130.妥協 4
この物語はフィクションです。実在の人物・団体・事件・名称等は一切関係ありません。
雪風号に、人が三分間一時的に消えられる穴を標準装備しなかったことについて。
真紀はすぐには返さなかった。
ただジェスを見て、目は冷たく清潔だった。
「それで?」彼女は聞いた。
ジェスは今回笑わなかった。
「だから私は気に入らなかった」彼女は同じくらい率直に答えた。「それに、私が乱したら、彼女が乱れるかどうか見たかった」
……いい。
この女は今日、本当に自分に退路を残すつもりがないらしい。
私は目を閉じた。
宇宙に感謝する。今艦橋に他に誰もいないことに。もしこの会話をハーヴィーが全部聞いていたら、明日から私は星野 シモという名前を使わなくていい。全艦の人気ゴシップの主役に改名すればいい。
真紀は聞き終えて、顔の表情は変わらなかった。
ただ、少しだけ静かさが増した。
それから彼女は言った。
「答えは手に入った」
疑問文ではない。
陳述文だ。
ジェスは彼女を見つめて、否定しなかった。
真紀は続けた。
「次に試したいなら、私に向けて来い」
この一言は平坦だった。
波紋の一つもない水面のように平坦だった。
でも平坦であればあるほど、その中の重さは増した。
「彼女が当直している時間を選ぶな」真紀は言った。「艦橋での彼女の立場を、あなたの賭けに付き合わせるな」
艦橋がまた静かになった。
今度は私が先に口を開いた。
このまま黙っていたら、この二人はいつか私を高級な決闘規則説明会の中央に立てた旗にしてしまう。
「一つ言っておく」私は眉間を揉んだ。今日の毒霧が通信回線を伝って私の脳に侵入してきた可能性を、本気で疑っていた。「私はあなたたち二人が互いを試すための場所じゃない。誰かが私をより乱せるとか、より顔を赤くさせられるとか、より私を……」
そこで詰まった。
いい。
非常にいい。
自分で自分を文章の袋小路に追い込んだ。
ジェスは私を見て、目が明らかに輝き始めた。
真紀も私を見ていた。
仕方なく歯を食いしばって後半を飲み込み、まだ生きて退けるバージョンに切り替えた。
「……とにかく、私を競技場の中央の旗にするな」私は言った。「私が怒るのは、誰かが私に触れたからじゃない。あの時、あなたたちのどちらも『私が何をしているか』を最優先にしなかったから」
その言葉が出た後、空気が少し緩んだ。
問題が解決したのではない。
ようやく誰かが本当の問題を正確に言い当てたのだ。
ジェスは数秒黙ってから、軽く息を吐いた。
「分かった」彼女は言った。
今回は本当に引いていた。
「じゃあ、はっきり言う」彼女は私を見た。「あの時に触れるべきじゃなかったのは分かってる」
私の胸が少し動いた。
彼女はさらに付け足した。
「でも後悔はしてない」
……これも彼女らしい。
半分は認めて、半分は負けを認めない。
腹の立つほど筋が通っている。
私は彼女を睨んだ。
「それは反省したことになるの、ならないの?」
「なってる」ジェスは言った。「私の反省は、次は少なくとも命令を言い終えてから、ということ」
「まだ次があるつもり?!」
彼女はすぐに両手を上げて降参のポーズをとったが、表情はまだ少し悪かった。
「分かった、分かった、その一言は今はなしにする」
真紀が横から淡々と差し込んだ。
「次はないことを勧める」
ジェスが彼女を見た。
「あなたの提案は、考慮に入れる」
「本当に考慮して」
私は二人が一往復するのを聞きながら、アッシュを呼び戻して、三人まとめて練武場に放り込み、生きて出てきた者が検討書を書けばいいと提案しようかと、本気で考えた。
でもその時、ジェスが突然挑発を引っ込めて、私の方を向いた。
今回は、いつも人を困らせていたあの光が、少し低くなっていた。
「シモ」彼女は私の名前を呼んだ。「私はあんたと私の間にあるものを壊しに来たわけじゃない」
その一言に、私は少し固まった。
なぜなら彼女がようやく核心を突いたからだ。
私はさっきずっとそれを言わなかった。言わなかったのは気にしていないからではなく、一度言ってしまうと、この友情を本当に大切にしていることを認めるようなもので、大切にしているから、こういう踏み越えで壊されることを怖がっているのだと、認めることになるからだ。
それを彼女が先に言った。
ジェスは私を見て、声は大きくなかった。
「ただ……時々、もう一歩前に進みたくなる」彼女は言った。「でも、あんたが行きたくない場所に追い込もうとしているわけじゃない」
艦橋が、艦橋らしくない静けさに包まれた。
今回は真紀もすぐには口を開かなかった。
私はジェスを見て、彼女がこれを言っている時、松葉杖をさっきより安定して支えていて、口元もそれほど意地悪くないことに気づいた。彼女が完全に軟化したわけではない。ただ少なくともこの瞬間、彼女は本当に真剣に私に伝えていた。踏み越えたことは分かっている、でも友情を冗談にしているわけじゃない、と。
それは重要だった。
重要すぎて、まだ彼女を怒鳴ろうとしていた言葉が、口の手前で別の言葉に変わった。
「分かってる」私は言った。
ジェスが少し固まった。
こんなに早く返ってくるとは思っていなかったようだった。
私は彼女を見て、思わずため息をついた。
「分かってるから、余計に厄介なのよ」
彼女は一瞬止まってから、ごく軽く笑った。
短く、本物の笑いだった。
真紀は横に立ちながら私たちを見て、数秒後、静かに口を開いた。
「とりあえず、これで」
私は彼女の方を向いた。
彼女の顔にはまだ明確な表情はなかったが、さっきほど冷たくはなかった。
「規則は伝えた」彼女は言った。「底線も引いた。これより先のことは、今日ここで解決するものじゃない」
……これを人間語に訳せば、だいたいこうなる。
事がまだ終わっていないのは分かっている。でも今は誰も殺さない。
非常にありがたい。
非常に気が利いている。
この自制に、拍手を送りたいくらいだ。
ジェスは聞き終えて、非常に素直に頷いた。
「いい」彼女は言った。「どうせ脚がまだ治ってないから、今日本当に戦ったら損するのは私だし」
私は彼女を白い目で見た。
「今頃それに気づいたの?」
「全然。ずっと分かってた」彼女は私を見て、口角がまた上がりかけた。「じゃなきゃ、なんで私がこんなに口で勝ちに行くと思ってたの?」
「ジェス」
「はい、黙る」
口では黙ると言いながら、目にはまだ「覚えてるよ、特にあの声」という死んだ目をしていた。
私はこめかみを一度引き攣らせてから、先手を打った。
「あの声のことをもう一度でも言ったら、本当に松葉杖を分解する」
ジェスは今回、意外にもすぐには返さなかった。
ただ瞬きして、それから非常に無邪気に言った。
「どの声?」
私は無表情で彼女を見た。
彼女はついに声を上げて笑い、両手を上げて降参した。
「分かった、言わない」彼女は言った。「少なくとも今日は」
「その言葉の信頼性は、毒性惑星の大気の品質と同じくらいね」
「それ、意外と高いよ。あいつ、いつだって安定して毒性高いんだから」
私は危うく彼女に笑わされそうになった。
真紀が横でごく軽く息を吐いた。この私的な問題は完全には解決していないが、少なくとも艦内での事件には発展しないと、ようやく確認できたように。
それから彼女は私を見て、口調がいつもの平坦な、でも聞こえなかったふりのできない感じに戻った。
「今日はよくやった、シモ」
この一言は、さっき公共回線で聞いたものより近かった。
そして重かった。
今は毒霧も、コレクターも、下で走り回っている一整隊の人間もいない。彼女が言っているのは、あの判断だけではなく、全体——艦橋から、決断から、そして今この場面が完全に爆発しないように収めたことまで——だった。
私の喉がわずかに動いた。
ジェスが横で私たちを一瞥したが、今回は口を挟まなかった。
ただ松葉杖を自分の方へ引き寄せ、奇妙なほど静かだった。
私は仕方なく視線を逸らし、低く返した。
「……あなたたち二人、本当に厄介」
ジェスがすぐに続けた。
「でも、まだ一緒にいる」
真紀は何も言わなかった。
でも彼女の目の中にあった、ごく淡い一瞬のもの。それはすでに、言葉より言葉らしかった。
私は椅子の背に戻り、頭が少し痛いと感じた。
死ぬほどの痛みではない。「この関係、これからどんどん面倒になっていく」という予感型の頭痛だ。
でも少なくとも——
まだ壊れていない。
友情は壊れていない。
チームは散っていない。
規則は伝えた。傷口もそれ以上は広がらなかった。
そして、まだ言い切れていない、まだ名前のない、誰もが存在を知っているのに、今日まだ底まで触れるべきではない何かは……
とりあえず、そのままにしておこう。
どうせ雪風号は、いつだって面倒事には事欠かない。
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「あまりかな?」★一つか二つを押してね!




