130.妥協 3
この物語はフィクションです。実在の人物・団体・事件・名称等は一切関係ありません。
艦橋の人が大体散けると、空間が急に広くなった。
物理的な意味ではない。さっきまで大勢が立って、口を開いて、データを読み上げて、不機嫌な顔を向け合って、あらゆる声で空気を押し詰めていたのに、人が去ると、メインコンソールの低い動作音まで妙にはっきり聞こえて、逆に誤魔化しが効かなくなる、そういう広さだ。
私は艦長代理の椅子に座ったまま動かなかった。
ジェスは副操縦席に座り、松葉杖を手元に立てかけ、その姿勢は相変わらず殴りたくなる雰囲気を漂わせていた。真紀はデータ台の横に立ったまま、やはり帰らず、さっき持ち帰った採集記録パネルをまだ手に持っていた。もし誰かが外から通りかかっても、ここはまだ後片付け中の正常な業務会談として合理的に説明できる、そういう体裁だった。
残念ながら、見た目だけの話だ。
本当の問題は、今から始まる。
私が先に口を開いた。
「よし」自分の声が思ったより落ち着いているのに気づいた。「艦長代理が名指しした以上、いわゆる私的な問題を片付けよう」
ジェスが片眉を上げた。
「やけに正式な言い方ね」
「正式にしないと、そのうち誰かを資料パネルで殴る羽目になりそうだから」
「わあ」彼女は軽く笑った。「私、あんたの中で会議用品の攻撃対象にまで格上げされたんだ」
「これ以上余計なことを言ったら、艦橋設備の修理予算に格上げされる」
ジェスは私を見て、口角にまだ笑みを残していたが、ようやく冗談を挟むのをやめた。私が今遊んでいるわけではないと、彼女は分かっていた。
真紀も何も言わなかった。
ただそこに立っていて、恐ろしいほど静かだった。
でも今の私には分かっている。真紀のこの静けさは感情がないのではない。感情を押し込めすぎて、表面が平らになっているだけだ。蓄圧が完了した機械構造が、誰かがもう一度踏み越えるのを待っているような静けさだ。
結構。
左には乱暴をするのが得意な人間、右には我慢して相手をもっと怖がらせるのが得意な人間、そして真ん中には、全艦通信が開いている状態で危うく……いや、考えてはいけない。考えると観測窓から自分を放り出したくなる。
深く息を吸い込んだ。
「まず言っておく」私はジェスを見た。「私が怒っているのは、あのキスのことじゃない」
ジェスの目が少し動いた。
真紀の指先も、ごくわずかに締まった。
「私が怒っているのは、タイミングのことよ」私は一字一字押し出した。「あの時、下にはアッシュ、D、あなた、彼女、ハーヴィー、蘭、ロイ、アカリ——全員が毒霧の中にいた。あなたは私の部屋にいたわけでも、廊下にいたわけでも、医療区画にいたわけでもない。艦橋で、私が当直中で、命令を下していて、一整隊の人間が私の指示に命を預けている時に、わざと私を乱した」
ジェスはすぐには返さなかった。
彼女を見ながら、さっき毒性惑星全体に向けて指令を出していた時より、これの方が厄介だと思った。毒霧は少なくともデータに数字として出てくる。この女は出てこない。
私は続けた。
「あなたが普段どれだけ口が悪くても、隙あらば私を困らせようとしても、それは別にいい——」
「ちょっと待って」ジェスがようやく口を開いた。それでも空気を読んで片手だけ上げた。今はあまり調子に乗るべきではないと分かっている学生のように。「あんた、実はかなり気にしてる」
私のこめかみが跳ねた。
「今私が言った『まず言っておく』の定義を、もう一度数え直させたいの?」
ジェスは二秒ほど私を見てから、意外にも素直に手を下ろした。
「分かった、続けて」
……こういう時に彼女が素直であればあるほど、次に本当のことを言うという嫌な予感が強くなる。
その予感を押し込んで、話を終わらせた。
「とにかく、騒ぎたいなら任務が終わってから騒げ。私をからかいたいなら、当直中は避けろ。なぜなら今日、私がまだ持ちこたえられたから良かったものの、あなたは下の一整隊の人間に、あなたのちょっとした気まぐれのために付き合わせるところだったから」
その言葉が落ちると、艦橋が数秒静かになった。
短かった。
でもそれだけで、もともとただ曖昧だった火が、規律と責任に本当に触れた。
ジェスはようやく口元の笑みを少し引っ込めた。
彼女は椅子の背にもたれ、手を松葉杖に乗せ、でも目は外さなかった。
「分かってる」彼女は言った。
私はまだ続けようとしていたが、その三文字が出た瞬間、一拍詰まった。
強がりではなかった。
ごまかしでもなかった。
彼女は本当に分かっていた。
「タイミングを間違えたのは分かってる」ジェスは言った。今回の声はいつもより少し低く、浮ついていなかった。「あんたがさっき本当に踏ん張っていたのも、格好つけていたわけじゃないことも、分かってる」
私は眉をひそめて彼女を見た。
ジェスは一つ息を吐いた。珍しいことに、ずっとうまく隠していた何かを少しだけ取り出す気になったようだった。
「でも、単純に冗談だったわけでもない」彼女は言った。
その一言が落ちた瞬間、真紀がようやく動いた。
大きな動作ではない。
ただ手に持っていた資料パネルを横に置いて、目を上げてジェスを見た。
その一瞥は冷たく、まっすぐだった。
ジェスはそれを見ても、目を逸らさなかった。
「分かってる」真紀が口を開いた。
彼女の声は高くはなかったが、氷の表面のように清潔だった。
「それが問題なの」
二人の視線がぶつかった瞬間、私は終わったと思った。
ここで誰かがリズムを取り戻さなければ、私は艦橋で当直しているのではなく、艦橋で後始末をすることになる。
ジェスが先に笑った。
嬉しそうな笑いではない。目の前の刃がようやく鞘から出たのを見て、かえってこの方が面白いと思っている、そういう笑いだった。
「じゃあ、問題をどう定義する?」彼女は真紀を見た。「私が故意に挑発した?故意に踏み越えた?それとも、あなたが誰にも触れさせたくなかった何かに、たまたま触れた?」
「ジェス」私はすぐに呼んだ。
これは踏み越えていた。
彼女も分かっていたが、すぐには黙らなかった。ただ私を一瞥してから、後半の一歩を収め、それ以上突かなかった。
結構。
少なくとも私の言葉が背景音ではないことは、まだ分かっていた。
でも真紀は、その一言でより激しくなるわけではなかった。
それがかえって恐ろしかった。
彼女はただジェスを見て、二秒後、非常に平坦に言った。
「あなたが私的にどう彼女に触れようとするかは、関係ない」
私の呼吸が一瞬止まった。
ジェスの目も微かに変わった。
真紀は続けた。
「それはあなたたちの間の話」
少し間を置いた。
「でも、彼女を、誰かを試すための道具にするな」
その言葉が落ちた瞬間、艦橋全体が金属の外殻を誰かが一度叩いたように静まった。
軽かった。
でも実があった。
なぜなら、この言葉の鋭さはここにある——彼女は「あなたに彼女を触らせない」とも、「彼女は私のものだ」とも言わなかった。
彼女が言ったのは、霜を試探の道具にするな、ということだ。
これは一気に、修羅場から一段高い場所へ引き上げた。
誰が誰に触れたかではなく、触れた理由の中に、間にいる人間を旗として、あるいは試し斬りの石として扱っていたかどうか。
そして残念ながら、その間にいる人間は私だ。
椅子の背にもたれながら、笑いたいような罵倒したいような衝動が同時に来た。
なぜなら、この二人の女は、一人は口で踏み越え、一人は目で線を引き、それでも二人とも私が本当に苛立っていた点を、私より先に言い当ててしまったからだ。
ジェスはしばらく黙った。
その沈黙は短かったが、重要だった。ここで彼女がまだ冗談で覆い隠せるなら、本当に嫌な人間になっていた。
でも、そうしなかった。
ただ一度目を伏せ、また上げた時、いつも人を困らせていたあの光が、少し引いていた。
「それは認める」彼女は言った。
私も真紀も何も言わなかった。
ジェスは口角を引いた。自分がこんなに素直に半分認めることに、少し慣れていないようだった。
「認める」彼女は言った。「完全に挑発していなかったわけじゃない。完全に見ていなかったわけでもない——」
そこで彼女の視線が自然に私の方へ落ちた。
人を燃やすような目ではなく、むしろ彼女が本来あまり言いたくなかった事実を認めているような目だった。
「——あなたの声を聞いた時に、どんな顔をするかを」
艦橋が、さっきより恐ろしいほど静かになった。
今すぐ政府にクレームを入れたい。
「とても面白い」★四つか五つを押してね!
「普通かなぁ?」★三つを押してね!
「あまりかな?」★一つか二つを押してね!




