123. つかの間の休息 1
この物語はフィクションです。実在の人物・団体・事件・名称等は一切関係ありません。
私はただ少し座りたかっただけなのに、膝がベッドの縁に触れた瞬間、全身の骨を抜き取られたように崩れ落ちた。
比喩ではない。 本当に、「ああ、人間の脊椎は普段、意志の力にシフトを代わってもらっているんだな」と実感するような崩れ方だった。
私は半ば膝をつき、半ば座り込むような格好で下段ベッドの縁に倒れ込んだ。肩がまず艙壁にぶつかり、そこから薄いマットレスに沿って少しだけ滑り落ちた。
二等艙は相変わらず体裁が悪く、狭く、不便で、機能性至上主義だった。設計理念から実際の体験に至るまで、「生きていられれば十分」という実務的な精神に満ち溢れている。
だが、人が今にもバラバラになりそうな時、この簡素さはかえってひどく忌々しいほどの優しさを持っていた。少なくとも、倒れる体を受け止めてはくれるのだから。
私はうつむき、手のひらをまだベッドの縁についたまま、呼吸を二拍遅らせて、ようやく「今すぐここで寝死んでも構わない」という深淵の縁から自分を少しだけ引き戻した。
背後で、ハッチが閉まる軽い音がした。 真紀も入ってきたのだ。
彼女はすぐには口を開かず、ただ上着をフックに掛けた。その動作は、少しでも余計な音を立てれば、その場で私を粉々に砕いてしまうのではないかと恐れているように軽かった。
布の擦れる音が聞こえ、彼女が一歩近づいて立ち止まるのが聞こえ、そして、自分のひどく不甲斐ない心音が聞こえた。さっき海賊船の上でも、艦橋でも、通路でも持ちこたえていたのに、部屋に入った途端、心臓が「恋愛コメディにおける頼りない器官」という本来の性質を取り戻し始めている。
私は自分自身に心底失望した。
「シモ」 真紀が私を呼んだ。
たった二文字。命令の色はなく、特別に優しいわけでもない。だが、彼女がそう私を呼ぶたびに、私は霧の中から少しだけ現実へと引き戻されたような錯覚に陥るのだ。
「……うん」 私の返事は気力がなく、宇宙ゴミの圧縮機から引きずり出されたばかりの雑巾のようだった。
真紀は私のそばに立ち、見下ろした。 「まずは横になって」 「もう横になってるわよ」 「それは倒れかけてるって言うの。横になってるんじゃない」
反論しようとした。 「少しだけ、体を重力に処理してもらっていただけよ、そんなに惨めじゃない」と言いたかった。だが言葉が口先まで出たところで、どの神経がショートしたのか、危うく口走りそうになったのは――
「景雲でのあれ……」
私は猛烈な勢いで口をつぐんだ。 空気が一瞬静まり返った。
その一瞬は実はとても短く、おそらく半秒、あるいはそれ以下だったかもしれない。だが今の私にとって、その半秒は永遠にも等しく、自分がたった今、何を言いかけたのかをはっきりと自覚するのに十分すぎる時間だった。
あのキスのことを言いかけた。 景雲から戻って以来、ただの疲労、ただの失調、高圧環境下での神経の短絡に過ぎないと自分に言い聞かせて、ずっと見なかったふりをしてきたあの出来事を、自白剤でも打たれたように吐き出しそうになったのだ。
私はその場で全身が硬直し、疲労感すら半歩後退した。
真紀はすぐには追及しなかった。 それがかえって恐ろしい。 彼女が追及しないのは、理解していないからではない。たいていの場合、私が自ら投降してくるのを待っているだけなのだ。
「景雲での、何?」 彼女はとうとう口を開いた。 語気は平坦だった。 私がさっきハッチを閉め忘れたかどうかを尋ねるのと同じくらい、平坦に。
私の喉が乾いた。
「……何でもない」
「シモ」
終わった。 彼女が二度目に私の名前を呼んだ時、声は相変わらず淡々としていたが、私は彼女がこの誤魔化しを許さないことを知っていた。それは尋問でも、困らせようとしているのでもない。ただ単純に、「今のあなたは立っているのもやっとのくせに、これ以上意地を張って私の仕事を増やさないで」という、ある種の宣告だった。
私は二秒沈黙し、最後は最も安全で、最も私らしくない方向へ逃げることを選んだ。
「その……景雲の中、すごく暑かったなって」私は努めて自然な語気を作ろうとした。「それに、あなたの操縦が安定しすぎてて、眠くなりそうだったから」
この言葉の半分は真実だ。 もう半分は、生存本能の産物だ。
真紀は私を見た。 その視線は鋭くも、威圧的でもなかったが、ひどく嫌な見透かしの力を持っていた。私が後半の言葉を隠していることをはっきりと知っていながら、今はそれを暴くのを面倒くさがっているような目だった。
そして、彼女はただ一言だけ言った。 「疲れすぎて、嘘の作り方まで雑になってるわよ」
私はその場で黙り込んだ。
……この女は、時々本当に容赦がない。 大げさに騒ぎ立てるような容赦のなさではない。 私が必死に耐えていることも、その耐え方がどれほど見苦しいかも見抜いているくせに、たった一言で、私が辛うじて保とうとしていた体裁の硬い殻を、軽く叩き割ってくるのだ。
しかも、彼女の言う通りだった。 今の私は確かに、でたらめを言う品質すら低下するほど疲れ切っていた。
「まずは寝て」真紀が言った。 「まだシャワー浴びてない」 「これ以上起きてたら、座ったまま寝落ちするわよ」 「それも悪くないかもね」 「最悪よ」彼女は語気を少し低くし、完全に客観的な事実を述べるように言った。「夜中に起きて、あなたが首を曲げて息絶えているのを見たくないの」
私は笑おうとしたが、虚ろな息の音しか出なかった。 「あなたの慰め方、ひどすぎるわね」 「効けば十分よ」
この言葉は、いかにも彼女らしかった。 効率優先、柔軟さは後回し。 だが最も致命的なのは、彼女のそういう言い方が、実際にかえって効果があるということだ。
私はとうとう力を抜き、そのまま後ろに倒れ込んでベッドに沈んだ。マットレスは雪風の精神を体現するように薄く、横たわると下にある支持板の遠慮のない存在感すら伝わってくるほどだった。だが今の私には文句を言う気力すら残っておらず、これが「ベッド」と呼ばれること自体が、疲労者に対する文明の最後の慈悲だとさえ思えた。
真紀は私のブーツを蹴り脱がせ、肩から半分ずり落ちていたジャケットを引っ張り下ろした。 彼女の動作は荒っぽくもなく、特別親密でもなく、むしろ手際が良いと言えた。だが、その手際の良さが、どんな意図的な優しさよりも心臓を痺れさせるのだ。なぜなら、彼女は「慰めが必要な人間」を世話しているのではなく、ただ「バッテリー切れの私」を、ごく当然のこととして処理しているだけだからだ。
「目を閉じて」彼女は言った。 「今のあなた、医官みたいよ」 「なら、あなたは言うことを聞かない患者ね」 「私は、戦功赫々たる英雄でありたいんだけど」 「英雄は、座ったまま気絶しそうになったりしないわ」
私は不満げに目を閉じた。 目を閉じる直前、真紀が伏し目がちに、艙内の少し明るい小さな照明を一段暗くするのを見た。光が柔らかくなった後、彼女の輪郭も少し淡くなり、極限まで張り詰めていた状態から、ようやく半歩だけ退いてくれたように見えた。
何か言いたかった。 あなたも休むべきだ、と。 あの暗号の件、一人で抱え込まないで、と。 景雲でのあのこと、私は本当は――
だが、頭が完全な文章を組み立てる前に、意識が先に沈んでいった。
*
眠気は、一気にのしかかってくるものではなかった。 引き潮の時の海水のように、層を重ねて這い上がってくる感じだった。まず足首を浸し、次に膝を越え、そして胸の奥に残っていた「まだ起きていたい」という最後の力まで引きずり去っていく。
自分がまだ二等艙にいることも、真紀がそばにいることも、艦の外には相変わらず深宇宙が広がり、補給の問題があり、ハーヴィーとヴィクトルが運命を解体するのを待っている、あのヘリウム・水素駆動炉があることも、頭の片隅では分かっていた。だが、私の中のもう一つの部分は、すでに今日一日で起きたすべての出来事を一つの鍋に放り込み、粘り気のある、混沌とした、私らしい意識の流れの泥粥に煮詰め始めていた。
最初に浮かび上がってきたのは景雲だ。 いつだって景雲だ。
狭い複座のコクピット、空調システムを訴えたくなるほど暑い休息艙、前席の残酷なほど安定した後ろ姿、被動レーダーのノイズの中からゆっくりと浮かび上がってくる信号……そしてあの商船。九島家の紋章を掲げ、こそこそとキャプテン・ハックに接舷し、綺麗な服を着た人間が汚れた手を袖口に隠して、自分は無関係だと装うような、あの船。
九島家。 その三文字を思い浮かべるだけで、半ば夢の中にいながらにして、細い冷気を感じた。
その一族が私から遠すぎるからではない。 正反対だ。突然、私に近すぎるところに現れたからだ。
私のすぐ前に座っている真紀に近い。 真紀があの船を見た時、呼吸が一瞬、見えないほど微かに止まったことに近い。 その後、キャプテン・ハックがあの暗号を口にした時、彼女の目に走った氷のひび割れのような痕跡が、今でも私の頭の中にこびりついて離れないことに近い。
彼女が感情を押し殺しているのは分かっている。 言わないことを選んだのも分かっている。 痛くないわけではなく、あんな場所で痛みを露わにすることを良しとしなかっただけだと分かっている。
こういう人間は厄介だ。 彼女が事態を一人で背負い込もうとすればするほど、傍にいる人間は見て見ぬふりをするのが難しくなるのだから。
画面が切り替わり、今度はアイダになった。 彼女はキャプテン・ハックの前に立ち、上流階級の雑誌の表紙を飾るモデルのように美しかった。しかし、口から出る言葉は闇市で最も冷たい刃のようだった。「価値を骨の髄まで搾り取ってから、ボロ雑巾のように捨てることよ」。あの言葉が頭の中で繰り返し再生され、陽電子砲が帝国の巡邏艇を吹き飛ばした時の閃光よりも鮮明だった。
そして彼女は、キャプテン・ハックに連絡先を渡した。
この出来事は本当に荒唐無稽だ。 ベッドに横たわり、眠りに落ちかけている今でも、上院で彼女を追いかけていた男子学生たちがこれを知ったら、現実という名のスパナで頭を殴られたような顔をするだろうと、はっきりと想像できる。前途洋々で、容姿端麗で、靴の表面が反射するほど磨かれ、告白の台本まで事前に用意していそうなエリートたちが、黄色い歯と、違法薬物でも隠せそうな髭を持ち、十年は風呂に入っていなさそうな老海賊に負けたのだ。
宇宙は本当に公平だ。 ロマンに幻想を抱くすべての人間を、公平に辱めてくれる。
次はキャプテン・ハックの船の貨物艙だ。 九島重工のヘリウム・水素駆動炉が、密輸された心臓のように、固定ラックの上に静かに横たわっていた。その横には武器の供給率を上げる材料の箱が整然と並び、邪悪なほど高価で、説得力があるほど危険だった。
真紀はそこにしゃがみ込み、溶接痕を見つめ、点検コードを見つめ、彼女にしか分からない家族内部の工法を見つめていた。あの時、彼女は多くを語らなかった。だが私は知っている。彼女が金属の中から、金属よりもずっと質の悪い何かを見ていたことを。
家の中の人間。 長兄の側近。 特定のサークルでしか使われないあのフォーマット。
これらの破片が私の頭の中で衝突し合い、不快な音を立てていた。
私は不安だった。 雪風のためだけではない。 あの駆動炉が取り付けられるかどうかのためだけでもない。 私たちが今、宇宙に捨てられた野良犬のように貧乏で、海賊のものを奪って延命しなければならないからだけでもない。
私が不安なのは、事態がもはや「外の敵」という単純なものではなくなっているからだ。
時として、最悪なのは誰かに追われ、撃たれ、爆撃されることではない。 最悪なのは、問題がとっくに味方の通り道に根を張っていて、普段は見えないのに、踏み込んだ瞬間にその下が空洞だと気づくことだ。
そして、この乱雑な意識の鍋の中に、もう一つ、さらに個人的で、さらに恥ずかしく、さらに場違いなものが混ざっていた。
ジェス。 そして真紀。 そして、過労で明らかに判断力を失いつつある私の頭脳。
廊下で私を抱きしめたジェスの感触、泥棒のようなキス。景雲での真紀との、名前をつけるべきではないあの制御不能な瞬間。その中間にいる私は、神経系の配線をでたらめに繋がれた人間のようだ。混同してはいけない、混同してはならないと分かっているのに、記憶と身体は最悪のタイミングでそれぞれ勝手に行動することに長けている。
あまりにも恥ずかしい。 半ば夢の中にいながらにして、自分がひどく恥ずかしいと自覚している。 これが人類の羞恥心の最後の抵抗というやつだろう。
その時、何かが軽く私の体の上に落ちてきた。 警報ではない。 艙内の振動でもない。 新しい通信でもない。
毛布だった。
私の混乱した意識は、その軽く、確かな重みによって少しだけ押さえ込まれ、ようやくこれ以上乱れた方向へ散っていくのをやめた。
半眼の視界の中で、真紀がベッドの縁に少し身を斜めにして座り、私の肩口まで毛布を平らに引き上げてくれているのが見えた。その動作はとても自然で、何度もやったことがあるかのようでもあり、単に夜中に起きて、布団を蹴飛ばして熱を出している馬鹿の世話をしたくないだけ、という風でもあった。
口を開きたかった。 ありがとう、と言いたかった。 あなたも眠って、と言いたかった。 あの暗号のこと、一人で長く考えすぎないで、と言いたかった。
だが結局、何一つ言葉にはならなかった。
なぜならその瞬間、私に本当に届いたのは、言葉ではなく、安心だったからだ。
とても淡い。 とても静かな。 それでも、一日の混乱と疲労と不安の中で、私をようやく底の底まで沈ませてくれるには、十分な安心だった。
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