121. 尻尾を掴む 2
この物語はフィクションです。実在の人物・団体・事件・名称等は一切関係ありません。
キャプテン・ハックのあの破船の内部は、想像していたよりもさらに、犯罪と貧困と機油をひとつの鍋で煮詰めたような場所だった。
雪風が強行接舷した後、接舷通路が開いた途端、最初に押し寄せてきたのは殺気でも銃口でもなかった。粗悪な潤滑油、金属の焼け焦げ、酒精の残り香、そして何日放置されたか分からない合成食料の匂いが混ざり合ったものだった。
その匂いは異様に均一で濃く、まるで誰かが「船はもう長くない」「ここには犯罪者が住んでいる」「通風フィルターは一度もまともに洗われたことがない」という三つの事実を、一種の専用フレグランスとして丁寧に調合したかのようだった。
ローレンス修理廠が、汚れた長コートを着ていても袖口には金糸を縫い込む老練な闇市の狐だとするなら、キャプテン・ハックのこの船は、コートを洗う手間さえ惜しんで、破れた帆をそのまま被って強盗に出る下等な野犬だった。
そして私たちは今、その犬小屋を蹴破ろうとしている。
動力装甲服を纏った保安隊が先頭を進み、甲板をドン、ドン、ドンと踏み鳴らす。まるで、人の弔いを代行するために歩き方を覚えた金属の棺桶の列のようだった。
先頭に立つのは竹中曹長だ。
雪風に来てから、一目で厄介と分かる人間を何人も見てきたが、「昭和のはみ出し者が宇宙戦争映画に迷い込んだ」という気配を、ここまで自然に纏っている人間は、なかなかいない。
曹長と呼ぶより、「兄貴」と呼ぶ方が似合いそうな顔をしていた。顎には古傷、眉骨は硬く、口元には生まれつきの不機嫌さが刻まれている。動力装甲服を着ていても標準装備には見えず、どこかの地下組織が特注した暴力用スーツのようだった。
次の瞬間に腰から木刀を抜くか、爪楊枝を咥えたまま怒鳴り出すかのどちらかだと言われれば、私はどちらにも黙って頷くだろう。
そして彼は、本当にキャプテン・ハック側の内部ハッチを一蹴りで開けた。
ドアパネルが後壁に激突する音は、今夜ここにいる全員の不運と尊厳のために、告別式の第一楽章を奏でるかのようだった。
「全員、両手を頭の後ろに組め! しゃがめ!」
竹中曹長の一喝で、通路全体が一瞬、身をすくめたかのように見えた。動力装甲の外付けライフルを構え、銃口をひと巡りさせて、まだ突っ立って強がっている数人の刺頭を、特に狙い澄ました。
「この馬鹿野郎が、しゃがめと言われて、まだ立っとるのか!」
海賊たちは、明らかに面食らっていた。
その中の一人、髪をケーブルブラシで梳いたような若い男が、素直にも呆けた顔で聞き返した。 「え……それ、罵ってるんですか?」
私は後方に立ちながら、たまらず竹中の方へ首を傾けた。 「……今の、どういう意味?」
竹中曹長は銃口を微動もさせず、振り返りもせず、ごく平然と答えた。 「お嬢ちゃん、これは故郷の言葉だ。今の若い連中は、もう聞いたこともないだろうよ」
「……ああ」
私は、その言葉の意味をこれ以上追及しないことにした。
現場の効果から判断するに、その意味するところはおそらくこうだ――今、私の機嫌はひどく悪い。今すぐ従え。さもなければ、もっと国際的な方法で理解させてやる。
海賊たちも、それを理解したらしい。さっきまで少し虚勢を張っていた何人かも、すぐに大人しく両手を頭の後ろに組んでしゃがみ込んだ。その動きはあまりにも揃っていて、自分たちが海賊ではなく、先の見えない臨時エキストラだったのだと突然悟ったかのようだった。
私と真紀は第二梯隊に続いて奥へ進んだ。
彼女は私の左斜め前、半歩の位置にいた。出撃装備のまま、背筋は真っ直ぐに伸び、足取りは、さっき景雲の中で起きた、私がいまだに正視できないあの事故など、最初から存在しなかったかのように安定していた。
この女は、ある意味で本当に恐ろしい。波がないわけではない。ただ、そのすべてを、より平らな表面の下に押し込んでしまう。沸騰した湯を氷の層の中に封じ込めるように。
私の方も―― もちろん、いかにも普通に振る舞っていた。 ただ、視線がうっかり彼女の横顔をかすめるたびに、頭が情けなくもまず景雲でのあの短すぎ、乱れすぎ、理不尽すぎたキスをフラッシュバックさせ、続けてもう一つ、もっと現れるべきではない映像まで補足してくる。そのたびに、その場で適当な艙板を見つけて自分を釘付けにし、脳に「仕事に集中しろ」と刻んでやりたくなった。
残念ながら、脳という器官は、昔から軍令には服従しない。
キャプテン・ハックの船内は、外観よりもさらに狭かった。通路はケチな手加減で無理やり引き延ばされたようで、両側の配管は羞恥心のかけらもなく剥き出しになり、継ぎ手とパッチがあちこちに貼り付いていた。この船全体が、造られたのではなく、行き場のない連中が「とりあえず持たせろ」という六文字だけを頼りに溶接し合わせた結果なのだと、見ているだけで伝わってきた。
床の一部には、新旧入り混じった血痕と油汚れがまだ残っていて、踏むと粘ついた摩擦音がした。自分のブーツの底のために、黙祷を捧げたくなる音だった。
「貨物艙は後ろね」真紀が低く言った。 「どうして分かるの?」 「この手の船は、値の付く物をあまり遠くには置かない」彼女は壁面のケーブル配置と艙体の重心表示を一瞥した。「推進器の補償制御も、それを嫌うはずだから」
語気は淡々としていたが、今の彼女がほとんど偏執に近い集中状態にあることは私にも分かっていた。あの九島家の紋章を掲げた商船が、「これは外部との取引だけではない」という事実を、すでに深く突き刺していたからだ。
もし今、キャプテン・ハックの船からさらに確かな九島重工の痕跡が見つかれば、それは彼女にとって疑惑ではなく、傷の確認になる。
私たちは保安隊員二名の護衛のもと、後部貨物艙に到達した。
ハッチが開いた瞬間、最初に目に入ったのは動力炉ではなく、この船全体とはまったく不釣り合いなほど整然と並んだ固定ラックだった。
ひどく奇妙な感覚だった。 全身泥だらけのギャンブラーの家に、磨き上げられた銀の食器セットが飾られているような違和感。あまりにも場違いで、だからこそ目立つ。
真紀は私より一歩早く前へ出た。
貨物艙の中央には、専用の三層防振架台が組まれ、その中心に、大人二人分ほどの長さの密封設備艙があった。外層は灰黒色の熱絶縁シェルに覆われているが、その縁から、嫌になるほど見覚えのある工業用ブルーのロゴが少しだけ覗いていた。
ロゴは一度、粗雑に削り取られていた。だが削りきれていない。墓石から姓名を削り落とそうとして、かえって見苦しい傷跡だけを残してしまった人間の仕事のようだった。
九島重工。
私の心が沈んだ。 「本当にここにあったのね」私は低く呟いた。
真紀は答えなかった。 すでにしゃがみ込み、固定ラックの内側にある点検区へと直接向かっていた。そこには小さなメンテナンスパネルが貼られていた。普通の人間なら「蓋がある」程度にしか見ないだろうが、彼女は一瞥しただけで顔色を変えた。
大きな変化ではない。 ただ、彼女という人間全体が、一瞬でさらに半度冷え込んだような変化だった。
「これは外部工場の補修品じゃない」と彼女は言った。
私は彼女の傍らへ歩み寄った。 「何が見えたの?」
彼女は指先でメンテナンスパネルの縁の溶接痕を軽く叩いた。 「この補強工法は、家の内部改修ラインでしか使わない」彼女の語気は平坦だった。「外の人間は形は真似できても、手順までは真似できない」
私は彼女が指した場所を見たが、どれも私には等しく「溶接された金属」にしか見えなかった。専門性の残酷さとは、こういう時に露わになる。私が金属を見ている時、彼女は家系図を見ているのだ。
真紀はさらに手を伸ばし、メンテナンスパネルの下に貼り直された絶縁層の一片をめくり、中の点検コードを露出させた。
そのコードは短かったが、フォーマットが異様なほど整然としていた。
彼女はそれを一瞥した瞬間、呼吸をごく軽く半拍だけ止めた。
私もその一瞬に見てしまった―― 彼女の目の奥で、それまで確かに抑え込まれていたはずの平静の層が、底から何かに叩かれたように揺れたのを。
私はすぐには口を開かなかった。 こういう時、「大丈夫?」という問いが一番役に立たないことを知っていたからだ。彼女のような人間は、本当に大丈夫でなくても、ここでそれを認めたりはしない。
だから私はただ、低く聞いた。 「確定した?」
彼女は二秒黙り、それから言った。 「……ええ」
たった一語だ。 だが、その重さは十分だった。
私は追及せず、ただごく軽く手を彼女の腕の外側に当てた。短く、彼女がまだそこにいることを確認するだけのような動作。私たちがただ物証を調べている二人の相棒であるかのように、他意を持たずに。
それでも、彼女はすぐには離さなかった。 その一点だけで、今の彼女が確かに大丈夫ではないと、十分に分かった。
背後から足音が聞こえた。
アカリが工務員二名を連れて入ってきて、その後ろにハーヴィーが続いていた。
ハーヴィーは入室した瞬間、目を輝かせた。普通の人間が盗品を見た時の輝きではない。技術者が高価値の設備を目にした時、魂が呼び覚まされる類の輝きだった。彼はほとんど設備艙に飛びつくように近づき、長年会えなかった恋人に再会したかのように、その場でスパナ片手にセレナーデを歌い出さなかったのが不思議なほどだった。
「……おお」彼は息を吸い込んだ。「これは思ってたより新品だ」
その表情を見て、私はふとこのヘリウム・水素駆動炉に同情したくなった。ハーヴィーにこの目で見られた機械は、以後の生涯でプライバシーというものをほとんど持てなくなるからだ。
「運べる?」私は聞いた。 「運べる」ハーヴィーはすでに固定具と冷却モジュールの確認を始めていた。「それに、これだけじゃない」
彼は傍らのいくつかの副次的密封ケースを示した。 「これらの資材も一緒に持っていく。表示を見る限り、高導電バスバーと出力安定化ユニットだ。正しい場所に組み込めば、兵装の供給率を一段階引き上げられる」
私は瞬きをした。 「……つまり、キャプテン・ハックは心臓を運んだだけじゃなくて、ついでに筋肉増強剤まで運んでたってこと?」
ハーヴィーは顔を上げ、極めて真剣な表情で言った。 「その比喩はひどいけど、方向は合ってる」
上等だ。 この口調で認められたということは、たぶん当たりを引いたということだ。
「とても面白い」★四つか五つを押してね!
「普通かなぁ?」★三つを押してね!
「あまりかな?」★一つか二つを押してね!




