118. 親友からのキスは修羅場の始まり!? 3
この物語はフィクションです。実在の人物・団体・事件・名称等は一切関係ありません。
臨時艦橋を離れた後も、頭の中はあの九島重工のヘリウム・水素駆動炉のことを回り続けていた。 「わあ格好いい、欲しい」という子どもっぽい感想ではない――正直に言えば、それが全くないわけでもないけれど――もっと厄介な方向の考えだ。
「もし手に入ったら」から始まって、「手に入れても取り付けられなかったら」「取り付けられたとして、雪風はどう変わるのか」「もしこのラインを誰かに先に押さえられたら、取り戻すのに何人死ぬことになるのか」まで、一直線に転がっていく類の思考だ。
簡単に言えば、就寝前のお供には向かない内容だ。 だが、真紀とアッシュの口調はもう明確だった。今の私がすべきことは、脳漿を煮詰め続けることではなく、休んで、後でキャプテン・ハックを尾行する零式の操縦に備えることだ。
理屈は分かっている。 問題は、頭が策謀と戦術で沸き立っている時に、いきなり睡眠モードへ切り替えるのは難しいということだ。
特にローレンス修理廠のような場所では、空気そのものが焦げ臭さと金属粉と冷却液と闇市の取引が失敗した後の溜め息を一緒に循環システムに詰め込んだような匂いがする。
だから私は足を向け直し、まず食堂へ行った。
今の雪風の食堂は、「食事をする場所」というより、機能がまだ完全には廃れていない集団的な慰安装置に近い。テーブルには傷があり、壁の角には補修板があり、頭上の照明は白く、その中の一灯は時折点滅して、この艦のあらゆる「完全さ」が今は仮のものに過ぎないと提醒してくれる。それでも、ここには少なくとも温かい空気があり、人の声があり、夕食と呼んで差し支えない何かがあった。
配膳台の前でトレーを受け取り、今日のメニューを見て、二秒ほど黙り込んだ。 スープと呼ぶには濃すぎる熱い糊が一椀、圧縮肉のパティが一枚、野菜繊維のペーストが一皿、そして補給が正常化してからようやく「死神に乞い物をしているわけではない」と思えるようになった小さな水のカップ。
「今日、肉のパティがある」私は小声で感嘆した。 配膳の兵士は顔も上げなかった。 「形以外のことに期待しないでください」 「安心して。今の私、人生への期待管理は得意になったから」
トレーを持って振り返り、隅の席を探した時、一番奥の長テーブルにハーヴィーが座っているのが見えた。 より正確に言えば、ハーヴィーに見た目が似ているが、魂の方はヴィクトルに三度バラされて洗われ、無理やり元の場所に詰め戻されたような人型の物体が、そこにいた。
目の前にはほとんど冷めかけたスープが置かれ、手には整備メモか何らかの精神的拷問教材らしきものを握っている。全身から、機関区の実習生特有の荒涼感が漂っていた。
私はトレーを持ってそちらへ歩き、向かいに腰を下ろした。 「まだ生きてたんだ」 ハーヴィーはゆっくり顔を上げた。私を見て、その目に、ごく薄く、同じ種族の生き物を見た時のような安堵が浮かんだ。 「今のところは」と彼は言った。 「その答え方、不吉ね」 「今日の朝、ヴィクトルに言われたんです。『息ができるからって生きてる価値があるとは限らない、この回路図を暗記してから人権の話をしろ』と」
私は口に入れたばかりのスープを噴き出しそうになった。
「……本当にそう言ったの?」 「原文はもっと長くて、三つの異なる年代の工学教育もついでに罵倒されました」ハーヴィーは無表情で言った。
「互換性のあるコネクタを一つ探すために、今日はもうメイン冷却管と二次安定化モジュールと、私の顔より分厚い旧式マニュアルの間を六往復しました」 「それでもご飯を食べてる余裕があるなら、進歩よ」 「違います」ハーヴィーは言った。
「ヴィクトルが、機関室で私が死んだら報告書を書かなければならないのを嫌がっているだけです」
……非常に説得力がある。
私は下を向いてそのパティを切り始めた。食感は「軍隊」と「社会への報復」の中間あたりだったが、今の状況では、温かいものが胃に入るだけで、雪風の後方支援への毒舌を半分引っ込める価値があった。
ハーヴィーはスープを一口飲み、目はまだ少し虚ろだったが、それでも理性を保って聞いてきた。 「星野は? 艦橋から降りてきたばかり?」 「そう」私は叉子を咥えながら曖昧に答えた。 「その顔、すぐには眠れそうにない顔ね」 「まず食べて、それから寝て、頭の中のごちゃごちゃを見て見ぬふりをしようと思ってたんだけど」 「失敗してる?」 「見え見えかしら?」
ハーヴィーが私を一瞥した。 「星野、今の表情、自分が心臓を換えるかもしれないと知ったばかりで、まだ同意書にサインするかどうか決めかねている老いた船みたいよ」
私の叉子が、止まった。 そして顔を上げて彼を見た。 「……なんでそんなに的確なの?」 ハーヴィーは眉をひそめた。 「ただの比喩だけど」 「ああ」 「……ちょっと待って」彼はゆっくりと目を細めた。「今、私は何かに偶然触れた?」
私は下を向いてトレーを見た。 まずい。 しゃべりすぎた。 これが、頭が疲れていて、食堂の照明が白すぎて、パティが不味くて、向かいに最近ヴィクトルに人格の輪郭を削られかけている人間が座っている時に起きやすいことだ――ただ何気なく返事をしようとしたら、その言葉の中に隠れていた重みが突然テーブルに落ちてきた。
ハーヴィーは手にしていたメモを置き、機関区の被害者モードから、ゆっくりとエンジニアの警戒モードへと戻っていった。
「新しい炉を見たの?」彼は低い声で言った。
知らないふりをしようかと思った。 だがハーヴィーという人間は、普段はさほど劇的なところがないくせに、一度キーワードを掴むと、ヴィクトルに蹴り起こされた工作機械のように動き始める。ここで白を切れば、かえって怪しくなるだけだ。
私は左右をちらりと確認した。 食堂に今いる人間は多くない。この直前に当直交代があったばかりで、残っている者は食べることに必死か、他人のことを気にする気力もないほど疲弊しているかのどちらかだ。
声を落とした。 「あなたが想像してるような『新しい炉を見た』じゃないわ」私は言った。「ステーション内のある海賊船――略奪船――が、九島重工の新型ヘリウム・水素駆動炉を積もうとしていた」
ハーヴィーの表情が、一秒だけ空白になった。 それから、今夜初めてまともな精神的反応が彼の顔に現れた。
「……何ですって?」 「そういう反応になると思ってた」 「いや、待って。今おっしゃったのは、九島重工、ヘリウム・水素駆動炉、海賊船、それとも私が最近疲れすぎて幻聴を聞いてる?」 「残念ながら、幻聴じゃない」
ハーヴィーはスプーンを置き、少し前のめりになった。 「はっきり見た?」 「ブランドの刻印はよく見えた。構造は自分では判断できないけど、真紀がもう一度見て、普通の民生品じゃないと判断してる」私はそこで遠回りをやめた。「ハーヴィー、一つ聞いてもいい?」
彼は私を見た。目はすでに、機関区の被害者モードから工学的な警戒モードへと完全に切り替わっていた。 「どうぞ」 私はさらに声を落とした。 「もし」私は言った。「あくまで仮の話として。雪風が本当にあの炉を手に入れられたとして――私たちだけで換装できる? 外の人間に頼らずに?」
ハーヴィーはすぐには答えなかった。 つまり、「夢でも見てる?」という単純な話でも、「絶対に無理」という乾いた話でもない、ということだ。
彼は片手で眉間を押さえ、頭の中で雪風の今の核融合反応炉を分解し、まだ手元にない新しいヘリウム・水素駆動炉を無理やり押し込んで、どこが先に爆発するかをシミュレートしているようだった。
しばらくして、ゆっくりと息を吐いた。 「まず結論から言う」ハーヴィーは言った。「『自分たちでやる、コアの部分に外の人間を入れない』という条件でも、完全に不可能ではない」
私の胸が締まった。 「本当に?」 「でも、喜ぶのはまだ早い」彼は目を上げた。「その『不可能ではない』と『できる』の間には、ヴィクトルが神に向かって罵倒を始めるような工学的地獄が一本丸ごと横たわってる」 「希望があるようで、ないようで」 「そういうものだから」ハーヴィーは低く言った。「雪風の今の核融合反応炉は老骨だ。コネクタは古く、構造は重く、安定化ロジックも古い。もしあのヘリウム・水素駆動炉が本当に九島重工の新型システムなら、理論上は出力効率も瞬時推力の応答も格段に良くなるはずだけど、雪風みたいな年代の艦にそのまま嵌め込めるように作られているわけじゃない」
私は頷いた。 この辺りは大まかに理解できる。 理解できない部分は、「老骨」と「格段に良くなる」で感覚的に翻訳しておく。
ハーヴィーは続けた。 「自分たちでやるなら、前提が四つある」彼は指を一本ずつ折り始めた。「第一に、炉本体が完全な状態であること。キャプテン・ハックたちに改造されて半壊している状態では話にならない。第二に、少なくとも一部の元の接続パラメータが手に入ること。そうでなければ、すべてが推測になる。第三に、雪風のメイン冷却回路と安定化配分ロジックを先に再構成すること。そうしなければ、新しい炉を入れた瞬間に、古い艦の方が先に詰まって止まる。第四は――」
彼はそこで止まり、私を見た。 「第四は、人だ」 「人?」 「そう」ハーヴィーは言った。「ヴィクトル、私、アイダ、アカリ、最低でもこの四つのラインが一緒に引き受けなければならない。それに、真紀のところが規格を読み解いてくれないと、組み付けだけで強引にやり通せる部分は多くない」
最後まで聞いた時、私は妙な感覚に包まれた。 失望ではなかった。 むしろ、少し地に足がついた感じがした。
ハーヴィーは「不可能」とも「夢物語だ」とも言わなかった。「難しい。だが、あの炉が本物で、十分に完全な状態で、雪風の手に落ちるなら、純粋な幻想ではない」と言ったのだ。 今の私には、それで十分だった。
「つまり」私はハーヴィーを見た。「もし本当に手に入れたとしても、ステーションの人間にコアを触らせる必要は、必ずしもない」
ハーヴィーの口元が引きつった。 「星野、今の台詞、動詞の選び方が少し早すぎない?」 「リスクの試算をしているだけよ」 「そのリスクの試算、最初から犯罪を前提にしているように聞こえる」 「ここはローレンス修理廠よ。環境への適応力が必要なの」
ハーヴィーは二秒黙り、それから疲れた様子で額を押さえた。 「九島とアッシュが、なぜ気が休まらないのか、少し分かってきた」 「褒め言葉として受け取っておく」 「褒めてない」 「でも私、最近ポジティブな情報だけを選択的に受け取るようにしてるから」
ハーヴィーは私を見て、もう一言返そうとしたが、最終的にただ低くため息をついた。
「分かった」と彼は言った。「もし本当にその方向に進むなら、少なくとも私には先に教えて。炉を雪風まで引っ張ってきてから、真夜中に起こして出所不明の新しい心臓を見せるのだけは勘弁して」
私は思わず笑った。 「分かった。なるべく心の準備ができるよう、精神崩壊に予告を付けるようにする」 「『なるべく』を外して」 「それは私には難しい要求ね」
最後の一口の不味いが温かいスープを飲み干し、艦橋を出た時のような「頭の中の配線が全部絡まっている」感じは、ずいぶん解けていた。ハーヴィーとのやり取りは何一つ実際の問題を解決していないが、少なくともあの炉を「考えることすら憚られる闇市の怪物」から「もし本当に手に入ったとして、雪風が受け入れられないわけではない」というところまで引き戻してくれた。
それは大きな差だ。 複雑な気持ちのまま、もう数時間生きていける程度には。
立ち上がろうとした時、ハーヴィーが後ろから声をかけた。
「星野」
「なに?」
「気をつけて」
彼は私を見た。珍しく、真剣な表情で。
「もしステーション内で本当に氷晶を辿って人を探す動きが始まっているなら、あなたはあの炉より先に目を付けられやすい」
私は手を軽く上げ、その言葉を受け取った。 「大丈夫、私は命が丈夫だから」 ハーヴィーは二秒ほど私を見つめた。 「私が心配しているのは、あなたの頭が熱いことの方」
……この人、最近本当に正直なことを言うようになった。 可愛くない。
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