99. ついに本番、ステージへ! 2
この物語はフィクションです。実在の人物・団体・事件・名称等は一切関係ありません。
通信が切れた後、艦橋の静けさはひどく耳障りだった。
さっきの大島という男は、笑い声だけで部屋中に反響を作れるような人間だった。それが去り、メインスクリーンが暗転した後に残ったのは、静寂ではなく、空気を一層薄く抜かれたような空白だった。
私は戦術席に座ったまま、さっきの「少年団」という言葉からまだ立ち直れていなかった。
正直なところ、反論したかった。 だが問題は、あの言葉が腹立たしい理由が、それが完全に的外れではないからだ。 私たちはつい十分前、シミュレーションの中で雪風を一度沈めたばかりだ。その次の瞬間、補給船団の座標とパイク六号の座標を顔面に叩きつけられ、飛田が少年団の引率をいつから始めたのかと高笑いされた。
そして最も厄介なのは―― 飛田が即座に言い返さなかったことだ。
彼はただ艦長席に座り、手を肘掛けに置き、視線を元に戻ったメインスクリーンへと向けていた。さっきの二組の座標を見ているのか、それとも、シミュレーションから這い出てきたばかりでまだ汗も乾いていない私たちを見ているのか、判断がつかなかった。
それから、彼は口を開いた。
「状況はそういうことだ」
ひどく平坦な語気だった。 今夜の夕食のメニューを告げているのか、これから私たちが本当に人が死ぬようなことに引っ張り込まれるかもしれないと宣告しているのか、区別がつかないほどに。
「全員、よくやった」
私は思わず息を吐き出した。 褒められたからではない。 この一言が「よし、今日はここまで、各自さっきの沈め方を消化して帰れ」という意味に聞こえたからだ。
私はすでに火器管制台から手を離しかけていた。帰ったら布団に倒れ込んで十分ほど死んだふりをしようかとすら考えていた。
そして飛田の次の一言が聞こえた。
「だが、折角の機会だ」
私は全身が固まった。
その瞬間、私は「終わった」とすら思わなかった。 頭の中で、ひどく完全な一言が成立した。
――ふざけんな。
……やっぱりそうだった。
飛田の声には、どうしても隠しきれない種類の愉快さが混じっていた。大笑いするタイプではない。「最初からこの機会を待っていた」という、細く小さな楽しさだ。
「基本的な準備はできているなら、いっそ上級課程に移ろう」彼はそう言いながら、艦長席の横の通話器を手に取った。「どうせ三年次には、実艦操作は必修だ」
待ってくれ。 「どうせ」とはどういうことだ。 「上級課程」とは何のことだ。
昨日は兵装資料に生き埋めにされかけ、今日はシミュレーションで船を沈め、それでも今この男は艦長席に座って課外活動の日程を組むような口調で、私たちをシミュレーションから実戦護衛任務へと直接引っ張り込もうとしている。
上級課程ではない。 これは加速淘汰だ。
飛田は通話ボタンを押した。
「霧島エレナ少佐、至急艦橋へ」
言い終えてから、ようやくアッシュと真紀の方を向いた。
「お前たちは見ていろ。学べるだけ学べ」彼の語気は淡々としていた。「教科書通りとは限らないが、少なくとも命だけは保ってやれる」
この一言で、さっきまでの半分冗談めかした雰囲気が、わずかに引き締まった。 綺麗な言葉ではない。 聞き心地のいい言葉でもない。 だが飛田式の実戦保証書として、これは非常に値打ちがある。
艦橋のドアが素早く開いた。 一つの人影が入ってきた。
銀色の短髪。無駄のない足取り。制服は一分の乱れもない。 霧島少佐は入室するなり艦橋全体を一瞥し、次にCICを見て、最後に飛田へと視線を落ち着かせた。彼女の人の見方は独特だった。ジェスのように感情を乗せているわけでもなく、真紀のような静かな圧迫感でもない。
どちらかといえば―― 場全体をまず査定して、どこを作り直す必要があるかを先に決める、そういう目だ。
それから、眉をひそめた。
「これは何?」
視線はCICの塊に向けられていた。
飛田はそちらを一瞥した。
「CICの補助要員、といったところです」彼自身も少し自信なさそうに言った。「屋敷しもべ妖精だと思っていただければ」
「なら、靴下を渡した方がましです」
私は危うく声を出して笑いそうになった。 いや、もう笑っていた。ただ、ひどく小さく。 この比喩はあまりにも的確だった。 特に今のCICの配置は、厨房に押し込まれて、使用人なのか災害の原因なのかよくわからなくなっている妖精の群れに、確かに似ていた。
霧島少佐はしばらく見てから、あっさりと判断を下した。
「D、出なさい」
Dは完全に虚を突かれた顔をした。
「なんで? 俺、差別されてる気がする」
「差別ではない」霧島少佐は視線すら余分に向けなかった。「雪風のCICをお前のラグビー場にしたくないだけ」
今度は本当に笑い声が出た。 隣のジェスも首を向け、肩が小刻みに揺れた。
Dは傷ついた顔で立ち上がり、「俺には才能があるのに世界は理解してくれない」と全身で訴えながらCICを出た。
「じゃあ俺は何をするんだ?」
「艦橋保安」
これは霧島が言ったのではない。 アカリだった。 しかも彼女は、いつも通りの、整備指示書を読み上げるような平坦な声でそれを言った。 それがかえって可笑しかった。
Dの表情が、傷心から宇宙的な屈辱へと昇格した。
「艦橋保安って何だよ?」
「うるさい奴がいたら、先に外に放り出す係よ」ジェスが親切に補足した。
「もう一回言ってみろ?」
「それがまさに」ハーヴィーが冷たく言った。「彼女がお前をCICから引き抜いた理由だ」
Dは不本意そうに脇へと退き、全宇宙が天才を誤解していることを心の中で静かに呪いながら立った。エヴリンは自然に中央へと腰を落ち着かせ、まるでその席が最初から彼女のものだったかのようだった。
飛田はそこで改めて艦橋全体へと視線を戻した。
「これより本艦は、補給船団護衛任務を実施する」
予告はなかった。 「シミュレーション終了、次は小さな実習です」のような移行もなかった。 一言で、そのまま切り替えた。
私は戦術席で、背筋がわずかに引き締まるのを感じた。 さっきまで自嘲の材料にできていたものが、突然すべて自嘲の余地を失った。 「護衛任務」という四文字が落ちた瞬間、それは一つのことを意味していたからだ。
これから動かすすべてのシステムは、訓練のためではない。 本当に、あの船団を連れて行くためのものだ。
「全艦、二級警戒とする」飛田は言った。
彼は真紀を見た。
「副長、橙色警戒を発令しろ」
真紀は壁の内線通話器を取り、声は安定していた。余計な感情は一切ない。
「総員に告ぐ、これより護衛任務のため超光速航行へ移行する。橙色警戒発令、橙色警戒発令」
放送が艦内を伝わっていく。 赤色警報のような鋭さはない。 だがその鋭さのなさが、かえってこれが本物の始まりだと感じさせた。 演習の始まりではない。 任務の始まりだ。
飛田はそこで初めて、大島が言った「少年団」という言葉を拾い上げた。 怒っていなかった。 尻尾を踏まれた不快さすら、表面には出ていなかった。 本当に気に食わないとき、彼は外見上むしろ凪いで見えるからだ。
「大島大佐の言ったことは、完全に間違いではない」彼は淡々と言った。
艦橋全体がわずかに静まった。 私は無意識に顔を上げた。
飛田は艦長席に座り、先ほどより少し表情を引き締めていた。
「お前たちは今はまだ、正規の艦員とは言えない」彼は言った。「多くの場面で遅く、多くの場面で整いすぎていて、多くの場面でまだ捨てきれていない」
重い言葉だった。 だが誰も反論できなかった。 私たちはたった今、雪風の仮想の残骸でそれを証明し終えたばかりだからだ。
だが飛田の次の一言は、人を底まで押し込むものではなかった。
「だが、少年団には少年団の良さがある」
私は眉を跳ね上げた。 ……これはどういう展開だ。
飛田の口角がごく薄く動いた。
「まだ悪い形に固まっていない」
「だから今から、目を開けろ。耳を開けろ。頭を持ち場に入れろ」
「老兵らしく見せようと焦るな」
「今日お前たちがやるべきことは、あの三文字で二度目に笑われないことだ」
この一言は、「恥をかかせるな」と直接言うよりも、ずっと重かった。 熱血ではない。 「栄誉のために」でもない。 「証明するために」でもない。 ただ、あの「少年団」という言葉を静かに裏返し、全員の肩の上に重さとして乗せただけだ。
英雄になれと言っているのではない。 笑い話にだけはなるな、と言っているのだ。
……実に飛田らしい。 そして、実に効く。
艦橋で誰もスローガンを叫ばなかった。 誰も突然熱くなって机を叩いたりしなかった。 だが、それまで薄く漂っていた緩みが、確かに消えた。
蘭が最初に通信席へ向き直り、さっきの外部座標を通信照合プロセスへと導入し始めた。席に座った瞬間から、まるでそこに吸い込まれたように静かで手際よく、外部ハンドシェイク形式と船団の事前識別コードを一つずつ照合していった。
アイダは技術席に戻り、指先で素早く全艦状態と補給・機関・損管の準備ページを呼び出した。顔はいつも通りに平坦だ。だが今の私にはわかる。この平坦さは感情がないのではなく、すべての感情を「後で。まず仕事」の引き出しに押し込んだ結果だということが。
ジェスは戦術員席には戻らなかった。 先にCICの方へ半身を寄せ、欄干の端に体を預けながら、低い声でDに何かを言った。
Dは名目上は艦橋保安だが、実際には「異動させられただけで人類社会から追放されたわけではない」という複雑な顔をしながら、自然に彼女と一緒に航路投影を見下ろしていた。
「船団がここから入ってくるなら」ジェスは声を落として言った。「パイク六号の外縁のデブリ帯は、ただの背景じゃなくなるわね」
「人が隠れる場所になる」Dが素早く引き取った。「同時に、人を埋める場所にもなる」
「ようやくCICの妖精らしくなってきたじゃない」
「うるさい」
この二人が揃うと、仕事をしているのか互いの髪を引っ張り合っているのかよくわからない空気が常に漂う。だが不思議なことに、今はその空気が、かえって少し安心感をもたらした。
私は戦術席に座り直し、再び点灯した火器管制ページを見下ろした。
シミュレーションの中では、これらのシステムは明るく、整然としていて、「昨夜暗記したんでしょ」と言わんばかりの馴染みやすさがあった。 今も見た目は変わらない。 ボタンは変わっていない。 メニューも変わっていない。 弾種の名前も変わっていない。
だが私は今、初めてはっきりと理解していた。
これから、このシステムに装填されるのは模擬弾ではない。 一度押し間違えたら検討レポートを書けば済む、教育用のデータではない。 本物だ。 本当に飛んでいき、真空を抜け、別の艦を打ち砕き、そして相手に打ち砕き返される、本物だ。
「主砲」「垂直発射」「近接防御」「魚雷」と並ぶ文字列を見つめていると、喉がわずかに乾いた。
昨晩、私はこれらの名前を暗記した。暗記しすぎて、前世で連邦海軍の兵装開発部に何か恨みを買ったのではないかとすら思いかけた。 今、考えなければならないのはそういうことではない。
もし飛田が本当にこの火器管制権を私に委ねるなら。 私が押すたびに、その代償はもはやシミュレーションの「雪風、撃沈」という一言では済まない。
横から、ごく軽い音がした。 振り返ると、真紀だった。 いつの間にか一歩近づいていて、指先で私のコンソールの縁をごく軽く触れた。私がまだここにいるかを確かめるように。
「シモ」
「……ん?」
「手」
見下ろすと、いつの間にか自分の指がコンソールの縁に食い込んでいた。かなり力が入っていた。
私はゆっくりと指を緩め、何でもない顔をした。
「わかってる」
「本当にわかってるといいけれど」彼女は淡々と言った。
私は顔を上げた。 彼女はすでに副長の立ち位置へと戻っていて、さっきの一言はただの通りすがりだったかのようだった。
だがそれがあまりにも自然すぎるせいで、かえって胸の奥が少し熱くなった。 鬱陶しい。 こういう場面で、彼女の小さな一動作に心を乱されるとは、私は本当に救いようがない。
その余計な動揺を強引に頭の奥に押し込もうとしていたとき、飛田の声が艦長席から届いた。
「戦術席」
即座に意識が戻った。
「はい」
「今から、模擬弾という言葉を忘れろ」彼は言った。
背筋が引き締まった。
飛田は私を見ず、ただ前方のメインスクリーンに表示された二組の座標を見ていた。
「お前の手の中にあるものは、これからすべて本物だ」
私は返事をしなかった。 この言葉は繰り返してもらう必要がなかった。 さっきの一瞬、私はすでにそれを理解していたからだ。
飛田は最後の一層の緩衝まで剥ぎ取るように、相変わらずひどく平坦な声で言った。
「だから、もし発砲するなら、昨夜覚えた名詞だと思うな」
「こう思え――お前が、どれを先に死なせるかを決めることだ」
艦橋が、もう一度静まった。 今度は、私はどこにも視線を向けなかった。 ただ、目の前に並ぶ兵装管制ページを見つめ、ゆっくりと息を吸い、それから背筋を伸ばした。
よし。 わかった。 これは、もうシミュレーションではない。
「とても面白い」★四つか五つを押してね!
「普通かなぁ?」★三つを押してね!
「あまりかな?」★一つか二つを押してね!




