121. 尻尾を掴む 1
この物語はフィクションです。実在の人物・団体・事件・名称等は一切関係ありません。
火力が強すぎるんじゃないか、と一瞬本気で思った。
観測スクリーンの上を光束が横切った瞬間、それはもはや艦砲射撃と呼べる代物ではなかった。むしろ宇宙そのものが急に苛立ち、光る定規を取り出して、帝国の巡邏艇を真ん中から一気に切り裂いてみせたようだった。
あの青みを帯びた白い直射線は、あまりにも清潔で、あまりにも俐落だった。そこには感情らしきものがほとんど見当たらない。癇癪持ちだが専門性だけは高い外科医が、病巣にいちいち説明する手間を惜しんで、そのまま切除したような一撃だった。
そして、切り取られた半分の帝国巡邏艇は、そのまま花のように爆ぜた。
これは道理に合っている。 見間違いでなければ、あの光は普通の艦載パルス砲でもなければ、ローレンス修理廠の闇市の寄せ集めで再現できるような代物でもない。
あれは陽電子砲――イゾルデだ。
雪風が普段は深く隠し持ち、一度その正体を明かせば、関わった全員に人生の選択問題を一から考え直させる、あの切り札の一枚。
後頸部一面が、しびれた。
「……真紀」 「分かってる」
前席の彼女は景雲をさらに低く押さえ込み、機体全体をデブリ帯の影に貼り付いた薄氷の一片へと変えた。余計な熱の影は、一点も漏らそうとしなかった。
さっきの一射が砕いたのは、帝国巡邏艇一隻だけではない。「三方がこそこそと引っ張り合う」という局面全体を、「もう誰も取り繕うな」という段階へ、一気に吹き飛ばしたのだ。
次の瞬間、通信パネルが点灯した。 私用回線でも暗号回線でもない。公共周波数だ。
私は心の中で一言罵った。
案の定、アッシュの声が公共航域の全体へ堂々と炸裂した。まるで全艦の鼓膜に直接スピーカーを押し当てて話しているかのように、はっきりと。
「――こちらは連邦軍陽炎型駆逐艦八番艦、雪風。代理艦長、アッシュ・ヴァンダーだ」
私はその場で目を閉じた。 終わった。 本当に彼だ。 しかも「どうせ撃ったのだから、この場面ごと大きくしてやろう」という、あのモードの彼だ。
前席の真紀は何も言わなかった。 私の方は、心の中で猛烈に罵り続けていた。
公共チャンネルを使うなと言いたい! ここがどこだと思っているの? 闇市の外縁、灰色の航域、海賊の受け渡し現場。帝国の巡邏隊がついさっき、あなた――いえ、あなたに――一隻を吹き飛ばされたばかりだというのに、公共の周波数で堂々と艦名と名前を名乗る? この行為の本質は、覆面強盗が銀行に入る前に自分の戸籍住所を読み上げるのと、大差ない。
だが次の瞬間、私は理解した。
アッシュは「通報」しているのではない。 「刻印」を押しているのだ。
公共周波数の意味は、より多くの人間に聞かせることだけではない。より多くの人間が後から「最初から知っていた」という顔をできるようにすることだ。この一言が放たれた以上、さっきの九島商船とキャプテン・ハックの接舷は、もはや私たちだけが持つ秘密の映像ではなくなった。連邦軍駆逐艦の代理艦長が、公共航域で自ら口にした、公式な疑惑になったのだ。
否定してもいい。死んだふりをしてもいい。だが、「誰も知らない」とは、もう言えない。
そしてアッシュの次の一言は、案の定さらに性質が悪かった。
「ここは公共の航行海域だが――」彼の語気は、驚くほど柔らかかった。保険の条款を茶会で説明するような柔らかさだ。「――海賊と手を組むのは、大声で言えることではないだろう?」
私はあやうく副制御板に額をぶつけそうになった。
あなたがもう大声で言ってしまったのだが!
遠くにいる、あの九島家の紋章を掲げた商船の船長に、もし今でも血圧というものがあるなら、アッシュのこの一言で耳から噴き出しかけているだろう。
真紀がようやく、ごく淡く口を開いた。 「わざとやってるのよ」 「分かってる」私は公共チャンネルの表示灯を睨みつけた。「問題は、わざとが過ぎて殴りたくなるってことよ」 「それも彼の才能の一つね」
この言葉が真紀の口から出ると、破壊力が高い。彼女は普段、誰かの人格的な長所を補足してやるような人間ではないからだ。この口調で認めるということは、アッシュの「礼儀で脅しを包む」やり方が、もう特技と呼んでいい水準に達している証拠だった。
公共チャンネルで、アッシュは相手にほとんど猶予を与えなかった。
「さっさと消えろ」語気は依然として平坦で、相手に安全な出口を親切に示しているかのようだった。「その海賊を渡せ」
画面を見つめながら、私の頭にはただ一文しか残らなかった。 ――今、いったいどっちが海賊なのよ?
前方の局勢は即座に一変した。
「たまたまこの辺りを巡回していて、たまたま不審船に出くわしただけだ」という姿勢を辛うじて保っていた帝国の巡邏隊は、あの一射と公共周波数の呼びかけで、明らかに判断を乱されていた。
仲間の一隻を失っただけでも十分に痛いのに、連邦軍の駆逐艦から「海賊と結託している」と名指しで泥を被せられたのだ。この汚水は、洗い流せるとしても、まず服を脱ぐ時間が必要になる。
そして帝国軍には、ひどく鬱陶しいが、こういう時には面白い習性がある――戦うことよりも、見苦しい記録を残すことを嫌がるのだ。特に、公共チャンネルで先に道徳的高地を占領されている状況では。
一隻の巡邏艇が即座に転針し、隊形を立て直そうとした。もう一隻は、九島商船に向けて短く姿勢確認を行った。この時の商船の振る舞いは、さらに見事だった。まるで宴席でうっかりギャンブラーと握手しているところを見られ、慌てて手を離し、消毒シートを取り出す名門の令嬢のようだった。
外部灯号を素早く切り替え、識別信号を先ほどより一段と守法的に光らせ、船全体で「我々は誤解された正当な民間物流船です、帝国軍閣下、どうかご明察を」と訴えているようだった。
私は危うく吹き出しそうになった。おかしいからではない。気持ち悪くて、滑稽だったからだ。
真紀も明らかにそれを見ていた。声には出さなかった。だが、さっきまで抑え込まれていた彼女の肩のラインが、ごく短い一瞬、また強く張ったのが見えた。
私はもう彼女に触れなかった。触れたくないからではない。今は適切ではないからだ。さっきの高圧の中でのあの一瞬でさえ、すでに十分すぎるほど失制だった。もう一度触れれば、自分の頭がまた二度目の罪を犯しそうで怖かった。しかも、さらに始末が悪いことに、あの口づけを思い出すたびに胸の奥がまだ熱くなり、次の瞬間には呪われたように、ジェスのあの忌々しい「友情のキス」が記憶の底から飛び出してきて、追い打ちをかけてくる。
真紀とキスをした後でさえ、ジェスへの羞恥心のために精神を割かなければならないとは、私という人間はどれだけ出来損ないなのだろう。この精神構造を分解図にして持ち込んだら、医務室でさえ受け入れを拒否するかもしれない。
公共チャンネルの向こうは、数秒間沈黙した。そして帝国軍は、最も帝国軍らしい選択をした――まず退く。
全面的な逃走でも、狼狽した潰走でもない。ひどく形式を重んじた、「今日は我々が怯んだのではない、ただ事を大きくしたくないだけだ」という体裁の後退だった。カードゲームで一手負けた人間が、手を震わせながらも「次の勝負で取り返す」と言い張るような後退だ。
だが、キャプテン・ハックにとって、その体面には何の意味もなかった。雪風がすでに、この場に入り込んでいたからだ。
私はこの角度から、雪風が自らを暗闇の中から引き抜いていく姿を、初めて見た。
まず熱影。次に輪郭。最後に艦全体が、氷層の下に潜んでいた怪物がゆっくりと頭を持ち上げるように、あの特改駆逐艦特有の、細長さと凶暴さの間にある艦影を、視野全体へ押し込んできた。
装甲には修復途中の色差が残り、外板にはローレンス修理廠での溶接痕がまだ生々しく残っている。美しくはない。完全とさえ言えない。だが、その美しくなさゆえに、「この艦が今日まで生き延びてきたのは手入れのおかげではなく、相手を咬み殺してきたからだ」という実感が、より濃く伝わってくる。
そしてイゾルデの主砲ラインは、たった今、一度光を放ったばかりだ。その光は、基本的な生存本能を持つ者なら誰でも、自分がこれ以上強がるべきかどうかを考え直させるのに十分だった。
キャプテン・ハックにも、その本能は明らかにまだ残っていたらしい。彼の武装略奪船は、雪風を前にした瞬間、もう海賊ではなくなった。帝国の巡邏艇相手にはまだ荷を投棄したり航路を乱したりして粋がっていたのに、雪風に正面から圧をかけられると、船全体が教師に名指しされた不良生徒のように見えた。口では強がりたいのに、膝が先に折れている。
「終わったわね」私は低く言った。 「誰にとって?」真紀が問う。 「キャプテン・ハックにとって」 「それはどうかしら」彼女は前を見据えたまま言った。「素直に空気を読むなら、今日は皮を剥がれるだけで、死なずに済むかもしれない」
この評価は、実に真紀らしかった。冷静で、実務的で、「死ぬかどうかは、あなたが手順に協力できるか次第」という行政文書のような匂いがする。
雪風は時間を無駄にしなかった。公共チャンネルが静まると、行動でそのまま発言権を引き継いだ。艦首の微調整、相対姿勢の噛み合わせ、強行接舷手順の起動。すべての動作が、あらかじめ何度も演習してきたかのように速かった。
キャプテン・ハックの等級の船では、巡邏艇と雪風に交互に脅された今の状態はもちろん、平時の万全な状態であっても、この種の密着した力による押し込みには耐えられない。
雪風が接舷していく様子は、聞こえのいい言い方をすれば強行接舷。はっきり言えば――
お前は今から、私のものだ。
案の定、キャプテン・ハック側はそれ以上暴れなかった。いや、暴れなかったのではなく、素早く計算を済ませたのだろう。さっきの帝国巡邏艇にすら勝てなかったのに、今度は陽電子砲を開幕の挨拶に使うような怪物が相手だ。ここで抵抗するのは、海賊ではなく殉教者のすることだ。そして、キャプテン・ハックのあの顔つきを見る限り、そこまで崇高な人間には見えなかった。
その時、景雲の信号灯が二度点滅した。公共リンクでも、雪風のメイン通信でもない。近距離指向性の視覚光コードだ。私は反射的に識別ページへ切り替え、一目で誰からか分かった。
アカリだ。
「アカリから信号が来た」私は言った。 「内容は」真紀が問う。 私は素早く解読した。 「反対側から帰艦しろ、とのこと」私は一拍置いて続けた。「帰艦後は艦橋へ戻らず、そのまま前段の接舷区へ直行。アッシュと、完全武装の保安隊と合流して、キャプテン・ハックの船に乗り込む」
言い終えたところで、私自身が二秒ほど黙り込んだ。頭の中に残ったのは、ひどく素朴な感想だけだった。
――今日は本当に、踏める地雷を一日で全部踏み切るつもりらしい。
真紀は意外そうな様子もなかった。 「合理的ね」 「どこが?」 「アッシュが、第一現場の目撃証人であるあなたを、遊ばせておくと思う?」 「今になって、さっき近視だったらよかったと本気で思ってる」
彼女はごく軽く息を吐いたようだった。 「もう遅いわ」
その一言はひどく単純だった。だが、さっきからの一連の出来事で私の感覚神経が少し狂ってしまったのか、その中に、ごく淡い、ほとんど許容に近い響きを聞き取ってしまった。危険だ。こういう時に一番やってはいけないのは、真紀の語尾に別の意味が含まれているかどうかを分析することだ。分析の果てに死ぬのは、たいてい敵ではなく、自分自身の面子だ。
景雲は隠蔽位置を離れ、アカリが指定した暗航路に沿って雪風の反対側へと回り込んでいった。
この回り込みで、視角も変わった。
キャプテン・ハックの船が雪風に噛みつかれている様子は、さっき想像していたよりもさらに惨めだった。両艦の間の接舷クランプと固定アームは、金属の獣の顎のように、あの破船の外板にしっかりと食い込んでいる。その対比のせいで、キャプテン・ハックの船は、引き上げられたばかりで、まだ尾を振ろうとする腐りかけの魚にしか見えなかった。
雪風の外部近接防御砲塔は全開にはなっていない。それでも、「今は狙っていないだけで、次の瞬間はそうとは限らない」という姿勢だけで、まだ計算のできる人間には口を閉じさせるのに十分だった。
その画面を見ながら、私はふと、アッシュの先ほどの「その海賊を渡せ」という言葉が、実は言い足りなかったことに気づいた。なぜなら、今のこの光景はもっと正確に言えば――
渡さなくても構わない。自分で取りに来た。
この男は、ある種の場面では、海賊とは制服の色しか違わない気質を確かに持っている。
そこまで考えて、思わず小声で呟いた。 「連邦軍と海賊の違いが、だんだん分からなくなってきたわ」
真紀の返しは早かった。 「報告書の書式が違うのよ」
私は吹き出しそうになった。容赦がなさすぎて、彼女が意図的に、張り詰めた私の神経を少しほぐそうとしているのではないかと疑いたくなるほどだった。そうでなければ、こういう時の彼女は普通「集中して」としか言わないはずだ。ついでに体制まで斬るような台詞は出てこない。
「それもそうね」私は言った。「海賊は少なくとも、事後報告書を書かなくていいものね」 「それなら、転職を考える?」 「遠慮する。福利厚生がもっと悪そうだから」
景雲は、そんな栄養のない小声の言い合いの中で、無事に雪風の遮蔽面へと回り込んだ。前方の主戦場が艦体に半分遮られ、通信ノイズもそれに応じて少し減った。それが逆に、自分の心拍を鮮明にした。
静かになると、人はさっき考えるべきでなかったことを考え始めてしまうからだ。
景雲が雪風の回収航路に入ると、自動誘導が姿勢制御の一部を引き継いだ。真紀の手にかかっていた負荷はようやく少し軽くなったが、彼女は最後まで操作をきれいに、無駄なく仕上げていた。まるでさっきの一連の出来事のすべてが、通常勤務の一部でしかなかったかのように。
着艦が完了し、キャノピーがまだ完全に開く前に、雪風内部の金属の匂いが先に流れ込んできた。
懐かしくて、安心する匂いだ。そして同時に、この後にろくなことは起きないと知らせてくる、馴染みのある匂いでもあった。
回収デッキに足を踏み入れた時、出迎えに来たのはハーヴィーでも、蘭でも、普段なら先に一言嫌味を言ってから本題に入る誰かでもなかった。完全武装の保安隊員二名だった。フェイスシールドまで下ろし終え、「これから話し合いに行くのではなく、相手に協力の仕方を学ばせに行くのだ」という仕事の姿勢を全身から漂わせていた。
一人が短く手信号を送った。 「前段接舷区へ。代理艦長がお待ちです」
私は真紀と視線を交わした。いや、正確に言えば、私がこっそり彼女を盗み見て、彼女がそれを咎めるのを面倒がっただけだ。
私たちは艦橋にも休息区にも戻らず、前段の通路をそのまま接舷区へ向かった。道中、雪風の艙壁には新しく溶接した跡がまだ見え、いくつかの配管は隠されもせずに剥き出しのままだった。傷口を縫い終えたばかりなのに、もう刃を提げて表へ出ようとしている人間のようだ。この艦はいつもそうだ。完全に治ってから喧嘩を売ることは決してない。「まだ噛めるなら、まず噛んでから考える」というのが、彼女の哲学に近い。
接舷区の空気は、艦内のどこよりも、嵐の最前線に似ていた。
アッシュが前方に立っていた。正式な礼装ではなく、わざと艦長らしい格式を気取っているわけでもない。戦術用のジャケットに身を包み、腰の側面に拳銃を提げ、手には資料板を持ち、顔には典型的な、穏やかすぎて不安になる表情を浮かべていた。
完全武装の保安隊が彼の後方に並んでいた。Dもその中にいる。防護装備をきちんと身につけ、ようやく自分の気質に合った仕事――つまり「必要とあらば、堂々と人を地面に押さえつける」仕事を割り当てられた顔をしていた。
アッシュは目を上げて私たちを見ると、まず私を一瞥し、それから真紀を見た。
「ご苦労だった」彼は言った。「証拠の保全は完了したか?」 「完了した」真紀が答えた。 私が付け加えた。「帝国軍、九島商船、キャプテン・ハック。三者の姿勢と、交渉前後のすべてを撮った。商船が媚びを売る場面もある」
アッシュが頷いた。頷きは小さかったが、彼が上機嫌であることは私にも分かった。彼が最も好むことの一つは、相手がまだ自分に操作の余地があると思っている間に、実はその弱みをすでにファイルへ綴じてしまっていた、と気づかせることなのだから。
「よし」彼は言った。「では、キャプテン・ハックと少し話し合ってきてもらおうか」
私は彼を見て、次にその背後に並ぶ、呼吸まで規定通りのような完全武装の保安隊を見た。
最後にはやはり我慢できなかった。 「……それを『話し合い』と呼ぶの?」
アッシュは自然な様子で答えた。 「私は常に、対話の雰囲気を大事にする人間だからな」
私はあやうく白目を剥きそうになった。 真紀が横から淡々と刺した。 「彼はただ、拒否という選択肢を先に取り除いておく習慣があるだけよ」
アッシュは、褒められたような顔をわずかに見せた。 「副長、よく分かっているな」 「いいえ」真紀は言った。「ただ、付き合いが長すぎるだけ」
私は二人の間に立ち、この世で一番危険なのは陽電子砲でも、帝国の巡邏隊でも、海賊船でもないと、ふと思った。
頭が切れて、口も回る二人が、同じ側に立っていることだ。
接舷区の向こう側、キャプテン・ハックの船へ通じるハッチが、すでに開放の準備を整えていた。
「とても面白い」★四つか五つを押してね!
「普通かなぁ?」★三つを押してね!
「あまりかな?」★一つか二つを押してね!




