118. 親友からのキスは修羅場の始まり!? 2
この物語はフィクションです。実在の人物・団体・事件・名称等は一切関係ありません。
アッシュも理解していた。 彼はすべての線を一つに収束させるように、机の上を指先で軽く叩いた。
「では、買わない」彼は言った。
部屋が一瞬静まり返った。 意外だったからではない。 確認だ。 全員、心のどこかでこの答えを予感していた。ただ、誰かが正式に口にする必要があっただけだ。
アッシュは目を上げ、私と真紀を見た。
「我々はまず動かない。キャプテン・ハックに、こちらの本当の関心を悟らせない。ステーション内の第二ラウンドの価格交渉は予定通り進め、親方には、我々がまだ修理に専念し、資材を計算し、帳簿烏たちと互いに嫌がらせを言い合っていると思わせる。ジェス、氷晶の帳簿は引き続き厳しく抑えて。外から見えるのは、次のラウンドを乗り切れるかどうかを計算している雪風であって、心臓のすげ替えを準備している雪風じゃない」
ジェスがすぐに応じた。 「了解。とことん貧乏くさくて見栄えの悪い表を作ってみせる」 「その才能、日に日に恐ろしくなってるわね」と私。 「生活に追われてるからよ」
アッシュは次の指示に移った。 「蘭、キャプテン・ハックの出航ウィンドウ、補給の流れ、航路申請を監視し続けて。変更があれば即座に報告」 「了解」
「アカリ、零式最優先」彼は言った。「見栄えは要らない。飛べて、追尾できて、黙っていられればそれでいい」
アカリが実に専門家らしい白目を剥いた。 「それなら、ジェスに機体の外装ステッカーを触らせないで」 「私には美学があるだけよ!」ジェスが抗議する。 「あなたの美学のせいで、レーダー反射断面積が〇・〇三増えるの」アカリが冷たく返す。 「……了解、今の発言はなかったことにする」
アッシュがようやく、視線を再び私と真紀に戻した。 その瞬間、私はもう次の台詞をほとんど予感していた。 案の定だった。
「キャプテン・ハックが予定を前倒しで出港した場合」アッシュは言った。「真紀とシモが零式で出て、尾行する」
胸の中の予感が着地し、逆に落ち着いた。 最初からそこにいた何かが、ようやく正式に名前を呼ばれたような感覚だった。
真紀は余計な反応を一切見せず、ただ静かに問うた。 「雪風は?」
アッシュの答えも簡潔だった。 「雪風はすぐには動かない」彼はステーション外の航路図を投影に出した。「係留区に留まり、『まだ修理中、まだ交渉中、金は払うが騒ぎを起こす暇はないボロ船』という表の顔を維持する。お前たちがキャプテン・ハックの針路、護衛の有無、背後にさらに尾がついていないかを確認してから、雪風を出す」
私は頷いた。 「つまり、私たちが先に影になって、雪風が棍棒になる」
アッシュが私を見る。 「その比喩は野暮だが、正しい」 「最近、私、地に足がついてるのよね」 「見ればわかるわ」真紀が淡々と言った。
……副長殿、今日は少し機嫌がいいんじゃないだろうか? 人を嫌みる言葉にまで、少し温度がある気がする。 これは危険だ。 すぐにつけあがってしまいそうになる。
だから私は急いで意識を戦術に戻した。
「もしキャプテン・ハックが本当にあの炉を積んだまま、帝国軍に噛みつかれたら?」私は聞いた。
アッシュがようやく、ごく薄い笑みを見せた。 嬉しそうな笑みではない。 「ようやく本当に聞くべきところを聞いたな」という種類の笑みだ。
「それなら、なお結構だ」彼は言った。
私は眉を上げた。 真紀も彼を見る。
アッシュは外周の巡邏熱域図をもう一枚重ねた。帝国の辺境巡邏部隊のよくある航跡がいくつか描かれている。八割は理解できなかったが、そのうち二本が最近、ローレンス修理廠のあるこのグレーゾーンに近づいていることだけは分かった。
「この近辺には、元々帝国の巡邏部隊が活動している」アッシュは言った。「キャプテン・ハックのような船が出港すれば、彼が日頃積み上げてきた恨みだけで、十分に二度見される。もしそこにさらに誰かが、帝国軍にごく軽く耳打ちしたら――『あるグレーな航路上に、調べる価値のある略奪船がいる』と」
彼はそこで言葉を止めた。
私は彼を見つめ、背中がやけに心地よく痺れるのを感じた。
「……あんたたち上に立つ人間って、本当に陰湿ね」私は心から言った。 「陰湿じゃない」アッシュが言った。「弾薬の節約だ」
真紀はその言葉には乗らず、ただ冷静にその戦術的意味を補った。
「キャプテン・ハックが先に帝国の巡邏艦と交戦すれば、私たちは彼の船の改修強度、あの炉が本当に接続を完了しているか、そして彼が命惜しさにどこまで手札を晒すかが分かる」
「ついでに、彼をもっと私たちに依存させられる」と私。 「そういうことだ」アッシュが言った。
ジェスがタブレットを抱えたまま、思わず感嘆した。 「私、本気でキャプテン・ハックのために蝋燭を一本立ててあげたい気分。でも彼がバニラの香りが好きか、火薬の匂いが好きか分からないのが残念」 「機油の匂いが似合うと思うけど」と私。
蘭さえ、うつむいて口元を隠した。
そんな空気の中でも、アッシュは会議を現実の層へと引き戻した。
「問題は一つだけだ」彼は言った。 「何?」私が問う。 「雪風はまだ、無傷で拳を振れる状態じゃない」彼は私たちを見て、語気を再び沈めた。「本当にステーション外で足止めするなら、極めてクリーンな戦い方しか選べない。長引かせるな。内部の改修を晒しすぎるな。ローレンス修理廠と帝国軍の両方に、我々の完全な火力の輪郭を掴ませるな」
真紀が頷いた。 「つまり、いざ動くとなったら、目標は殲滅じゃなくて場のコントロール」 「その通りだ」アッシュは言った。「欲しいのはあの炉と、キャプテン・ハックの持つ選択権、そしてレジャーと親方の目の前から主導権を奪い取ることだ。爽快に撃ち合うためじゃない」
私は小さくため息をついた。 「そう言われると、昔の『敵艦を見たら、とにかく一発ぶちかます』っていう青春が、ちょっと恋しくなってくる」 「あなたのその青春は、大抵結末が短いわよ」真紀が言った。 「……副長、あなた、本当に絶妙なタイミングで人の興を削ぐのが得意よね」 「どういたしまして」
ここまでで、作戦の骨組みは大体固まった。 私と真紀が持ち帰ったのは、「ステーション内に海賊船といい代物があった」という見聞録だけではなく、次の行動の骨格そのものだった。アッシュがそれを実行可能な計画に組み立て、真紀がその技術的価値とリスクの境界を確定し、そして私は――
まあ、この陰険なほど美しい計画を一通り聞いた後で、それでも自分がまだ一緒に飛び込みたいと思っているかどうかを確認する係、ということにしておこう。
その時、真紀がふと視線を私に戻した。 「シモ」 「なに?」 「あなたが単独でステーション内外を動き回る手配は、今この瞬間から取り消すわ」彼女は言った。
私は目を瞬かせた。 「え?」 「帳場があなたのデータを探し始めている以上、あなたがこれ以上一人でうろつくのは、相手の尾行コストを肩代わりしてあげているようなもの」彼女はごく平然と、しかし一切の交渉の余地なく言った。「これから外に出る時、係留区を動く時、資材区画に行く時は、最低二人で」
ジェスが即座に手を挙げた。 「私、付き添い役に立候補してもいい? ちゃんと道中ずっと――」 「却下」真紀とアッシュが同時に言った。
ジェスはしょんぼりと肩を落とした。 「あなたたち二人、最近本当に息が合いすぎて嫌になる」
私は思わず笑った。 だが、笑いが収まる前に、真紀の次の言葉が飛んできた。
「零式が出る前に、あなたはまず四時間休んで」
私はその場で顔をしかめた。 「今?」 「そう、今」 「でも、さっき踏み込んできたばかりで、まだ詰めるべき細部が――」 「あなたの細部はもう持ち帰ったわ」彼女は私を見た。その目は、命令を床に直接釘付けるように安定していた。「この後、本当にキャプテン・ハックを追って出港して、外縁で帝国の巡邏艦まで見張ることになるかもしれない。その時に必要なのは熱意じゃなくて、冷えた頭よ」
まだ何か言おうとしたところで、アッシュが横から追い打ちをかけた。 「副長の言う通りだ。今の状態で四時間眠る方が、ここでステーション内の係留図をもう二枚見るより価値がある」
私は彼を睨んだ。 「あなたたち、今日事前に打ち合わせした?」 「していない」アッシュが言った。 真紀も淡々と付け加えた。 「ただ、今のあなたは、意地とアドレナリンだけで無理を続けて、ミスを犯す手前の人間に見えるだけ」
図星だった。
私は腕を組んでその場に立ち、二秒ほど黙り込み、最後は観念して息を吐いた。
「分かった」私は言った。「寝てくる。起きた時にキャプテン・ハックがまだいたら、引き続き張る。もう出港していたら、零式でついていく」
真紀が頷いた。 「それでいい」
私が踵を返してドアへ向かい、ちょうど出口の前まで来た時、アッシュに呼び止められた。
「シモ」
私は振り返った。 彼は私を見ていた。相変わらず平坦で、音量を無駄にしない口調で。
「今日持ち帰ったもの、よくやった」
……終わった。 この連中は、今日交代で正面から誉め言葉を投げて、私を落ち着かなくさせようと相談していたんじゃないだろうか。
私の口元が引きつった。 「あなたたち今日、何か変なものでも食べた?」 「いや」アッシュは言った。「ただ、良い情報は良い情報として扱われるべきだからだ」
私はドアの前に立ったまま、彼をからかうべきか、それともこの一言に少し正直に嬉しくなってしまった自分をどうにかすべきか、一瞬分からなくなった。
結局、私はひどく格好のつかない一言だけを返した。
「……了解」
そして、そそくさと部屋を出た。 これ以上そこに留まっていたら、ドアの前で本当に間抜けな木の杭になってしまいそうだったから。
臨時艦橋を出ると、雪風の中段通路の照明は相変わらず白く、溶接の音、荷運びの音、遠くの機関区から漏れ聞こえる罵声も相変わらず生活感に満ちていた。だが私の中では、もうはっきりと分かっていた。この艦は、これから数時間後には「修理中のボロ船」という顔を脱ぎ捨て、別の顔に切り替わる。
追われる側ではない。 自分でタイミングを選び、戦場を選び、誰に仕掛けるかを選ぶ側だ。 そして今度は、私と真紀が先に出る。 あの改修強偵察零式で、キャプテン・ハックの船の尾を咬む。
そこまで考えた時、本来ならまず眠るべきなのに、心拍数はむしろはっきりと上がっていた。 まったく厄介なことだ。 でも―― 私たちらしい厄介さだ。
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