測曲線が一度跳ねた。それまで絡み合っていた青白いノイズの中から、ついに一本の極めて細く、短いが、確かに存在する安全ウィンドウが引き出された。
私はその線を拡大した。
二十三秒。
いい加減にしてほしい。この惑星は人間に与える猶予まで秒単位でケチっている。
「ウィンドウ確認、低G回落期二十三秒」私は口を開いた。自分の耳には、いつもより少し平坦に聞こえた。「主鉱脈区間A-3からC-1まで通行可能。C-1を超えると四・二Gが上昇する、戦闘続行は不可。繰り返す、戦闘続行は不可」
「誰かに向けて言ってるみたいに聞こえる」ジェスは副操縦席にもたれ、イヤホンを掛けたまま、指は安定していた。今日は本当に仕事をする気らしい。
「みたいじゃない」私は言った。「予め言っておいてる」
ジェスは口角を引いたが、意外にも言い返さず、ただ通信遅延の欄を再校正した。今日の彼女の大人しさは不安なほどだ。この女が騒がない時、存在感は別の等級の危険物に変わる。
アッシュは艦橋前方に立ち、手をメインコンソールに当て、全体の投影を見ていた。誰か一人を見ているのではない。
「第一梯隊、状態確認」
彼の声が落ちると、艦全体が呼吸を半寸持ち上げたようだった。
Dの声が最初に入った。短く、硬く、本人同様に無駄がない。
「一号車両、武装ロック完了。固定架正常」
続いて真紀だった。
彼女の声が外勤チャンネルから上がってきた瞬間、私の指先が半拍止まった。
ほんの半拍。
理論上、誰にも気づかれないはずの短さだった。
問題は、この艦橋には奇妙な場所で生き延びることに慣れた人間が一船分いることだ。
「一号車両副操縦士、就位」彼女は言った。「重力アンカー、切替推進、緊急回収索、三重バックアップ確認」
彼女の話し方は相変わらず、腹が立つほど一板一眼だった。
昨夜は何もなかったかのように。
今朝の船室で私の衣領を直してくれた人間が彼女じゃないかのように。
昨日彼女が私の腰の傷跡にキスをした後、私が彼女をただの同室の戦友として扱えるかのように。
……最高だ。
星野 シモ、今や装備確認を聞くだけで自分で自分を乱せるとは、なかなか立派な成長ぶりだ。
私は強制的に注意力をデータに戻した。
右下の重力井グラフが揺れていた。
綺麗な規則的な波ではない。「この惑星は誰の計画にも合わせるつもりがない」と一目で分かる乱流だった。ある地域が前の一秒は〇・六Gを維持していたのに、次の一秒には三G以上に全面的に反転する。まるで地表の下で誰かが超大型の撹拌機を持ち、車両が通りそうな場所を選んで発作を起こしているようだった。
「重力微粒の密度が上昇中」アカリは言った。「まだ許容値内。星野、ウィンドウをあと二秒早める必要があるかもしれない」
私はモデルを睨み、二層の図を重ね合わせた。青い光が視野の縁に沿ってゆっくり這い上がってくる。
「了解。第一梯隊、元の切入ポイントは無効、A-3側切に変更。アッシュ、ウィンドウ進入を二秒早める。光柱が最も明るくなるまで待つな、あの輝度まで達したら反転する直前だ」
「了解」アッシュは言った。
真紀は何も言わなかった。
でも彼女が聞いていることは分かっていた。
普通に聞いているのではない。私が半秒でも余分に止まれば、一番最初に気づく、そういう聞き方だ。
本当に厄介だ。
雪風号の外部映像がメイン画面に切り替わった。
あの青白い狂った惑星が、舷窓を徐々に埋め尽くしていた。近すぎて、肉眼でも重力引き裂き帯が高空で互いに摩擦しているのが見えた。雲はない。雨もない。通常の意味での天候の表情もない。空全体が引き伸ばされたガラスのように、流動する亀裂と青い電光で満ちていた。地表では、活性インジウムの泉が天空へ直接突き刺さり、惑星が流血しているようだった。ただし流れ出るのは、神が人間に触れさせるべきではない何かの光だった。
それから、岩原が一面浮き上がり始めた。
誇張ではない。
本当に浮き上がった。
巨大な岩塊が最初に一度震え、続いてゆっくりと地表を離れ、肉眼で見えるほど歪んだ重力流に沿って高空へ持ち上げられた。次の瞬間、横からの嵐が切り込み、岩の層全体が半空で砕かれて輝く破片になり、青い雪崩のように、どんな文明にも属さない形で広がった。
艦橋は静かだった。
その静けさは恐怖ではなく、畏怖でもなかった。
全員が心の中でひっそりと認めていた。これは確かに、最後の関門に相応しい。
「輪機室報告」
ヴィクトルの声が割り込んできた。後ろで高圧バルブが開放される音が混じっていた。
「旧炉の解体進捗、三十七パーセント。ハーヴィーはこちらで生存中。今のところ『この設計はおかしい』と言ったのは二回だけ。精神状態は許容範囲内」
艦橋の後ろからごく短い忍び笑いが聞こえた。
ハーヴィーの声がすぐ続いた。明らかに騒がしい背景の中から無理やりチャンネルに割り込んでいた。
「補足しますが、あれは不満ではなく専門的評価です」
「専門的評価は私たちが帰ってから保留しておけ」アッシュは言った。「新炉の接合部校正でミスをするな」
「分かってます、艦長代理」ハーヴィーはそちらで言った。「そちらも私の活性インジウムを宇宙塵にしないでください」
「感動的ね」ジェスが淡々と言った。「私たちより鉱石の心配をしてる」
「それをエンジニアのロマンと呼ぶ」ロイが近軌道待機チャンネルから差し込んだ。
「安定して頭がおかしいと呼ぶ」蘭が追い打ちをかけた。
いい。
全員がまだ普通に互いを傷つけ合えている。
少なくとも今この瞬間、雪風号はまだ雪風号だということだ。
警告音が変わった。
鋭くはない。システムが本当にカウントダウンを始める直前に鳴る、低くて胃まで一緒に締まるような、あの予告音だった。
私は目を上げた。
ウィンドウが開いた。
惑星が突然安全になったわけではない。
夢でも見ているのか。
ただ、暴走する重力曲線の中に、ついに人間が無理やり通り抜けられるほどの隙間が現れた。痙攣している怪物が、くしゃみをした拍子に顎を半寸だけ緩めた、そういう感じだ。
「ウィンドウ開放」私は言った。「全艦、最終降下カウントダウンに入る」
アッシュが頷いた。
「全梯隊、ハッチへ」
外部映像が切り替わった。
雪風号の腹部の降下ハッチが展開し始めた。
厚い装甲が一枚ずつ退いていく。鋼鉄の生き物がようやく肋骨を開いて、中で待機していた一号全地形車両を露わにしたようだった。その車両は発射レール上に低く伏せ、前端が押し下げられ、外殻には多層の重力アンカーと剪断防護板が巻かれていた。全体の形は、戦車と脱出艇が愛し合い、さらに軍の美的センスに一度台無しにされた末に生まれた子供に似ていた。
D が主操縦士に座った。
真紀が副操縦士に。
アッシュが最後に乗り込み、後方の固定位置に立った。
三人。ちょうどいい。
死に行く名義を一人も余分に加えず、誰かを引き戻せる手も一本も欠けていない。
「ハッチ内外圧差、安定」ジェスは言った。「外部風速上昇中。第一梯隊、このまま行かないと、ウィンドウが自分で閉まる」
「あなたの激励の仕方、本当に墓碑銘に向いてる」私は言った。
「どういたしまして」
私は目の前で既に揺れ始めているウィンドウの線を見つめ、手のひらにいつの間にか薄く汗が滲んでいることに気づいた。
本当に嫌だ。
昨夜のことはまだ体の中に残っていて抜けていない。
今朝の医療区画のデータも頭の中に転がっている。
そして真紀は今、発光する重力地獄に一直線に突っ込もうとしている車両の中にいて、チャンネルは開いていて、呼吸は散歩に出かけるくらい平静だ。
今朝彼女が「腰は大丈夫?」と聞いてきたことを思い出した。今すぐ副操縦士の席から彼女を引っ張り出して、非常に未成熟な艦内口論を一つ添えて渡したくなった。
でも今、私は艦橋にいる。
今、私は彼らを送り込み、必要な時には呼び戻す側の人間だ。
最悪だ。
成長とは、世界で最も歓迎されないことの一つだ。
「シモ」
真紀の声が突然、私の個人チャンネルに入ってきた。
短かった。
幻聴かと思うほど短かった。
私は一瞬固まり、指先が危うく欄位を叩き間違えそうになった。
「……なに」
私は声をできるだけ普通の指揮官に聞こえるようにした。名前を呼ばれただけで条件反射で緊張する廃人のようには聞こえないように。
向こうが半秒黙った。
「行ってくる」彼女は言った。
それだけだった。
余分な言葉はなかった。
昨夜もなかった。
今朝もなかった。
私を今この場で崩させるようなものは、何一つなかった。
でも、だからこそ、それがかえって酷かった。
ただ先にこのことを伝えに来ただけのように。
私が必ず聞いているということを知っているように。
そして私が覚えていることも、知っているように。
私は息を一つ吸い込んで、感情を全部あるべき場所に押し込んだ。
「……分かった」私は言った。
「だから全員、完全な状態で帰ってきて」
チャンネルの向こうがすぐには返さなかった。
それから真紀が、ほとんど聞こえないほど低く応じた。
「うん」
くそ。
この女は、一本調子でこういうことを言う時の殺傷力が、どれほど理不尽かを分かっているのか。
「カウントダウン、十秒」ジェスの声が公共チャンネルに入った。クリーンで、きれいで、普段の憎たらしい回り道が一切ない。「十」
全艦システムが同期した。
メイン画面右下の重力ウィンドウが脈拍のように跳ね始めた。
「九」
車両の固定架が第一層を解除した。
「八」
外部の嵐帯が切入ルートの左側を掠めた。地表一面に青白い破片が舞い上がった。
「七」
アカリが最後の即時修正を私の画面に押し込んだ。
私はそれを一瞬で読んで、すぐに繋いだ。
「第一梯隊、進入後右に三度。主亀裂帯に正面から突っ込むな」
「六」
Dが返した。「了解」
「五」
真紀が返した。「ルート確認」
「四」
アッシュが一言だけ言った。「全員、掴まれ」
「三」
雪風号の腹部レールが点灯した。
普通の推進灯ではない。鋼鉄を燃やし抜きそうな青白いパルスが一条、あの全地形車両を静止状態からほとんど暴力的な発射姿勢へと直接押し込んだ。
「二」
私はウィンドウの線を見つめた。
縮んでいる。
当然だ。
この惑星は人間に与える活路でさえ、ケチだ。
「一」
ジェスの声が、その瞬間だけ、刃のように冷えた。
「発射」
次の瞬間、雪風号が第一梯隊を吐き出した。
全地形車両は、神の視野に蹴り込まれた金属の砲弾のように、発射レールを猛然と駆け抜けてハッチを飛び出し、真っ直ぐあの発光した狂気の惑星へ突き刺さった。外部映像が激しく揺れ、車両の前端護板が瞬時に青白い風圧で輝き、高空の重力引き裂き帯が生き物のように圧し下ろしてきた。視野全体が光とノイズと歪みと、正常な縮尺感を失いつつある空で埋め尽くされた。
地平線が揺れている。
山が漂っている。
鉱脈が宇宙へ向かって流血している。
そして車両は、そのすべての中へ突き進んでいた。
私はメイン画面を死ぬほど見つめ、指を通信キーの縁に押し当て、心臓が軍服の下から直接逃げ出しそうなほど跳ねていた。
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