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臨界の星穹  作者: Mr.佐藤焫焵
士官学校編
267/322

79. イレギュラー・パルス 3

この物語はフィクションです。実在の人物・団体・事件・名称等は一切関係ありません。

艦橋が安定した当直リズムに戻ると、時間が伸びた。


退屈ではない。


引き延ばされたのだ。


十五分ごとに、それが完全に過ぎていくのを感じた。記録、照合、窓の外を見る、ディスプレイを見る、船団位置を確認する、システムの微かな通知音を聞く。さっきの接触異常を経て、私はすべての黄色い点、すべての点滅、すべての通知音に対する感度が半段階上がっていた。


真紀も、最初のように全身を研ぎ澄ませたまま張り続けてはいなかった。


集中していて、安定していて、どこを取っても私より正式な当直要員に見えることは変わらない。でも事態が確実に収束した後、彼女の肩の線がほんのわずか、下がった。ごくわずかで、目立たなかった。でもずっと見ていたから、わかった。


深夜に向かって時間が滑っていく頃、艦橋の灯りがシステムによって自動でもう一段絞られた。


完全に暗くなったわけではない。ただ、不要な明るさをもう少し削っただけだ。その分、観測窓の外の星がはっきりした。主ディスプレイも副ディスプレイも、青白い光がより深い黒の中に浮いているように見えた。橋楼の前半分が薄い冷たい水の中に沈んでいるみたいで、呼吸まで自然と浅くなった。


短い空白の時間が来たとき、私は当直ボードを台の上に置き、艦橋の右後方にある小さな角へ歩いた。


そこには折り畳み式の予備座椅子があり、脇には収納された海図台と封をされた計器ロッカーが並んでいた。広くはないが、主ディスプレイの端と前方観測窓の一部を横から見渡せる。どの主要席にも属さないが、少し息をつける場所だった。


座ってほどなく、真紀もこちらへ来た。


私の隣には座らず、まず脇の計器ロッカーの前で止まり、読み終えた手冊を置いた。それから私をちらりと見て、もう一脚の小さな折り椅子に腰を下ろした。


私たちの間は、腕一本分に満たなかった。


近かった。


少し頭を傾けるだけで、冷たい光の中の彼女の横顔の細い輪郭と、目を伏せたときに睫毛が目の下に落とす小さな影が見えた。


そして一番奇妙だったのは、今回は誰も急いで口を開かなかったことだ。


気まずいのではない。


どちらも、さっきの緊張をゆっくり体の中に戻しているような感じだった。


しばらくして、私が先に言った。


「さっき一瞬、本当に大事になると思った」


真紀はすぐには私を見ず、ただ低く応えた。


「わかってた」


「なんでわかったの?」


「手冊をめくる音が大きかった」


自分の手を見た。


「……そんなに目立ってた?」


「目立ってた」彼女は言った。「でも、ぼうっとしてるよりいい」


軽く鼻を鳴らした。


「じゃあ、あなたは? さっき、緊張しなかったの?」


彼女がようやくこちらを向いた。


「緊張して、何か変わる?」


「変わらない」


「なら、先に動く」


この答えは、いかにも彼女らしかった。


でも、昼間のあの硬さとは少し違う声で言われると、胸の中でまだ微かに張っていたものが、一緒に少し緩んだ。


前方の観測窓を見上げた。外は、静かに後ろへ退いていく星の光だった。


「真紀」


「ん」


「さっき、本当にすごかった」


彼女は少し黙った。


「面倒だから答えない」という沈黙ではない。受けるかどうか考えているような沈黙だった。


最後に、彼女は低く言った。


「あなた、足は引っ張らなかった」


彼女を振り向いた。


「あなたバージョンの正式な褒め言葉?」


彼女は一秒、私を見た。


「もう十分でしょ」


……いい。


十分すぎる。


この一言を艦橋の当直記録の備考欄に書き残したいくらいだった。


もちろん、そんな度胸はなかったが。


艦橋の外の夜は静かで、静かすぎると、普段は音に紛れて見えなくなっているものに気づき始める。たとえば、真紀が座ってから、航法台の前に立っていたときより呼吸が少し遅くなったこと。手の甲に、午後の訓練でどこかに擦った薄い赤みが残っていること。今の彼女の座り方が、いつもの軍校の示範図より少しだけ後ろへ傾いていること——「仕事の状態」から、もう少し人間らしい場所へ、ようやく戻ってきたような。


しばらく見てから、小声で言った。


「今のあなた、艦橋モデルに付属してる標準人員、って感じがしない」


彼女の眉がわずかに動いた。


「じゃあ、何みたいに見える?」


少し考えた。


「疲れることのある人間みたいに」


彼女は聞いてから、すぐには返さなかった。


これだけでも、かなり珍しいことだった。


二秒ほどして、ごく淡々と言った。


「私は元々、疲れる」


「でも、普段はそう見えない」


「普段、あなたがちゃんと見てないだけ」


言い返されたが、すぐに口を開かなかった。


彼女は今夜、同じことを一度ならず言っている。そして私は今、それが案外正しいと思い始めていた。


私はずっと、真紀を表面で見ていた。


冷たさを見ていた。口の硬さを見ていた。時々ひどく厳しくて、時々奇妙なところで踏み出してくることを見ていた。しまわれた刃みたいに、綺麗で、鋭くて、あまり触れさせてくれないと思っていた。


でも今夜わかったのは、その刃がそういう形に育ったのには、わけがあったということだ。


学んだ。あういう場所に置かれた。重い位置に立つことを知っている。他の人間が乱れ始めたとき、リズムを支えることを知っている。


そしてそういうことを、彼女は自分からは決して話さない。


急に、もう少し知りたくなった。


無駄口が叩きたいわけじゃない。もう少し先を知りたいという、純粋な渇きだった。


「真紀」声を落として訊いた。「小さい頃、模擬橋楼の中で、何を考えてたの?」


彼女は今度こそ、正面から私を向いた。


艦橋の冷たい光の中で、その瞳は深く灰色で、外の夜みたいに静かだった。


「今日、質問が多い」


「今夜が長いから」


「それは私を尋問する理由にはならない」


「尋問じゃない」私は素直に言った。「ただ……少し気になって」


彼女は私を見て、この言葉の中にどれだけ本気があるかを測るように、少しの間黙っていた。


最後に、視線を前へ戻し、声を落とした。


「最初は、何も考えてなかった」


「え?」


「ただ、家の他のどこより静かだと思ってた」


一瞬、言葉が止まった。


彼女は続けた。声はやはり平坦で、平坦すぎるから、かえって遮りたくなかった。


「数字の読み方、方位の見方、灯号の意味を覚えてから、考えるようになった——一艘の船がこれだけのものしか信じられないなら、ここに立つ人間は、あまり間抜けじゃないほうがいい、って」


彼女を見て、この言葉が「真紀らしい」と先に思うべきか、少し……寂しいと先に思うべきか、わからなくなった。


彼女がこれを言うとき、同情を買おうとしている気配が一切なかった。


ただ、昔の自分がそう思っていた、と言っているだけだった。


口を開きかけて、最後は静かに言った。


「間抜けじゃなかったじゃない」


真紀の口元が、ごく細かく動いた。


「評価が低い」


「じゃあどう言えばいいの? 今ここで立ち上がって『九島真紀少佐は雪風の光』って叫ぶわけにもいかないし」


彼女は横を向いて私を見た。


「叫んだら、ここから放り出す」


「ここは艦橋よ、外甲板じゃない」


「じゃあ先にあなたの口を封じる」


……待って。


その一言、彼女の口から出ると危険度が少し高くないか?


心拍が勝手に乱れ、慌てて顔を前へ向け、主ディスプレイの端の航路灯を見ているふりをした。


艦橋がしばらく静かになった。


それから、予想に反して、彼女から口を開いた。


「星野」


「ん?」


「さっき艦長席に座ってたの、かなり間抜けだった」


一瞬固まり、次の瞬間に笑いそうになった。


「今まで黙ってたの?」


「さっきは用事があったから」


「用事が片付いたから、今になって追加で刺してきた」


「事後の訂正」


笑いをこらえきれなくなり、顔を手の甲に埋めて肩を震わせた。声が大きくなるのが怖くて、ぐっと圧さえた。


真紀は何も言わなかった。


でも確かにわかった——今回は、私の失態を冷めた目で眺めているのではない。


余光に、はっきり見えた。彼女も、笑っていた。


薄く、短く。完全な笑いとも呼べないくらい。


ただ、口元が少しだけ上がり、目の冷たさが少し溶けていた。普段外に掛けている硬い殻を、数ミリだけ下ろしたような。


でも、その数ミリで十分だった。


笑いを収め、彼女を振り向いた。


視線に気づいて、彼女はすぐに表情を少し戻した。


「何見てるの?」


「別に」


「その台詞、全然信用できない」


「じゃあ、異常現象の記録中だと思って」


彼女が目を細めた。


「星野」


「わかった、わかった」と手を上げ、それでも小声で付け足した。「あなた笑うんだなって、思っただけ」


彼女は一秒、黙った。


今度は、否定しなかった。


ただ、ごく低く返した。


「それは、相手による」


その瞬間、心臓を誰かにごく軽く掴まれたような感覚がした。


強くない。痛くもない。でも、はっきりとあった。


彼女を見て、艦橋全体がひどく静かすぎると感じた。主ディスプレイの冷たい光も、観測窓の外の星海も、遠くで規則的に鳴るシステムの通知音も、全部そこにある。でも突然、それらが全部遠くへ退いて、この夜の中で本来は当直と記録しかないはずの場所に、静かに何かが浮かび上がってきた。


真紀も、さっきの一言が少し直球すぎたと気づいたのだろう。


彼女はごく軽く顔を逸らし、膝の上の手冊の端を指先で触れた。不自然に見えないための動作を探しているようだった。


私は、もう追い詰めたくなかった。


ここで余計なことを言ったら、せっかく顔を出したものを引っ込めてしまいかねない。


だから私も視線を前へ向け、彼女と一緒にその果てのない夜を眺めた。


しばらくして、ごく小声で言った。


「じゃあ……これから、もう少し見せてもらえる?」


言い終えた瞬間、自分でも耳の根が少し熱くなった。


どう聞いても、別の意味に取れる一言だったから。


でも真紀は、とぼけなかった。すぐには刺してこなかった。


ただそこに座って、二秒静かにいて、それから非常に低く、非常に軽く、でも非常にはっきりと、返した。


「……あなたの腕次第ね」


今夜の艦橋当直を、そのまま人生の記録に書き残したくなった。


大きな事件があったからではない。


接触信号を初めて処理したからでもない。


飛田艦長に「悪くない」と言ってもらったからでもない。


雪風の深夜の艦橋の片隅で、冷たい光と手冊とレーダーと星海の中で、ふと思ったのだ——


ある種の距離は、昼間のあの賑やかな言い合いでは縮まらない。


むしろ、こういう時間を待つしかない。


艦全体が静まり返るのを待つ。何かがすれすれを通り過ぎるのを待つ。人がほんの少し疲れて、ほんの少し緩んで、もうあんなに自分を張り詰めさせなくてもいいと思える瞬間を待つ。


そのとき初めて、普段は言わないもの、見せないもの、認めないものが、端の端からゆっくり漏れ出してくる。


私は彼女の隣に座り、腕一本分にも満たない距離を隔てて、今夜の当直がまだ終わっていないことを知っていた。


でも少なくとも、始まったときとはまったく別のものになっていた。

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