114. 隠蔽 4
この物語はフィクションです。実在の人物・団体・事件・名称等は一切関係ありません。
これがジェスの言葉なら、三流の都市怪談を見すぎだと言っただろう。ロイの言葉なら、まだ亀裂の縁の恐怖から完全に戻っていないのかと疑っただろう。だが言ったのはアイダだ。
アイダは劇的な効果のために嘘をつかない。
アイダはデータで人を怖がらせるだけだ。
「証拠は?」私は訊いた。
「直接的な証拠はない」アイダは正直に言った。「ただ、三点ある。第一、氷晶は旧式の奇点場残波に対して異常に高い一致を示す。第二、退役した動力コイル外殻への反応は励起ではなく、周波数合わせだ。第三――」
アイダは別のスキャン図を呼び出した。
雪風の主動力層より下の旧構造図だった。もともと不完全で、多くの部分が年代と秘密指定によって削り取られたように、輪郭しか残っていない。だがアイダは「識別不能の副回路」とマークされた古い区画に氷晶の応答スペクトルを当てはめたところ、微弱なパターン共鳴が現れた。
直接結論を出せるほど強くはない。
だが、夜眠れなくなるには十分だ。
「この副回路、艦内データベースには完全な注釈がない」アイダは言った。「最下層の権限まで追っても、犬に齧られたような古いラベルがいくつかあるだけだ。年代は非常に古く、現役の改装記録より前のはずだ」
「飛田艦長は知っているか?」
「おそらく」アイダは慎重に言った。「あるいは、この艦に知っている人間がいるとすれば、最も可能性が高いのは飛田艦長だ」
私は心の中で、冷たく笑った。
素晴らしい。
またしても「飛田は多分知っているが今は医療艙で冷凍庫の中に眠っている」パターンだ。代理指揮官にとってこの情報配置は、試験用紙に「教授が教えていない定理を自分で導出してください」と書いてあるのと同じくらい、気の利いた仕掛けだ。
隣の金属椅子を引き寄せて座り、あのいくつかの図を見つめながら、データそのものより厄介な問題を考え始めた。
上に報告するかどうか。
理論上、これは問題にもならない。
代理指揮官として、艦艇の核心システム、未知の装置、潜在的に高い価値を持つ材料、そして隠されていた可能性のある旧規格回路に関わることに遭遇したなら、正しい手順は当然、完全な報告書を即座に提出し、真紀とアッシュに通知し、必要に応じてサンプルを封印し、接触権限を制限し、すべてを整然と書き上げて、まだ生きていて閲覧資格のある全員が、私たちが今どのレベルの厄介事を踏んだのかを知れるようにすることだ。
理論上は。
残念ながら、雪風は今、理論の外に生きている。
真紀とアッシュは回復中だが、まだ完全に職務に戻っていない。飛田艦長は重傷で冷凍睡眠中。全艦の士気は、水と地表での成果を持ち帰ったことでようやく少し回復したところだ。そして艦橋では、私の代理指揮のスタイルに対して異なる声が出始めている。
もし今これを全部開けたら、外敵を待つまでもなく、私たちは自分たちで三種類の厄介事を育ててしまう。
第一種、技術派の人間が即座に興奮し、氷晶を動力層へ送り込んで雪風から奇跡を搾り出せないかと試みようとする。「奇跡を搾り出す」という言葉は、大爆発の同義語だ。
第二種、保守派が完全封印を要求し、サンプルを廃棄するよう求める。この種の正体不明の物質と旧式の隠し装置の組み合わせは、どう見ても事故報告書が書きにくくなるものだからだ。
第三種、最も厄介――情報が艦内に広まれば、全員が知ることになる。私たちは氷封惑星で水だけでなく、雪風の秘密に関係するかもしれない何かを掘り出したと。そしてこれはすぐに「技術的な問題」から「誰が知るべきで、誰が知るべきでなく、誰がまた蚊帳の外に置かれているのか」という政治的な問題に変わる。
そして今、私が最も必要としていないのが、新しい政治的な問題だ。
「あんたは言うかどうか考えている」アイダが言った。
「今日のあんたの観察力は特別腹立たしい」
「ありがとう」
「褒めてない」
「でも受け取る」
私は椅子の背に寄りかかり、長く息を吐き出した。
「あんたならどうする?」
アイダは珍しくすぐには答えなかった。
手にしていたタッチペンを置き、こちらを向いた。分析区の薄暗い光がアイダの顔に当たり、普段の少し冷たくて少し切れ味のある輪郭をより鮮明に切り出していた。
「純粋に技術的な判断なら、報告する」アイダは言った。「これが関わる層は、すでに『持ち帰った異常サンプル』を超えている。だが艦の今の状態を考えると……まず知る人間の範囲を絞る」
「どれくらいに?」
「あんた、私、そして必要な時の蘭」アイダは一拍置いた。「真紀大尉とアッシュ三等大尉に知らせるかどうかは、技術的な問題ではなく、あんたの問題だ」
この一言は、責任の押しつけとしては実に鮮やかだった。
さすがアイダ、責任の転嫁さえ科学的方法の一部のようにやる、と言いたかった。
だが、アイダが間違っていないことも分かっていた。
これは確かに私の問題だ。
なぜなら、今の私にとって「上へ報告する」とは、書類を一枚提出するような単純なことではないからだ。雪風の局勢を変えるかもしれないこれを今すぐ渡すのか、それとも少なくとも二手先まで読めるようになってから誰に知らせるかを決めるのか、その選択をしなければならない。
これは危険だ。
清くもない。
だが代理指揮は最初から、清くいられる仕事ではなかった。
私はスクリーンの中の、静かに光り続ける氷晶を見下ろした。
シールドケースの中に横たわり、死んだ星の骨から折り取られた、氷色の神経のような一節。美しく、冷たく、危険で、しかも不快なほど整った秩序感を帯びている。「希少な戦利品」の気質ではなく、「遅かれ早かれ誰かがこれのために態度を変える」という気質だ。
こういうものは、全艦に早く匂いを嗅がせてはいけない。
少なくとも、今は駄目だ。
顔を上げ、アイダを見た。
「完全版は、今は上へ報告しない」私は言った。
アイダは驚いた様子を見せなかった。私がそう選ぶと最初から知っていたような顔だった。
「記録はどう書く?」
「二つに分ける」立ち上がり、声も合わせて定まった。「一つ目はメインデータベース行き。標準版だ――氷封惑星の地表で異常結晶サンプルを一点採取。微弱な蓄能特性と熱感応反応を確認、後続の封印研究を推奨し、暫定で中度リスク材料に分類する。採取の経緯と基本的な安全パラメータだけを残す。共振には触れない。副回路にも触れない。神風エンジンにも触れない」
「二つ目は?」
「二つ目はメインには上げない」私は言った。「オフラインバックアップとして、物理的に封印する。接触できるのは私とあんただけだ。蘭が後でアビオニクス解析に必要になった時だけ、引き入れる。それ以外は、誰に訊かれても『データ不足』で通せ」
アイダは頷いた。
「サンプルは?」
シールドケースを一瞥した。
「分けて保管する。メインサンプルはあんたのところに置いて、接触を最小化する。表層からもう一片切り出して、外部の材料分析用の目くらましとして渡す」
「目くらましという言葉、代理艦長はどんどん板についてきたな」
「仕方ない。この艦では、正直でいるコストが高すぎる」
アイダが軽く笑った。
はっきりした笑いではない。ごく短い、息のような音だけだった。だがこの部屋では、それで共犯関係が成立した証拠として十分だった。
「もう一つある」アイダは言った。
「何?」
「この仮説が正しいなら、これから先、公開チャンネルで氷晶をあまり……普通のものとして扱わない方がいい」
眉をひそめた。
「どういう意味?」
アイダは少し考えてから、あまり怖くない言い方に換えた。
「つまり、この種のものを艦の外の環境に置いた場合、価値の判定が『研究サンプル』だけで止まらないかもしれない、ということだ」アイダは平坦に言った。「だから、むやみに持ち出して話す人間が少ないほど、安全だ」
私はアイダを二秒間見つめた。
アイダも私を見つめ返した。「もうかなり控えめに言ってある。ちゃんと自分で察しろ」という顔だった。
察した。
そして、察したからこそ、余計に胃が少し重くなった。
これは、今開くべきカードではない。
少なくとも、雪風とこれの本当の関係を掴むまでは。
「分かった」私は低く言った。
手を伸ばし、完全版の分析報告をプライベート権限層へ移し、オフラインロックを二重にかけ直した。それからメインデータベース用の簡略版を見直した。重要な共振図を削除し、副回路の照合データを削除し、アイダのあの――口にすれば何種類もの人間を同時に眠れなくさせるような、大胆すぎる仮説を削除した。
最後に残ったのは、十分に重要そうに見えて、しかしテーブルをひっくり返すには至らない、無難なサンプル報告書だけだった。
偽善的だ。
だが必要だ。
封印キーを押した瞬間、シールドケースの中の氷晶が、ちょうどまた一度だけ光った。
ごく薄く、ごく短く。
まるで静かな瞬きのように。
それを見つめながら、ふと妙な感覚に襲われた――こいつは、私たちが望もうと望むまいと、遅かれ早かれ厄介事をこちらへ連れてくる。今これを押し込むのは、問題の解決ではない。ただの先送りにすぎない。
だが時には、問題を五日、三日、あるいはたった一回の当直分だけでも後ろへ押し出せるなら、崩れかけている艦にとっては、それだけで戦術的な勝利だ。
メインスクリーンを閉じ、身を起こした。
「この件は、ひとまずここまで」私は言った。
「了解」アイダは言った。
「サンプルに何か新しい反応があれば、すぐに知らせて。勝手に大出力の実験をしないように」
アイダは無表情だった。
「今の言葉、技術者としての私の尊厳を傷つけたわ」
「あんたにそんなものあったの?」
「あるわよ。ただ、あまり表に出さないだけ」
「よし、そのまましまっておいて」
背を向けて分析区の出口へ歩き、センサードアに手が触れたところで、もう一度立ち止まった。
「アイダ」
「ん?」
振り返らず、ドアに映るぼやけた自分の影だけを見つめた。
「今日のこの報告、ジェスにはまだ知らせないで」
アイダは今度は本当に笑った。
「ジェスがゴシップ感覚で機密制度をぶち壊すから?」
「違う」私は言った。「ジェスは三分以内に全艦へ、私たちが氷の中から厄介事を呼び込みそうな綺麗なものを掘り出したと言い回るから。そうなれば、事態はデータより始末が悪くなる」
「合理的だ」
「それと」
「まだあるの?」
半秒沈黙し、最後にその言葉を補った。
「……真紀にも、まだ完全版を話さないで」
背後が一瞬、静まり返った。
アイダはすぐには答えなかった。
アイダが何を考えているかは分かっていた。疑いではない。確認だ。この決断が指揮官としての判断から来たのか、それとももっと私的で、もっと弱いものから来ているのかを。
正直に言えば、後者が混ざっていないとは、私自身にも言い切れなかった。
なぜなら、この件を全部真紀の前に広げれば、真紀は間違いなくすぐに分解し、追及し、核心へ迫ってくる。真紀とはそういう人間だ。冷静で、正確で、厄介。そして私は今……まだ整理がついていない。
もう少しだけ、主導権を握っていたかった。
ほんの少しでも。
最後に、アイダはただ淡々と一言だけ返した。
「了解」
センサードアが滑り開き、私は分析区を出た。
外の廊下の照明は相変わらず冷たく、雪風のエンジンの低い唸りも相変わらず艙壁の奥から伝わってくる。深手を負いながらも、頑固に前へ這い進む老いた獣のように。五日間の航程はまだ前に横たわり、修理工場はまだ遠く、艦内の人心もまだゆっくりと位置をずらしつつある。そこへ今、私が自らの手で影の中に押し込んだ氷晶のサンプルが一つ加わった。小さな棘のように肉の中に埋め込まれ、今はまだ動かないが、後で必ず痛むと約束されている。
艦橋へ歩きながら、思わず考えた――
代理艦長という仕事は、やればやるほど、全艦に対して何かを隠し続けているような仕事になってくる。
そして何より最悪なのは、私がそれに、少しずつ板についてきてしまっているということだった。
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