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臨界の星穹  作者: Mr.佐藤焫焵
士官学校編
38/68

10. 実験体 4

この物語はフィクションです。実在の人物・団体・事件・名称等は一切関係ありません。

第一週の総括が終わって、今日こそはこれで解放されると思っていた。


証明された。第一特別運用科というこの化け物じみた場所に対して、私はまだ甘い人間的な期待を捨てきれていない。


宿舎に戻ってソファに身を投げ出した瞬間、冷蔵庫のチェリーコーラを開ける前に、ドアチャイムが鳴った。


二秒ほどドアを眺めた。


……そうこなくちゃ。


このパターンは知っている。


私がわずかな人間らしい時間を取り戻そうとしたタイミングでドアを叩く人間は、たいていボーナスを配りに来たわけじゃない。


「入れ」


ドアが滑り開いた。


外に立っていたのは十文字・レオン大佐だった。


相変わらずだった。


制服は整い、表情は整い、立ち姿まで定規で測ったみたいに整っている。その顔は相変わらず連邦の募兵ポスターに使えそうで、ただしタイトルを変える必要がある——


《頼れそうに見えるが、実際にはもっと深い地獄へ送り込む男》


ソファに寄りかかったまま動かず、視線だけを上げた。


「長官、この時間に来るなら、休暇をくれに来たんじゃない限り、今すぐ帰った方がお互いのためです」


レオンはドアを閉めて入ってきた。リビングをざっと見渡してから、視線が私に落ちた。


「現時点での段階成績を見ると」と彼は言った。「君はすでに、第一特別運用科でこれまで訓練を受けた人員の大半より優秀だ」


半秒、固まった。


……はあ?


その言葉が彼の口から出てくるのは、国防省が明日から全員一週間の休暇と突然発表するくらいの破壊力がある。起きないとは言えないが、起きたら薬の後遺症がまだ残っているのかと疑うところから始まる。


目を細める。


「それは褒め言葉ですか」


「事実だ」


「へえ」私はゆっくり体を起こして、冷静なのが腹立たしいその顔を眺めた。「第一特別運用科の評価システム、壊れてないですか。博士に一緒に診てもらった方がいいんじゃないですか」


「システムは正常だ」と彼は言う。「君の習得が速いのは確かだ」


なぜかこの言葉は、上辺だけの励ましよりずっと厄介だった。


レオンは人を安心させるために適当なことを言うタイプじゃない。


もう少し生き延びてほしいからといって、軽々しく甘い言葉を与える人間じゃない。


速いと言えば、速い。


使えると言えば、彼の中ですでにある程度の投資価値があると認めたということだ。


この種の正直さは、お世辞よりずっと危険だ。


口の端を引く。


「つまり、わざわざ直接来て、私がようやく普通の消耗品から高級消耗品に格上げされたと伝えに来たんですか」


「だいたいそうだ」


……くそ。


この男は、もともと人間には向いていない場所を、さらに人が住めない状態にする天才だ。


彼はテーブルに歩み寄り、電子パッドを置いた。


青い光幕が展開して、そこには二行だけ。


方案一:訓練期間を延長し、適応等級を引き上げる。

方案二:実戦投入を前倒しし、外勤テストを実施する。


その二行を見て、眉がゆっくり寄ってくる。


「何ですかこれ」


「選択だ」


彼を見る。


「……連邦って、自由意志を信じてたんですか」


「信じていない」レオンは言う。「ただ、結果を選択という形で包んだ方が、兵士は受け入れやすい」


笑いそうになった。


いい。


よくわかった。


この人はもう取り繕う気すらない。


もう一度その二行を見る。


方案一、さらに過酷で、さらに辛く、さらに完全な後続訓練を受ける。


方案二、直接実戦へ。


一見、本当に選べるように見える。


一つは博士に実験動物として引き続きゆっくり解体される。


もう一つはこの場所を早く出て、戦場で敵に解体される。


普通の人間なら迷うかもしれない。


でも私は普通の人間じゃない。連邦が合法的に飼育している十四歳の砲弾要員だ。


だからすぐに、この中で一番気持ち悪い部分を見つけた。


顔を上げて彼を見る。


「長官、一つ確認させてください。これって、『実戦を選んでもいい、ただし現在の権限・装備・支援レベル・生還率を考えると、ほぼ死にに行くのと変わらない』という公式の隠し条項がついてたりしますか」


レオンは二秒、静かに私を見た。


それから、ごくわずかに頷いた。


「ある」


その場で頭を後ろへ倒して天井を見上げ、拍手したくなった。


連邦は正直すぎて吐き気がする。


「聞かせてください」


「実戦に参加する場合、外勤テスト要員として扱われる」彼は天気予報を読むような口調で続ける。「正式な編制支援は付与されない。撤退優先権もない。任務中止の判断において、君の生存は優先事項に含まれない」


目を閉じて、ゆっくり息を吸った。


人間語に翻訳すると——


行ってもいい。


止めない。


でも死んだら、それはコストの範囲内のテスト失敗だ。


目を開けて、彼を見る。


「つまり方案二は、本質的に私を使った実戦版の人体実験ですか」


「そう理解して構わない」


「方案一は?」


「より高強度の訓練を受け、外勤の時期を遅らせる代わりに、より完全な装備・権限・生還率を得る」


少し黙った。


いい。


一つは今すぐミンチにされる。


もう一つは先に研がれてからミンチにされる。


岐路のように見えて、実際は「今死ぬか、もう少し値段が上がってから死ぬか」を聞いているだけだ。


笑えてきた。


嬉しいからじゃない。


この制度設計のダメさが、あまりにも整然としていて、むしろ感心してしまうから。


「長官」私は言った。「このやり方、本当によくできてますね。選択肢なんてまったくないのに、個人の意思を尊重しているみたいに聞こえる」


「必要な手順だ」


「どこが必要なんですか」


「必要なのは」レオンは私を見た。灰色の瞳が、凍った海面みたいに静かだった。「君自身に、まだ今すぐ死にたくないと認めさせることだ」


部屋が一瞬静まった。


くそ。


この言葉、嫌いだ。


嫌いな理由は——正しいからだ。


強がることはできる。


目を剥くこともできる。


連邦を上から下まで骨になるまで罵ることもできる。


でも私は確かに、今すぐ死にたくない。


急に人生が好きになったわけじゃない。


今の私のレベルで外勤テストに放り込まれて死んでも、格好よくないし、価値もない、ということがわかっているだけだ。


博士の報告書のどこかに冷たく書かれるだけだ。


サンプル中断。データ回収完了。


それは情けなすぎる。


目を伏せて、テーブルの二つの選択肢を見た。


方案一。


方案二。


恋愛ゲームの分岐画面みたいだが、どちらを選んでも、バッドエンドに繋がっている。


数秒黙って、最後に手を伸ばして方案二を叩いた。


「もし私が馬鹿で今これを選んだら、止めますか」


「止めない」


「博士は?」


「喜ぶだろう」


「やっぱり」


この答えは、ひどく完璧だった。


その二行を見ながら、ふと六A倉のことを思った。


あの靴下の臭い。


入浴停戦協定。


最悪で、うるさくて、それでも生きていたあの日々。


今実戦を選んで、誰も番号すら覚えていない外勤先で死んだら、あいつらをまた馬鹿にする機会すら永遠になくなる。


だめだ。


少なくとも、そんな形じゃ。


手を伸ばして、光幕の方案一を手前に引き寄せた。


「わかりました」私は言った。「一を選びます」


レオンは何も言わなかった。


ただ私を見て、私自身が続きを言うのを待っているようだった。


当然、何を待っているかはわかる。


本当に面倒だ。


息を吐いて、口の端に乾いた笑みを作った。


「訓練が好きだからじゃないです」私は言った。「急に模範兵士になりたくなったわけでもない」


「わかってる」


「ただ、こんなに安く死にたくないだけです」


レオンは頷いた。


「それで十分だ」


また、その一言。


でも今度は、意味がわかった。


ここでは、崇高さは要らない。


高尚さも要らない。


愛国心も要らない。


自分がなぜまだ踏ん張っているか、それだけが明確であればいい。


手前に引き寄せた方案一を見ながら、少し笑いたくなった。


いわゆる選択。


いわゆる未来。


いわゆるチャンス。


結局は、連邦が刃を首に当てて、丁寧に聞いてくるだけだ。


自分で歩きますか、それとも押しましょうか。


手を伸ばして、確認欄を押した。


方案一/確認。


光幕が一瞬輝いて、すぐに新しいスケジュールが展開した。


より早い起床時間。


より長い訓練時間。


より多くの特別マーク。


そして最下段に、呪いみたいに短い一行。


第一段階訓練延長、明日〇五〇〇より施行。


その「〇五〇〇」を二秒眺めた。


それからゆっくり顔を上げた。


「……太陽もまだ出勤してない時間から苦しめるんですか」


「慣れる」


「来世は目覚まし時計に生まれ変わることを祈ります」


「それなら少なくとも、正確だろう」


……くそ。


この男は本当に、スリッパで叩きたくなる才能がある。


電子パッドを収めて、ドアへ向かった。


ドアを開けた瞬間、私は口を開いた。


「長官」


彼は足を止めた。振り返らない。


「何だ」


ソファに寄りかかって、その背中を眺めながら、できるだけいつもの憎たらしい口調を保った。


「次また選択問題を出すなら、せめて間違いの答えをもう少しちゃんと隠してください」


ドアの前の人影が、半秒静止した。


それから——私にははっきり見えた——肩のラインが、ごくわずかに動いた。


笑ったのかもしれない。


見間違いかもしれない。


「わかった」と彼は言った。「次はもう少し綺麗に包む」


そう言って、出て行った。


ドアが目の前で閉まる。


部屋がまた静かになった。冷蔵庫の低いモーター音と、テーブルの上で静かに光る新しいスケジュールだけが残った。


その「〇五〇〇」をしばらく眺めていた。


最後に手を伸ばして、さっき開けられなかったチェリーコーラを取り出した。


「カシュ」と炭酸が弾ける。


仰いで一口飲む。冷たくて甘い液体が喉を滑り落ちて、胸の中のどろどろしたものを少しだけ押し沈めた。


それから頭を下げて、黒い缶の表面に映った自分の顔を見ながら、ゆっくりと結論を吐き出した。


「……まあ、いいか」


「生き延びるための代償は、もう少し地獄みたいに生きることらしい」


窓の外、ドゥナンの純白の地平線がまだ輝いている。


十二基の天幕が遠くで銀青色の光を放ち、永遠に高みに君臨したまま、人間など見下ろす気もない神の輪のように、ただそこにある。

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