110. 限界 2
この物語はフィクションです。実在の人物・団体・事件・名称等は一切関係ありません。
申し訳ないが。
私は本当に気を失っていた。
連邦軍の訓練がどれだけ非人道的で、薬剤がどれだけ人体を実験動物の限界まで追い込むのが好きだとしても、結局ひとつの非ロマンチックな事実は受け入れなければならない——人間の脳は、戦艦一隻分の跳躍衝撃を振り子のように振り回されれば、きちんとシャットダウンする。
だから意識が戻った時、最初の感想は「生きていてよかった」ではなかった。
——地獄にも、金属の匂いがするのか。
艦橋は惨憺たる有様だった。
誇張ではない。
本当に、誰かが艦橋全体を缶に詰めて三十秒間激しく振り、元の位置に戻したとしか思えない状態だった。
警告灯はまだ点滅しているが、力なく明滅している。何面かのスクリーンが落ちていて、残っているものは瀕死のように明滅している。空気には焦げた回路の匂い、冷却液の匂い、血の匂い、そして戦艦特有の、うまく言葉にならない傷の匂いが混ざっていた——鋼鉄自身が痛みを堪えているような匂いだ。
シートベルトから自分を剥がしきる前に、ひどく体裁の悪い悲鳴が聞こえた。
「助けてくれ——!」
最初に助けを求めたのは、Dだった。
上出来だ。
少なくとも一人は、無駄口を叩く体力がまだある。
連邦軍の最低限の生存率に敬意を表しながら、シートベルトを外し、座席から無理やり這い出た。足がよろめき、危うくそのまま床と情感的な再会を果たしそうになった。
頭はまだ鳴り続けていて、胃は洗濯機の中でまだ回転が止まっていないようだったが、CICの方から聞こえてくる物音は、ゆっくり人間に戻っている余裕を与えてくれなかった。
コンソールに手をついてCICへ駆け込んだ。
そして、比較級というものが人を現状に感謝させる力を持つことを、初めて理解した。
CICを見た後では、艦橋が急に穏やかに見えたからだ。
Dは椅子と転倒した制御フレームの間に挟まっていた。姿勢は独創的なほど醜く、機嫌の悪い芸術家に折り畳まれて、そのままうっかり放置されたようだった。
大きな怪我はないように見えた。少なくとも手足の数と向きは正しい。だが挟まり方が絶妙で、私に最初に確認できたのは一つだけだった——Dはすぐには死なないが、私にもすぐには引き抜けない。
「俺を先に見るな!」Dの声は裏返りかけていた。「エヴリンの方が重傷だ——」
振り返り、床に倒れているエヴリンを見た。
……これは、確かに酷い。
エヴリンは座席から投げ出され、ひっくり返った補助スクリーンの横に横倒しになっていた。制服は血と煤で元の色が分からなくなっている。
腕の角度がおかしい。脚もおかしい。呼吸の起伏にも、明らかな痛みが滲んでいる。即座に命に関わる状態ではないが、骨折が一、二か所で済む話でないのは明らかだった。
「エヴリン、聞こえるか?」
エヴリンが眉をわずかに寄せ、唇が動いた。声にはならなかった。
よし、反応はある。
エヴリンをなるべく水平に寝かせ、配管が体の上に乗っていないことを確認してから、ハーヴィーを探した。
その光景を見た瞬間、危うく笑いそうになった。
冷血なわけじゃない。
ハーヴィーの姿勢が、三流宇宙映画の第一幕で必ず出てくる、死に方の安っぽい背景キャラそのものだったからだ。
顔面がほぼコンソールに突き刺さり、体は横に傾いて、静かさが屍体に非常に近かった。一瞬、弔辞の韻を考え始めてしまったほどだ。
だが残念なことに、連邦軍は今日まだ人件費を節約するつもりがないらしかった。
手を伸ばして確認した。
脈がある。
「……命が丈夫ね」
低く言った。
ハーヴィーには聞こえていないだろう。聞こえていたら、傷病者への基本的な人道的配慮が欠けていると抗議するに違いない。だが今は誰にそれを気にする余裕があるのか。
CICの三人が全員、まだこの世界の名簿に載っていることを確認してから、ようやく現場を後にした。CICを先に見たせいで、艦橋へ戻った時、頭に浮かんだのは荒唐無稽な感想だった——
ここは、まだましだ。
艦橋では、すでに何人かが意識を取り戻していた。
ジェスは座席の脇に座り込んで、自分を抱きしめていた。精神に深刻な打撃を受けた幼児のような姿だ。私を見た瞬間、目が一気に赤くなり、そのまま本格的に泣き始めた。
体裁を保って二粒涙を落とす、そういう泣き方じゃない。徹底的な、制御を失った泣き方だ。死神の手から引き剥がされたばかりで、この先二度と跳躍エンジンに近づきたくないと全身で訴えているような泣き方だった。
よし、ジェスは生きている。肺活量も健在だ。
アイダは片側のコンソールに寄りかかっていた。顔色は病院の壁から色を借りてきたように白い。横の蘭もほぼ同じだ。二人とも目立った外傷はないようだが、「魂がまだ完全に肉体へ回収されていない」感じは全く同じだった。
蘭は普段から十分に冷たいが、今はさらに冷たかった。氷水から引き上げて、拭くのを忘れたような冷たさだ。
アカリはレーダー席付近に座っていて、頭を傾げていた。
正直、この人は普段から徹夜が続きすぎて人生を寝落ちしそうな顔をしているため、今が怖いのか、放心しているのか、脳震盪なのか、単純に眠いだけなのかが判別できなかった。この域まで達するのも、ある種の才能だ。
ロイは後方まで飛ばされていて、今はアッシュと一緒に惨めに絡まり合っていた。高級な割れ物二点を同じ梱包箱に間違えて詰め込んで、同じ倉庫の隅に届けてしまったような絵面だった。幸い二人とも大きな怪我はなさそうで、少なくとも四肢の数と方向は連邦軍の教育予算に申し訳が立つ程度には揃っていた。
艦橋全体を素早く確認した。
そして、心臓が一段、落ちた。
真紀は?
半覚醒の麻痺状態が、その三文字で一気に砕けた。自分でも気づかないうちに呼吸が速くなっていた。体が頭より先に動き、視線が艦橋の隅々を狂ったように走り始めた。
艙門の脇で、真紀を見つけた。
その瞬間、全身が凍りつきそうになった。
真紀は出入口の傍に倒れていた。衝撃で吹き飛んで、そこへ叩きつけられたのだろう。顔全体が血に覆われていた。額と頬から流れ出た血が、普段は軍紀教材の表紙になれそうなほど冷たいその顔を、犯罪現場から一人で歩いて戻ってきたような姿に変えていた。
「……真紀」
しゃがみ込んだ。声は自分でも聞き取れないほど低かった。
よかった。
呼吸がある。
気を失っているが、呼吸も脈もある。その感覚は最悪だった。誰かに心臓を握り潰された後、突然手を離されて、自分で動き始めるかどうかを決めろと言われたような感覚だ。奥歯を噛み締め、真紀の顔の血から無理やり視線を引き剥がし、より重篤な刺創や捻挫がないかを先に確認した。
それから顔を上げ、艦長席を見た。
そして「艦橋はまだましだ」という評価を、即座に撤回した。
今最も深刻なのは、飛田艦長だった。
飛田艦長はまだ艦長席にいた。だが、それはもう「座っている」状態ではなかった。衝撃で折れた艦橋の構造部材——コンソールの支柱か、内部補強フレームか——が、飛田艦長を貫通して艦長席前に縫い付けていた。
その光景は、悪態をつく前に一拍、息が詰まるほどだった。
他の人間なら、医療班より先に牧師を呼んだ方が早い状況だ。だが飛田艦長の顔は、理不尽なほど頑強だった。
意識があるわけじゃない。ただ、「この人は重傷でさえ命令口調で耐えるんじゃないか」という種類の頑強さだった。
歩み寄り、艦長専用電話を取った。
こういう時、声が頭より先に軍用モードへ切り替わるのは、本当に腹立たしい。
「医務室、こちら艦橋」私は言った。「艦長・飛田が負傷、他にも複数の負傷者がいる。直ちに来てくれ」
電話を置いた。
一秒考えた。
何か足りない気がした。
これは単純な医療問題じゃない。
艦橋が今この状態で、医療兵が二、三人来るだけでは場が持たないかもしれない。CICにはまだ人が挟まっていて、飛田艦長の搬送も必要で、何より——情報を野放しにするわけにはいかない。
今、雪風全体が奇点跳躍から叩き出されたばかりで、全員の神経がまだ半生だ。ここで「艦長重傷」という言葉が先に自由に流れれば、医務室より先に艦内秩序が崩壊しかねない。
だから、もう一度電話を取った。
今度は医療班ではない。
竹中曹長だ。
通話が繋がると同時に、竹中曹長のあの声——通信越しでも人の姿勢を矯正できそうな声——が飛び込んできた。
「どこだ」
「竹中曹長、動力装甲を着けた者を二名、こちらへ回してもらえますか」私は言った。
向こうが一拍、静止した。
「貴様は誰だ」
喉が一瞬詰まった。
こういう時に自分の名前を名乗るのは、さっき開火命令を出した時より、妙に奇妙な感覚だった。
「……星野です」私は少し間を置いた。「中尉です」
「艦橋か」
「はい」息を吸った。「それと……艦長が重傷を負いました。まず竹中曹長にだけお伝えします。外には出さずに、艦内秩序の維持を優先してください」
向こうはそれ以上訊かなかった。
これが竹中曹長の頼もしいところだ。本当に役に立つ人間は、こういう時に通信チャンネルを驚きの演技に使わない。
「了解した」
通信が切れた。
ほどなく、医療班と動力装甲を着けた警備員二名が到着した。
その光景には、妙な安堵があった。格好いいからではない。艦全体が何かに一度叩きのめされた後でも、正常に歩いてきて、道具と手順を持った人間がいる——それだけで、文明社会はまだ完全に崩壊していないと思い出させてくれるからだ。
医療班の指示のもと、動力装甲の二人はCICに挟まっていた三人を一人ずつ救出した。
Dが引き抜かれた時の叫び声は、まるで再誕のようだった。エヴリンは担架に固定され、ハーヴィーはついにコンソールの前から体裁よく引き剥がされ、あの安っぽい映画の死に方に終止符が打たれた。
続いて、飛田艦長も慎重に担架へ移された。
その光景を見つめながら、どうにも言葉にならない荒唐無稽さを感じた。
数分前、この人は艦橋に立って笑いながら、帝国軍の背後からどう一撃を叩き込むかを計算していた。今は艦長席から丸ごと取り外されて、艦橋の照明が照らすのも億劫そうな白い顔をしている。
医療班の一人が、私がじっと見すぎているのに気づいたのか、雪風らしい慰めの言葉を一言だけくれた。
「安心してください。まだ死んでいない限り、助けられます」
……なるほど。
心強い言葉だ。
連邦軍の徴兵ポスターにそのまま使えそうなほど、正直だ。
医療班が撤収を始めた後、ようやく、もう一つ片付けなければならないことを思い出した。
艦長、戦闘不能。
副長・真紀、昏睡。
艦橋、半壊。
そして、この艦が今日みんなが大変だったからといって、自動的に新しい指揮官を生やしてくれるわけではない。
艦橋中央制御核心の方へ向き直り、口を開いた。
「コンピュータ。現在、艦長が戦闘不能の状態だ。代理指揮権は誰にある?」
艦内AIの、死活を意に介さぬ、永遠に礼儀正しい声が即座に響いた。
「現在、艦内最高位の士官は、ヴィクトル・ニコラエヴィチ・ボロージン少佐です」
目が一瞬、引きつった。
……酒飲みか。
自分の生存確率が、その瞬間に不吉な統計学的下降を辿るのを感じた。
だがAIはまだ続けた。
「ただし、ヴィクトル・ニコラエヴィチ・ボロージン少佐の職務は機関長であり、艦橋での指揮執行は不可能です」
顔を上げた。
「それで?」
AIが極めて短い間を置き、それから食堂の順番待ち番号を呼び上げるような平静さで、私の魂を脱走させるに足る一言を告げた。
「アッシュ・ヴァンダー三等大尉または九島真紀大尉が回復するまでの間、本艦最高指揮官は、星野 シモ中尉、あなたです」
私は前方の、明滅する艦橋を見た。足元の惨状を見た。まだ完全に拭われていない血の跡を見た。搬送されていった艦長を見た。昏睡している真紀を見た。泣き続けているジェスを見た。死人のように白いアイダを見た。凍りつきそうな蘭を見た。今にも椅子の上で眠り落ちそうなアカリを見た。地面から這い上がったばかりの、「まだ悪夢の中にいるのか」という顔のロイを見た。
そして頭の中に残ったのは、ひとつの、完全で、純粋で、戦後の口述記録に書き残す価値のある言葉だった。
は?
「とても面白い」★四つか五つを押してね!
「普通かなぁ?」★三つを押してね!
「あまりかな?」★一つか二つを押してね!




