125. 孤立 1
この物語はフィクションです。実在の人物・団体・事件・名称等は一切関係ありません。
「怪我はない?」と私は訊いた。
「足が……」 ジェスの声は、いつもより明らかに低かった。
ライトを下へ向けると、右足を照らした瞬間、思わず眉をひそめた。耐熱ブーツの外側が丸ごと膨れ上がっている。
足首の腫れが理不尽なほどひどく、まるで誰かが小型の修理用エアバッグを骨の隣に無理やり押し込んだみたいだった。
防護服の脚の部分にも、あの化け物に引きずられた長い引っかき傷が走っている。外層の耐熱繊維が捲れ上がり、端には黄白色の体液が貼りついていた。成分を知りたくない類の、あれだ。
いいだろう。
外は三百度の嵐へのカウントダウンが進み、中は変異した大型虫と負傷者。
宇宙ホラーゲームの定番のオープニングだ。
明滅する照明、培養槽に浮かぶ「まだ生きているのかどうかも分からない何か」、粘液、金属、死の静寂、そして運の尽きた女学生が二人。
このうえ壁に「ヒューズを探せ」と書いてあっても、別に驚かない。
光を廊下へもう一度走らせた。
左右の壁に嵌め込まれた培養槽が並んでいる。中の液体はとっくに濁り、青い光が明滅するたびに、浸かっている黒い影が大きくなったり小さくなったりしていた。正直、一つ一つ確認する気にもなれない。こんな場所で知的好奇心を発揮するのは、学術的な熱意じゃない。死に急いでいるだけだ。
そのとき、視界の端に見慣れた赤十字が引っかかった。
通路の右側、半開きになったスライドドアの脇。マーク自体は間違いない。ただ、その下の文字が最初は読めなかった。連邦標準の書体じゃない。線が硬く、構造も、アルファベット一文字ずつを軍刀に彫り込もうとしているような、帝国系の字体だった。
何かが、胸の中で動いた。
待て。
ここは……連邦の施設じゃない?
その不吉な推測を証明するかのように、ライトを廊下の奥へ向けると、光の束が斜めに傾いた肖像画の上で止まった。
描かれているのは、一生に二度と見たくない顔の老人だった。高い衿の礼服、勲章帯、冷たい眉と目。そして帝国上層部に特有の——全宇宙を自分のナプキン代わりに使っているような——あの気質。
額縁の下に、帝国文字で一行刻まれている。
読めた。
連邦市民として、この顔は宣伝教材、歴史資料、反帝教材、戦時教育映像の中で、少なく見ても数百回は見てきた。
「皇帝、フリードマン三世。」
その場で、唾を吐いた。
「くそっ、帝国の豚め。」
「……そんなに恨みがあるの?」ジェスが床に座ったまま、痛みで顔が青ざめているくせに、まだ嘴を挟む余裕があった。
「あるよ。」私は光を戻し、不機嫌に言った。「子供のころから全教科書にあいつの顔を押しつけられて育ったら、あんたも靴を投げつけたくなる。」
「私は今、あの虫にあんたを投げつけたい気分だけど。」
「あんたは今、黙ってるべき。」
私はしゃがんで、彼女の脚の固定具が完全に引きちぎられていないことを素早く確認した。それから迷わず、片腕を自分の肩に担ぎ上げた。
「立てる?」
ジェスが力を入れようとした。つま先が床に触れた瞬間、顔が歪んだ。
「……立てるけど、かなり情けない。」
「じゃあ立つな。」
ライトを歯で咥え、片手で背中を支え、もう片手で膝の裏を抱えて、そのまま背中に乗せた。
彼女が少しの間、固まった。
「ちょっと、そんなに力あるの?」
「黙って。今のあんたは軽い。」
「その言い方、かなり危ないよ、シモ。」彼女が背中に伏せたまま、声が耳のすぐそばに貼りついてくる。少しくぐもって、少し息が上がっていた。「怪我した女の子に、うっかり優しいこと言ってるみたいで。」
「これは傷患搬送。優しくしてるんじゃない。」
「あ——じゃあ、いつもこうやって人を背負ってるの?」
「いつもはない。あんたが最初。」
「わあ、光栄に思うべき?」
「恥ずかしく思うべき。自分から飛び込んで頭を差し出した最初の一人だから。」
罵りながら、赤十字の標識がある扉へと向かった。
スライドドアが一度引っかかってから完全に開いた。乾いた冷たい薬剤の臭いが最初に流れ出てきた。金属の消毒液と、古い機器特有の焦げた回路の臭いが混じっている。
ライトを向けると、外よりずっとまともな部屋が現れた。少なくとも、牙の生えた虫はいないし、液体の中に浸かって脅かしてくるものもない。
固定ベッドがいくつか残っていて、壁際の薬品棚は半開き。非常灯が一段だけ、頼りない青い光で点いていた。
「まあ、使えそう。」私はぼんやりと結論を出した。
最近の私たちの基準からすれば、これは五つ星の幸運と言っていい。
肩でドアを閉め、脇にあった半壊した手動ロックを下ろしてから、ジェスをベッドに降ろした。
背中が床に触れた瞬間、彼女が息を飲んだ。右脚が本能的に縮んだ。
「痛い?」
「痛くない、気持ちよすぎて泣きそう。」
「つまり痛い。」
フェイスシールドを外して、汗で張りついた前髪を払い、下から睨みつけた。
「次にこういうことしたら、あの虫に教育してもらうから。」
ジェスはベッドの頭板にもたれ、顔色はまだ悪かったが、口だけは元気だった。
「あの子の教育方針、荒っぽすぎる。あんたの方が好き。」
「今すぐ荒っぽい版に切り替えられるけど。」
「それでもいいよ。」
二秒ほど彼女を見つめて、傷患とこんな無益な会話を続けるのをやめることにした。このまま続けると本当に我慢できなくなってベッドから転がり落としかねない。私は背を向けて薬品棚を漁り始めた。
やっぱり帝国の施設だった。
医療モジュールの規格、ラベルの形式、緊急パッケージの番号——全部連邦と違う。ただ、外科的な応急処置の基本的な論理は、銀河全体でほぼ同じだろう。止血、固定、消炎、抗感染。文明がどれだけ分裂していても、腫れた足は見た目も同じだ。
すぐにスプレー式消炎剤、固定帯、携帯型骨スキャナーを見つけた。スキャナーを起動すると、耳障りな帝国の起動音が鳴った。歯の根が浮くような音だった。
「少し我慢して。」ベッドに戻った。
「何をするか先に言って。」
「この脚がまだあんたのものかどうか確認する。」
「全然安心できない回答だけど。」
「私は医療士官じゃない。」
片膝をベッドの脇についた。まず右脚の外側の破れた断熱素材を切り開いた。彼女の脚のラインはもともと綺麗だったのに、こんなに腫れてしまって、それがかえって腹立たしかった。あの化け物にもし二つ目の命があるなら、もう一度刺しに行く気は十分あった。
スキャナーを滑らせると、ジェスが明らかにふくらはぎを強張らせた。
目を上げて見た。
「痛いなら言って。」
「今のあんたの口調……」彼女が下から私を見上げた。呼吸がまだ少し速い。「いつもより優しい気がする。」
「幻聴。」
「じゃあ、顔がこんなに近いのも、医療的な手順の一部?」
手が止まった。
……この人は今、自分が傷患だということを分かっているのか?
深く息を吸って、スキャナーの画面をベッドのヘッドパネルに投影した。
骨折なし。
重度の挫傷と軟部組織の腫脹。
靭帯の軽い損傷もあり。
ようやく少し、息が楽になった。
「運がよかった。折れてない。」
「私は運が強いから。」
「あの虫がまだ分解しきれてなかっただけ。」
消炎スプレーを開け、足首に向けた。
「本当に少し痛い。」
「信じない。」
押した。
「——くそっ!!」
よし、今は信じた。
冷たい薬霧があの腫れ上がった皮膚に触れた瞬間、彼女の体が跳ね上がりそうになった。手が私の手首を掴んだ。力が強すぎて、傷患というより、まだ噛みつく余裕のある猫みたいだった。
笑いそうになった。
「さっきまで強がってなかった?」
「まだ強がってる。」ジェスが歯を食いしばって言った。「ただ、あんたの手加減が仇敵レベルなだけで。」
「私はあんたの命の恩人。」
「こんな命の恩人が何度も続いたら、あの虫に投降することを真剣に考え始めるかもしれない。」
「ふっ」と笑って、足首の固定を始めた。
固定帯を一巻き一巻き巻いていくうちに、部屋が急に静かになった。
外の嵐はまだ壁を叩いている。施設全体から時折、低い振動音が伝わってくる。見えない巨獣が、高温の大気を使ってこの半死の廃墟を丸ごと削っているような音だった。
でも、この医務室の中では、音が閉じ込められて、くぐもっていた。私の呼吸と彼女の呼吸と、固定帯が締まる細い音と、ベッドのそばで今にも切れそうな小さな灯りが、時折明滅するだけ。
空気が、おかしくなってきた。
危険な意味じゃない。
もっと厄介な意味で、おかしい。
こういうとき、自分の脳みそが本当に嫌いだ。外は三百度の嵐、帝国の廃施設、通信不通、化け物、真紀とDが無事に雪風へ戻れたかどうかも分からない。理論上、今は「どうやって生きて出るか」だけに集中するべきだ。
なのに脳みそはこんな場面で余計なことに気づく——ジェスの手がまだ私の手首を掴んでいること。彼女の脚が私の膝の上に乗っていること。さっきの痛みで目尻がまだ少し赤いこと。病床に横たわって、いつもより三割ほど減った「殴りたい感」と、七割増しの、あってはならない脆さが混在していること。
これはまずい。
さらにまずいのは、彼女も私が黙りすぎていることに気づいていることだ。
「シモ。」
「何。」
「耳、赤くなってる。」
手の中の固定帯が、もう少しで結び目を作るところだった。
「ここは暑い。」
「医務室、外より涼しいけど。」
「さっき怪物と戦ってた。」
「怪物と戦った後って、耳が赤くなるの?」
「あんた今日、口数が多い。」
ジェスが笑った。
いつもの場を圧する大笑いじゃなかった。少し力が抜けて、低い、痛みの後に無理やり引き戻したような笑い。私の手首を掴む手は離さないまま、指の腹が手袋の縁をそっとなぞった。
「あんたって、緊張するたびに口が特別悪くなるよね。」
最後の一巻きを留めて、顔を上げて睨んだ。
「緊張してない。さっきあの虫を刺した回数が足りなかったかどうか後悔してる。」
「あ。」
彼女が瞬きした。
「じゃあ、さっき飛び込んできたとき、私の名前をあんなに強く呼んだのも、追撃したかったから?」
「そう。」
「わあ、冷たい。」
「あんたにはちょうどいい。」
また少し笑った。でも目は動かなかった。
その視線が厄介だった。
わざとらしく誘うような、正面からの直球じゃない。それよりもっと、ただ真剣に私を見ているだけ——そのくせ、こういう真剣さが一番始末に負えない。
まるで彼女が本当に覚えているみたいに。飛び込んできたのが私で、銃を撃たなかったのが私で、刃物で押さえ込んだのが私で、背負ってきたのが私で、今ここで膝をついて足を包んでいるのが私だと。
見られすぎて頭皮が痺れてきたので、俯いて医療器具を片付けることにした。
「終わり。」私は言った。「少なくとも今日は、この脚を保てた。」
「明日は?」
「明日はあんたがまた自分から死にに行くかどうか次第。」
「もし、」ジェスがゆっくり口を開いた、「さっき飛び込んできたのは、半分はあんたの前で格好つけたかったからだって言ったら、少しは喜んでくれる?」
手の中の消炎スプレーが、もう少しで床に落ちるところだった。
この人は本当に病気だ。
しかも脚の問題じゃない。
「頭を割って中が空洞かどうか確認したい」と返してやりたかった。でも言葉が、口元で詰まった。彼女がこれを言ったときの表情が、あまり冗談に見えなかったから。
笑ってはいた。でもその笑いがいつもより低く収まっていた。低すぎて、まるで冗談という皮を借りて、自分でも素直に言えない本音を少しだけ包んでいるみたいに。
こういうとき、単純な化け物が恋しくなる。
怪物は少なくとも、人を食いたいだけだ。
人間はいつも、疲弊して無防備なときを狙って、牙よりずっと面倒なものを胸に投げ込んでくる。
最後に、乾いた一言を返した。
「入口に吊るして警告板にしたくなる。」
「それって私のことを心に掛けてるってこと?」
「ジェス。」
「分かった分かった、黙る。」
口では黙ると言いながら、目はまだ笑っていた。
部屋の空気が、完全に傾いた。
最初はただの応急処置のはずだった。
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