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臨界の星穹  作者: Mr.佐藤焫焵
臨界の星穹:士官学校
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99. ついに本番、ステージへ! 1

この物語はフィクションです。実在の人物・団体・事件・名称等は一切関係ありません。

飛田艦長の「十分後、再開する」という一言が落ちた後、艦橋には「休憩」と呼べるような空気は、どこにも生まれなかった。


どちらかといえば―― シミュレーションの中で撃沈された船に、幽霊となった乗員たちが原地で十分間だけ息をすることを許された、そういう感じだ。


私は戦術席に座ったまま、手を火器管制コンソールの縁に置き、消えた戦術画面を二秒ほど見つめてから、ようやく半拍遅れで気づいた。 ああ、もうパルジファルとトリスタンで人生を立て直す振りをしなくていいのか。


それから、背もたれに寄りかかった。 背中が椅子に触れた瞬間、気づいた。とっくに全部濡れていた。


「……くそ」


私は声を落として呟いた。


ジェスは私の左斜め後ろに座り、飛田の「戦術長と一緒に逃げ回るモードへの切り替えが遅すぎた」という一言を食らったばかりだというのに、まだ首を向けて私を見る余力があった。


「今頃になって悪態をついても、遅くないですか、戦術長閣下?」


「さっきは艦と一緒に死ぬのに忙しかった。余裕がなかった」私は力なく返した。


「今は余裕があるの?」


「今は、まず自分の魂がまだ残っているか確認したい」


ジェスの口角が動きかけたが、最終的には笑い声にはならなかった。 これは珍しい。 先ほどのシミュレーションに、彼女もいくらか打ちのめされているということだ。


艦橋の人間は誰も散らばらなかった。 立ち上がって水を飲みに行く者も、伸びをする者も、「次は上手くやろう」などという的外れな慰め言葉を口にする者も、誰一人いなかった。飛田の総括の最も恐ろしいところは、まさにそこにある――彼は誰も怒鳴らなかった。声すら荒げなかった。それでも、一つ一つのポジションを一刀ずつ解体し終えた後には、全員がはっきりと理解させられていた。


運が悪かったのではない。 本当に、全員が半歩ずつ遅かったのだ。 そしてその半歩が、ちょうど一隻の船を沈めるのに十分な量だった。


ロイはまだ操舵席の前に立ち、舵輪からそれほど手を離さず、ただ自分の手を見下ろしていた。その様子は、今この瞬間になって初めて、自分が握っていたのは操作器ではなく、艦全体の骨格だったのだと気づいたかのようだった。


真紀は彼の隣に立ち、やはり何も言わなかった。 彼女はこういうときに人の肩を叩いて「大丈夫」と言うような人間ではない。ただそこに立ち、視線をメインスクリーンの反射面に向けたまま、先ほどの数秒間のうちで足りなかった部分、間に合わなかった部分を、もう一度頭の中で並べ直しているようだった。


アカリはレーダー席に座り、両腕を胸の前で組み、いつもより少し顔色が硬かった。「報告しているのではなく、命を急かしていた」などと言われた経験は、おそらく彼女にとって初めてに近いのだろう。今の彼女には、無理やり口に押し込まれた飲み込みにくい真実を、それでも飲み込まなければならない、そういう陰鬱な気配があった。


蘭の方はいつも通りに静かだった。通信記録の再生を手元で一条ずつ遡り、自分がかつて雑音として処理した信号の中から、飛田が言っていた刃を探し直しているようだった。


CIC側は艦橋の主配置よりわずかに騒がしかったが、それでも「低声で話し合っている」程度のものであり、Dが普段あそこで縁日を開くような賑やかさとは、まったく別の世界だった。


「あの第二波の出現が陰険すぎたのは俺も思ってたよ」Dは声を潜め、手で軌道を描きながら言った。「元の航路を追ってたんじゃなくて、俺たちがどう躱すかを追ってた」


「それはもう全員わかってる」エヴリンが冷たく返した。「今考えるべきは、どの時点から牽制の議論を打ち切るべきだったかだ」


ハーヴィーは投影パネルの横に立ち、いくつかの時間軸上の点を囲い込んでいた。相変わらず遺体に注釈を書き込むような平静さで言う。


「主ボイラーが一〇八パーセントになった時点で、実は決断の窓はもう二十秒も残っていなかった」


「機関室からの最初の完全な報告が入ってから、主砲級のエネルギーが再上昇するまでの間に、九・四秒を無駄にした」


「巡航中なら九秒は大した時間ではない。撤退戦では、一度死ぬのに十分な時間だ」


Dはその数字を見て、珍しくすぐには口を挟まなかった。


「九秒か……」彼は舌打ちした。「すごく短く聞こえるのに、本当に一隻沈めるのに足りるんだな」


「だから飛田がここでこういう目に遭わせると思うか?」エヴリンが言った。


「もともと人格に問題があるからだと思ってた」


「それも一部だ」ハーヴィーが言った。


……その分析、妙に公平だ。


私は自分の席に座ったまま、どちらの議論にも加わらなかった。高みの見物をしているのではない。今の私の頭の中では、二人の星野が互いの髪を引っ張り合っていたからだ。


一人が言う。 前半は乱れていなかった。第一波の妨害散布は正しかった。火器管制の切り替えも正しかった。牽制の選択肢は出鱈目ではなかった。


もう一人が冷たく言い返す。 そうだ。乱れてはいなかった。ただ、もう一太刀鮮やかに浴びせられるかもしれないと、まだ考えていただけだ。


そして腹立たしいことに、後者の方が正しい。


私は火器管制コンソールを見下ろした。 先ほどのボタン類は今、何事もなかったかのように静かに点灯している。だがあのいくつかの画面切り替えキーを見た瞬間、頭の中に自動的にあの場面が蘇る。


アッシュが私に問いかけた。牽制するなら、どれくらい稼げるか、と。 そして私の最初の反応は「やらない」ではなかった。 「やるなら、どうやるか」だった。


それが問題の本質だ。 撤退の仕方がわからなかったのではない。 まだ、十分に捨てきれていなかったのだ。


「シモ」


顔を上げた。 真紀がいつの間にか一歩近づき、私の右手側に立っていた。近づきすぎてはいない。身をかがめてもいない。ただそこに立っているだけで、私と艦橋全体の間に、話せるだけの小さな空間が自然に切り取られていた。


「何?」


「さっきの牽制案を、今また考えている」


「……そんなに分かりやすい?」


「分かりやすい」


……ありがとう。


私は溜め息をつき、背もたれに身を預けた。


「あのとき、牽制を二十秒くらいやれば、後ろの駆逐艦二隻を少し退かせられるかもしれないと思った」


真紀は一度頷いた。


「考え方は間違っていない」


「でも、順番が違った」私は自分で後半を続けた。


真紀はすぐには返さなかった。 二秒ほど経ってから、ひどく淡々と言った。


「完全に間違っていたわけでもない」


私は首を向けて彼女を見た。


「ん?」


「あのとき主機の損傷がもう少し浅ければ、あるいは第二波がもう少し掠り方が軽ければ、牽制は必ずしも間違いではなかった」彼女は言った。「問題は、あなたがまだ『もう少し多くできるかもしれない』という余地を残していたことだ」


……この女は本当に厄介だ。 いつも言葉を平坦に出しながら、正確に刺さるところに刺してくる。


私は指先でコンソールの縁を引っ掻いた。


「あんただって同じじゃない」


「何が?」


「飛田があんたに言ったこと、かなり的確だったでしょ」私は声を落として言った。「一度しか言わなかった。あんたもまだ、アッシュのために余地を残していた」


真紀は私を一瞥した。 反論しなかった。 それが答えだった。


「……そうね」彼女は最後にそれだけ言った。


私はその様子を見て、妙に笑いたくなった。 彼女を笑っているのではない。 なんとなく可笑しかったのだ。自分だけがいざというとき踏み切れないのかと思っていたら、そうではなかったという、その妙な発見が。


「どうしたの?」彼女が問う。


「別に」私は首を振った。「ただ、飛田があんたを副長に置いたのは、あんたが一番安定しているからじゃないかもしれないと思って」


「なら、何のため?」


「あんたは一番安定しているのに、それでもどこかで手加減してしまう」私は言った。「そういう人間だから、置いたんじゃないかと」


真紀はしばらく沈黙した。


「じゃあ、あなたは?」


「私?」


「飛田があなたを戦術長に置いたのも、兵装の暗記が一番上手いからではないでしょう」彼女はひどく静かに言った。


私は眉を跳ね上げた。


「なら、何のため?」


真紀は私を見て、既知の事実を読み上げるような語気で言った。


「あなたが本当に発砲できる人間だから」


「だから彼は、いつ発砲しないかを学ばせなければならなかった」


私はすぐには返せなかった。 ……これも、かなり正確だ。 正確すぎて、むしろ腹が立つくらいだ。


ジェスが明らかに後半を聞いていて、横から首を伸ばしてきた。その声は、珍しくいつもほど嫌味がなかった。


「実は私も問題があったわ」


私は振り返った。


「自分から白状するなんて、珍しいじゃない」


「たまにはね」彼女は椅子を少し前に引き、両手を重ねてコンソールに置いた。「さっき頭の中で、まだあなたのために選択肢を並べてた。実体弾はどう撃つか、対艦誘導弾はまだ使えるか、近接防御はどう振り分けるのが一番効率的か……」


「それって普通じゃない?」私は言った。


「そう」ジェスは頷いた。「普通すぎた。普通すぎて、あのとき本当に必要だったのは『まだできること』の選択肢をもっと増やすことじゃなくて、『やってはいけないこと』の半分を先に消してやる人間だったって、忘れてた」


私は彼女を二秒ほど見つめた。 この女はいつも口が火花を散らすような物言いをするのに、今こんなに真面目な顔をしているのは、かえって落ち着かない。


「何よ、そんな顔して」彼女が眉を上げた。


「別に」私は素直に言った。「さっきのエンペラー級戦闘巡洋艦にぶつかって、人格が入れ替わったのかと確認してた」


ジェスは私を一睨みして、それから笑った。


「うるさい」


たったそれだけで、艦橋の空気が少しだけ緩んだ。 わずかだ。 だが少なくとも、先ほどまでの、全員が揃って自分を失敗に釘付けにしたような死の静寂ではなくなった。


反対側では、アイダがハーヴィーとエヴリンに呼ばれ、損管プロセスの回放を一緒に見ていた。彼女は投影パネルの前に立ち、相変わらず平坦な顔をしていたが、今回は言葉が明らかに短く、硬くなっていた。


「ここで、姿勢制御帯の両側を同時に補修しようとしたのは間違いだった」彼女は手で損傷区画を指した。「左後舷に穿孔が入った時点で、主幹線と姿勢制御はどちらか一方しか先に守れない。あのとき、私はまだ両方を守ろうとしていた」


「左下部の外板をそのまま放棄していたら?」ハーヴィーが問う。


「医療班は十秒早く退避できた」アイダは言った。


「なら後で二番連結口が詰まることもなかった」エヴリンが続ける。


Dは横で少し聞いてから、我慢できずに口を挟んだ。


「ちょっと待って。じゃあ、あの連鎖爆発は単純に敵の砲撃が正確だったせいじゃなくて、俺たちがずっと『これも捨てたくない、あれも捨てたくない』ってやってたせいってこと?」


アイダは目を上げて彼を見た。


「艦上の現実へようこそ」


Dは半秒黙り、珍しく笑いを返さなかった。


私はそちらを見て、それから蘭とアカリの方を見た。二人も小声でタイムラインを照合していた。蘭は降伏勧告を切断した後に残った通信の残滓に赤い印をつけ、アカリは第二波の出現点が現れる前のレーダー更新のリズムをコマ送りにして確認していた。


艦橋全体が、いくつかの小さな塊に分かれ、それぞれが先ほどの死に方を一口ずつ噛み直していた。


私はぼんやりとそれを見ながら、ひどく奇妙な感覚を覚えた。 挫折感ではない。 恥ずかしさでも、完全にはない。 どちらかといえば―― 一隻の船が生きて帰るためには、どれだけ多くの人間が同時に「うまくやりたい」を「まず間違えない」に切り替えなければならないのかを、初めて本当の意味で見た、そういう感覚だ。


この認識は少しも熱血ではない。 むしろ醜い。 だがそれが、雪風が私たちに教えようとしているものだ。


ぼんやりしていると、艦橋の隅で信号灯が一つ点った。 大きくはない。 音も大きくはない。 だが全員が意図的に声を落としているこの十分間の中では、その一点が全員の注意を引き寄せるのに十分だった。


蘭が最初に顔を上げた。 通信パネルを見て、素早く口を開く。


「艦長、艦外通信です」


この「艦長」という呼びかけは、飛田に向けて言われたものだった。 アッシュに向けてではない。


アッシュはそれを聞いて、ほとんど躊躇なく艦長席から立ち上がり、被っていた予備の制帽を外して、横に一歩退いた。 真紀も半歩下がった。 二人は艦長席の左右に並んで立ち、まるで神殿の前に立つ護法のように見えた。


私はその光景を見て、自分の頭の中のその比喩に危うく噴き出しそうになった。 この艦は本当に、どんな厳粛な場面でも妙な連想をさせてくる。


飛田艦長本人は何事もなかったかのように艦長席へと歩み戻り、腰を下ろした。その動作は、この席が最初から自分の骨に刻まれているかのように慣れていた。


「繋げ」


メインスクリーンが左右に分割された。


左側に現れた男を見た瞬間、私の頭に最初に浮かんだのは、この人は陰で人の悪口を言うのが得意そうだ、という印象だった。 悪意があるわけではない。 本当にそう見えるのだ。 顔が少し長く、口角が下がり、全体的に陰鬱な雰囲気がある。次の瞬間「特に意見はありません」と言ったとしても、本当は意見がたっぷりあると本能的に感じさせるような顔だ。


右側の男は、まったく逆だった。 最初に思ったのは、軍人というより、酔っても机を叩いて大笑いできる機関長の変異体だ。顔が赤く、声は通信の増幅なしでも杯を割れそうなほど大きそうだった。


左側の男が先に名乗った。


「水無月艦長、中田少佐です」


語気も顔と同じく、過不足なく陰鬱だった。


右側の男は、まったく別の生き物だった。


「俺は筑摩の艦長、大島大佐だ!」


「俺は」の一言が出た瞬間、艦橋の空気が一度震えたような気がした。それから彼の視線がさっと私たちの列を捉え、その場でどっと笑い声が上がった。


「飛田! お前、いつから少年団の引率を始めたんだ! はははははは!」


……なるほど、この人は確かに騒がしい。 しかも、敵艦がなくても声量だけで制圧できるタイプの騒がしさだ。


飛田は眉一つ動かさなかった。


「大島艦長」彼はひどく平坦に返した。「雪風は練習艦です」


そして私たちを一瞥し、後半を付け足した。


「それに、彼らはもう一人前でやれると思っています」


私は戦術席で、その一言に危うく自分で詰まりかけた。 感動ではない。 圧力が、別の方向から突然降ってきたのだ。


大島の方は、飛田のその言葉を大した話だとも思っていないようだった。ただひどく豪快に手を振り、二組の座標を直接叩きつけてきた。


「そうか? ならがんばれ」彼は一本丸ごと飲み干した後のような顔で笑った。「一つは船団の座標、もう一つはパイク六号の座標だ。お前の少年団が他の艦の顔面に船を突っ込ませないよう、祈っておくぞ! ははははは!」


そして―― 通信を切った。 実に潔い。 まるで特別に接続してきて飛田を二言ほど嘲り、仕事を投げ捨てて帰っただけのようだった。


中田少佐の方は、すでに暗転した大島の画面を一瞥し、飛田を見て、何か妙な状況に巻き込まれたくない普通の人間のような顔をして、一言も余分に発さず、同じく通信を切った。


画面が消えた。 メインスクリーンが元に戻った。 艦橋全体が、再び静まり返った。


今度は、さっきシミュレーションで沈んだからではない。 たった今、大島という男が、天気の話でもするような態度で「パイク六号」と「船団座標」という二つの事実を私たちの顔面に叩きつけていったからだ。 そして飛田の「彼らはもう一人前でやれると思っています」という言葉が、まだ私の耳の中で散らずに残っていた。

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