102. 惑星パイク6号 3
この物語はフィクションです。実在の人物・団体・事件・名称等は一切関係ありません。
通信器が手渡され、規則の説明が終わったことで、保安部の任務は完了した。
これから本当に始まるのは、三日間の離艦そのものだ。 つまり今この瞬間から、私たちは理論上、日用品の補充であれ、食欲の充足であれ、精神の修復であれ、あるいは正式なスケジュール表には書き込みにくい個人的な用事であれ、各自勝手に処理していいことになる。
私自身は、特に取りに戻るべきものなどなかった。 少なくとも、最初はそう思っていた。
「少し物を取りに戻る」
真紀が私の横で口を開いた。 彼女の言い方は、「天井はまだ上にある」という、議論の余地すらない事実を述べているかのように平坦だった。
私は、自分にはどうしても必要なものなんてない、と言うつもりだった。たかが三日間の離艦だ。新大陸の植民地開拓に行くわけでもない。日用品が一つ二つ欠けたところで、港区の外で即死するようなことはあるまい。
だが、口をついて出た言葉は、なぜかこうなっていた。
「あ、じゃあ私も一緒に戻る」
真紀が私を一瞥した。 短い。 本当に短い一瞥だった。もし私が今、彼女のこういう「余計な動作が一切ない反応」に対して、ある種の不健康なほどの敏感さを発症していなければ、ただの正常な確認だとしか思わなかっただろう。
「あなたは取りに帰る物なんてないんじゃなかった?」
「……気が変わったのよ。駄目?」
「いいえ」
彼女の答えはひどくあっさりしていて、追及してくる気配もなかった。 こういうとき、私はかえって居心地が悪くなる。 もし彼女がもう二秒長く私を見つめたり、「何を取りに?」と一言でも聞いてくれたなら、私は少なくとも減らず口で誤魔化すことができた。だが彼女は何も暴こうとせず、明らかに怪しいこの理由をひどく静かに受け入れた。そのせいで、私の方が自分から額に「後ろめたい」と書いて貼り付けているような気分になった。
私たちは二人で踵を返し、居住区画の方向へと歩き出した。
廊下の照明は、相変わらず艦内特有の、過剰なまでに理性的で白々しい色温度だった。足元の甲板、壁面の配線ダクト、時折通り過ぎるハッチの区画番号、そのすべてが雪風号の一貫したスタイルを保っていた。実用的で、冷淡で、人に好かれるための工夫など一センチたりとも存在しない。
ただ、ようやく休暇が目前に迫ったせいか、廊下全体の空気も普段より少しだけ緩んでいるように感じられた。
遠くから時折、人の声が聞こえてくる。 笑い声や、声を潜めた会話。どこかの方向からは、ひどく短促な歓声も聞こえた。おそらく、飛田艦長の高度な精神的テストなどではなく、本当に三日間離艦できるのだとようやく確認できた誰かなのだろう。
私は真紀と並んで少し歩いたが、どちらも先には口を開かなかった。
こういう沈黙は、他の誰かが相手なら、単に話すことがないだけだ。だが真紀の隣にいると、それは容易に別のものへと変わる。気まずさでも、場が冷えたわけでもない。どちらかといえば、二人の人間が「ある言葉を口に出すべきかどうか」をまだ決めかねていて、空気が気を利かせてその言葉を二人の間に宙吊りにしてくれているような、そういう感覚だ。
結局、私から口を開いた。
「何を取りに帰るの?」
「着替えと、充電器、あとは少し薬を」
彼女の答えはあまりにも普通で、私の質問が栄養ゼロの無駄話だったのではないかと思えるほどだった。
「薬?」
「艦酔いの薬、痛み止め、それから外用の消炎剤」
彼女は一拍置いて、付け足した。
「あなたも少し持っていった方がいい」
私は半秒ほど呆気にとられた。
「私、そんなにひ弱に見える?」
真紀はすぐには答えなかった。 彼女はただ私を一瞥し、その視線は私の顔の上でほんの一瞬だけ止まり、それから言った。
「今日、超光速航行から戻ってきたとき、あなたの顔色、水から引き揚げられたばかりみたいに真っ白だったから」
……よろしい。
私がうまく隠せていると思い込んでいただけで、彼女には全部見透かされていたというわけだ。
「あれは正常な生理反応よ」私はひどく説得力のない言い訳をした。
「異常だとは言っていない」
「……」
「持っていた方が手間が省けるというだけ」
これが九島真紀だ。 彼女の話し方は、常に何かの操作手順を修正しているかのようだ。しかもその修正は、私が一番認めたくない部分にピンポイントで突き刺さる。慰めでもなく、特別に優しいわけでもない。だが、彼女がそれを大げさに語るべきことだと少しも思っていないからこそ、どう防げばいいのかわからなくなるのだ。
私たちはさらに少し歩いた。
前方から、一人の下士官が、私たちよりもさらに悲惨な顔をした学員を二人連れて分岐路から現れた。双方が軽く頷き合い、余計な言葉は交わさなかった。艦内の秩序はまだ保たれている。ただ、外側を覆っていたあの張り詰めた殻が、今はほんの少しだけ緩んでいるだけだ。
私は手元の通信器を見下ろした。
「さっきの竹中曹長の『色恋沙汰を艦に持ち込むな』って言葉、本気だと思う? それとも、自分の今後の仕事量を減らすための事前予防?」
「両方」
「妥当ね」
真紀の口角が、微かに動いた気がした。
本当にごくわずかだ。 錯覚に近いほど。 だが、私は確かに見た。
この程度の変化、もしジェスの顔に起きたのなら、「口角が引きつったかどうか」という統計誤差の範囲内で処理されるだろう。だが真紀の顔に起きたなら、それはこの光景を日誌に記録し、三日後に帰艦するまで「あれは本当に笑いだったのか」と反復確認すべき重大事案となる。
「それに」真紀は言った。「もし本当に色恋沙汰を艦に持ち込むような人間が出たら、一番最初にひどい目に遭うのは当事者じゃない」
「竹中曹長ね」
「そう」
私はついに堪えきれず、声を立てて笑ってしまった。 短い笑いだったが、本当に笑ったのだ。
真紀が横を向いて、私を見た。
「おかしい?」
「少しね」
「どこが?」
「ただちょっと思っただけ。連邦軍の制度がまだ正常に回っているのは、憲法のおかげでも、軍紀のおかげでも、飛田艦長みたいな人間のおかげでもないのかもしれないって」
「なら、何のおかげ?」
「どこの部署にも必ず一人、竹中曹長みたいに、面倒事を自分の手で直接絞め殺す準備ができている人間がいるおかげよ」
今度は、真紀が本当に笑った。 その幅はまだ小さかったが、さっきよりはっきりしていた。
その瞬間、私の頭の中の情けないほど小さな区画が、明らかに真っ白になった。
本当に恥ずかしい。 ただ彼女が笑ったのを見ただけなのに、私の反応は、まるで自分が超光速航行から放り出されたばかりで、まだ魂を元の位置に戻せていない人間のようだった。
私たちは居住区画に入った。 通路にいる人間の数は普段より少し減っていた。おそらく皆、すでに自分の荷物をまとめ始め、三日間の一時的な一般人に戻るために船を降りる準備をしているのだろう。
真紀は部屋のドアの前で立ち止まり、ロックを解除した。
ドアが開いた瞬間、二人部屋のあの見飽きるほど見慣れた空気が顔にぶつかってきた。ベッド、ロッカー、綺麗に片付けられた机、そして、ジェスに見つかれば「バカンス用の補給パック」と確実にからかわれる私の私物の山。すべてが元の場所におとなしく収まっていた。
真紀は部屋に入るなり、素早く動き始めた。 彼女は本当に物を取りに来たのだ。「物を取りに帰る」と言いながら、部屋の真ん中に立って十分間ロッカーを眺めて呆けるような人間ではない。着替え、充電器、小型の医療キット、折りたたみ式の用具、身の回り品。彼女はそれらを一つ一つバッグに収めていく。そのリズムは、標準的な模範演技をしているかのように無駄がなかった。
私は横に立って、自分はただの付き添いだから何も収めるものはない、と言うつもりだった。
だが、彼女の様子を見ているうちに、結局黙って自分のロッカーを開け、バッグに物を詰め込み始めていた。
外用薬、着替え、充電ケーブル、基礎的な日用品……そこで手を止め、チェリーコーラを二缶、バッグに押し込んだ。
真紀が一瞥した。
「二缶だけ?」
「何よその言い方」
「少なくとも四缶は持っていくかと思っていた」
「……これは節制というものよ」
「なるほど」
彼女のその「なるほど」は、学術研究の結論のように平坦な語気だったが、ジェスに笑われるよりもずっと心に刺さった。
反論したかったが、できなかった。 なぜなら、バックパックの容量さえ許せば、本当はもう少し詰め込みたかったからだ。
真紀は荷物をまとめ終え、バッグのジッパーを引いた瞬間、私を見た。
「済んだ?」
「済んだ」
「じゃあ、行こう」
私は頷き、バッグを背負い、彼女と一緒に部屋を出た。
そして、ドアが再び閉まったその瞬間、私はある一つの事実に、唐突にはっきりと気づいた。
――今この瞬間から、この三日間は本当に雪風号の上の時間ではなくなるのだ。
◇
居住区画から下艦通路へ戻る道中、雪風号内部の秩序感はまだ保たれていたが、すでに「休暇」という事実そのものを押さえきれなくなりつつあった。
普段の廊下に漂う、真っ直ぐで、静かで、足音すら拍子に合わせなければならないような空気は、今は明らかに緩んでいた。バッグを背負って出口へ向かう者、歩きながら小声で話す者、中にはすれ違うときに微かにシャンプーの匂いを漂わせている者までいた。おそらく、部屋に戻って顔を洗い、少しでも人間に近い状態で船を降りようとしているのだろう。
艦内放送は相変わらず機能しており、照明もそのままで、金属の壁面も連邦軍特有の死人のような顔を保っていた。
だが不思議なことに、これからの三日間、飛田の視界の中で生きなくて済むのだと思っただけで、普段なら見るだけでその場で転生したくなるようなこれらの光景すら、少しだけ目に優しく感じられた。
下艦の検査は予想以上に早かった。 保安部が通信器の番号、個人認証、離艦許可を照合し、いくつかの手順を終えると、前方のタラップ通路が開いた。
艦内の循環システムとはまったく異なる空気が、真正面から吹き込んできた。
雪風号の中よりも少し暖かく、そして、生きていた。
港区の金属構造物が太陽に焼かれた後に残す乾燥した匂い、輸送車や補給機材のオイルの匂い、遠くから漂う食べ物の匂い。そして、言葉で表現するのは難しいが、艦内を出れば必ず一瞬で気づくもの――都市そのものの匂いがあった。
私と真紀は前後して最後の数段の階段を降り、港区の地面に本当に足を踏み下ろしたとき、一瞬だけうまく馴染めなかった。
艦上のすべてのものは、微かにこう告げている。「お前は軍隊に属し、秩序に属し、規則に属する閉鎖システムの中にいるのだ」と。
港区の外は違う。 一目見渡せば、光、騒音、人、交通網、店の看板、移動する作業車、異なる制服を着た軍人、休暇中の船員、荷物を引く家族連れ。そして、ただ道端でタバコを吸っているだけなのに、世界全体に対して忍耐力を失っているかのような港の古参たちの姿があった。
雪風号が停泊している軍港区自体が、すでに巨大だった。
外縁には、鋼鉄のプラットフォーム、接舷ブリッジ、クレーン、整備用フレーム、補給パイプライン、安全検査通路が何重にも取り巻き、星港全体を硬く緻密な金属の網で編み上げているようだった。さらにその外側に、ようやく市街地へと繋がる場所がある。
そして今は、ちょうど休暇の開始時刻だ。
各艦、各部隊から解放された大量の人波が、ゲートを開け放たれたように外へと流れ出している。軍校生、現役軍人、勤務兵、技術者、港区の行政職員、地元の商人。すべてが同じ空気に混ざり合い、秩序を保ちながら騒がしく、そして生命力に満ちて混沌としていた。
「……うるさい」私は言った。
真紀は私の横に立ち、外の街区をぐるりと見渡した。
「そうでもない」
「あんた、騒音に対する許容値が高くない?」
「高くない」
「じゃあなんで、これが普通みたいな顔してるのよ」
「これが普通だから」
よろしい。 真紀式解答だ。 聞いてみればまったくその通りなのだが、文句を言い続けることすら自分のレベルが低いように思えてくる。
港区の外の街並みは、メインストリートに沿って外へと広がっていた。
高所には交差する歩行者用ブリッジ、吊り下げ式の案内板、行き交う短距離シャトル軌道がある。低層には、軍港の人間を相手にする店が軒を連ねていた。安いファストフード、軍用品店、補給雑貨、ホテル、バー、通信サービス、娯楽施設。そして、看板の明るさからして未成年の学員が入るべきではないとわかる店まで、すべてが堂々と隣り合っている。
通りにはすでに、「休暇中の将兵を歓迎」という電子看板を直接掲げている店もいくつかあった。
感動するほど露骨だ。 資本主義の最も愛すべき点は、軍が抱える人命の重圧を、いかにして飲食と消費の需要に換算するかを常に知っていることだろう。
「まずはどこへ?」私が尋ねた。
真紀はすぐには答えず、端末の地図を一瞥した。
「日用品を補充したいんじゃなかった?」
「理論上はね」
「なら、まずは補充」
「……その言い方、任務のスケジュールを組んでるみたい」
「そのつもり」
彼女は当然のように言った。
私は彼女を二秒ほど見つめ、結局は諦めて後を追った。
奇妙なものだ。 休暇であり、離艦であり、外の街区は「ようやく軍人らしくない生き方ができる」ことを街全体で集団的に祝っているかのように騒がしい。なのに、真紀が隣にいるだけで、そのリズムが乱れすぎることはない。
彼女の歩く速度は速くないが、方向感覚は正確だ。交差点を渡り、街区の分布を見極め、順序を決める。そのすべてが、初めてこの場所に来たのではなく、どんな見知らぬ環境でも最も効率的な動線を瞬時に把握する才能が生まれつき備わっているかのように無駄がなかった。
私は彼女の横を歩きながら、看板や照明を見上げ、遅ればせながらある一つの事実に気づいた。
私は今、本当に休暇中なのだ。
授業の合間でもなく、演習の移動でもなく、人生をさらに嫌にさせるような別の教室への移動でもない。正真正銘、雪風号を離れ、港区の外の市街地に立っている。背中にバッグを背負い、腕には保安部から支給された通信器をつけ、これからの三日間、自分を少しは人間に近い形に生き返らせる時間が与えられている。
この感覚は奇妙だ。 奇妙すぎて、少し現実味がないほどに。
「シモ」
「ん?」
「前を見て」
私はハッと我に返り、危うく道端の防護ポールにぶつかりそうになっている自分に気づいた。
「……見てるわよ」
「今あなたが見ていたのは看板で、道じゃない」
「なんでわかるの?」
真紀は私を一瞥した。
「初めて籠から出された顔をしてたから」
……ひどい言い草だ。 しかも、非常に的確だ。
私は一瞬、どう言い返すべきかまったく思いつかず、苦し紛れにこう返すしかなかった。
「連邦軍が、学員をそんな風に形容していると知ったら、あまりいい顔はしないでしょうね」
「あなたも同じことを思っていたんじゃないの?」
「私はそんなに直接的な言い方はしていない」
「それはあなたの問題よ」
私は二秒沈黙し、最後はやはり笑ってしまった。
仕方がない。 彼女の言う通りだ。
前方の交差点を、港区のシャトルバスが一台滑るように通り過ぎていった。車体の広告パネルが点滅し、流れているのは高級な宣伝ではなく、ごく単純な休暇割引と飲食のプロモーションだった。隣の店先では、何かを揚げている。その香りは理性を飛び越えて、胃袋に直接手を伸ばしてくるほど強烈だった。
もう少し遠くには、別の艦隊の制服を着た若い軍人が数人、道端に立っているのが見えた。離艦したばかりらしく、全員の顔に「ようやく息ができる」という感覚が正直に書かれていて、表情には誠実なほどの茫然自失が浮かんでいた。
その光景を見て、私はなぜか少し気が楽になった。
自分だけではなかったのだ。 艦を離れた直後の人間は皆、制度的な水槽から掬い上げられたばかりの魚のように、普通の都市で四肢をどう動かせばいいのか、もう一度学び直さなければならないのだと。
真紀は端末をしまった。
「まずは買い物」
「うん」
「それから食事」
私は横を向いて彼女を見た。
「食事の予定まで組んでるの?」
「他に何があるの?」
「てっきり、三日間の旅程を『補給』『休養』『帰還』の三大項目に分けて、食事すら『機動的補給』に分類してるのかと思った」
「それも可能ね」
「……本当に考えてたんだ」
「シモ」
「何?」
「うるさい」
私は彼女の横を歩きながら、心の中でひどく情けないことを考えていた――
この三日間は、おそらく本当に平穏には終わらないだろう。 そして厄介なことに、私は今、港区の外のトラブルに巻き込まれることと、真紀がこの平然とした顔のまま、三日間ずっと私の隣を歩き続けることの、どちらをより恐れているのか、自分でもよくわからなくなっていた。
「とても面白い」★四つか五つを押してね!
「普通かなぁ?」★三つを押してね!
「あまりかな?」★一つか二つを押してね!




